kenyaSafaricom Limited サファリコム

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

かつて独占的な通信業者であったケニア電信・電話会社(Kenya Posts & Telecommunications Corporation)の一部門として発足したサファリコム(Safaricom)は、1993年にアナログのETACSネットワークをベースにした事業を始めた。1996年にはGSMにグレードアップされた(1999年に認可)。サファリコムは1997年4月に民間有限会社として独立し、2002年5月16日には公社化された。

公営企業株式を放出するという方針に沿って、政府は2008年3月28日に財務省を通じてサファリコムの額面0.05ケニアシリング(Ksh)普通株の100億株を公開した。 これは、ケニア政府のサファリコム持株の25%に相当した。

2009年3月31日時点、会社には617万5000人の登録ユーザー、1336万人の顧客ベース、8650の小売拠点、51の料金決済パートナー、ナイロビ、モンバサ、ナイバシャ、およびエルドレトにある301 個所の3G対応の基地局がある。

2009年にモバイルマネーサービス賞(Best Mobile Money Service)を受賞。GSMAグローバルモバイル賞(GSMA Global Mobile Awards)では、M-PESA「家に送金を」(Send Money Home)のテレビコマーシャルによって商業放送部門で受賞。国連の「世界ビジネスと開発」賞では、M-PESAを通じてミレニアム目標の達成への貢献が大きかったとして世界的に認められた10の民間企業のなかに選ばれた。 ケニアの銀行賞では製品イノベーション部門で受賞。 ストックホルムチャレンジでは経済開発部門(M-PESA)で受賞。

国内の所在地

Safaricom House, Waiyaki Way, Westlands, Nairobi; Telephone: +254 20 427 3272

製品・サービス

モバイル通信サービスを5つの製品部門により提供(Simu ya jamii、M-PESA、事前支払い・事後払い、ビジネス・企業サービス、国際ローミング・データ・メッセージ通信)。

M-PESAとは、ユーザーが携帯電話によって送金できるサファリコムの商品。ケニアは世界でこのサービスが利用できるようになった最初の国であり、サファリコムとボーダフォンが提携して提供している。M-PESAは、銀行口座や銀行カードを持っていないユーザーでも利用できる。

サファリコムは、GSM-900とGSM-1800技術を使用することでモバイルボイスサービスを提供している。2004年7月にGPRSサービス、2006年6月にはGSM Evolution(EDGE)サービス向けのEnhanced Data Ratesを開始した。2007年、正式に3Gネットワークを運用するケニア最初のライセンスが認可された。

従業員数

2,387名(2009年3月31日現在)。

財務情報

市場シェア

収益ベースによる市場シェア:83.0%
登録者数ベースによる市場シェア:79.0%

事業目的

「われわれの主たるイニシアチブは常に顧客指向であり、将来の成功に向かってわれわれを位置づけ市場No.1を続けていくことである。」

ビジネスモデル

サファリコムのビジネスモデルは、長期契約ではない、前払いの顧客に焦点を合わせてる。サファリコムは、顧客の大部分にあらかじめサービスの代価を払うよう求め、顧客信用リスクに歯止めをかけている。つまり、顧客層を増やすため低所得層の顧客に焦点を合わせている。すなわち;

  • 農村地域におけるGSM到達範囲と主要都市部での容量レベルの拡大
  • サービスの性能と信頼性の向上
  • 新しくて革新的な製品の導入


サファリコムはさらに、すべての前払い・後払い顧客にさまざまな特価サービスのオプションと製品を提供している。サファリコムはディストリビューター、納入業者、技術パートナーなど他のビジネスパートナーとも提携している。これによって、高品質の顧客サービスを確保しながら低コストの仕組みを続けることができている。サファリコムは、世界的定評をもつ企業の製品と自社の製品・サービスを組み合わせることで、信頼できて高品質な携帯電話製品とサービスを量販市場向けに展開し、他の携帯電話業者と効果的に競争している。

サファリコムは、モバイル通信業界で世界の先頭に立っているボーダフォングループ(Vodafone Group Plc)と業務提携を結んでいる。ボーダフォンの投資額は、これまでケニアに投下された外国企業投資のなかで最も大きいもののひとつである。ボーダフォンはサファリコムに、グローバルな調達グループのメンバーとしてのポジションを提供しており、また、他の国々でのボーダフォンの経験を共有させている。すなわち、強力なマーケティングの仕組みや急速な製品展開、強力なブランド認知を維持し育てていく手法などである。

