田中 修

中国経済レポート

2月及び1-2月の主要経済指標

新領域研究センター 田中 修

2022年4月1日


(1)物価

①消費者物価

2月の消費者物価は前年同月比0.9%上昇し、1月と同じであった。都市は1.0%上昇、農村は0.5%上昇である。食品価格は3.9%下落し(1月は-3.8%)、非食品価格は2.1%上昇(1月は2.0%)した。衣類は0.6%上昇、居住価格は1.4%上昇した1。1-2月は0.9%上昇した。

(参考)(2017年1.6%)→(2018年2.1%)→(2019年2.9%)→(2020年2.5%)→21年6月1.1%→7月1.0%→8月0.8%→9月0.7%→10月1.5%→11月2.3%→12月1.5%(2021年0.9%)→22年1月0.9%→2月0.9%

前月比では、0.6%上昇(1月は0.4%)した。食品価格は1.4%上昇(1月は1.4%)した。食品・タバコ・酒価格は1月より1.2%上昇し、物価への影響は約0.34ポイント、うち生鮮野菜は6.0%上昇(1月は3.1%)し、物価への影響は約0.14ポイント、卵価格は3.1%下落、物価への影響は約-0.02ポイント、食糧は0.1%上昇であった。畜肉類価格は1.5%下落し、物価への影響は約-0.05ポイント(豚肉価格は-4.6%、物価への影響は約-0.06ポイント)であった。水産品価格は4.8%上昇、物価への影響は約0.09ポイント、果物価格は3.0%上昇、物価への影響は約0.06ポイントであった。非食品価格は0.4%上昇(1月は0.2%)し、衣類は0.3%下落(1月は-0.5%)、居住価格は0.1%上昇(1月は0.0%)した。

食品・エネルギーを除いた消費者物価(コア消費者物価)は、2月が前年同月比1.1%上昇(1月は1.2%)、前月比では0.2%上昇(1月は0.0%)である2。1-2月は1.2%上昇した。

なお、2月の前年同月比0.9%上昇のうち食品・タバコ・酒価格は1.8%下落し、物価への影響は約-0.54ポイントとなり、このうち畜肉類価格は26.0%下落、物価への影響は約-1.11ポイント(豚肉価格は-42.5%、物価への影響は約-0.95ポイント)である。このほか、生鮮野菜価格は0.1%下落した。卵価格は2.6%上昇、物価への影響は約0.02ポイント、水産品価格は4.9%上昇、物価への影響は約0.10ポイント、食糧価格は1.5%上昇、物価への影響は約0.03ポイント、果物価格は6.6%上昇、物価への影響は約0.13ポイントであった。

また2月の0.9%上昇のうち、前年の価格上昇の本年への影響は約-0.1ポイント、新たなインフレ要因は約1.0ポイントである。

なお、国家統計局都市司の董莉娟高級統計師は、「CPIの前月比上昇幅が1月より0.2ポイント拡大した背景として、1)春節要因の影響を受け、生鮮野菜・水産品・果物価格が上昇し、鶏肉・鴨肉・牛肉・羊肉価格の上昇幅は0.3~1.4%の間であった、2)豚肉と鶏卵の供給が充足し、価格が下落した、3)エネルギー価格の上昇により、ガソリン価格が6.2%上昇、ディーゼル油価格が6.7%上昇、液化石油ガス価格が1.3%上昇した、4)現地で年を越したことが文化・娯楽消費と近郊旅行熱を高め、映画・劇場入場券価格が9.3%上昇し、民宿等その他旅館価格が2.2%上昇した、5)春節後、労働者が続々と都市に戻り、家事サービス・ベビーシッター価格が下落した。

また、前年同期比で上昇幅が1月と同じであった背景として、1)豚肉価格の下落幅が拡大した、2)果物・食用植物油・水産品価格の上昇幅が縮小した、3)ガソリン価格が23.9%上昇、ディーゼル油価格が26.3%上昇し、上昇幅が拡大した、4)サービス価格の上昇幅が縮小し、航空券・観光価格の上昇幅が縮小した、5)教育サービス・医療サービス価格の上昇幅は1月と同じであった」としている。

②工業生産者出荷価格

2月の工業生産者出荷価格は前年同月より8.8%上昇した。前月比では1月より0.5%上昇(1月は-0.2%)した。1-2月は8.9%上昇した。

(参考)(2017年6.3%)→(2018年3.5%)→(2019年-0.3%)→(2020年-1.8%)→21年6月8.8%→7月9.0%→8月9.5%→9月10.7%→10月13.5%→11月12.9%→12月10.3%(2021年8.1%)→22年1月9.1%→2月8.8%

