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研究者のご紹介

1月の主要経済指標

中国経済レポート

 

新領域研究センター 田中 修

2021年2月26日


(1)物価
①消費者物価

1月の消費者物価は前年同月比0.3%下落し、プラスからマイナスに転じた。都市は0.4%下落、農村は0.1%下落である。食品価格は1.6%上昇し(12月は1.2%)、非食品価格は0.8%下落(12月は0.0%)した。衣類は0.2%下落、居住価格は0.4%下落した1

(参考)(2017年1.6%)→(2018年2.1%)→(2019年2.9%)→(2020年2.5%)→20年6月2.5%→7月2.7%→8月2.4%→9月1.7%→10月0.5%→11月-0.5%→12月0.2%→21年1月-0.3%

前月比では、1.0%上昇(12月は0.7%)だった。食品価格は4.1%上昇(12月は2.8%)した。食品・タバコ・酒価格は12月より2.8%上昇し、物価への影響は約0.80ポイント、うち生鮮野菜は19.0%上昇(12月は8.5%)し、物価への影響は約0.40ポイント、卵価格は9.4%上昇し、物価への影響は約0.06ポイント、食糧は0.3%上昇、物価への影響は約0.01ポイントであった。畜肉類価格は3.7%上昇し、物価への影響は約0.16ポイント(豚肉価格は5.6%上昇、物価への影響は約0.12ポイント)であった。水産品価格は3.3%上昇、物価への影響は約0.06ポイント、果物価格は2.3%上昇し、物価への影響は約0.04ポイントであった。非食品価格は0.3%上昇(12月は0.1%)で、衣類は0.4%下落(12月は0.0%)、居住価格は0.1%上昇(12月は0.1%)であった。

食品・エネルギーを除いた消費者物価(コア消費者物価)は、1月が前年同月比0.3%下落(12月は0.4%)、前月比では0.1%上昇(12月は0.0%)である2

なお、1月の前年同月比0.3%下落のうち食品・タバコ・酒価格は1.4%上昇し、物価への影響は約0.41ポイントとなり、このうち畜肉類価格は0.4%下落、物価への影響は約-0.02ポイント(豚肉価格は-3.9%、物価への影響は約-0.09ポイント)である。このほか果物価格は1.3%上昇し、物価への影響は約0.02ポイント、生鮮野菜価格は10.9%上昇、物価への影響は約0.24ポイント、卵価格は1.2%上昇、物価への影響は約0.01ポイント、水産品価格は0.2%上昇である。食糧価格は1.6%上昇、物価への影響は約0.03ポイントであった。

また1月の0.3%下落のうち、前年の価格上昇の本年への影響は約-1.3ポイント、新たなインフレ要因は約1.0ポイントである。

なお、国家統計局都市司の董莉娟高級統計師は、「CPIの前月比上昇幅が12月より0.3ポイント拡大した背景として、1)一部地域で気温低下と雨雪の天気が出現した影響を受け、生鮮野菜の生産・貯蔵・輸送コストが上昇した、2)雌鶏のストックがある程度低下し、加えて疫病の影響を受け、一部の鶏卵価格が上昇した、3)春節前の消費需要の増加、飼料コストの上昇等の影響を受け、豚肉・牛肉・羊肉価格が上昇した、4)国際原油価格の変動の影響を受けて、ガソリン価格が4.2%上昇し、ディーゼル油価格が4.6%上昇し、液化石油ガスが5.0%上昇した。

また、前年同期比でプラスからマイナスに転じた背景として、1)生鮮野菜の上昇幅が拡大し、豚肉価格の下落幅が拡大し、鶏卵・鶏肉・鴨肉価格の下落幅が縮小した、2)交通通信価格が4.6%下落し、居住価格が0.4%下落し、医療保健価格が0.4%上昇した、3)昨年の春節は1月で、疫病の影響が顕在化しておらず、サービス価格がかなり上昇した。今年の春節は2月で、局部で疫病が散発している影響から、1月の庶民の旅行といくらかの接触式サービス消費が減少し、旅行関係サービス価格(航空券代・旅行会社手数料)の前年同期比がかなり下落し、その他のサービス価格(美容院・理髪、家事サービス)もある程度下落した」としている。

