はじめに

李克強総理は、1月19日国務院全体会議、20日専門学者・業界との座談会、21日教育・科学・衛生・スポーツと末端大衆代表との座談会、25日民主諸党派責任者・無党派人士との座談会をそれぞれ開催し、政府活動報告（意見徴求稿）を議論し、意見・建議を聴取した。また、26日には在中国外国専門家との座談・交流を実施した。

本稿では、各会議・座談会における李克強総理の発言の概要を紹介する。

1．国務院全体会議（1月19日）

国務院が全人代に活動を報告し、人民の監督を受けることは、憲法が規定する重要な職責である。

政府活動報告をしっかり起草して、民の声を聴き良い発言を受け入れ、人民大衆・市場主体・社会各界の強い関心に的確に応えることは、コンセンサスを凝集し、実際的な手段を多く考え、自信を奮い立たせ、2022年の政府各活動を一層しっかり推進することに有益である。

過去一年、わが国の発展環境は複雑・峻厳であり、多くのリスク・試練に直面したが、習近平同志を核心とする党中央の堅固な指導の下、各地方・各部門は党中央・国務院の政策決定・手配を真剣に貫徹し、堅塁攻略・難関克服において一連の新しい重大な成果を収めた。

疫病防御と経済社会の発展を統一し、マクロ政策の刷新・実施を通じて企業の困難緩和を助け活力を奮い立たせ、自然災害等の衝撃と経済運営の際立った矛盾に有力・有効に対応し、経済運営を合理的区間に維持し、年間の経済成長率を主要経済体の前列に立たせ、改革開放を深く推進し、雇用・物価の安定を維持し、民生保障で新たな成果を収め、年間の経済社会発展の主要任務をかなり好く達成し、第14次5カ年計画の良好なスタートを実現した。この成果を得ることは、殊に容易ではなかった。

自信を確固とすると同時に、存在する不足と直面する試練をはっきり認識しなければならない。

現在、わが国経済は新たな下振れ圧力に直面し、不確定要因が増大しており、努力して難関を乗り越え、「穏」（安定・穏健）の字を第一とし、成長の安定を更に際立てて位置づけなければならない。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、中央経済工作会議精神を真剣に貫徹し、内外情勢を科学的に検討・判断し、安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、新発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、新たな発展の枠組を早急に構築し、質の高い発展を推進しなければならない。中央と地方の2つの積極性を一層発揮させ、疫病防御と経済社会の発展を統一し、「6つの安定」（雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる）、「6つの保障」（庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障）政策を引き続きしっかり実施し、改革開放を深化させなければならない。周期を跨ぐ調節を強化し、マクロ政策の実施を顕著に強化し、「有効需要を奮い立たせ、供給の保障を強化し、市場の予想を安定させる」ことに有益な実際的で手堅い手段を打ち出さなければならない。発展と安全を統一し、リスクを有効に防止・解消し、マクロ経済の大基盤の安定に力を入れ、比較的十分な雇用を実現し、経済運営を合理的区間に維持しなければならない。

1－3月期の政策を確実にしっかり実施し、一年の良好なスタートを確保しなければならない。

各地方・各部門は責任感・緊迫感を増強し、経済社会発展の各政策を早く手配・配置し、企業とりわけ中小・零細企業と個人工商事業者の困難に対し一層支援を強化し、疫病の影響が大きく、雇用吸収が多い特殊困難業種に傾斜した支援政策を打ち出して実施し、重大工事・重点プロジェクトの建設を早急に推進し、有効需要と雇用を拡大し、石炭・電力・石油・ガスの市場調節と輸送の保障を強化しなければならない。

疫病防御・春節輸送の調整・祝日活動等を統一し、春節期間の食糧・食用油・肉・卵・牛乳・果物・野菜等の重要民生商品の供給を保障し価格を安定させる政策をしっかり実施し、出稼ぎ農民の賃金支払を保障し、被災者と困窮層の基本生活を保障し、ガバナンスの安全の潜在リスクを全面的に洗い出し、社会の平安・和やかさを維持しなければならない。

2．専門学者・業界との座談会（1月20日）

出席者がマクロ・コントロール、民営経済の発展促進、電力・石炭の安定供給の保障、家事サービスの発展、雇用促進等について、建議を提起した。李克強総理の発言の概要は、以下のとおりである。

21年は習近平同志を核心とする党中央の堅固な指導の下、各方面が共同努力し、わが国経済は回復・発展の勢いを維持し、都市新規就業者は1269万人となり、物価総水準の上昇幅はかなり低く、年間の発展の主要目標・任務はかなり良好に完成した。この成績を得ることは殊に容易ではなかった。

