田中 修

中国経済レポート

人民銀行第4四半期貨幣政策執行報告

新領域研究センター 田中 修

2022年2月22日


はじめに

本稿では、2月11日に人民銀行が公表した「中国2021年第4四半期(10-12月期)貨幣政策執行報告」の概要を紹介する。なお、前報告から変化したポイントは太字で示している。

1.マクロ経済の展望
1.1 経済の概況

2021年は、党と国家の歴史上、一里塚の意義をもつ一年であり、中国共産党創立百周年を厳粛に慶祝し、第一の百年奮闘目標を実現し、第二の百年奮闘目標に向けた進軍の新たな征途を開いた。

百年の変局・世紀の疫病・入り組んで複雑な国内・国際情勢に直面し、習近平同志を核心とする党中央の堅固な指導の下、わが国の経済発展と疫病防御は世界のリード役の地位を維持し、年間GDPは前年比8.1%増となり、世界経済の成長への寄与率は25%前後に達したものと予想され、1人当たりGDPは1.25万ドルに達した。

CPIは前年比0.9%上昇し、都市新規就業者は1269万人であり、かなり高い成長・かなり低いインフレ・かなり多い雇用の最適な組合せを実現し、質の高い発展は新たな成果を得て、第14次5カ年計画の良好なスタートを実現した。

10-12月期、わが国経済は回復・安定しており、GDPは前年同期比4.0%増、2年平均では5.2%増であり、7-9月期より0.3ポイント上昇した1

10-12月期、農業はかなり速い伸びを維持し、工業は引き続き発展し、サービス業は安定・回復した。

個人所得は経済成長と基本的に同歩調であり、消費の潜在力が不断に累積された。

固定資産投資の構造が最適化され、製造業・ハイテク産業投資の牽引作用が顕著であった。

輸出の効能が強まり、世界市場に占めるシェアが引き続き高まった。

雇用情勢は総体として安定しており、民生保障は有力・有効であった。

穏健な金融政策は、柔軟・精確、合理的・適度で、周期を跨ぐ調節と年度を跨ぐ政策のリンクを強化し、展望性・安定性・的確性・有効性・自主性が一層高まり2、マネー・貸出は平穏な伸びを維持し、企業向け貸出金利は改革開放40年余りで最低水準であり、金融の実体経済支援の程度が堅固となった。

同時に、「バラマキ」を行わず、マクロレバレッジ率は連続5四半期低下し、人民元レートは合理的均衡水準での基本的安定を維持しており、マクロ経済と国際収支を調節する自動安定器としての役割を発揮している。

1.2 リスク・試練

現在、わが国の経済発展は需要の収縮・供給へのダメージ・予想の弱気化の三重の圧力に直面しており、外部環境は更に複雑・峻厳・不確定化していることをも見て取らねばならない3

(1)国際環境

疫病・インフレと先進経済体の金融政策の調整は、なお世界経済の3大不確定性である。

オミクロン株は欧米等多くの国で急速に伝播しており、世界の1日当たり新規感染者数の最高は400万例に接近している。世界経済の回復の見通しには屈折が出現し、最近IMF・世界銀行はいずれも2022年の世界経済の成長率予測を引き下げた。

主要先進経済体のインフレ率が高まっており、供給のボトルネックがなお有効に緩和されていない。

FRBは利上げとB/Sの縮小を表明し、市場はその金融政策の引締めの歩みが加速すると予想しており、グローバルなクロスボーダー資本流動と金融市場の調整リスクが上昇している。

(2)国内経済

国内経済は下振れ圧力に直面し、疫病のリバウンドはなお消費ニーズを抑制し、一部分野の投資はなお底を探っており、経済の潜在成長率の低下・人口成長の鈍化・低炭素転換等の中長期の試練も軽視できない。

これについては、困難を正視するだけでなく、自信を確固としなければならない。わが国経済が長期に好い方へ向かうというファンダメンタルズに変わりはなく、新たな発展の枠組の構築に有利な条件に変わりはなく、精力を集中して自信の事柄にしっかり取り組み、質の高い発展の実現に努力しなければならない。

(3)物価

インフレ圧力は総体としてコントロール可能である4

2021年わが国CPIの年間平均値は0.9%であり、将来のCPIの動向の中枢は、前年に比べおだやかに上昇する可能性があるが、引き続き合理的区間で運営される。これと同時に、PPIの前年同期比の上昇幅が段階的な上昇の後、下落している。