②工業生産者出荷価格

1月の工業生産者出荷価格は前年同月より0.3%上昇した。前月比では12月より1.0%上昇(12月は1.1%)した。

(参考)(2017年6.3%)→(2018年3.5%)→(2019年-0.3%)→(2020年-1.8%)→20年6月-3.0%→7月-2.4%→8月-2.0%→9月-2.1%→10月-2.1%→11月-1.5%→12月-0.4%→21年1月0.3%

1月の工業生産者購入価格は、前年同月比0.9%上昇(12月は0.0%)であった。前月比では12月より1.4%上昇(12月は1.5%)した。

また1月の0.3%上昇のうち、前年の価格上昇の本年への影響は約-0.7ポイント、新たなインフレ要因は約1.0ポイントである。

なお、国家統計局都市司の董莉娟高級統計師は、「前月比で12月より上昇幅が0.1ポイント縮小した背景として、1)最近の国際原油価格が継続上昇し、石油・天然ガス採掘業価格、石油・石炭その他燃料加工業、化学原料・化学製品製造業の上昇幅が拡大し、合計でPPIを約0.36ポイント押し上げた、2)需給の改善、コストの上昇で、鉄金属精錬・圧延加工業、非鉄金属精錬・圧延加工業価格が上昇し、合計でPPIを約0.29ポイント押し上げた、3)年初に寒波・低温天気が頻発し、加えて工業生産が安定的に伸び、庶民の暖房用・工業用電力需要が大幅に増加し、石炭採掘・洗浄業価格が上昇した、4)暖房需要が天然ガス生産・供給業価格の上昇をも牽引した。

また、前年同月比の下落幅が12月のマイナスからプラスに転じた背景として、1)鉄金属精錬・圧延加工業、石炭採掘・洗浄業、非鉄金属精錬・圧延加工業価格の上昇幅が拡大し、2)石油・天然ガス採掘業、石油・石炭その他燃料加工業価格の下落幅が縮小し、3)化学原料・化学製品製造業価格が横ばいから上昇に転じた」としている。

③住宅価格

1月の全国70大中都市の新築分譲住宅販売価格は前月比14都市が低下(12月は22)し、同水準は3(12月は6)であった。上昇は53である(12月は42)。

前年同月比では、価格が下落したのは10都市(12月は10)であった。同水準は1(12月は0)、上昇は59(12月は60)である。

国家統計局都市司の縄国慶高級統計師は、「不動産市場の運営は総体として平穏であり、各線都市の分譲住宅価格の前月比上昇幅は12月よりある程度拡大し、前年同月比上昇幅は拡大しているものもあれば、縮小しているものある。

前月比では、70大中都市のうち、4の一線都市の新築分譲住宅価格は12月から0.6%上昇し、上昇幅は12月より0.3ポイント拡大した。うち北京は0.5%上昇、上海は0.6%上昇、広州は1.0%上昇、深圳は0.3%上昇であった。31の二線都市の新築価格は0.4%上昇し、上昇幅は12月より0.3ポイント拡大した。35の三線都市の新築価格は0.2%上昇し、上昇幅は12月より0.1ポイント拡大した。

前年同月比では、70大中都市のうち、一線都市の新築価格は4.2%上昇し、上昇幅は12月から0.3ポイント拡大した。二線都市の新築価格は4.1%上昇し、上昇幅は12月より0.1ポイント拡大した。三線都市の新築価格は3.3%上昇し、上昇幅は12月より0.2ポイント縮小した」と指摘している。

(2)対外経済
①外資利用

1月の外資利用実行額は916.1億元(ドル換算134.7億ドル)、前年比4.6%増(ドル換算6.2%)であった3

(参考)(2017年7.9%)→(2018年0.9%)→(2019年5.8%)→20年1-6月-1.3%→1-7月0.5%→1-8月2.6%→1-9月5.2%→1-10月6.4%→1-11月6.3%→2020年6.2%4→21年1月4.6%