現在、内外発展環境は錯綜し複雑で、不確定要因が増大し、わが国経済は新たな下振れ圧力に直面し、難関を乗り越える重要な正念場にあり、自信を確固とするだけでなく、困難を正視し、各政策を着実にしっかり実施し、マクロ経済の大基盤を安定させなければならない。
　習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、中央経済工作会議精神を実施し、新発展理念を貫徹し、新たな発展の枠組を構築し、質の高い発展を推進し、「『穏』の字を第一とし、安定の中で前進を求める」ことを堅持しなければならない。マクロ政策を引き続き刷新・実施し、改革開放を深化させ、各方面の積極性を動員し、市場の活力を更に大きく奮い立たせ、有効需要を拡大し、リスクを有効に防止・解消し、経済運営を合理的区間に維持し、経済の長期安定的な運営を推進しなければならない。

マクロ政策の連続性・安定性を維持し、的確性を増強し、政策を合理的に強化し、区間コントロール・方向を定めたコントロールを重視しなければならない。

組合せ式の一定規模の減税・費用引下げ政策をしっかり実施し、更に多くの市場主体に実際の恩恵を享受させる。

財政力の末端への下方移転を推進し、減税・費用引下げ政策の実施を更にしっかり保障し、末端の基本民生・賃金・運営の保障をサポートする。

「バラマキ」を行わないことを堅持し、粗放式を行わず、流動性の合理的充足を維持し、総合的措置を採用して企業とりわけ中小・零細企業の資金調達コストを引き下げ、小型・零細企業向けインクルーシブファイナンス支援手段、「三農」支援、小型・零細企業支援再貸出等の政策をうまく用いて、実体経済への支援を強化する。

雇用優先を堅持し、市場化・社会化された雇用を引き続き促進する。

疫病の影響が大きく、雇用吸収が多く、民生に直接関わる特殊困難業種に対して、施策を分類して精確に支援し、その難関克服・回復・発展を助ける。

電力・石炭等のエネルギー供給を保障し、食糧生産を安定させる。

引き続き改革を深化させ開放を拡大し、市場の活力と発展の内生的動力を更に大きく奮い立たせなければならない。

2つの「いささかも揺るぐことなく」¹を堅持し、各種所有制企業の共同発展を促進する。

資源配分における市場の決定的役割十分発揮させ、政府の役割を更にしっかり発揮し、「行政の簡素化・権限の委譲、規制緩和と管理の結合、サービスの最適化」改革を引き続き深化させ、市場化・法治化・国際化したビジネス環境を早急に作り上げ、市場の監督管理を整備・強化し、独占と資本の無秩序な拡張に反対し、公平な競争を擁護する。

企業も製品・サービスの質を高め、市場に信頼されるブランドを作り上げ、自身の競争力を増強しなければならない。

経済成長に対する内需の牽引作用を更にしっかり発揮させ、政府投資によって社会（民間）投資をテコ入れして動かし、重点建設・民生プロジェクトの更に多くの実物成果量の形成を推進し、多くの措置を併せ打ち出して個人所得・消費能力を高め、消費の潜在力を発揮させる。

3．教育・科学・衛生・スポーツと末端大衆代表との座談会（1月21日）

7名の代表が意見建議を行った。李克強総理の発言の概要は以下のとおりである²。

2021年、習近平同志を核心とする党中央の堅固な指導の下、全国上下が共同で奮闘し、経済は回復・発展を維持し、各事業は新たな成果を収めた。

22年、わが国の発展は多くの困難・試練に直面しており、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、人民を中心とした発展思想を堅持し、末端・人民大衆の呼び声を広範に聴取し、各業種・各界の強い関心に応え、実際問題の解決を推進し、基本民生を保障し、共同で努力して経済社会の持続的で健全な発展を促進しなければならない。

（1）教育

教育は各家庭・国家の未来に関わり、義務教育への投入を引き続き増やし、義務教育教師の給与待遇をしっかり保障し、農村・山間地区・辺境地域の教学条件改善に力を入れ、子どもたちすべてに更に好い教育を受けさせ、教育の公平を促進しなければならない。

（2）科学技術

科学技術イノベーションを促進するには、基礎研究を強化すると同時に、応用研究と成果の実用化を支援しなければならない。政策は科学研究院（所）・大学・大企業向けだけではなく、中小・零細科学技術企業への支援を増やし、科学研究者の更に好いイノベーションを奨励し、成果の実用化を更に円滑にしなければならない。

