Banco Comercial Português (BCP) ポルトガル商業銀行
アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。
会社概要と沿革
Banco Comercial Portugues SA (Millennium BCP) はポルトガルに本拠をもつ民間銀行である。国内に918の支店を有し、国内最大の金融販売ネットワークを持つ。ミレニアムというブランド名で、ポルトガル国内外に多くの子会社をもつ。2008年12月31日時点で、ポーランド、ギリシャ、ルーマニア、スイス、トルコ、モザンビーク、アンゴラ、米国に885の支店をもつ。BCP は、ユーロネクスト100銘柄 (Euronext 100 stock index) に属し、全世界で430万人の顧客をもつ。
BCP は1985年に、Jardim Gonçalves とポルト地方の投資家グループによって設立された。設立チームの注目すべきメンバーは Americo Ferreira de Amorim である。Amorim は、当時ポルトガルでもっとも富裕、かつもっとも重要な実業家のひとりであった。Amorim は世界コルク市場の35%を支配する Corticeira Amorim を所有、経営していた。彼はまた投資会社 Amorim Investimentos e Particpacoes を通じて、金融サービス会社、不動産会社、観光事業を所有、経営していた。
BCPの設立時、Goncalves は BCP の特質となった銀行経営技術を取り入れた。顧客ごとの銀行サービスの区分けである。同行の中心業務を、個人向けリテール、商業リテール、プライベート・バンキング、大衆向け支店業務、スモール・バンキング、テレフォンバンキングの6分野に分割した。
グループのリテール銀行業務とブランド名の統合を進め、Nova Rede (彼自身の1989年からのリテール銀行支店ネットワーク)、Crédibanco (1993年に BCP が作った支店ネットワーク)、Banco Português do Atlântico (1995年買収し2000年に統合)、Banco Mello (2000年に買収、2000年に統合)、Banco Pinto e Sotto Mayor (2000年買収)の各々は、2004年から Millennium BCP のブランドに統一された。
モザンビークでは Millennium International Bank of Mozambique:BIM と表される。BIM は100の支店と555,000の顧客をもつ。ミレニアムBIM は BCP とモザンビーク政府との戦略的パートナーシップ合意に基づいて設立された。BIM とモザンビーク商業銀行 (Banco Comercial de Moçambique) が合併したのち、2000年に、BCP はミレニアムBIM の最大株主になった。
国内の所在地
1800 Av 25 Setembro, Maputo, Mozambique,
Telephone: +258 21 35 15 00
Facsimile: +258 21 42 71 75
製品・サービス
当座預金、支払決済、貯蓄商品、投資商品、住宅ローン、消費者クレジット、商業銀行、リース、売掛債権買取、保険、プライベートバンク、資産管理などさまざまな銀行商品を提供している。また、プロジェクトファイナンス、法人融資、証券仲介、エクイティ調査サービス、リスクヘッジ用デリバティブ商品提供などの戦略的金融アドバイザリーサービスも行う。
従業員数
1,762 人
財務情報
BCP統計
時点 通貨;百万ユーロ |
Jan 02 2006 Restated |
Jan 02 2007 Restated |
Jan 02 2008 Restated |
Jan 02 2009 Restated |
4-Year Trend |
---|---|---|---|---|---|
総収入 | 1,550.5 | 1,411.4 | 1,177.6 | 859.7 | |
その他の収入 | -113.5 | -119.9 | -260.2 | -544.7 | |
合計収入 | 2,903.4 | 2,754.8 | 2,482.5 | 2,072.8 | |
利益合計 | 2,903.4 | 2,754.8 | 2,482.5 | 2,072.8 | |
販売および一般経費、合計 | 1,908.2 | 1,725.5 | 1,748.6 | 1,670.8 | |
その他の運営費 | 37.5 | 16.0 | -- | -- | |
その他運営費、合計 | 1,945.8 | 1,741.4 | 1,748.6 | 1,670.8 | |
