namibiaPaladin Energy Ltd

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Paladin Energy Ltdは、PDN銘柄でオーストラリア証券取引所、トロント証券取引所、ナミビア証券取引所に上場している。Paladinは、アフリカの2鉱山とオーストラリアのプロジェクトを行っているウラン生産会社である。

Paladin Energy Ltd.(元Paladin Resources Limited)は、Energy Resources of Australiaの傘下にあるオーストラリア第2の規模を誇るウラン鉱山会社であり、鉱山大手のRio Tintoが多くを所有している。オーストラリアのパースに本社を置く。

Paladinの主な焦点は、オーストラリアと海外でウラン鉱床の探鉱・開発にある。同社はアフリカで最も先進的な2つのウラン鉱床を管理している。Langer Heinrich鉱山は2006年後半にイエローケーキの生産を開始、現在マラウイのKayelekera鉱山を立ち上げ中である。

Paladinの歴史は1970年のUranerz社(ドイツ)創業にさかのぼる。同社はその後、ウラン、金、非鉄金属、銅、プラチナ、ダイヤモンドに事業を拡大。 Uranerzは、John Borshoff氏がその重要な利権を取得したことで、最終的にオーストラリアでの利権を失った。その後彼は1993年にParadhinを設立し、オーストラリア証券取引所に上場した。

ナミビアのLanger Heinrich鉱山は、1973年に政府がこの地域の空気中の放射調査を行った際に発見された。 1974年から1980年にかけてGeneral Mining Union Corporation Limited (Gencor)は当地で大規模な評価作業を実施、1980年代半ばにウラン価格が下落したことでプロジェクトを中断した。Acclaim Uranium NLは1998年にGencorからこのプロジェクトを引き継ぎ1999年から2000年にかけてプレFSを終えたが、ウラン価格の低迷で再び事業は保留となった。

2002年8月、同社はLanger Heinrich Uranium (PTY) LtdとAztec Resources Ltd(以前のAcclaim Uranium NL)の資産を買収した。購入価格は15,000豪ドルで、生産および販売されたイエローケーキの1キロ当たりの生産ロイヤルティは12豪セントであった。

国内の所在地

Erf 3981 B, Extension 10, New Industrial Area, Swakopmund, Namibia;
Telephone: +264 64 413 450
Telefax: +264 64 413 451

Langer Heinrich Projectはナミブ砂漠に位置し、主要な港ウォルビスベイの80km東方、Rio Tinto Groupの大規模な硬岩ウラン鉱山(Rössing Project)の約40km南東に位置する。

製品・サービス

同社は鉱物資源産業で事業を行っており、アフリカ、オーストラリアでのウランのプロジェクトだけでなく、世界全体での評価と買収の機会を追求することに焦点を置いている。

従業員数

Langer Heinrichの労働力は、198人の従業員に加え200人の採掘およびセキュリティの請負業者が含まれる。5%未満が非ナミビア人である。 

財務情報

収入明細 2008年6月末までの年間 US$m 2007年6月末までの年間 US$m
継続運営による収益 101.9 11.2
総利益(損失) 35.5 (0.8)
探鉱および評価費用 (13.1) (7.4)
他収入に対する費用 (35.7) (28.5)
財務費用 (30.7) (13.0)
関連会社の損失分担 (0.2) -
所得税手当 7.0 11.7
小株主持分 1.2 0.4
通常の企業株主に帰属する継続運営による課税後の損失 (36.0) (37.6)
株ごとの損失-基本および希釈後 US$
(0.06)
US$
(0.07)
2008年6月末までの1年間 オーストラリア
US$m
ナミビア
US$m
マラウィ
US$m
合計
US$m
外部顧客への売上 - 93.8 - 93.8
その他の収益 7.7 0.4 - 8.1
合計区分収益 7.7 94.2 - 101.9