2月の工業生産者購入価格は、前年同月比11.2%上昇(1月は12.1%)であった。前月比では1月より0.4%下落(1月は-0.4%)した。1-2月は11.6%上昇した。

また2月の8.8%上昇のうち、前年の価格上昇の本年への影響は約8.4ポイント、新たなインフレ要因は約0.4ポイントである。

なお、国家統計局都市司の董莉娟高級統計師は、「前月比で1月の下落から上昇に転じた背景として、1)国際原油価格の上昇の影響を受け、国内石油関連業種の価格が上昇し、石油採掘価格・石油製品製造価格・有機化学原料製造価格が上昇し、2)国際要因の影響を受け、国内非鉄金属青巒・圧延加工業価格が上昇した、3)石炭価格は引き続き下落し、石炭採掘・洗浄業、石炭加工価格が下落した、4)電力・熱力生産・供給業価格、鉄金属精錬・圧延加工業価格が上昇した、5)非金属鉱物製品業価格が下落した。

また、前年同月比の上昇幅が1月から0.3ポイント縮小した背景として、1)石炭採掘・洗浄業、化学原料・化学製品製造業、鉄金属精錬・圧延加工業、化学繊維製造業価格の上昇幅が縮小し、2)石油・天然ガス採掘業、石油・石炭その他燃料加工業、非鉄金属精錬・圧延加工業、電力・熱力生産・供給業価格の上昇幅が拡大した」としている。

③住宅価格

2月の全国70大中都市の新築分譲住宅販売価格は前月比40都市が低下(1月は39)し、同水準は3(1月は3)であった。上昇は27である(1月は28)。

前年同月比では、価格が下落したのは20都市(1月は20)であった。同水準は0(1月は0)、上昇は50(1月は50)である。

国家統計局都市司の縄国慶首席統計師は、「70大中都市の新築分譲住宅価格の前月比は一線都市が上昇し、二・三線都市は横ばい・下落し、前年同月比上昇幅は一・二線都市が横ばい・縮小、三線都市は下落している。

前月比では、70大中都市のうち、4の一線都市の新築分譲住宅価格は0.5%上昇し、上昇幅は1月より0.1ポイント縮小した。うち北京は0.7%上昇、上海は0.9%上昇、広州は0.6%上昇、深圳は0.2%下落であった。31の二線都市の新築価格は1月の0.1%上昇から0.0%に転じた。35の三線都市の新築価格は0.3%下落し、下落幅は1月より0.1ポイント拡大した。

前年同月比では、70大中都市のうち、一線都市の新築価格は4.4%上昇し、上昇幅は1月と同じであった。二線都市の新築価格は2.1%上昇し、上昇幅は1月より0.4ポイント縮小した。三線都市の新築価格は1月の0.5%上昇から0.1%下落に転じた」と指摘している。

(2)工業

1-2月の工業生産は前年同期比実質7.5%増となった。2021年2年平均より1.4ポイント増加した。2月は前月比では、0.34%増となった3。主要製品別では、発電量4.0%(12月は-2.1%)、鋼材-6.0%(12月は-5.2%)、セメント-17.8%(12月は-11.1%)、自動車11.1%増(うち乗用車10.6%増、SUV車21.2%増、新エネルギー車150.5%増)となっている。12月の自動車3.4%増(うち乗用車7.4%増、SUV車5.2%増、新エネルギー車113.5%増)に比べ、大きく伸びた。なお石炭は10.3%増(12月より3.1ポイント増)、原油は4.6%増(同2.9ポイント増)、天然ガスは6.7%増(同4.4ポイント増)であった。

分類別では、国有株支配企業5.9%増、株式制企業8.4%増、外資企業4.2%増、私営企業8.7%増であった。

(参考)(2017 年6.6%)→(2018年6.2%)→(2019年5.7%)→(2020年2.8%)→21年6月8.3%→7月6.4%→8月5.3%→9月3.1%→10月3.5%→11月3.8%→12月4.3%(2021年9.6%)→22年1-2月7.5%

