田中 修

中国経済レポート

第14次5カ年計画の重大プロジェクト

新領域研究センター 田中 修

2021年6月11日


はじめに

李克強総理は6月9日、国務院常務会議を開催し、第14次5カ年計画「要綱」が確定した重大プロジェクトの実施推進を手配した。本稿では、会議の概要を紹介する。

第14次5カ年計画「要綱」は、戦略性・基礎性・牽引性を備えた重大プロジェクトを確定した。これは科学技術の難関攻略、インフラ、生態環境建設、民生の不足部分の補充補強、文化の伝承・発展等の重点分野に及ぶものである。

各地方・各部門は、党中央・国務院の手配に基づき、プロジェクトの実施準備に順序立ててしっかり取り組み、支援政策をしっかりときめ細かくし、大部分のプロジェクトは続々と始動している。

現在、内外環境の不確定・不安定要因がかなり多く、「バラマキ」を行わないことを堅持し、マクロ政策の連続性・安定性を維持し、的確性を増強して、経済運営を合理的区間に維持しなければならない。

経済ルールを尊重し、市場化の原則を遵守し、基盤の強化・機能の増強・長期的利益・民生優遇・リスク防止を統一して、重大プロジェクトの建設を推進し、消費の基礎的役割をよく発揮させると同時に、有効な投資のカギとなる役割を更に好く発揮させなければならない。

(1)前段階の作業を強化する

第14次5カ年計画の重大プロジェクトを具体的なプロジェクトとして実施し、各分野の計画に優先的に組み入れ、実施方案を科学的に制定し、年ごとに順序立てて推進し、着工・稼働・蓄積の良性の循環を形成する。

①単体の重大プロジェクトについては、順序を逆にして重要ポイントを建設しなければならない。

②数が多く分野が広いパッケージ化されたプロジェクトについては、重点を際立たせ、実効を追求しなければならない。

③建設の難度が大きく、生態環境保護の要請が高い重大プロジェクトについては、実地調査、方案の比較選択、実行可能性の検討を深めなければならない。

(2)中長期と年度の経済運営を統一する

重大プロジェクトの建設推進を重点とし、政策支援と生産要素の保障を強化し、今年・来年の投資の程度を合理的に把握し、情勢の変化に応じて適時合理的に調整する。

(3)政府と市場の関係をうまく処理する

「行政の簡素化・権限の委譲、緩和と管理の結合、サービスの最適化」改革を深化させ、審査・認可手続を最適化し、不必要な審査・認可を減らし、プロジェクトのできるだけ早い着工、資金の効率の高い使用を保証する。

(4)中央予算内投資、地方政府特別債等の政府投資の牽引作用を発揮し、更に市場主体・社会(民間)パワーを十分動員して重大プロジェクトに参加させる
(5)監督・指導の協調を強化する

実務に真剣に取り組み、成果が顕著な地方への奨励・支援を強化し、プロジェクトの推進が力不足の地方については督促を強化し、建設中の問題を速やかに解決する。

監督を強化し、プロジェクト建設の質を確保する。