営業利益 | 957.7 | 1,013.3 | 734.0 | 402.0 | |
EBT, 例外項目を除く | 957.7 | 1,013.3 | 734.0 | 402.0 | |
その他例外項目, 計 | -19.7 | -19.4 | -45.8 | -60.0 | |
EBT, 例外項目を含む | 937.9 | 993.9 | 688.2 | 342.0 | |
法人所得税費用 | 97.4 | 154.8 | 69.6 | 84.0 | |
少数収入利益 | -87.0 | -52.0 | -55.4 | -56.8 | |
継続運用益 | 753.5 | 787.1 | 563.3 | 201.2 | |
正味収入 | 753.5 | 787.1 | 563.3 | 201.2 | |
特別項目を含む一般純利益 | 721.1 | 787.1 | 514.4 | 152.3 | |
特別項目を含まない純利益 | 721.1 | 787.1 | 514.4 | 152.3 |
ミレニアムBIM(モザンビーク):統計
2008年末の連結純収益は18億4280万モザンビーク・メティカ(約5150万ユーロ)で、2007年から25.8%(ユーロでは24.6%)増。総資産は366億4520万メティカ(約10億4240万ユーロ)で、2007年に比べ22.2%(ユーロでは21.1%)増。顧客ローンは170億1740万メティカ(約4億8410万ユーロ)で、36,1%(ユーロでは34.8%)増。顧客ファンドは2282億7080万メティカ(約8億420 万ユーロ)で、007年に比べて24.4%(ユーロでは23.2%)増。
Millennium bim(百万ユーロ )
2008 | 2007 |
変動 % 08/07 |
2007 |
変動 % 08/07 |
|
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FX効果を除く | |||||
総資産 | 1,042.4 | 860.8 | 21.1% | 852.9 | 22.2% |
顧客貸付金(グロス) | 506.3 | 377.6 | 34.1% | 374.1 | 35.4% |
顧客貸付金(ネット) | 484.1 | 359.0 | 34.8% | 355.7 | 36.1% |
合計顧客基金 | 804.2 | 652.6 | 23.2% | 646.6 | 24.4% |
バランスシート上数値 | 804.2 | 652.6 | 23.2% | 646.6 | 24.4% |
自己資本 | 143.5 | 101.6 | 41.2% | 100.7 | 42.5% |
純受取利益 | 78.1 | 67.1 | 16.5% | 66.4 | 17.7% |
その他純営業利益 | 41.8 | 33.3 | 25.7% | 32.9 | 27.0% |
営業経費 | 54.3 | 48.9 | 11.0% | 48.4 | 12.1% |
損金繰越 | 2.5 | 5.8 | -57.1% | 5.7 | -56.7% |
純利益 | 51.5 | 41.4 | 24.6% | 40.9 | 25.8% |
顧客数(千人) | 554.9 | 472.8 | 17.4% | ||
従業員(人数) | 1,762 | 1,595 | 10.5% | ||
支店(数) | 100 | 85 | 17.6% | ||
株式資本保有率 % | 66.7% | 66.7% | |||
FX率 | |||||
バランスシート 1ユーロ= | 35.155 | 34.830 | メティカル | ||
損益勘定 1ユーロ= | 35.770 | 35.405 | メティカル |
市場シェア
ミレニアムBIM はモザンビーク最大の銀行である。ローン市場の48%を占め、預金市場の52%、その他の銀行業務の67%を占める。
事業目的
ミレニアムBIM は、その革新的販売網による顧客サービスにおける模範的な銀行を目指す。リテールに注力し、資本の2/3以上を成長余地の大きい市場に投じ、ビジネスボリュームが年10%以上成長するよう努力する。また、売上高コスト比率指標を目標としているように、優れた効率レベルも目標としており、資本とコスト管理規律を強化している。
ビジネスモデル
2009年のミレニアムBCP の 「新しい優先順位」 は3本の基本的な柱に基づく。すなわち、健全さと信頼、コミットメントとパフォーマンス、そして未来に向けたコミットメントの強化である。
Rumo ao Futuroプログラムに含まれる6つの行動指針は、次のように要約される。
- 能動的で正確なリスクマネージメント
- バランスよく安定的な資本と負債のマネジメント
- 顧客へのコミットメントの深化と顧客資産価値の最大化