将来世界経済の需給ギャップは縮小傾向になると見込まれ、加えて高いベースの効果が徐々に顕在化し、2022年のわが国PPIの前年同期比上昇幅は、下落の態勢を継続すると予想される。

総じて見れば、わが国経済の需給が基本的にバランスしており、中央銀行が正常な金融政策を実施していることは、物価動向が中長期に安定を維持することに有利となる5

2.今後の主要な政策の考え方

今後、人民銀行は、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとすることを堅持し、第19回党大会・党19期各中全会・中央経済工作会議精神を貫徹実施し、党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、完全・正確・全面的に新発展理念を貫徹し、サプライサイド構造改革を深化させ、新たな発展の枠組を早急に構築し、現代中央銀行制度を建設し、健全な現代金融政策の枠組を整備し、質の高い発展を推進する6

「『穏』(安定・穏健)の字を第一とし、安定の中で前進を求める」ことを堅持し、積極主動的に中央経済工作会議精神を貫徹実施し、実体経済への金融の支援を強化し、「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる)、「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障)政策を引き続きしっかり実施し、マクロ経済の大基盤を安定させ、経済運営を合理的区間に維持するために適切なマネー・金融環境を作り上げ、第20回党大会の勝利の開催を迎える。

穏健な金融政策は柔軟・適度でなければならず、周期を跨ぐ調節を強化し、金融政策手段の総量・構造の二重の機能をしっかり発揮させ、十分・精確に・前倒しで力を発揮することを重視し、「バラマキ」を行わないだけでなく、実体経済の合理的・有効な資金調達ニーズを満足させ、重点分野・脆弱部分への金融支援を増やすことに力を入れ、総量が安定し、構造が優れたかなり好い組合せを実現しなければならない。

①マネー・貸出総量の安定的な伸びを維持しなければならない

マネーサプライのコントロールメカニズムを整備し、流動性の合理的充足を維持し、金融機関が貸出を有力に拡大するよう誘導し、貸出総量の伸びの安定性を増強し、マネーサプライと社会資金調達規模の伸びを名目成長率と基本的に釣り合わせ、マクロレバレッジ率の基本的安定を維持する7

②貸出構造の着実な最適化を維持しなければならない

構造的金融政策手段は積極的に足し算をしっかり行い、小型・零細企業を支援する市場化した政策手段をしっかり実施し、炭素排出削減支援手段と石炭クリーン・高効率使用特別再貸出をうまく用いて、金融機関が貸出の緩慢な地域への貸出を増やすよう誘導し、精確に力を発揮して小型・零細企業、科学技術イノベーション、グリーン発展等の重点分野と脆弱部分への支援を強化する8

③企業の総合資金調達コストの引下げを促進しなければならない

市場化した金利形成と伝達の健全なメカニズムを整備し、貸出プライムレート改革の効能を発揮させ、銀行の負債コストを安定させ、企業向け貸出金利の低下を誘導する。

④人民元レートの合理的均衡水準での基本的安定を維持しなければならない

自国を主とし、市場需給を基礎として、人民元レートの弾力性を増強し、為替レートのマクロ経済・国際収支調節の自動安定器としての機能を発揮させ、クロスボーダー資金流動へのマクロプルーデンス管理を強化し、予想の管理を強化し、市場主体が「リスク中立性」の理念を樹立するよう誘導し、内部均衡と外部均衡のバランスをうまく処理する。

同時に、(最悪事態を想定して)最低ラインを保障する考え方を堅持し、システムの概念を増強し、市場化・法治化の原則を遵守し、重大金融リスクの防止・解消政策を統一的にしっかり実施する。

(1)マネー・貸出の合理的な伸びを維持する。

内外経済金融情勢の限界的変化に密接に注意を払い、財政収支、政府債券発行、現金放出・回収と主要経済体の金融政策調整等の不確定要因へのモニタリング・分析を強化し9、多様な金融政策手段を総合運用し、流動性の合理的充足を維持し、市場金利が政策金利の中枢を軸として上下に変動するよう誘導する。

