Standard Bank Namibia スタンダード銀行ナミビア
アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。
会社概要と沿革
1915年の設立以来、スタンダード銀行のナミビア展開は現在、国内で40ヵ所の支店を持つに至っている。スタンダード・バンク・グループはアフリカ17ヵ国での事業を行う、南アフリカ最大の銀行である。
1860年4月、The Standard Bank of British South Afticaの設立趣意書がロンドンで発行され、その2年後にThe Stndard Bank of British South Africaが設立された。ロンドンで営業を開始され、1863年1月にはポートエリザベスに出先ができ、Alexander Croll & Companyが手形割引を行っていた。以後50年に渡り南アフリカ全土で支店のネットワークが設立された。
国内の所在地
Standard Bank Namibia Limited, 5th floor, Standard Bank Centre, Cnr. Post Street Mall &Werner List Street, Windhoek, Namibia
製品・サービス
事業における3本の柱となるのは、個人および企業向け銀行業務、投資銀行業務、および資産に関する業務である。企業コンサルタントおよび電子バンキングシステムによる資金繰りや取引関連、管理サービスなどを含むその他の処理サービスも行っている。また期間貸付、証券化された負債および資産財務、証券化された取引および商品財務を行い、外国為替、金融市場、利率に関する取引およびリスクマネジメントサービスを提供している。
国際取引製品・業務を担うチームが幅広い取引業務を、主にアフリカ全土で行っている。投資銀行部門は、新興市場に最も大きく関連する工業分野に大きな焦点を置いており、これには高度成長市場におけるエネルギー、電力、鉱業、建設、通信などのインフラおよびサービスのための経済対策が含まれる。
従業員数
1,200名
財務情報
2009年6月30日付け株式時価総額は1,380億ランド(約180億ドル); 2009年6月30日付け資産合計は1兆3,330億ランド(約1,720億ドル)
バーゼルⅡ形式 | |||||||||
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2008 | 2007 | ホスト規制要求 | |||||||
ティアⅠ 資本% |
ティアⅡ 資本% |
ティアⅢ 資本% |
合計 資本% |
ティアⅠ 資本% |
ティアⅡ 資本% |
ティアⅢ 資本% |
合計 資本% |
% | |
Standard Bank Group | 10.7 | 1.8 | 0.4 | 12.9 | 8.7 | 2.6 | 0.3 | 11.6 | 9.75 |
Standard Bank Namibia | 11.5 | 3.0 | 14.5 | 9.7 | 3.2 | 12.9 | 10 |
グループ | |||
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2008 | 2009 | ||
注 | Rm | Rm | |
銀行業務による収益 | 61,336 | 47,296 | |
総利子所得 | 31,918 | 22,549 | |
利子所得 | 26.1 | 101,425 | 63,541 |
支払利子 | 26.2 | 69,507 | 40,992 |
無利子収益 | 29,448 | 24,747 | |
総手数料 | 17,607 | 14,511 | |
手数料所得 | 26.3 | 20,452 | 16,538 |
手数料支払 | 26.4 | 2,845 | 2,027 |
貿易収益 | 26.5 | 9,463 | 7,216 |
その他収益 | 26.6 | 2,378 | 3,020 |
投資管理および生命保険業務による収益 | 23,359 | 49,834 | |
総保険掛け金 | 26.7 | 22,259 | 23,016 |
投資収入および(損失)/獲得 | 26.8 | (891) | 24,976 |
管理サービス費収入 | 1,991 | 1,842 | |
総収入 | 84,725 | 97,130 |
市場シェア
スタンダード銀行は南アフリカに673ヵ所、その他のアフリカ地域に337ヵ所の支店を持つ。スタンダード銀行ナミビアは国内で最大の市中銀行である。ナミビアの市中銀行は国内金融資産の38%を保持している。平均合計資産において最も規模の大きな銀行がスタンダード銀行ナミビア(約32%)である。
ナミビアにおけるFirst National銀行とスタンダード銀行は、合計資産の62%近くおよび預金・貸付の60%近くを占めている。
事業目的
「我々は新興国市場において主導的な金融機関となることを目指す。我々は可能な限り、堅実な営利原則に基づいてすべてを行なうという条件に従ってお客様にプロダクト、サービス、ソリューションを、ニーズに合わせて提供することを約束する。我々は適切に、長期的な利益還元を株主に対して行なうことで生存権を得ていることを理解している。我々は様々な目標を達成し、職務をまっとうするため非常に高い努力を行っている。」
ビジネスモデル
「グループは140年以上に渡って、アフリカ南部の経済振興に中心的な役割を担ってきた。常に市場における存在と整合性をとり、発展する地域経済のニーズとともに関連する銀行業務・金融サービスを提供することで成し遂げた。