なお、国家統計局は、1-2月の特徴として、「最近、地政学的衝突が激化し、市場は普遍的に石油・天然ガス等のエネルギー原材料の価格上昇を予想し、この影響を受け、一部企業が生産・備蓄を前倒ししたことも工業生産加速を推進した。石油・天然ガス採掘業の付加価値は、12月の前年同期比-0.7%から6.3%増に転じ、原材料製造業のうち、石油加工・化学工業・建材・非鉄金属4業種の伸びは12月より顕著に上昇した」「①ハイテク製造業・装置製造業がかなり速い伸びを継続した、②消費財製造業が回復を加速した、③工業の輸出の伸びが加速した」としながらも、「①当面の外部環境はなお複雑峻厳であり、②大口取引商品価格は高止まりで震動し、③国内で疫病が散発・多発し、④工業企業の半導体不足とコスト圧力がなお根本的に改善されておらず、工業経済の平穏な伸びを維持するには、なお艱難辛苦の努力を払う必要がある」としている。

1-2月の一定規模以上の工業企業利潤総額は1兆1575.6億元、前年同期比5.0%増(2021年34.3%)となった。うち国有株支配企業の利潤総額は4157.8億元、同16.7%増、株式制企業は8385.7億元、同9.4%増、外資企業は2897.9億元、同-7.2%、私営企業は3291.3億元、同-1.7%である。

(参考)2019年-3.3%→2020年4.1%→21年1-6月66.9%→1-7月57.3%→1-8月49.5%→1-9月44.7%→1-10月42.2%→1-11月38.0%→2021年34.3%→22年1-2月5.0%

1-2月の一定規模以上の工業企業の本業営業収入100元当たりのコストは83.91元(2021年83.74元、前年同期比0.85元増)である。1-2月末の資産負債率は56.3%(12月末56.1%、前年同期比0.1ポイント減)であった。

なお、国家統計局によれば、1-2月の特徴は、「①工業生産の加速とPPIの上昇等の要因が共同作用し、企業収入の伸びがかなり速かった、②企業の利潤はかなり高いベースの上で伸びを維持し、41分類で22業種が利潤の伸びあるいは赤字減少を実現し、15業種の利潤の伸びは10%を超えた、③エネルギー原材料業種の工業企業利潤の伸びに対する寄与がかなり大きい、④一部消費財業種の利潤の伸びがかなり速い」としながらも、「1ー2月の工業企業利潤の伸びはベースがかなり高い影響を受け、2021年に比べ顕著に縮小し、企業のコスト圧力が増大し、利潤率と生産・販売のリンクのレベルがある程度低下している。企業の利潤の改善はなおアンバランスで、川下業種とりわけ小型・零細企業の利潤の伸びは緩慢で、企業の生産・経営はなお少なからぬ困難・試練に直面しており、工業企業の収益状況の持続的回復の基礎はなお堅固ではない」とする。

(3)消費

1-2月の社会消費品小売総額は7兆4426億元、前年同期比6.7%増(実質4.9%増)となった。2021年2年平均より2.8ポイント加速した。なお、自動車を除く伸びは、7.0%増である。2月は前月比では、0.30%増である4。都市は6.7%増(2021年2年平均より2.8ポイント増)、農村は7.1%増(同2.9ポイント増)である。

一定額以上の企業(単位)消費品小売額は2兆7230億元、同9.1%増であり、うち穀類・食用油・食品7.9%増、アパレル・靴・帽子類4.8%増、建築・内装6.2%増、家具-6.0%、自動車3.9%増、家電・音響機器類12.7%増となっている。自動車の伸びは、12月のマイナスからプラスに転じた。1-2月の商品小売額は6.5%増(2021年2年平均より2ポイント増)であった。レストランは8.9%増(12月は-2.2%)である。

(参考)(2017年10.2%)→(2018年9.0%)→(2019年8.0%)→(2020年-3.9%)→21年6月12.1%→7月8.5%→8月2.5%→9月4.4%→10月4.9%→11月3.9%→12月1.7%(2021年12.5%)→1-2月6.7%

1-2月の全国インターネット商品・サービス小売額は1兆9558億元で、前年同期比10.2%増となった。うち実物商品は1兆6371億元、同12.3%増(2021年は12.0%増)で、社会消費品小売総額の22.0%を占めている。実物商品のうち、食品は12.7%増、衣類は3.9%増、日用品は15.1%増である。

