はじめに

本稿では、9月26日の「2021中国民営企業500強サミット」における工業・情報化部徐暁蘭副部長の挨拶、「2021世界インターネット大会烏鎮サミット」における習近平総書記・劉鶴副総理の挨拶、30日の建国72周年招待会における李克強総理の挨拶の概要を紹介する。

9月26日　2021中国民営企業500強サミット

湖南省長沙市で開催された。テーマは「新たな発展の枠組の構築への民営企業パワーの貢献」であり、「2021中国民営企業500強」「2021中国製造業民営企業500強」「2021中国サービス業民営企業100強」のリストが発表され、中央統一戦線部、工業・情報化部、市場監督管理総局、国家農村振興局、全国工商聯、専門学者、中国民営企業500強代表が参加した。

工業・情報化部徐暁蘭副部長の挨拶の概要は、以下のとおりである。

党中央・国務院の堅固な指導の下、工業・情報化部は「6つの安定」（雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる）政策をしっかり実施し、「6つの保障」（庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障）任務を実施するという要求に基づき、関係部門と共に、民営企業の発展支援のための各方針・政策を実施し、民営企業の転換・グレードアップの加速とイノベーション・発展を促進している。

今後、ビジネス環境の最適化、民営企業のイノベーション・発展支援、イノベーションへのサービス水準の向上、大企業のリード・主導の役割の強化、質の優れた企業に傾斜した育成体系等の構築等の方面から政策を強化し、民営経済の持続的で健全な発展を推進する。

9月26日　2021世界インターネット大会烏鎮サミット

浙江省桐郷市烏鎮で開催された。テーマは「デジタル文明新時代――手を携えサイバースペース運命共同体を構築する」である。

（1）習近平国家主席の挨拶

デジタル技術は、新理念・新業態・新モデルにより、人類の経済・政治・文化・社会・生態文明建設の各分野・全プロセスに全面的に融け込み、人類の生産・生活に広範で深刻な影響をもたらしている。

現在、世界百年の変局と世紀の疫病が交錯・相乗しており、国際社会は手を携え、情報化・デジタル化・ネットワーク化・スマート化の発展趨勢に順応し、チャンスをしっかり掴み、試練に対応する切迫した必要がある。

中国は世界各国と共に、共同で人類のために進歩を図る歴史的責任を担い、デジタル経済の活力を奮い立たせ、デジタル政府の機能を増強し、デジタル社会の環境を最適化し、デジタル協力の枠組を構築し、デジタル安全障壁を牢固に築き上げ、デジタル文明により各国人民を幸福にし、人類運命共同体の構築を推進したいと願っている。

（2）劉鶴副総理の挨拶

習近平主席の祝辞は、グローバルな情報化発展の浪についての深刻な思考を十分体現したものであり、デジタル文明により各国人民を幸福にし、人類運命共同体の構築を推進しなければならないと強調しており、真剣に学習・貫徹実施しなければならない。

インターネットは不断に新たな境界を切り開いており、既に産業の発展・経済構造・社会生活・国際的枠組に深刻な影響を生み出している。

現在、インターネットの発展は全面浸透・業界を跨ぐ融合の新段階にまで飛躍しており、デジタル技術は生産関数を深く改造し、新業態を不断に創造して、各国のために新たな発展のチャンスをもたらしている。

科学技術が善い方へ向かうことは人類運命共同体の内在的要求であり、世界各国はインフラの安全・信頼性を共同で擁護し、科学技術の倫理を堅持し、インターネットの不法行為を取り締まり、真に公平な競争を保護しイノベーションを推進して、デジタル財産権を合理的に画定し、「ボーモル病」¹や「デジタルデバイド」を克服し、包摂的な成長を実現しなければならない。

中国のマクロ経済は総体として安定しており、リスクを管理・コントロールする経験と能力があり、発展の見通しは十分明るく、改革開放と質の高い発展を断固推進し、新しいタイプのインフラ建設の強化に力を入れ、ソフト産業の発展を推進し、市場化・法治化・国際化したビジネス環境を引き続き整備し、ハイレベルの対外開放を拡大し、「2つのいささかも揺るがない」²を堅持し、民営経済の健全な発展を支援し、企業家のイノベーション・起業を支援し、インターネットとデジタル経済の健全な発展を支援する。