株主・所有権益

かつてはケニア政府が60%の持株を所有していたため、サファリコムはState Corporations Act(Chapter 446) Laws of Kenyaの適用を受けた国営会社だった。2007年12月20日まで、政府株は、国営会社Telkom Kenya Limitedを通じて保持されていた。

2008年3月に政府がサファリコム発行済み株式数の25%を民間に売却したことで、政府の、国営会社法に基づくサファリコム支配は終わった。

政府との関係・社会貢献

サファリコムは顧客層を拡大するため、地域社会がもつ課題に積極的に取り組むことで企業イメージを高めるよう努力している。

法規制:

2008 Kenya Communications (Amendment) Act 2008の規制下にある。

携帯電話の通話時間に対する課税:

付加価値税(16%)、物品税(10%)、 毎年のCCK運用料金、そして近く導入される予定のサービスファンド税(0.5%—1%)などにより、ケニアの通信市場は現在でも、最も高い課税がなされている市場である。

ICTセクターに新投資を誘致するため通信会社の外国所有権の上限を80%とする規制が緩和されるため、外国人が現地パートナーなしで事業を開始できることになる。

新規の通信業者の参入と規制緩和は、サファリコムおよび業界全体に新たな挑戦をもたらすことになろう。競争環境が強まることで、サファリコムは市場シェアの下方圧力に直面することになる。

小売税は引き下げ圧力を受けそうで、そうなると、前払い・後払い双方の加入者のためのARPUが下がることになる。

競争の高まりによってサファリコムは、より高いレベルの販売を維持しなければならなくなる一方で、事業費全般に歯止めをかける必要に迫われることになろう。顧客層を維持するための広告費用と、社内のマネジャー層を引き留めておくための昇給などが求められる可能性が高い。

製品開発

2009年にサファリコムはケニア国内初のモバイルインターネットポータル(www.safaricom.com)を立ち上げた。携帯電話からインターネットにアクセスする160万人以上の加入者に無料コンテンツを提供始めた。www.safaricom.comによって加入者は、彼らの携帯電話から国内外のコンテンツに直接アクセスできるようになる。

サファリコムは最近、完全に太陽電池で動く電話(商標Simu ya Solar)をアフリカで初めて導入した。この太陽電池式携帯電話はケニアで2009年8月に売り出された。ケニア人は40米ドル未満で購入できる。この太陽電池式携帯電話は中国のZTE社によって製造されている。

サファリコムは、2009年8月に国内第2位のWiMAX事業者であるパッカーストリーム(Packetstream Data Networks)を100パーセント買収したと発表した。また、 モバイルテレビのサービスを導入するためノキアとDMTVとの協定に署名した。モバイル端末の付加価値税VATが廃止された。

2009年5月にサファリコムは、電気通信産業におけるデータ通信市場を獲得する競争に加わり、caller ring back tune serviceを開始した。Skizaと命名されたそのサービスによって加入者は好きな曲を選んで、それをリングバックの音色として設定できるようになった。

サファリコムは2008年の間に、以下の製品を発売した;

  • tXt-ten for ten (group SMS):加入者がすばやくグループの数人のメンバーに同じメッセージを送るのを可能にするモバイルチャットサービス。
  • アドバンテージ・コントラクト:加入者に通話コストを抑制する機会を提供する。
  • Advantage Plus:法人顧客が社員に毎月の支出の上限を設けることができるようになる。
  • Safaricom Mail:Googleと連動するサファリコムメール-eメールサービス。
  • Toll Free Services:受信者がtoll-free numberの通話代金を支払うシステム。
  • 法人ダイレクト接続:顧客のPABXとサファリコムのネットワークとの直接接続により音声通信を容易にする。
  • Winback SMS for Roaming:サファリコムは競争相手のネットワークに流れた顧客を取り戻すことができるようにする。
  • Automatic Device Configuration:加入者がデータとネットワーク設定をUSSDとSMSを通して自動的に要求でき、直接彼らの受話器に提供できるようにする。
  • OTA SIM Swap:SIMカードをなくしたサファリコムの事前支払い加入者に、受話器上でSIM交換が出来るようにする。
  • Express Autobar:すべての個人顧客への迅速なワンストップ・サービス。
  • Kama Kawaidaはルワンダ・サファリコムと共にMTNルアンダと組み、加入者に両国間を旅行する際に自国の料率にて切れ目のないサービスを提供できるようにする。