mauritaniaSphere Investments Limited (SPH)

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Sphere Investments Limited (SPH)は西アフリカに焦点をおいた鉄鉱会社で、オーストラリア証券取引所に上場している。SPHは2000年の10月に資源会社となった。その主たる資産は、モーリタニアにある次の2つの鉄鉱石事業、すなわち、最終的フィージビリティ•スタディ(DFS)が完了しているGuelb el Aoujと、探鉱が進行中のLebtheinia、プロジェクトである。

Guelb el Aouj磁鉄鉱事業は開発の進んだ鉄鉱石プロジェクトで、JORC資源のトータルは926 mt@36.2% Feである。この埋蔵地のDFSは、年17mtを露天掘りで30年間操業できると提案していて、これで年間7mtのDR(直接還元)ペレットが生産できる。ライセンス地域の南部には、さらにもう2ヶ所、別の磁鉄鉱砂岩が埋蔵されている場所があり(Bou DergaとTintekrate)、鉄鉱石800mt−1050mtが探査の目標である(ヘッドグレード35−37% Fe、DT(Davis Tube)精鉱グレード70%、回収量42−46%、2007年4月)。

Lebtheinia磁鉄鉱プロジェクトは、JORC資源であるLebtheinia中央鉱床のBIF 2,533mt @32.3% Fe(概則86%;DT回収量27.4%、濃縮グレード68.5% Fe、2009年4月)の磁鉄鉱を目的とした、進行中の探鉱プロジェクトである。この鉱床は、2つの隣接したライセンス地域内の4つの鉱床のうちの1つである。

探鉱許可証EL172(194km2)はMauritanian Holdings Pty Ltdによって所有され、この会社はSPHが所有するオーストラリアの完全子会社である。

Guelb el Aouj鉄鋼プロジェクトは、SNIM(Societe Nationale Industrielle et Mauritania)とEl Aouj Mining Company SA (EMC)との50:50の合弁事業である。SNIMは1974年にモーリタニアの国営鉄鋼石会社として設立され、現在その78%を国が所有し、残りの22%はアラブの鉱山金融組織が所有している。SNIMは現在、国際市場への鉄鉱石供給量が世界で7番目である。モーリタニア北部のZouérate地域にある3カ所の鉱床センターから、年間11Mtの鉄鉱石を輸出している。鉱石は大西洋岸にあるヌアディブ(Nouadhibou)の港へ向け、700kmの重貨物鉄道で運ばれるが、この鉄道もSNIMが所有し運営している。 SNIMはまたヌアディブ近くの船荷積み降ろしと保管施設も所有している。

現在SPHとSNIMは、UBS投資銀行を通して合同売却プロセスに入っており、プロジェクトの出資金の大部分を受け継ぎ、その開発をサポートするパートナーを探している。

国内の所在地

Guelb el Aoujプロジェクトは、鉄鉱石の町Zouérateから北西に約32kmの場所に位置し、SNIMが所有・操業する幹線鉄道からは約26kmの距離にある。

Lebtheinia (EL264 & EL325)は、モーリタニアの水深の深い鉄鉱石の港、ヌアディブから内陸寄りに位置していて、SNIMが所有・操業する幹線鉄道からは48km南に位置している。

EL172は、モーリタニアのTiris Zemmour地区にある。

製品・サービス

SPHは、西アフリカの鉄鋼探査開発会社である。SPHは年間生産量7MtのGuelb el Aouj鉄鉱石DRペレットプロジェクトを開発中であり、これは、モーリタニアの鉄鉱石産出地域の最初のペレット工場となる。

Guelb el Aoujプロジェクトに加え、SPHとそのパートナーであるSNIMは、その合弁事業の南に別の磁鉄鉱床を所有しており、そこにはさらに別のペレット拡大プロジェクトをサポートできる、高濃度の磁鉄鉱砂岩が10億トン以上ある可能性がある。

SPHはBFグレードの磁鉄鉱床LebtheiniaとEL172ライセンスを100%所有していて、それはSNIM鉄道から50km、鉄鉱石の港ヌアディブから180kmの距離に位置している。

Lebtheiniaは年間30Mtの優れたBFペレット生産事業を支えられると、SPHはみている。以下が探査目標の範囲である:鉱床内のヘッドグレード32−33% Fe、DT回収28.0−30.0%、DT精鉱グレード67−69.5%、Fe 4.0−5.0%、SiO2
The Company believes that Lebtheinia has the potential to support a 30Mt/a standalone BF pellet operation. The grade ranges of the Exploration Target are as follows: in-situ head grade 32-33% Fe; Davis Tube mass recovery 28.0-30.0%; and Davis Tube concentrate grade 67 – 69.5% Fe; 4.0 – 5.0% SiO2. 。

従業員数

5人。

財務情報

SPHとその子会社の損益計算書(2008年7月1日〜2009年6月30日)

市場シェア

算定中。

事業目的

「モーリタニアで自社鉱床を開発すること」

ビジネスモデル

「2000年半ばの鉄鋼産業の世界的な合併の始まりの時、そして主に中国の鉄鋼輸入の増大によって鉄鋼消費が急上昇する以前に、SPHの役員はモーリタニアの高品質で大規模な磁鉄鉱石の鉱床の権利を手に入れるための投資と開発の戦略をたてた。モーリタニアがターゲットとなったのは、

(1) ヨーロッパの鉄鋼産業に高品質の原料を安定して供給しているという高い評価
(2) ヨーロッパおよびその他の重要な市場への輸送費用の安さ
(3) 整備された鉄鋼石用の港と鉄道網
(4) 鉄道の近くの巨大な未開発の磁鉄鉱床
(5) モーリタニア経済のあらゆる分野、特に資源開発分野への外資の投入を歓迎する動き