1月のサービス業の外資利用は684.6億元、前年比11%増で、外資全体の74.7%を占めている。

地域別では、日本27.6%増、EU11%増である。

②外貨準備

1月末、外貨準備は3兆2106億ドルであった。12月末に比べ59億ドルの減少(12月は380億ドル増)で、3カ月ぶりに減少に転じた。国家外貨管理局は、米ドルの上昇による主要国の金融資産価格の下落などが影響したとしている。

③米国債保有

 12月末の米国債保有高は、前月比15億ドル減の1兆615億ドルで、2位。19カ月連続1位の日本は、40億ドル減の1兆2568億ドルである。

(3)金融

1月末のM2の残高は221.3兆元、伸びは前年同期比9.4%増と、12月末より0.7ポイント減速、前年同期より1ポイント加速した。M1は14.7%増で、12月末より6.1ポイント加速、前年同期より14.7ポイント加速した。1月の現金純放出は5310億元であった。

人民元貸出残高は176.32兆元で前年同期比12.7%増であり、伸び率は12月より0.1ポイント減速、前年同期より0.6ポイント加速した。1月の人民元貸出増は3.58兆元(12月は1.26兆元)で、前年同期より伸びが2252億元増加している。うち住宅ローンは1.27兆元増、企業等への中長期貸出は2.04兆元増であった。

人民元預金残高は216.14兆元で、前年同期比10.4%増であった。1月の人民元預金は3.57兆元増(12月は2093億元増)で、前年同期より伸びが6245億元増加している。うち個人預金は1.48兆元増、企業預金は9484億元増であった。

(参考)M2 :2017年12月8.1%→18年12月8.1%→19年12月8.7%→20年6月11.1%→7月10.7%→8月10.4%→9月10.9%→10月10.5%→11月10.7%→12月10.1%→21年1月9.4%  

1月末の社会資金調達規模残高は289.74兆元であり、前年同期比13%増となった。うち、実体経済への人民元貸出残高5は175.41兆元、13.1%増、委託貸付残高は11.05兆元、-3.5%、信託貸付残高は6.28兆元、-16.2%、企業債券残高は27.83兆元、16.3%増、政府債券残高46.29兆元、20.3%増6、株式残高は8.35兆元、12.5%増である。

構成比では、実体経済への人民元貸出残高は60.5%(前年同期比0.0ポイント)、委託貸付残高は3.8%(同-0.7ポイント)、信託貸付残高は2.2%(同-0.7ポイント)、企業債券残高は9.6%(同0.3ポイント増)、政府債券残高は16%(同1ポイント増)、株式残高は2.9%(同0.0ポイント)である。

1月の社会資金調達規模のフローは5.17兆元で、前年同期より1207億元増加した。うち、実体経済への人民元貸出は3.82兆元増(伸びが前年比3258億元増)、委託貸付は91億元増(伸びが117億元増)、信託貸付は842億元減(減少が1274億元増)、企業債券純資金調達3751億元(216億元減)、政府債券純資金調達2437億元(5176億元減)、株式による資金調達は991億元(382億元増)である。

(4)財政

1月末の地方政府債務残高は26兆208億元。うち、一般債務は12兆9495億元、特別債務は13兆713億元である。なお、1月に発行した債券は3623億元(うち一般債券2127億元、特別債券1496億元)、全部再資金調達債券である。

  1. 国家統計局によれば、2011年のウエイト付け改定で、居住価格のウエイトは20%前後になったとしている。
  2. コア消費者物価は2013年から公表が開始された。
  3. 伸びは人民元ベースである。
  4. ドルベースでは、(2017年4%)→(2018年3%)→(2019年2.4%)→20年1-6月-4%→1-7月-2.3%→1-8月-0.3%→1-9月2.5%→1-10月3.9%→1-11月4.1%→2020年4.5%→21年1月6.2%である。
  5. 一定期間内に実体経済(非金融企業と世帯)が金融システムから得た人民元貸出であり、銀行からノンバンクへの資金移し替えは含まない。
  6. 2019年1月から、国債と地方政府一般債券を統計に組み入れ、これまでの地方政府特別債券と併合し「政府債券」とした。