植田 暁
研究歴
私は、中央アジアの経済を主に歴史の面から研究してきました。具体的には現在のウズベキスタン、クルグズスタン、タジキスタンの3国が接するフェルガナ地方という地域で、現地のオアシス農民や山岳地域に住む半農半牧の集団がどのように暮らしてきたのか、現地の人々の生活はロシア帝国による植民地化やソ連による政策の下でどのように変化してきたのか、に関して博士論文を書き、その内容をもとに本を出版しました。研究を進めるために、中央アジアの各国やロシアなどで調査を行ってきました。特に、ウズベキスタンの首都のタシケントには貴重な歴史史料が大量に残されており、2年間滞在しました。
現在取り組んでいるテーマ
フェルガナ地方の経済史のほかに、現在主に取り組んでいるのは、カザフスタンの人口史とリモートセンシングによるソ連崩壊後の中央アジア経済の分析です。カザフスタンは1930年代初めに深刻な飢饉に見舞われ、大きく人口を減らしました。その事件についてはまだわかっていないことも多く研究を進めています。もうひとつは人工衛星などが観測した情報を各国の統計データなどと比較して、ソ連崩壊後の経済の変容を明らかにする研究です。ふたつのテーマの時代は違いますが、従来から私が使ってきた地理情報システム(GIS)というツールを使うことは共通しています。経済における空間の役割という問題意識によっても2つのテーマは繋がっていると考えています。