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研究者のご紹介

新型肺炎とマクロ政策(53)

中国経済レポート

 

新領域研究センター 田中 修

2020年10月13日


はじめに

本稿では、10月9日の国務院常務会議、10日の2020年秋学期中央党校(国家行政学院)中年・青年幹部研修班の開業式における習近平総書記の重要講話の概要を紹介する。

10月9日 国務院常務会議
(1)雇用安定政策

雇用をしっかり安定させることによって、経済の基盤をしっかり安定させることができる。

党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、今年に入り各地方・各関係部門は、雇用優先を堅持し、雇用安定措置の実施にしっかり取り組み、1-8月の都市新規就業者増は累計781万人であり、都市調査失業率は2月のピークから徐々に低下している。しかし、現在雇用保障は、なお大きな圧力に直面している

①引き続き市場主体を保障し、雇用・ポストを安定させなければならない。

企業の困難緩和への援助と就業・起業支援政策の実施にしっかり取り組み、負担軽減・雇用安定・雇用拡大措置を整備し、ダメージが大きく、生産経営の回復が遅い中小・零細企業、困難業種に対し、支援を増やす。

②重点層の雇用に、際立ててしっかり取り組まなければならない。

大学卒業生の就業・起業推進キャンペーンと技能訓練を展開し、就労能力を高め、市場による就職ルートを開拓し、未就職の卒業生に対し切れ目のないサービスをしっかり行う。

出稼ぎ農民への就職サービスと起業支援を増やし、仕事を与えることによって金銭支援に代える建設分野と実施範囲を拡大する。

困窮者への就労援助を強化する。被災者・漁をやめた漁民・障害者等の雇用対策を統一的にしっかり行う。

③雇用の潜在力を更に大きく発揮させなければならない。

職業技能向上キャンペーンを引き続き実施する。各方面の責任を徹底させ、柔軟な就労の発展を奨励し、多くの措置を併せ打ち出してポストを増やす。

(2)新エネルギー車産業の発展

産業のグレードアップ傾向とグリーン消費の新たな需要に適応し、「新エネルギー車産業発展計画」を承認し、資源配分における市場の決定的役割を十分発揮させ、技術路線の選択等の方面における企業の主体的地位を強化し、基準・法規の制定、品質・安全監督管理等の方面における政府の役割を更に好く発揮させることを明確にした。

新エネルギー車産業の秩序立った発展を誘導し、全国統一市場の確立を推進し、産業の集中度と市場の競争力を高める。このため、

①カギとなる技術の難関攻略を強化し、車の操作システム・動力電池等の開発・イノベーションを奨励しなければならない。

新エネルギー自動車と、エネルギー・交通・情報通信等の産業との深い融合を支援し、電動化とコネクテッド化(ネットワーク接続)・インテリジェント化技術の相互融合・協同発展を推進し、基準とのマッチングとデータ共有を推進する。

②充電・電池交換、水素ステーション等のインフラ建設を強化し、急速充電を主とする高速道路と都市・農村公共充電ネットワークを早急に形成しなければならない。

公共施設として充電スタンドを建設した場合に、財政支援を与える。電池交換モデルの応用を奨励する。

③新エネルギー車の分野の国際協力を奨励しなければならない。

④公共サービス分野で新エネルギー車を使用した場合の政策支援を増やさなければならない。

2021年から、国家生態文明試験区、大気汚染対策重点地域において、公共交通機関・タクシー・物流配送等の公共分野の車両を新たに増やし、あるいは更新する場合は、新エネルギー車の割合が80%を下回ってはならない。

(3)広東・香港・マカオ大ベイエリアの税制優遇策

広東・香港・マカオ大ベイエリア建設への支援を増やし、よりハイレベルの対外開放を推進するため、2020年10月1日から23年12月31日まで、南沙自由貿易エリアにおいて国際海運保険業務を展開する場合には、一定の税制優遇を与える。

2020年10月1日から、珠江デルタ9市37港を積出港とし、南沙保税港区と前海保税港区を域外への積出港として、水運貨物に対する税還付政策を実施し、国内貨物の積出・輸出については直ちに税還付を認めて、企業の資金コストを減らす。

10月10日 2020年秋学期中央党校(国家行政学院)中年・青年幹部研修班の開業式における習近平総書記の重要講話

経済関連部分は、以下のとおりである。

歴史は常に問題を不断に解決する中で前進する。人民が革命を行い、建設を行い、改革に取り組むことを、わが党が指導してきたのは、すべてわが国の実際の問題を解決するためである。

実際の問題を解決する能力を高めることは、当面の複雑な情勢に対応し、非常に困難な任務を達成するための切迫した需要であり、若手幹部が成長するための必然的要求でもある。

我々は危機の中で他に先んじるチャンスを育て、変局の中で新たな局面を開かなければならない。幹部とりわけ若手幹部は、政治能力、調査研究能力、科学的な政策決定能力、改革の堅塁攻略能力、突発事件への緊急処理能力、大衆への工作能力、実施に取り組む能力を高め、大胆に問題に直面し、仕事を考え、仕事ができ、仕事を成し遂げ、不断に問題を解決し、難題を解決しなければならない。

18回党大会以降、党と国家事業は歴史的な成果を得て、歴史的な変革が発生したが、中でも重要な経験は、すなわち問題志向を堅持し、実際の問題の解決を、活動局面を打開するブレークスルーとすることである。

