渡辺 綾
研究歴
比較政治学の分析視座から、国内政治の内戦(終結)への影響を研究してきました。内戦研究では、武装勢力の組織形態や彼らによる実行支配のあり方などの武装アクターに関する研究については豊富な蓄積があります。一方で、国内政治の動きが内戦の過程や終結にどのように影響を及ぼすのかについては定性的な研究は多いものの、体系的・定量的な研究が十分にあるとは言い難い状況です。この研究上のギャップを埋めるべく、「拒否権プレイヤー論」の分析枠組みを用いて、政治アクター間の相互作用や彼らの「次期選挙に勝つ」という誘因がどのように内戦の過程や終結に影響を及ぼすのかを、計量手法とともにフィリピンとスリランカの内戦終結の事例分析を用いて明らかにしました。
現在取り組んでいるテーマ
現在の研究関心は、内戦終結への議員の支持態度に影響を与える要因を明らかにすることにあります。計量テキスト分析の手法を用いて、彼らがどのようなときに交渉による内戦終結に反対/賛成するのか、どのような要因が彼らの支持態度の形成に影響するのかを明らかにしたいと考えています。内戦が和平により終結するためには、議会での立法化を通して地方政府への権限移譲や資源配分の強化を実現する必要があります。これらの審議に関する議員の支持態度に影響を及ぼす要因を明らかにすることで、なぜ平和的に内戦を終結させることが時として困難なのかを理解するための一助になると考えます。