などの利点のためである。

強い財政力と高度技術を併せ持つ戦略的ビジネスパートナーを引き入れ、2億1千万USドルのGuelb el Aoujプロジェクトを急ぎたいとういのがEMCの望みである。多くの国際的な探鉱および鉄鋼会社が既にそのプロジェクトへの関心を表明している。我々は新しいパートナーと共にそのプロジェクトを進め、生産につなげていけるよう期待している。

2009年9月にEMCの取締役会は、UBSの売却プロセスを通して、プロジェクトの51%の出資金に対する入札の期限を2009年12月15日まで延長することで合意した。延長は許可されたが、そのプロセスが商取引上満足できる結果に終わるかどうかの保証はない。
そのUBSによるプロセスと並行して、鉄鉱石の評価額が上昇していることもあり、SPHはプロジェクトの価値を著しく高めるための選択肢を見極めようとしている。その一つとして、Prodemas International Ltd (Prodemas)がProMet Engineers (ProMet)と合同で行った、プロジェクトの資本及び営業費用を検討する構想研究がある。その研究では、中国やインドのエンジニアリング・建設会社と手を組む欧米の技術プロバイダーとのEPCパッケージ契約戦略を採用することで、当初の年間7Mtプロジェクトへの資本支出を抑える可能性が明らかにされている。この代替的な契約戦略を用い、かつ重要な投入財を現在の市場レートで再推計した結果、Prodemasは、資本支出を当初のDFS見積りから5億USドル以上節約する約16億5千万USドルにまで減らせるとの見積りを出した。またSPHの地質学者達は最近、探索ライセンス(EL609)内の磁鉄鉱岩鉱床の探索目標を1,500Mt−2,050Mtに更新した。これを踏まえてEMCは、 探索ライセンス(EL609)エリア内をさらに掘るかどうか検討することになるだろう。また以上のことからGuelb el Aoujプロジェクトの規模を、年間15–30Mtに上方修正する可能性もある。Prodemasの構想研究では、これらのより高い生産率をもとに、プロジェクトの利益が著しく高められることを明らかにしている。

EMCの取締役会は、12月の下旬に会議を開き、新しい戦略的パートナーを迎え入れる前に、USBのプロセスの結果と、上記のプロジェクト価値を大きく高める機会とを考慮して、最良の行動方針を決定することになっている。

Guelb el Aoujの事業の後、SPHは探索および鑿岩チームを、100%所有の磁鉄鉱プロジェクトのLebtheiniaに移した。試運転では、BF(高炉)グレードの濃縮磁鉄鉱がLebtheinia鉱化施設によって生産できることが分かった。またSPHは、今年Lebtheiniaで大規模な資源判明調査ドリルプロジェクトを実施、その探索目標はLebtheinia中央鉱床における20—23億トンの原状態の磁鉄鉱—BIF鉱物であった。

DFSの完了が近づいていたため、EMCをそのプロジェクトの運営役とすることが決まった。プロジェクトに関係ない資産や負債は、50%のシェアがSNIMに譲渡される前に他の子会社に移転された。」

株主・所有権益

子会社

2009年9月30日現在の上位10株主
順位 名前 株数 発行済資本に
対する%
1 HSBC Custody Nominees (Australia) 17,313,346 11.67
2 National Nominees Limited 16,530,699 11.14
3 Qatar Steel Company 13,125,000 8.85
4 J P Morgan Nominees Australia Limited 11,524,127 7.77
5 ZeroNominees Pty Ltd 6,347,327 4.28
6 African Lion 2 Limited 6,330,000 4.27
7 Talbot Group Investments Pty Ltd 4,543,600 3.06
8 ANZ Nominees Limited <Cash Income A/c> 4,345,877 2.93
9 Mr Alexander Stuart Burns - ASLI A/c 3,778,377 2.55
10 Citicorp NomineesPty Limited 2,466,751 1.66

政府との関係・社会貢献

2000年10月、SPHはモーリタニア政府に呼ばれ、SNIMと合同でモーリタニアにおける鉄鉱石事業の検討を行い、合弁事業の機会について評定を行った。以前Hamersley Iron社にいて、現在はSPHと仕事をしている専門家の包括的な適正評価に従い、SNIMとSPHは2001年10月に合弁事業契約(JVA)を結び、SNIMの所有する鉄道や事業に近接する一連の磁鉄鉱床の査定と開発に着手し、SPHが合弁事業の運営担当者として任命された。

この合弁事業は、Guelb el Aouj DRペレットプロジェクトのバンカブル•フィージビリティ•スタディ(BFS)が段階的にできるよう構成され、完了時にSPHが合弁事業エリアの50%を入手できるようになっている。そこでSPHは鉄鋼産業の熟練者を監督のために雇い、BFSに必要な資金を集めるために国際的にこのプロジェクトを宣伝した。

2008年8月7日付のASXへの発表を通じて、SPHは市場に向けモーリタニアにて無血クーデタが起こったことを示唆した。この政変は、SPHのモーリタニアにおける事業や、その他の外国の採鉱企業や石油関連企業の事業に影響を及ぼさなかったとみられる。商取引も、政変後すぐに通常通りに回復した。

製品開発

2009年の中旬、SPHはその所有するモーリタニアの鉄鋼石保有地を再評価し、既に発表済のBou DergaとTintekrateにおける磁鉄鉱探索目標800—1,050Mtに加えて、トータルな探索目標を1, 030-1,500Mtに設定した。