新5カ年計画要綱の準備(5)

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2021年3月4日


はじめに

2月26日、習近平総書記は中央政治局会議を主催し、「第14次5カ年計画と2035年長期目標要綱」草案、「政府活動報告」草案を審議した。本稿では、会議の概要を紹介する。

第13次5カ年計画期間、わが国経済社会の発展は世が注目する成果を得た。

錯綜し複雑な国際情勢、非常に困難・繁雑で荷が重い国内の改革・発展・安定任務とりわけ新型コロナ肺炎疫病の深刻な衝撃に直面し、わが党は初心を忘れず、使命をしっかり胸に刻んで、全党・全国各民族人民を団結させ、鍛錬・前進、開拓・イノベーションをリードし、党と国家の各事業で奮発して成果を上げるよう推進した。

5年の継続奮闘を経て、第13次5カ年計画の主要目標・任務は勝利のうちに達成し、小康社会の全面建設は偉大な歴史的成果を得、脱貧困堅塁攻略は全面勝利を得た。経済運営は総体として平穏であり、経済構造は引き続き最適化され、生態環境は顕著に改善され、対外開放は引き続き拡大し、人民の生活水準は顕著に高まり、わが国の経済実力・科学実力・総合国力は新たに大きな段階に飛躍し、中華民族の偉大な復興は新たに大きな一歩を踏み出した。

このことは、中国共産党の指導と中国の特色ある社会主義制度の優位性を十分示しており、全党全国各民族人民が努力を重ねて、第2の百年奮闘目標の実現に向けて引き続き奮闘・前進することを激励するものである。

第14次5カ年計画期間は、わが国が小康社会を全面実現し、第1の百年奮闘目標を実現した後、勢いに乗じて上昇し、社会主義現代化国家を全面建設する新たな征途を開き、第2の百年奮闘目標に向け進軍する最初の5年である。

党の指導の下、中国の特色ある社会主義制度の優位性をしっかり発揮し、「第14次5カ年計画と2035年長期目標要綱」を科学的に編成して実施することは、小康社会の全面実現と脱貧困堅塁攻略の成果を強固にして拡大し、社会主義現代化国家全面建設の新たな征途を開くことにとって、重大な意義を有する。

第14次5カ年計画期間、中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を卓掲げ、19回党大会・2中全会・3中全会・4中全会・5中全会精神を深く貫徹し、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、「三つの代表」重要思想、科学的発展観、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、党の基本理論・基本路線・基本方略を全面貫徹しなければならない。経済建設・政治建設・文化建設・社会建設・生態文明建設の総体配置を統一的に推進し、社会主義現代化国家の全面建設・改革の全面深化・全面的な法に基づく国家統治・全面的に厳しい党内統治の戦略的手配を協調推進しなければならない1。「イノベーション・協調・グリーン・開放・成果を共に享受」の新発展理念を断固貫徹し、安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、質の高い発展の推進をテーマとし、サプライサイド構造改革の深化を主線とし、改革・イノベーションを根本動力とし、人民の日増しに増大する素晴らしい生活への需要を満足させることを根本目的としなければならない。発展と安全を統一し、現代化した経済システムを早急に建設し、「国内大循環を主体とし、国内・国際2つの循環が相互促進する新たな発展の枠組」を早急に構築し、国家ガバナンスメカニズムとガバナンス能力の現代化を推進し、経済運営の長期安定、社会の安定・調和を実現し、社会主義現代化国家の全面建設のために良好なスタートを歩み出さなければならない。

第14次5カ年計画要綱草案を全人代の審査・全国政協の討論に回すプロセスにおいては、十分民主を発揚し、衆知を集めて有益な意見を吸収し、計画要綱を確実にしっかり制定し、計画要綱を更に好く実施するために堅実な基礎を打ち固めなければならない。

現在、新型コロナ肺炎疫病はなお世界に蔓延し、国際情勢における不安定・不確定要因が増大しており、わが国経済の回復の基礎はなお堅固ではなく、経済社会の発展は依然として少なからぬ困難・試練に直面している。

今年の政府活動をしっかり行うには、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、新たな発展段階に立脚し、新発展理念を貫徹し、新たな発展の枠組を構築し、システムの概念を堅持しなければならない。疫病防御と経済社会発展の成果を強固にして拡大し、発展と安全を更に好く統一し、「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる)政策を着実にしっかり実施し、「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障)任務を全面実施しなければならない。マクロ政策を科学的・精確に実施し、経済運営を合理的区間に維持するよう努力し、内需拡大戦略を堅持し、科学技術戦略のサポートを強化し、ハイレベルの対外開放を拡大し、社会の調和・安定を維持し、第14次5カ年計画のスタート・良好な歩み出しを確保して、卓越した成績をもって中国共産党成立100周年を慶祝しなければならない。

2021年の経済社会発展目標・任務を実現するには、疫病防御と経済社会発展を更に好く統一し、マクロ政策の連続性・安定性・持続可能性を維持しなければならない。

積極的財政政策は質と効率を高め、更に持続可能にしなければならない。穏健な金融政策は柔軟・正確、合理的・適度にしなければならない。雇用優先政策は、引き続き強化し、力を集めて効率を上げなければならない。

重点分野の改革を深く推進し、イノベーションに依拠して実体経済の質の高い発展を推進し、内需拡大という戦略的基点を堅持し、農村振興戦略を全面実施し、ハイレベルの対外開放を実行し、汚染対策と生態建設を強化し、民生福祉を確実に増進しなければならない。

政府自身の建設を強化し、形式主義・官僚主義を強く戒めなければならない。

  1. 「四つの全面」の中身が「小康社会の全面実現」から「社会主義現代化国家の全面実現」に入れ替わっている。