マネーサプライのコントロールメカニズムを整備し、銀行の貸出供給に対する流動性・資本・金利の3大制約を引き続き緩和し、実体経済の借入ニーズを育成し奮い立たせ、金融機関が貸出を有力に拡大するよう指導し、貸出総量の伸びの安定性を増強し、マネーサプライと社会資金調達規模が名目成長率と基本的に釣り合うことを維持する。

健全で持続可能な銀行の資本補充のメカニズムを整備し、多くのルートで商業銀行の資本を補充し、中小銀行の永久債の発行等の資本補充手段への支援を強化し、銀行の実体経済へのサービス、金融リスク防止・解消能力を高める。

(2)構造的金融政策手段の牽引・帯同作用を、引き続きしっかり実施・発揮させる。

再貸出・再割引政策の安定性を維持し、引き続き「三農」関連、小型・零細企業、民営企業に包摂的・持続的な資金支援を提供し、金融機関が貸出の伸びが緩慢な地域への貸出を増やすよう誘導する。

2つの実体経済に直接到達する金融政策手段の接続・転換をしっかり行い10、小型・零細企業への金融支援を強化し11、引き続き小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスの「増量・金利引下げ・範囲拡大」を推進し、企業を安定させて雇用を保障するうえでの小型・零細企業の役割を更にしっかり発揮させる。

炭素排出削減支援手段と石炭のクリーン・高効率利用支援特別再貸出をしっかり実施し、顕著な炭素排出削減効果のある重点プロジェクトのために、条件の合致した金融機関が優遇金利融資を提供することを支援し、石炭・石炭火力発電のクリーン・高効率利用を支援し、エネルギー供給の安全を確保すると同時に、経済のグリーン・低炭素転換を支援する。

(3)実体経済を金融が有効に支援する体制メカニズムを構築する。

中小・零細企業への金融サービス能力建設を強化し、金融機関が引き続き「最初の貸出・継続貸出・無担保貸出」を増やすよう誘導し、「大胆に貸し、貸したいと思い、貸すことができ、貸す」ための長期有効なメカニズムの形成を推進する。

中小・零細企業のサプライチェーン融資の獲得可能性を高め、中小・零細企業向け融資に付帯するメカニズムの整備を推進する12

脱貧困堅塁攻略の成果を引き続き強固にして拡大し、種業の発展、新しいタイプの農業経営主体、農業・農村インフラ建設等の分野への金融支援をしっかり行い、金融機関が専属金融商品・サービスを刷新するよう誘導し13、「三農」分野に係る多様化した資金調達ニーズを更にしっかり満足させる。

「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」という位置づけをしっかり堅持し、「不動産を短期的経済刺激の手段としない」ことを堅持し、地価・住宅価格・予想の安定を堅持し、不動産金融のプルーデンス管理制度をしっかり実施し、住宅賃貸への金融支援を強化し、住宅消費者の合法権益を擁護し、住宅購入者の合理的な住宅ニーズを更にしっかり満足させ、不動産市場の健全な発展と良性循環を促進する14

(4)金利・為替レートの市場化改革を深化させ、金融政策の伝達ルートを円滑にする。

市場化された金利の形成・伝達の健全なメカニズムを整備し、中央銀行の政策金利体系を整備し、市場金利が政策金利を軸に変動するよう誘導する。

LPR(貸出プライムレート)改革の効能を発揮させ、資源配分最適化におけるLPR改革の役割を十分発揮させ、市場化方式により金融機関が更に多くの金融資源を小型・零細企業に配分することを促進し、小型・零細企業の貸出市場での競争性を増強し、小型・零細企業の総合資金調達コストの安定の中での引下げを推進する。

預金金利の監督管理措置の最適化実施を督促し、預金市場の競争秩序を規範化し、銀行の負債コストを安定させ、企業向け貸出金利の引下げを誘導し、企業の総合資金調達コストの引下げを有力に推進する。

為替レートの市場化改革を着実に深化させ、市場需給を基礎とし、通貨バスケットを参考として調節を進め、管理された変動為替レート制度を堅持し、人民元レートの弾力性を増強し、マクロ経済と国際収支の調節における為替レートの自動安定器としての機能を発揮させる。予想の管理を強化し、人民元レートの合理的な均衡水準での基本的安定を維持する。