なお、国家統計局は、「①農村消費財市場の回復は、都市よりやや良好である、②商品小売は良好な伸びで、レストラン消費の回復はかなり良好である、③オンライン消費熱は減じておらず、オフライン小売は安定の中で上昇しており、コンビニ・百貨店等の小売の伸びは2021年2年平均よりある程度加速している」としながらも、「最近わが国の局部地域の多くのポイントで疫病が散発しており、消費の基礎をなお強固にする必要がある」としている。

(4)投資

①都市固定資産投資

1-2月の都市固定資産投資は5兆763億元で、前年同期比12.2%増となった。2021年2年平均より8.3ポイント増えた。2月は前月比では0.66%増である5。地域別では、東部11.7%増、中部14.7%増、西部13.2%増、東北18.6%増となっている。内資企業は12.3%増で、外資企業は13.3%増であった。

製造業投資は、前年同期比20.9%増(2021年は13.5%、2年平均は4.8%)であった。

インフラ投資(電力・熱・天然ガス・水生産供給以外)は前年同期比8.1%増(2021年は0.4%、2年平均は0.3%)となった。うち、鉄道輸送は-8.0%(2021年は-1.8%)、道路輸送は8.2%増(2021年は-1.2%)、水利22.5%増(2021年は1.3%)、公共施設4.3%増(2021年は-1.3%)であった。

(参考)都市固定資産投資:(2017年7.2%)→(2018年5.9%)→(2019年5.4%)→(2020年2.9%)→21年1-6月12.6%→1-7月10.3%→1-8月8.9%→1-9月7.3%→1-10月6.1%→1-11月5.2%→2021年4.9%→22年1-2月12.2%

インフラ投資: (2017年19.0%)→(2018年3.8%)→(2019年3.8%)→(2020年0.9%)→21年1-6月7.8%→1-7月4.6%→1-8月2.9%→1-9月1.5%→1-10月1.0%→1-11月0.5%→2021年0.4%→22年1-2月8.1%

1-2月の1兆元以上の大プロジェクト計画総投資は15.8%増を達成し、全投資への寄与率は60%近い。1-2月の新規着工プロジェクト件数は110%増で、新規着工プロジェクト計画総投資は62.8%増である。

②不動産開発投資

1-2月の不動産開発投資は1兆4499億元で前年同期比3.7%増、うち住宅は1兆769億元、3.7%増である。オフィスビルは665億元、同-1.5%である。2021年2年平均よりは2.0ポイント減である。地域別では、東部3.0%増、中部6.0%増、西部2.9%増、東北9.6%増であった。

(参考)(2017年7.0%)→(2018年9.5%)→(2019年9.9%)→(2020年7.0%)→21年1-6月15.0%→1-7月12.7%→1-8月10.9%→1-9月8.8%→1-10月7.2%→1-11月6.0%→2021年4.4%→22年1-2月3.7%

1-2月の分譲建物販売面積は1億5703万㎡で、前年同期比―9.6%増である。うち、分譲住宅販売面積は-13.8%(2021年は1.1%)、オフィスビルは35.6%増(2021年は1.2%)である。地域別では、東部-17.8%、中部-2.2%、西部-3.3%、東北-13.3%である。

(参考)分譲建物販売面積:(2017年7.7%)→(2018年1.3%)→(2019年-0.1%)→(2020年2.6%)→21年1-6月27.7%→1-7月21.5%→1-8月15.9%→1-9月11.3%→1-10月7.3%→1-11月4.8%→2021年1.9%→22年1-2月-9.6%

2021年の分譲建物販売額は1兆5459億元、前年同期比-19.3%、うち、分譲住宅販売額は-22.1%(2021年は5.3%増)、オフィスビルは18.5%増(2021年は-6.9%)である。地域別では、東部-25.3%、中部-8.0%、西部-9.4%、東北-21.0%である。

(参考)分譲建物販売額:(2017年13.7%)→(2018年12.2%)→(2019年6.5%)→(2020年8.7%)→21年1-6月38.9%→1-7月30.7%→1-8月22.8%→1-9月16.6%→1-10月11.8%→1-11月8.5%→2021年4.8%→22年1-2月-19.3%

1-2月の分譲建物在庫面積は5億7026万㎡、12月末比6003万㎡増で、前年同期比8.8%増、うち分譲住宅在庫面積は12月末比5552万㎡増、前年同期比14.7%増であった。

1-2月のディベロッパーの資金源は2兆5143億元であり、前年同期比-17.7%(2021年は4.2%)である。うち、国内貸出が4105億元、-21.1%、外資が7億元、-27.4%、自己資金が7757億元、-6.2%、手付金・前受金8027億元、-27.0%、個人住宅ローン4124億元、-16.9%である。