- 費用低減の加速と組織の合理化
- ビジネスモデルの調整と成長機会の具体化
- 人材管理と従業員の活用
2009年の優先事項に基づく銀行の長期戦略基本方針は、
新プログラム “未来に向けて” の5つの基本方針
顧客との約束 | 関係が長続きする銀行 - 関係に焦点を当てる (商品や取引以上に)、顧客に寄り添い、頻繁に長期の関係をつくる |
---|---|
効率的なリスクマネージメント | 強力なリスクマネージメントと資本最適化能力 - 資本と流動性を効率よく使い、事前にリスクを見通し、与信決定過程を強化し、運用リスクを厳格にコントロールする |
単純化と効率 | 無駄のない、シンプルな、コスト効率のよい銀行 - 組織構造に従い、内部手続き、顧客との関係、業務の流れ、そして商品とサービスの提案までの効率性 |
多角化した国際的存在 | 選択肢のある銀行 — 差別化され、付加価値あるポートフォリオ。グループのための成長に貢献し、リスク分散になり、価値を創造する多角化 |
能力に焦点を |
自己能力に焦点を当てる銀行 - 優れた能力に焦点を当て、競争力のある長所をつくる:最適規模の支店網、現地の従業員の経験とノウハウがある小売/商業銀行 |
政府との関係・社会貢献
1990年代の民営化は銀行セクターにおける少数株主としての政府の役割を低下させた。
銀行業務およびマイクロファイナンス活動は銀行法に基づく。2004年に金融機関、金融サービス、マイクロファイナンス銀行について、いくつかの主要な法律上の変更が行われた。2007年には金融機関の破産に関する法律と支払いシステム関係の法律が変更された。
新体制のもと、これらの規則はモザンビーク銀行によって監督されている (以前は財務省が金融機関の監督責任を有していた)。2008年からモザンビーク銀行は、銀行の健全性を測定して監督業務を行うために、資本量 (Capital Adequacy)、資産の質 (Asset Quality)、マネージメント、収益力と流動性 (Earnings and Liquidity: CAMEL) の枠組みを用いている。モザンビーク銀行は、透明性を国際レベルにまで高めることを目的に、2008年1月1日付けで、金融機関に国際財務報告基準 (International Financial Reporting Standards: IFRS) を遵守するよう要求した。新しい法律は保証金を作るための基金の設置を規定している。
「サービス貿易に関する一般議定書」 (GATS) においてモザンビークは、対象となっている4形態のなかで、銀行業とその他の金融機関 (保険を除く) だけに関わっている。外国の金融機関は (保険も含めて)、金融機関の投資および経営に関する国内法を守る限りモザンビークで営業することができる。
モザンビークには、非公式な銀行ネットワークを調整するための特定の法律は制定されていないが、1999年11月第15/99号法が、クレジットや金融サービスを提供する金融機関の活動を管掌している。モザンビークにおける銀行活動は、排他性の原則に従い、許可を得た正式の事業体だけが銀行および金融業務を行うことができる。同法第98条および第99条が、貸付機関や金融組織による違法かつ不当な行為に対して、留置刑を伴う犯罪として規定している。
製品開発
2008年に BCP は、2007年に開始したモザンビーク国内リテール店舗網の拡大計画によって100支店・顧客50万人を達成した。ATM と販売拠点 (point-of-sales: POS) 販売が改装されて増加したので、商業レベルではビジネス・セグメントが深まり、アクセスチャンネルが増えた。リテールバンキングはミレニアムBIMの主軸事業なので、店舗網の拡大とATM数の増加、活発な消費者クレジットは、収益性と市場シェアを保ちながら幅広い商品とサービスを提供していくという目標達成のための、主要な戦略的イニシアティブである。2008年には15の新支店が開業、新しい ATM と POS が導入された。年末には合計100支店、240台の ATM、約2,300の POS が営業を始める。16支店が改装されて新店舗と同レベルの快適さを提供できるようになり、24時間アクセス可能な代替電子バンキングサービスが可能となる。
2008年、モザンビークに本社をおく銀行として初の偉大なる名声が与えられた。『ユーロマネー』 (Euromoney) 誌から 「最も優良なモザンビークの銀行」 賞を贈られた。『ザ・バンカー』誌からは 「モザンビークのバンクオブザイヤー」 賞を贈られた。IC Publications の 『アフリカン・バンカー・マガジン』 は、ワシントンでの世界銀行・ IMF 年次フォーラムにおいて 「アフリカのベスト7銀行のひとつ」 として当行の名を挙げた。