Langer Heinrich四半期の生産量は693,116ポンド以上を維持し、2009年3月期の数字をわずかに上回る。2009年6月末四半期の精製率は3月期(74.5%)よりもはるかに高く平均82%以上となっており、US$51.27/ポンド U3O8を平均価格とした445,000ポンドの販売数から得る総収入はUS$22.8Mとなる。

市場シェア

ナミビアのウラン確認埋蔵量は世界の約5%である。それらの$130/kgを上限とする精製量は約27万5,000tUであり、そのうち確認資源は露天掘り採鉱による17万6,000tUである。

2009年6月までの12ヵ月間の生産量は2,702,972ポンドに達する。第1四半期の砕石トンは385,704tで、平均の鉱石等級は933ppm U3O8である。Langer Heinrich は2009年5月上旬に、4,000,000ポンドのプロジェクトライフ生産を超過した。

Langer Heinrichのステージ3では2010年から2,000tU/yrの生産が計画されている。0.025%カットオフで25,000tU(JORCおよびNI 43-101に準拠)に加え1,500tUが備蓄される。推定埋蔵量は32,200tUで、これらの多くはインフィル掘削でアップグレードされる。さら12,000tUが低悪性度の備蓄となり、その後精製されるであろう。

RossingUranium Ltdは2008年に3,449tU(2006年:3,067tU, 2007年:2,582 tU)の生産を行い、世界第3のウラン鉱山となった。

Rossingウラン資源
2008年末 埋蔵鉱量 資源
  確定 推定 計測 表示 推定
含有: 11,970 tU 53,070 tU 1,900 tU 19,500 tU 3,000 tU
品位調整: 0.035% U 0.034% U 0.022% U 0.021% U 0.023% U
その他のウラン資源
採鉱場所 既知資源
    計測および表示 推定
Langer Heinrich Palaeochannel(古河川) 32,800 tU から 0.06% 品位調整 32,200 tU から 0.06% 品位調整
Trekkopje palaeochannel(古河川) 45,500 tU から 0.011% 品位調整 3,000 tU から 0.01% 品位調整
Rossing South 硬岩 9,250 tU から 0.038% 品位調整 93,660 tU から 0.0415% 品位調整
Valencia 硬岩 27,000 tU から 0.013% 品位調整 4,200 tU から 0.012% 品位調整
Etango 硬岩 41,500 tU から 0.021% 品位調整 20,000 tU から 0.0197% 品位調整
Marenica palaeochannel(古河川)   13,000 tU
Tubas palaeochannel(古河川)   15,000 tU から 0.019% 品位調整

事業目的

明確かつ永続的な事業により多角的なスペクトラムを達成し、世界の主要ウラン供給者になること。

ビジネスモデル

同社は、持続可能な方法で、有機的および無機的成長にむけて従事している。またウラン資源の漸進的な発展の戦略を行っている。それを後押しするのは、新規マーケティング企業であるPaladin Nuclearにより機会を得た戦略的M&A活動であり、増加する核燃料の需要に適応するため多くのウラン生産を行っている。Paladinは、その資本の戦略的目標の一環として、適切なグローバル生産のフットプリントを達成するための機会を評価し続けている。同社は、特定の高度プロジェクトの機会と明確な生産能力と持つ良好な資産を持つ潜在価値のある企業買収との両面から検討している。

1998年以来、世界のウラン市場での持続的な低迷の期間中に、Paladinは潜在的な生産性を持つ先進的なプロジェクトに関する質の高いポートフォリオを蓄積した。

株主・所有権益

Deep Yellow Ltd(Dyl-Paladin Energy Ltd 15.3%)は、ナミビアとオーストラリアで探鉱事業を行うウラン探鉱会社で、オーストラリア証券取引所およびナミビア証券取引所で上場している。

Langer Heinrich Uranium(PTY)はPaladin Energy Ltdグループのメンバーであり、Langer Heinrichウラン鉱山を100%所有する企業である。 100%出資のナミビア子会社であるReptile Uranium Namibia (PTY) Ltd を通して、DYLは積極的に、4つの完全所有独占探鉱ライセンスに基づいて探鉱している。それらはウォルビスベイと、Paladin’s Langer Heinrichウラン鉱山の南西部にあるNamib Naukluft 砂漠公園2,872km2の範囲にある。