③民間固定資産投資

1-2月の全国民間固定資産投資は2兆9176億元であり、前年同期比11.4%増である6。2021年2年平均より7.6ポイント増である。

(参考)(2018年8.7%)→(2018年8.7%)→(2019年4.7%)→(2020年1.0%)→21年1-6月15.4%→1-7月13.4%→1-8月11.5%→1-9月9.8%→1-10月8.5%→1-11月7.7%→2021年7.0%→22年1-2月11.4%

(5)対外経済

①輸出入

1-2月の輸出は5447.0億ドル、前年同期比16.3%増、輸入は4287.5億ドル、同15.5%増となった7。貿易黒字は1159.6億ドルであった。

(参考)輸出:(2017年7.9%)→(2018年9.9%)→(2019年0.5%)→(2020年3.6%)→21年6月32.2%→7月19.3%→8月25.6%→9月28.1%→10月27.1%→11月22.0%→12月20.9%(2021年29.9%)→22年1-2月16.3%

輸入:(2017年 15.9%)→(2018年 15.8%)→(2019年-2.8%)→(2020年-1.1%)→21年6月36.7%→7月28.1%→8月33.1%→9月17.6%→10月20.6%→11月31.7%→12月19.5%(2021年30.1%)→22年1-2月15.5%

1-2月の輸出入総額が9734.5億ドル、前年同期比15.9%増であったのに対し、対EU14.8%増、対米12.3%増8(2021年は28.7%)、対日7.2%増9(2021年は17.1%)、対アセアン13.1%増である。

1-2月輸出の労働集約型製品のうち、アパレル類前年同期比6.1%増、紡績11.9%増、靴21.8%増、家具2.2%増、プラスチック製品14.7%増、鞄24.3%増、玩具22.0%増である。電器・機械は同12.5%増、ハイテク製品は14.7%増である。

②外資利用

1-2月の外資利用実行額は2437億元(ドル換算378.6億ドル)、前年同期比37.9%増(ドル換算45.2%増)であった10

(参考)(2017年7.9%)→(2018年0.9%)→(2019年5.8%)→(2020年6.2%)→21年1-6月28.7%→1-7月25.5%→1-8月22.3%→1-9月19.6%→1-10月17.8%→1-11月15.9%→2021年14.9%→22年1月11.6%→1-2月37.9%11

1-2月のサービス業の外資利用は1757億元、前年同期比24%増であった。ハイテク産業は73.8%増、うちハイテク製造業は69.2%増、ハイテクサービス業は74.9%増である。

地域別では、アセアン25.5%増である。

国内の地域別では、東部36.6%増、中部74.9%増、西部13%増であった。

③外貨準備

2月末、外貨準備は3兆2138億ドルであった。1月末に比べ78億ドルの減少(1月は285億ドル増減)で。2カ月連続減少した。国家外貨管理局は、地政学的な影響や主要国の金融政策など複数の要因により、米ドルが小幅に上昇し、世界的な金融資産価格が全体として下落したことが原因としている。

④米国債保有

1月末の米国債保有高は、前月比86億ドル減の1兆601億ドルで、2位。32カ月連続1位の日本は、9億ドル減の1兆3031億ドルである。

(6)金融

2月末のM2の残高は244.15兆元、伸びは前年同期比9.2%増と、1月末より0.6ポイント減速、前年同期より0.9ポイント減速した。M1は4.7%増と、1月末より6.6ポイント加速、前年同期より2.7ポイント減速した。2月の現金純回収は8961億元であった。

人民元貸出残高は197.89兆元で前年同期比11.4%増であり、伸び率は1月末より0.1ポイント減速、前年同期より1.5ポイント減速した。2月の人民元貸出増は1.23兆元(1月は3.98兆元)で、前年同期より伸びが1258億元減少している。うち個人向け貸出は3369億元増、企業等への中長期貸出は5052億元増であった。

人民元預金残高は238.61兆元で、前年同期比9.8%増であった。2月の人民元預金は2.54兆元増(1月は3.83兆元増)で、前年同期より伸びが1.39兆元増加している。うち個人預金は2923億元減、企業預金は1389億元増であった。