外為市場を発展させ、企業と金融機関が「リスク中立性」の理念を樹立するよう誘導し、実需原則とリスク中立性原則に基づき、中小・零細企業のために為替レートリスク回避サービスを積極的に提供し、中小・零細企業の為替レートリスク回避コストを引き下げ、自身の外為業務リスクの管理を強化するよう金融機関を指導し、外為市場の平穏で健全な発展を擁護する。

人民元の国際化を引き続き穏当・慎重に推進し、クロスボーダーの貿易・投資における人民元使用を一層拡大し、対外通貨協力を深化させ、オフショア人民元市場を発展させる。クロスボーダー貿易・投資のハイレベルの開放テストを展開し、クロスボーダーの貿易・投資の自由化・利便化の程度を高め、人民元の資本項目の兌換化を着実に推進する。

(5)金融改革を不断に深化させ、金融市場制度の建設を早急に推進する15

コーポレートガバナンスの強化を核心とすることを堅持し、大型商業銀行改革を深化させ、中国の特色ある現代金融企業制度を確立する。

開発性・政策性金融機関改革を引き続き推進し、業務の分類管理・勘定の分類計算を実現し、資本制約を強化し、リスク管理を強化し、健全なインセンティブメカニズムを整備し、機関の主体責任を徹底させ、実体経済へのサポート・国家戦略へのサポート方面における、開発性・政策性金融機関の重要な役割を更にしっかり発揮させる。

金融債券発行・管理の枠組を最適化し、債券市場の更にハイレベルな対外開放を着実に推進し、効率の高い連結した多層レベルの健全な市場システムを整備し、多元化した適格投資家の陣容を育成する。

債券市場の法制を一層整備し、情報開示要求と仲介機関の監督管理を強化する。

債券市場のリスクを速やかに防止・解消し、市場化・法治化の原則に基づき、各方面の責任を徹底させ、デフォルト処理メカニズム建設の各成果を引き続き実施し、法執行メカニズムを最適化・統一し、債券市場の法律・ルールに違反した行為を厳しく取り締まる。

(6)金融リスクの予防・事前警告・処理・問責の健全な制度体系を整備し、金融リスクを防止・解消する長期有効なメカニズムを構築する16

マクロプルーデンス管理システムを一層整備し、システミックリスクのモニタリング・評価・事前警告能力を高める17

システム上重要な銀行への監督管理を強化し、わが国がグローバルシステム上重要な銀行の総損失吸収能力を管理する健全で長期有効なメカニズムを確立することを早急に推進し18、リスク抵抗・制御能力を確実に高める。

預金保険の市場化された処理プラットフォームの役割を一層発揮させ、多様な市場化・法治化方式を模索し、中小銀行のリスク解消・資本補充を支援する。

現代金融監督管理制度体系の整備を加速し、監督管理制度の不足を早急に補充し、金融持株会社の監督管理を強化する19

引き続き「大局を安定させ、統一・協調し、施策を分類し、精確に爆弾処理を行う」という方針に基づき、重点機関のリスク処理・解消政策を穏当に秩序立ててしっかり実施し、監督管理協調の効果を高め、各種リスクのリバウンド・復活に断固歯止めをかける。

各方面の責任を徹底させ、地方の党・政府の主要指導者が責任を負う健全な財政金融リスク処理メカニズムを確立し、リスク処理の合成力を形成する。

健全な金融リスク問責メカニズムを整備し、重大金融リスクについて厳格に責任追及・問責し、モラルハザードを有効に防止する。

3.不動産融資の状況

12月末、主要金融機関(外資を含む)の不動産融資残高は52.2兆元、前年同期比7.9%増であり、伸びは前年末より3.7ポイント鈍化した。

うち、個人住宅ローン残高は38.3兆元、同11.3%増であり、伸びは前年末より3.3ポイント鈍化した。住宅開発融資残高は9.1兆元、同0.5%増であり、伸びは前年末より7.7ポイント鈍化した。

4.金融機関預金準備率の引下げ
(1)預金準備率引下げ

2021年12月15日から、金融機関人民元預金準備率を0.5ポイント引き下げ(既に5%の預金準備率を執行している機関を除く)、同時にインクルーシブファイナンスに方向を定めた預金準備率引下げ審査に参加している金融機関に対して最優遇ランクの預金準備率を統一的に執行し、長期資金約1.2兆元を解放し、この引下げ後の金融機関の加重平均預金準備率は8.4%となった。