（3）医療サービス

医療サービスはハイレベルの病院の難病重症克服を支援するだけでなく、引き続き末端を際立てて強化し、質の優れた医療資源の市・県への延伸を推進し、末端の医療従事者とりわけ100万人余りの村医の育成を強化し、先進的・成熟した診療プラン・技術を末端病院に普及させ、大衆に近場で更に好い医療サービスを享受させなければならない。

（4）市場主体の保障

市場主体の安定に力を入れなければならない。数が多く範囲が広い中小・零細企業と個人工商事業者は、成長安定・雇用促進・民生優遇のために重要な貢献を行っており、現在彼らは困難が多く、圧力が大きい。各レベル政府は、減税・費用引下げ等の政策を通じて、支援を強化しなければならない。

観光・レストラン・小売等のサービス業は雇用吸収が多く、多くの市場主体が特殊困難に直面しており、有力・有効な困難緩和政策を分類して実施し、彼らの難関克服、回復・発展に助力しなければならない。

4．民主諸党派責任者・無党派人士との座談会（1月25日）

李克強総理の発言の概要は以下のとおりである。

2021年、複雑・峻厳な内外情勢と多くのリスク・試練に直面し、習近平同志を核心とする党中央の堅固な指導の下、全国上下が団結し心を一つにして、堅塁を攻略し難関を克服し、経済社会の発展は新しい重大な成果を収め、第14次5カ年計画の良好なスタートを実現した。この成績を得ることは容易ではなかった。

2022年、わが国の発展の内外環境は極めて複雑であり、経済は新たな下振れ圧力に直面しており、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、「『穏』の字を第一とし、安定の中で前進を求める」ことを堅持し、新発展理念を貫徹し、新たな発展の枠組を構築し、質の高い発展を推進しなければならない。「6つの安定」「6つの保障」を軸にマクロ政策の実施を強化し、成長の安定を更に際立てて位置づけ、「バラマキ」を行わないことを堅持し、区間コントロール・方向を定めたコントロールを重視しなければならない。一定規模の組合せ式の減税・費用引下げ政策を実施し、中小・零細企業、個人工商事業者と特殊困難業種の困難緩和・発展を精確に支援し、製造業の研究開発・イノベーションを支援しなければならない。市場の自信を奮い立たせ、市場の予想を安定させ、改革開放を深化させ、市場の活力と発展の内生的動力を引き続き増強しなければならない。発展の中で民生を保障・改善し、マクロ経済の大基盤を安定させ、経済運営を合理的区間に維持しなければならない。

5．在中国外国専門家との座談・交流（1月26日）

李克強総理の発言の概要は以下のとおりである。

過去一年、複雑・峻厳な内外情勢とリスク・試練に直面し、習近平同志を核心とする党中央は、全国人民を団結・牽引して、堅塁を攻略し難関を克服し、中国経済社会の発展は新しい重大な成果を収めた。

我々は安定の中で前進を求めることを堅持し、「6つの安定」「6つの保障」政策を着実にしっかり実施し、マクロ政策は雇用優先を重視し、減税・費用引下げ等の政策の実施を強化し、市場主体の元気回復・活力増強を支援して、雇用・所得・基本民生を安定させた。

政策実施の程度を合理的に把握し、2022年の困難・試練に対応するために、政策の余地をあらかじめ残しておいた。

経済発展が新たな下振れ圧力に直面し、我々はマクロ政策の周期を跨ぐ調節を強化し、経済運営を合理的区間に維持する。

方向を定めたコントロールを強化し、有力・有効な措置を速やかに採用して困難・試練に対応し、市場の予想を安定させ、市場の自信を奮い立たせる。

企業の困難緩和支援を強化し、一定規模の組合せ式の減税・費用引下げ政策をしっかり実施し、企業とりわけ中小・零細企業の資金調達コストを引き続き引き下げ、多くの措置を併せ打ち出して有効需要を拡大し、困難が大きく雇用吸収が多い市場主体の難関克服を支援する。

改革を一層深化させ、ビジネス環境を不断に最適化し、各種所有制経済の共同発展を促進する。

対外開放は中国の基本国策である。我々は、更にハイレベルの対外開放を引き続き推進する。

労働力・人材資源の役割を更にしっかり発揮させ、各国専門家が中国で活動・生活するために更に多くの便宜を提供し、彼らの遭遇する困難・問題の解決を支援する。