(参考)M2 :2017年1月8.1%→18年1月8.1%→19年1月8.7%→20年1月10.1%→21年6月8.6%→7月8.3%→8月8.2%→9月8.3%→10月8.7%→11月8.5%→12月9%→22年1月9.8%→2月9.2%

2月末の社会資金調達規模残高は321.12兆元であり、前年同期比10.2%増となった。うち、実体経済への人民元貸出残高12は196.62兆元、11.2%増、委託貸付残高は10.92兆元、-1.1%、信託貸付残高は4.2兆元、-32.1%、企業債券残高は30.76兆元、10.1%増、政府債券残高53.94兆元、16.3%増13、株式残高は9.66兆元、14.8%増である。

構成比では、実体経済への人民元貸出残高は61.2%(前年同期比0.5ポイント増)、委託貸付残高は3.4%(同-0.4ポイント)、信託貸付残高は1.3%(同-0.8ポイント)、企業債券残高は9.6%(同0.0ポイント)、政府債券残高は16.8%(同0.9ポイント増)、株式残高は3%(同0.1ポイント増)である。

2月の社会資金調達規模のフローは1.19兆元で、前年同期より5315億元減少した。うち、実体経済への人民元貸出は9084億元増(伸びが前年同期比4329億元減)、委託貸付は74億元減(減少が26億元減)、信託貸付は751億元減(減少が185億元減)、企業債券純資金調達3377億元(2021億元増)、政府債券純資金調達2722億元(1705億元増)、株式による資金調達は585億元(108億元減)である。

(7)財政

1-2月の全国財政収入は4兆6203億元で、前年同期比10.5%増となった14。中央財政収入は2兆2771億元、同11.3%増、地方レベルの収入は2兆3432億元、同9.8%増である。税収は4兆812億元、同10.1%増、税外収入は5391億元、同13.7%増であった。

(参考)財政収入:(2017年7.4%)→(2018年6.2%)→(2019年3.8%)→(2020年-3.9%)→21年1-6月21.8%→1-7月20%→1-8月18.4%→1-9月16.3%→1-10月14.5%→1-11月12.8%→2021年10.7%→22年1-2月10.5%

1-2月の全国財政支出は3兆8227億元、前年同期比7%増であった15。中央レベルの支出は3896億元、同4.6%増、地方財政支出は3兆4331億元、同7.3%増である。

なお、1-2月の地方政府基金収入は8554億元、前年同期比-28.7%であり、うち国有地土地使用権譲渡収入は7922億元、同-29.5%(2021年は3.5%)であった。

2月末の地方政府債務残高は31兆6364億元。うち、一般債務は13兆9809億元、特別債務は17兆6555億元である。

なお、2月に発行した新増発債券は4939億元(うち一般債券1008億元、特別債券3931億元)、再資金調達が132億元である。合計は5071億元(うち一般債券1117億元、特別債券3954億元)となる。1-2月に発行した新増発債券は1兆776億元(うち一般債券2001億元、特別債券8775億元)、再資金調達が1284億元である。合計は1兆2060億元(うち一般債券2341億元、特別債券9719億元)となる。

(8)雇用

2月の全国都市調査失業率は5.5%(前年同期比0.0ポイント)、1-2月は5.4%である。現地戸籍人口調査失業率は5.5%(12月5.1%)、外来戸籍人口調査失業率は5.6%(12月4.9%)、外来農業戸籍人口失業率は5.6%である。

16-24歳人口の調査失業率は15.3%(12月14.3%、1月15.3%)、25-59歳の調査失業率は4.8%(12月4.4%)であった。31大都市調査失業率は5.4%となった。

(参考)全国都市調査失業率:2018年12月4.9%→19年12月5.2%→20年12月5.2%(2020年5.6%)→21年6月5.0%→7月5.1%→8月5.1%→9月4.9%→10月4.9%→11月5.0%→12月5.1%(2021年5.1%)→22年1月5.3%→2月5.5%

31大都市調査失業率:2018年12月4.7%→19年12月5.2%→20年12月5.1%→21年6月5.2%→7月5.2%→8月5.3%→9月5.0%→10月5.1%→12月5.1%→12月5.1%→22年2月5.4%

1-2月の新規就業者増は163万人(年間目標1100万人以上)である。

なお、国家統計局は、「2月の20-24歳大学・専門学校以上の人員の失業率は1月より1.8ポイント低下しており、大学生の雇用状況は改善をみている。しかし、雇用総量圧力と構造矛盾はなお存在している。今年の大学卒業生は1076万人に達し、総量は史上最高である。同時に、雇用の構造矛盾が依然として比較的際立っており、高技能人材が不足し、中高年低技能人材が求職難で、企業の従業員募集難と労働者の就職難が併存している」と指摘している。