9月30日　建国72周年招待会

李克強総理の挨拶の経済部分の概要は以下のとおりである。

今年、我々は中国共産党創立100周年を盛大に慶祝した。

中国共産党の指導の下、全国各民族・人民は団結奮闘し、新中国72年の発展成果は世界の注目を集め、とりわけ小康社会の全面実現という第1の百年奮闘目標を期限どおり実現し、社会主義現代化国家を全面建設する新たな征途を開いた。

今年は、第14次5カ年計画のスタートの年であり、習近平同志を核心とする党中央の堅固な指導の下、全国上下が疫病防御と経済社会発展を統一し、複雑・峻厳な国際環境と疫病・洪水・冠水災害等の多重の試練に有力に対応し、不断に改革開放を深化させ発展動力を増強し、マクロ政策を有効に実施して企業の困難緩和を助け、起業・イノベーションを積極的に推進して新動力エネルギーを壮大にした。中国経済は、引き続き回復・発展し、強靭性と巨大な潜在力を示し、スポーツ健児はオリンピック・パラリンピック・全国運動大会で勇んで優れた成績を収め、人民の生活は不断に改善され、各事業は新たな進歩を得て、新たな様相を示した。

我々が前進する道には、なお多くの困難・試練があり、第2の百年奮闘目標の実現に向けて邁進することは任が重く道は遠いが、発展は中国のすべての問題を解決する基礎・カギである。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、新たな発展段階に立脚し³、新発展理念を貫徹し、新たな発展の枠組を構築し、質の高い発展を推進するという要求を貫徹し、常態化した疫病防御にしっかり取り組み、周期を跨ぐ調節を強化し、引き続き市場主体の需要を軸にマクロ政策を実施し、合理的な予想を安定させ、科学技術イノベーション・内需拡大・農村振興等の重点政策にしっかり取り組み、発展の安定性・協調性を増強し、グリーン・安全な発展能力を高め、経済運営を合理的区間に維持し、中国経済が長期に好い方へ向かうよう促進しなければならない。

改革開放は中国の基本国策であり、今後中国の発展を推進する根本動力でもある。

改革を全面深化し、重要分野とカギとなる部分の改革で、新しい更に大きな進展を得なければならない。

社会主義市場経済改革の方向を堅持し、「2つのいささかも揺るがない」を堅持し⁴、各方面の積極性を十分動員して、市場化・法治化・国際化したビジネス環境を作り上げ、市場主体を壮大に育成し、各種市場主体を同じに見なし、公平な競争を擁護し、財産権・知的財産権を保護し、市場の活力と社会の創造力を更に大きく奮い立たせる。

ハイレベル・制度型の対外開放を推進し、国際協力を拡大し、協力・相互の学び合いを深化させ、互恵・ウインウインの空間を拡大する。

民の望むところが、施政の向かうところである。

力を尽くして行い、力量を慮って実行し、更に親しみを込めて策を実施し、大衆の望む事柄にしっかり取り組まなければならない。

雇用は最大の民生であり、更に多くの措置を併せ打ち出して雇用を増やし、市場化した雇用ルートを開拓しなければならない。

脱貧困堅塁攻略の成果を強固にして拡大し、脱貧困地域の発展を引き続き推進する。

高齢者介護・医療・住宅は億万の家庭に関わるものであり、これらの基本民生の保障で年々進歩がなければならない。

出産・養育・教育の負担軽減に努力する。

機会の公平を促進し、起業・イノベーション・創造を奨励し、労働・奮闘の中で都市・農村住民の増収を促進し、不断の発展の中で民生福祉を増進しなければならない。

注

1. 「ボーモルのコスト病」ともいい、資本集約型の部門に比べ、労働集約型の部門（芸術・大学・病院・行政）の生産性は容易に上昇しないことを指す。
2. ①いささかも揺るぐことなく公有制経済を打ち固め、発展させなければならない。 ②いささかも揺るぐことなく非公有制経済の発展を奨励し、支援し、導かなければならない。
3. 「新たな発展段階」が復活した。
4. これを強調するのが、最近の傾向である。