現在世界は百年未曾有の大変局を経ており、外部環境は更に多くの不安定性・不確定性が出現している。2021年、我々は第14次5カ年計画期間に入り、社会主義現代化国家を全面的に実現する新たな征途をスタートする。

新たな発展段階に入り、新発展理念を貫徹し、新たな発展の枠組みを構築する際に、解決が必要な問題はますます多様となり、ますます複雑となる。わが国が引き続き発展することは、多くの方面で優位性・条件を備えているが、発展がアンバランス・不十分という問題が依然として際立っている。

新型コロナ肺炎の疫病対策闘争は、重大な戦略的成果を得たが、小康社会の全面実現の決勝、脱貧困堅塁攻略の決戦、「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる)政策の着実な実施、「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障する)任務の全面実施で、全面勝利を奪取するには、なお引き続き努力を払う必要がある。

(中略)

若手幹部は、改革の堅塁攻略能力を高めなければならない。

未来に向かって、我々は党・国家の各活動を全面推進し、とりわけ新発展理念を貫徹し、質の高い発展を推進し、新たな発展の枠組みを構築し、引き続き時代の前列を歩むには、依然として改革の全面深化によって、動力を増し、ブレークスルーを求めなければならない。

改革は勇気と決意を要し、非常に困難であればあるほど、更に前に進む剛健さ・勇気・意志の強さを維持しなければならない。仕事への情熱と科学的精神を結びつけ、打ち出した各政策措置を客観ルールに合致させ、政策の必要に合致させ、大衆の利益に合致させなければならない。

改革の堅塁攻略には正確な方法を要し、「思考を刷新し、問題に従って歩み、問題に向けてまっしぐらに進み、変化を正確に認識し、変化に科学的に対応し、主動的に変化を求める」ことを堅持し、ルールを把握する基礎の上で変革・イノベーションを実現しなければならない。

大衆のパイオニア精神を尊重し、トップダウン設計の強化と計略を人民に問うことの堅持を統一し、色鮮やかで生き生きとした末端の実践の中から知恵を汲み取らなければならない。

系統性・全体性・協同性の増強を重視し、各改革措置を相互に協調させ、相互に促進し、相互にはっきりと効果を上げなければならない。

若手幹部は、突発事件への緊急処理能力を高めなければならない。

リスクの事前判断は、リスク防止の前提であり、リスク動向の把握は、戦略的な主動権を求めるためのカギである。リスク意識を増強し、先手を打ち、主動的に激戦をしっかり戦い、各種リスク・試練に随時対応する準備をしっかり行わなければならない。

努力して政策分野のプロとなり、突発事件の緊急処理の見識・胆力を不断に高め、発生する可能性のある各種試練・リスクに対して、精通し自信があり、分類して施策を行い、精確に爆弾処理し、局面・情勢を有効に掌握・コントロールし、危機を解消しなければならない。

リスク対応の実践と緊密に結びつけて、政策と体制メカニズムの遺漏を洗い出し、適時整備しなければならない。

若手幹部は、大衆への工作の能力を高めなければならない。

大衆から出でて、大衆に帰することを堅持し、真に大衆の心に寄り添う人とならねばならない。大衆を心にとめ、常に大衆の安否・冷暖に心を用い、党中央の各人民優遇政策を真剣に実施し、小事を大事として処理し、大衆の「差し迫った、困難な、心配な、待ち望む」問題を確実に解決しなければならない。

全人民の共同富裕を段階的に実現することに関する党中央の要求を実施し、大衆が「刻苦奮闘し、勤労により富裕に至る」よう牽引し、所得、雇用、教育、社会保障、医療保障、医薬・衛生、住宅等の方面で不断に実際の成果を得なければならない。

大衆への宣伝・大衆の教育に注意を払い、大衆に歓迎され、受け容れられやすい方法を用いて政策を展開し、大衆の思想・覚悟を強化し、彼らの心を熱くして行動させなければならない。

法治思考と法治方式を自覚的に運用して改革を深化させ、発展を推進し、矛盾を解消して、社会の公平・正義を擁護しなければならない。

若手幹部は実施への取組み能力を高めなければならない。

事業を形だけ行ってはならず、地に足を着けて、政策実施の取組みはトップダウンで、実務に励まなければならない。とりわけ指導幹部は、皆を一緒に率いて大方針を定め、路線を明らかにし、方策を切り開くのみならず、重要任務を自ら手配し、カギとなる部分を自らしっかり把握し、実施情況を自ら監査しなければならず、お高くとまって、そびえ立ち、指揮だけとって出征しないことがあってはならない。

事業を行うには、念には念を入れる精神で、しっかりと実績を残し、一歩一歩足場を固めて前進し、困難を一つ一つ乗り越え、難題の解消を通じて活動の新局面を不断に切り拓かなければならない。

我々は、大いになすべきことのある新たな時代にあり、若手幹部は進んでこれを実行し、大胆にチャレンジして重責を担い、新時代の中国の特色ある社会主義の偉大な実践に積極的に身を投じて、困難を経て世間を知り、真剣に能力を練磨し、しっかりとした腕前で成果を示さなければならず、使命を辱めてはならない。

各レベル党組織は若手幹部に対する思想鍛錬・政治鍛錬・実践鍛錬・専門訓練を的確に強化し、若手幹部育成の正確な方途を明確にし、幹部育成における形式主義を断固克服して、彼らの実際の問題を解決する能力を高め、新時代の職責・使命を更に好く彼らの肩に担わせなければならない。