今回の預金準備率引下げは、金融政策の通常オペレーションであり、目的は周期を跨ぐ調節の強化、金融機関の資金構造の最適化、実体経済への金融サービス能力の向上である。

①流動性の合理的充足を維持し、金融機関の長期に安定した資金源を有効に増やし、資金配分能力を増強する。

②金融機関が預金準備率引下げで得た資金を積極的に運用して、実体経済とりわけ中小・零細企業への支援を強化するよう誘導する。

③金融機関の資金コストを毎年約150億元減らし、金融機関の伝達を通じて、社会の総合資金調達コストの引下げを促進することができる。

2021年、2回の預金準備率各0.5ポイント全面引下げにより、長期資金約2.2兆元を解放した。

(2)外貨預金準備率引上げ

2021年12月15日、金融機関の外貨預金準備率を2ポイント引き上げ、7%から9%とし、外貨流動性を約200億ドル凍結した。

2021年、2回の外貨預金準備率各2ポイントの引上げにより、外貨流動性約400億ドル凍結した。

5.構造的金融政策手段の役割を積極的に発揮させた
(1)「三農」支援、小型・零細企業支援の再貸出・再割引等の手段を積極的に運用し、金融機関が国民経済の重点分野・脆弱部分と地域の協調発展に対して、支援を強化するよう誘導する

「三農」支援、小型・零細企業支援再貸出の精確な点滴灌漑・プラスのインセンティブ作用をしっかり発揮させて、地方法人金融機関が小型・零細企業、民営企業、「三農」等の分野への貸出を増やすよう誘導した。

現行規定に基づき貧困支援再貸出の期間延長を進め、脱貧困堅塁攻略の成果を強固なものにすることと農村振興の有効なリンクを支援した。

10の貸出の伸びが緩慢な省の地方法人金融機関が、2000億元の再貸出額をうまく用いて、地域内の「三農」関連、小型・零細企業、民営企業等の経済発展の脆弱部分への支援を強化するよう誘導し、地域の協調発展を促進した。

市場主体とりわけ中小・零細企業の困難緩和支援を強化し、新たに増やした3000億元の小型・零細企業支援再貸出額を十分使用し終え、大口取引商品価格の上昇・疫病の影響がかなり大きい小型・零細企業と個人工商事業者の資金調達ニーズを有効に満足させ、資金調達コストを確実に引き下げた。

2021年末、全国「三農」支援再貸出残高は4967億元、小型・零細企業支援再貸出残高は1兆2351億元、貧困支援再貸出残高は1750億元、再割引残高は5903億元である。2021年、人民銀行は政策性銀行と開発性銀行から担保補充貸出4334億元を純回収し、うち10-12月期は827億元を純回収して、年末の残高は2兆8017億元であった。

(2)2つの実態経済に直接到達する金融政策手段を引き続きしっかり実施して、小型・零細企業の発展を引き続き支援した

2021年末までに、人民銀行は小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスの期限延長支援手段は、累計で奨励資金217億元を提供し、地方法人銀行の小型・零細企業向けインクルーシブファイナンス元本期限猶予2.17兆元を直接牽引し、全国銀行業金融機関の貸出元本償還・利払い実施延期累計16兆元をテコ入れし、小型・零細企業の段階的な元本償還・利払い圧力を軽減した。

小型・零細企業向け無担保インクルーシブファイナンス支援計画は、累計で優遇資金3740億元を提供し、地方法人銀行の小型・零細企業向け無担保貸出1.05兆元を直接牽引し、全国銀行業金融機関小型・零細企業の小型・零細企業向け無担保インクルーシブファイナンス累計10.3兆元をテコ入れし、小型・零細企業の資金調達難問題を有効に緩和した。

国務院常務会議の手配に基づき、人民銀行は、市場化方式を採用し、2つの直接到達手段について接続・転換を進め、更に持続可能な方式を用いて、企業の安定・雇用の保障への金融支援政策を引き続きしっかり実施する。

(3)炭素排出削減支援手段と炭素クリーン・高効率利用特別再貸出を実施して、炭素排出ピークアウト・カーボンニュートラルの目標を科学的に秩序立てて実現することに助力した