グループが継続的にテクノロジーとインフラに投資を行なうのは、主にアフリカにおける事業活動において業務努力を集中させる戦略の一環として、特定の新興国市場における堅調な業務体制を構築するためである。この投資には多くの資源を投入してきた。強固な資金基盤と健全な資金流動性は、グループが選んだ成長市場においてビジネス・チャンスを有効活用できる立場を強固なものにした。新興国市場への集中は、先進国によってひき起こされた経済危機による影響から、グループを守った。
アフリカと中国でそれぞれ最大規模の金融機関であるスタンダード銀行と中国工商銀行(スタンダード銀行へ20%の資本参加)の戦略的パートナーシップは、提携による大きな恩恵や成長へ向けた可能性をつくることになる。」
ナミビアチームは地域の市場状況と経済活力を深く理解し、スタンダード銀行のアフリカおよび新興市場での経験を生かして、顧客に重点を置き各顧客の要求に適合するための国境を越えた対策により世界的に発展するためのサポートをしている。
株主・所有権益
発行された記名割当株 | 有効持株 | 株の帳簿価格 | 総負債額 | |||||
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事業の種類 | Rm |
2008 % |
2007 % |
2008 Rm |
2007 Rm |
2008 Rm |
2007 Rm |
|
スタンダード銀行ナミビア | 市中銀行 | 2 | 100 | 100 | 444 | 444 | 50 |
政府との関係・社会貢献
ナミビア中央銀行は、ナミビアの4つの市中銀行であるBank Windhoek、First National Bank of Namibia、Nedbank Namibiaとスタンダード銀行ナミビアを規制している。2009年6月、中央銀行のTom Alweendo総裁は市中銀行に対し、年末までに利率の格差を抑え、中央銀行のレポと市中銀行の主要金利の差を375ポイントにするよう要請した。
現在、中央銀行のレポ、または市中銀行がそこから借りるレートは7%となっている。スタンダード銀行ナミビアの主要金利は11.25%で、ウィントフック銀行、ネドバンクナミビア、第一国立銀行ナミビアは11.5%である。
市中銀行が期限に間に合わせることができなかった場合の中央銀行の対応詳細は不明確である。しかし、中央銀行は市中銀行に対する現金および流動資産要求を抜本的に増大させることが考えられる。
中央銀行と市中銀行の関係が緊迫した1ヵ月後、Alweendo総裁は、ナミビアにおける475ポイントという格差は、他国経済と比較した場合正当とは認められないと述べた。また同氏は5月22日にレポレート削減を発表し、次のように述べた。「過去に、執行委員会はレポレートと市中銀行の主要利率の格差の大きさに懸念を表していた。しかし中央銀行は、市中銀行がこれを機会として格差を縮小させることを期待する」。このことは、主要金利と住宅金利に関する地方銀行と市中銀行との間の競争を引き起こした。
一方ナミビア当局は2つ銀行に国内営業を認可し、金融部門開放に舵を切った。これは、南アフリカに本社を置く銀行に事業をローカライズするよう求めた中央銀行と政府の要請が、費用がかかりすぎるとして銀行側に聞き入れられなかったことへの、対抗措置と思われる。
これとは別にナミビア中央銀行は、PlatinumHabib Bank Namibia(PHB銀行ナミビア)に6ヵ月間有効の暫定的認可を与えたと発表した。PHB銀行ナミビアはPHB銀行の完全子会社で、ナイジェリアの中で最も急成長を遂げている銀行のひとつである。「PHB銀行ナミビアは広範なオペレーションを有するリテール銀行で、PlatinumHabib Bank Plc Nigeriaおよびナミビアの株主を含む多様な株主により所有されている。彼らはナミビア全土で多様な供給チャンネルの構築を想定している」と、ナミビア中央銀行は発表した。
「ナミビア中央銀行は、現在4つの市中銀行が独占している市場を開放しようとしている」と、地元の経済学者は匿名で語る。アナリストは、価格設定の仕組みや金融商品の幅からすると、これらの銀行はカルテルのように機能しているという。また市中銀行の間で競争がなく、単一の利率が広く使われているとも述べる。中央銀行が市場を開放しようとしているのは、事業のローカライズだけでなく、利率格差における対立が契機になっていると考えられる。
「金融商品の価格や幅を見るとすべて同様であり、市中銀行は結託していることがうかがえる。銀行は積極的に競争しておらず、顧客に利益をもたらすサポートをしていない。」とアナリストは語る。また彼は「PHB銀行ナミビアは在来の銀行によりもたらされた格差を埋める努力をするだろうが、ジェットコースターのように変動するものではない」と付け加える。
製品開発
スタンダード銀行のアフリカ事業は農業のための銀行サービス提供の導入に取り組んでいる。生産前から加工までの農業バリューチェーンをターゲットとし、小規模農家が資金や種、肥料などの投入財をより容易に利用できるようにする。
エンパワーメント枠組み(Transformation, Economic and Social Empowerment Framework (TESEF))」は農業分野を含む国家の変革を促進する。TESEFのカバーする農業関連分野としては、これまで不利を被っていたコミュニティに土地へのアクセスを可能にする土地の再分配、またこの分野での活動的な社会的および経済的の発展などが挙げられる。これらのイニシアティブは他の主要銀行からの農業融資を促して、融資競争をもたらしている。この市場でのシェアを拡大するため、スタンダード銀行ナミビアは農業コンサルタントを起用したほか、農業担当マネージャーや信用調査マネージャーに対する農業融資トレーニングを行い、農業分野向け商品を導入した。