(9)社会電力使用量

2月は前年同期比16.9%増であった。うち、第1次産業は15.4%増、第2次産業は14.5%増、第3次産業は17.4%増、都市・農村住民生活用は24.8%増であった。

(参考)(2017年6.6%)→(2018年8.5%)→(2019年4.5%)→(2020年3.1%)→21年6月9.8%→7月12.8%→8月3.6%→9月6.8%→10月6.1%→12月3.1%→(2021年10.3%増)→22年2月16.9%

1-2月は前年同期比5.8%増であった。うち、第1次産業は12.8%増、第2次産業は3.4%増、第3次産業は7.2%増、都市・農村住民生活用は13.1%増であった。

  1. 国家統計局によれば、2011年のウエイト付け改定で、居住価格のウエイトは20%前後になったとしている。
  2. コア消費者物価は2013年から公表が開始された。
  3. 2021年6月は0.50%増、7月は0.23%増、8月は0.29%増、9月は0.06%増、10月は0.39%増、11月は0.37%増、12月は0.42%増、22年1月は0.34%増である。
  4. 2021年6月は0.77%増、7月は-0.45%、8月は0.46%増、9月は0.95%増、10月は0.83%増、11月は0.42%増、12月は0.09%増、22年1月は0.90%増である。
  5. 2021年6月は0.68%増、7月は0.64%増、8月は0.69%増、9月は0.70%増、10月は0.70%増、11月は0.75%増、12月は0.51%増、22年1月は1.06%増である。
  6. この統計は2012年から公表が開始された。
  7. 2022年から、1月・2月単月の数値は非公表となった。
  8. 輸出(2020年7.9%)→21年6月17.8%→7月13.4%→8月15.5%→9月30.6%→10月22.7%→11月5.3%→12月21.2%(2021年27.5%)→22年1-2月13.8%
    輸入(2020年9.8%)→21年6月37.6%→7月25.6%→8月33.3%→9月16.6%→10月4.6%→11月22.0%→12月3.3%(2021年32.7%)→22年1-2月8.3%である。
  9. 1-2月の輸出は270.6億ドル、前年同期比7.5%増、輸入は303.3億ドル、6.9%増である。
  10. 伸びは人民元ベースである。
  11. ドルベースでは、(2017年4%)→(2018年3%)→(2019年2.4%)→(2020年4.5%)→21年1-6月33.9%→1-7月30.9%→1-8月27.8%→1-9月25.2%→1-10月23.4%→1-1月21.4%→2021年20.2%→22年1月17.6%→1-2月45.2%である。
  12. 一定期間内に実体経済(非金融企業と世帯)が金融システムから得た人民元貸出であり、銀行からノンバンクへの資金移し替えは含まない。
  13. 2019年2月から、国債と地方政府一般債券を統計に組み入れ、これまでの地方政府特別債券と併合し「政府債券」とした。
  14. 主な収入の内訳は、国内増値税1兆4847億元、前年同期比6.1%増、国内消費税4372億元、18.7%増、企業所得税9127億元、5.4%増、個人所得税4043億元、46.8%増、輸入貨物増値税・消費税3741億元、33.5%増、関税550億元、14%増である。輸出に係る増値税・消費税の還付は3191億元、40.4%増である。都市維持建設税は1259億元、8%増、車両購入税は591億元、-14.3%、印紙税は1137億元、13.3%増(うち証券取引印紙税は737億元、10.7%増)、資源税は726億元、92.2%増、環境保護税は55億元、3.7%増である。不動産関連では、契約税911億元、前年同期比-25.8%、土地増値税1355億元、-1.4%、不動産税574億元、27.7%増、耕地占用税165億元、35.5%増、都市土地使用税320億元、13.2%増であった。
  15. 主な支出は、教育6269億元、前年同期比9.1%増、科学技術888億元、15.5%増、文化・観光・スポーツ・メディア475億元、5.7%増、社会保障・雇用7107億元、4.8%増、衛生・健康3198億元、4%増、省エネ・環境保護793億元、11.9%増、都市・農村コミュニティ3047億元、7.6%増、農林・水産2382億元、4.5%増、交通・運輸1802億元、14%増、債務利払い980億元、-12.9%である。