Langer Heinrichウランプロジェクト(LHUP)は鉱業ライセンス(ML140)により構成され、Namib Naukluft 砂漠権の4,375ヘクタールをカバーしている。これにはベースメタル、レアメタル、核燃料グループの探鉱・販売・探鉱を含む。Langer Heinrich Uranium (PTY) Ltdは独占探鉱ライセンスであるEPL3500を保有し、これは 採掘ライセンス地の30 km2西方をカバーする。

政府との関係・社会貢献

ウラン採掘の拡大には政府の強力な支援があり、政府は2018年までに原子力発電によって電力を供給する方針である。ナミビアは核不拡散条約の締約国であり、1998年から包括的保障措置協定を発効させ、2000年には追加議定書に調印した。

1992年のナミビアの鉱業法及び2003年の鉱山政策はウラン濃縮や核分野には触れていない。政府はしかし、具体的にウラン鉱山に対処するための法的枠組みの見直しを行っている。

ナミビアの鉱業は他の業種に比べて高い法人所得税の対象となる。:ダイヤモンド鉱業には55%、その他の鉱物採掘には37.5%が課せられるが、ナミビアの鉱山会社は多くの税制上の優遇を受けており、なかには他国においては鉱山業者が受けられないものもある。利点は以下のとおり: 1)生産初年度の探鉱費用計上、2)無制限の繰越付き(これは他の分野でも適用)開発費の免除、3)リングフェンシング(使用目的の限定)なし。 2%のロイヤリティが工業鉱物や核鉱物燃料に課税される。

Paladinは従業員の業績に対する報酬を与え、共有インセンティブスキームへの参加を提供することにより株主と従業員の利益の調整している。 2008年2月、同社はこの方策を拡大し、Langer Heinrich Uranium (PTY) Ltdの正規従業員を対象として含んだ。これはナミビア鉱山業界で初めて取り組みであると思われる。

Langer Heinrichはナミビアに長期的なメリットをもたらすような特定のイニシアティブを進めており、特に教育と技能開発がそれである。またLanger Heinrichは地元の職人訓練施設と密接に関わっており、学生に採掘所での実用的なトレーニングを提供し、経験のある職人が講師をすると同時に、その他の講師も、鉱山現場での経験を通じて最新の技術や実務を体得することができる。

Langer Heinrich Uranium PTY LtdはNamPowerと契約を結び、Langer Heinrich鉱山での電力使用権を獲得した。この権利を獲得するため、鉱山への電力線の接続はLanger Heinrichが出資したが、電源線の所有権はNamPowerに残されている。出資金額は鉱山生命に応じた償却量である。

製品開発

さらなる拡大計画が始まっており(第3期)、年間6.0Mlb U3O8に生産を増やすことが意図されている。 2009年6月にPaladin社は、Langer Heinrichのための拡張に関するフィージビリティスタディを行うと発表した。取締役会は、次の条件で第3期の拡張を続行することを承認した:2010年9月をターゲットとして、名目生産を5.2Mlb U3O8まで増加する;大きな追加的インフラを要しないとした場合、推定7100万米ドルまで資本コストを最小化;新しい生産拡張スキームによってり、当初計画されていた設備投資の41%で生産計画の87%を達成する;U3O8価格に基づく15ヵ月返済;インフィル・ドリリングによっておよそ20年の鉱山生命を達成する。

第2期の拡張は現在最終決定段階であり、すでに浸出濃縮、沈殿、製品乾燥、および試薬投与設備への拡張を規定した。

2009年4月にLanger Heinrich Uranium (PTY) Ltd (LHU)は、内部標準規格ISO 14001:2004により環境マネジメントシステム(EMS)の認証を取得した。