国務院常務会議の決定に基づき、人民銀行が炭素排出削減支援手段と炭素クリーン・高効率利用特別再貸出の2つの手段を創設し、クリーンエネルギー、省エネ・環境保護、炭素排出削減技術等の3つの重点分野と、石炭の大規模クリーン生産・クリーン燃焼技術の運用等7つの炭素クリーン・高効率利用分野を個別に支援した。

2021年11月人民銀行は、「炭素排出削減支援手段設立に関する事項の通知」「炭素クリーン・高効率利用特別再貸出設立に関する事項の通知」を発出し、2つの手段が「先に貸し出し、後で借りる」直接到達メカニズムを採用し、金融機関が自主的に政策決定し、自ら責任を担う基礎の上に、関係分野内の企業に優遇金利の貸出を実施した後、人民銀行に対し資金を支援することを認める旨を明確にした。

要求に合致する貸出について、人民銀行は貸出元本の一定割合につき金融機関に低コストの資金支援を提供し、炭素排出削減支援の割合は60%、炭素クリーン・高効率利用特別再貸出支援の割合は100%とし、金利はいずれも1.75%とする。

10―12月期、人民銀行は以上の2つの手段を通じて、関係金融機関に最初の資金をそれぞれ855億元、27億元、計882億元を提供した。

将来人民銀行は、以上の2つの手段をしっかり実施し、金融機関が炭素排出削減と炭素クリーン・高効率利用分野に向けて貸出支援を提供することを支援し、エネルギー供給の安全を確保すると同時に、経済のグリーン・低炭素転換を支援し、炭素排出ピークアウト・カーボンニュートラルの目標を科学的に秩序立てて実現することに助力する。

6.金利の市場化改革を深化させた20

2021年以降、人民銀行は改革の方法を用いて、金融政策の伝達を円滑にし、引き続き貸出プライムレート(LPR)改革のボーナス効果を発揮させ、企業の総合資金調達コストの安定の中の引下げを推進した。

①金融機関の貸出プライムレートを十分運用した金利決定を推進し、小型・零細企業の貸出市場における競争性を増強した。

2021年12月、「三農」支援、小型・零細企業支援再貸出金利を0.25ポイント引き下げ、当月の1年物 LPRは5ベーシスポイント低下し、2020年の大幅低下の基礎の上での実質貸出金利の一層の低下を推進した。

12月、貸出加重平均金利は4.76%となり、前年同月比0.27ポイント低下し、企業向け貸出加重平均金利は4.57%となり、同0.04ポイント低下した。

②預金金利の監督管理措置の最適化を実施し、預金市場の競争秩序を擁護した。

預金金利の自律的上限を、預金基準金利にポイントを加えて確定することに改め、中長期預金金利の低下を誘導し、預金の期間構造を最適化し、銀行の負債コストを安定させ、企業の総合資金調達コストの安定の中での低下を推進した。

  1. これは、報告自身が太字にしている。以下、ことわりのない太字は筆者。
  2. 自主性が強調されている。
  3. これは、報告自身が太字にしている。中央経済工作会議の認識が反映されている。
  4. これは、報告自身が太字にしている。「総体として」が加わった。
  5. 前回よりも将来の見通しが楽観的になっている。
  6. 「新たな発展段階に立脚する」という表現が引き続き削除されている。
  7. 中央経済工作会議では削除された「マネーサプライと社会資金調達規模の伸びを名目成長率と基本的に釣り合わせ」と「マクロレバレッジ率の基本的安定を維持」が盛り込まれている。
  8. 「2つの実体経済に直接到達する金融政策手段」の記述が消滅した。
  9. 財政の動向にも注意を喚起している。
  10. 「延長」から「接続・転換」に変わった。
  11. 「程度を減じない」から「強化」に変わった。
  12. 新たに盛り込まれた。
  13. 新たに盛り込まれた。
  14. 中央経済工作会議では、「不動産業」の健全な発展・良性循環の促進であったが、こちらは従来の「不動産市場」の表現を用いている。
  15. 従来の(6)金融機関改革が繰り上がり、従来の(5)債券市場発展と一本化した。
  16. リスク関連が一本化し、(7)重大金融リスクの防止・解消の項目が削除された。
  17. 新たに盛り込まれた。
  18. 新たに盛り込まれた。
  19. 新たに盛り込まれた。
  20. ここは重要なもののみ紹介する。