新型肺炎とマクロ政策(46)

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2020年9月8日


はじめに

本稿では、8月27日の全国社会救済連合会議ビデオ全体会議、9月2日の国務院常務会議の概要を紹介する。

8月27日 全国社会救済連合会議ビデオ全体会議

李克強総理が、次の指示を行った。

社会救済は、危機支援・困窮救済、緊急救難の最低ラインを保障する制度的手配であり、「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる)政策をしっかり実施し、「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障する)任務を実施する重要な内容であり、困窮大衆の衣食・冷暖に関わり、社会の思いやり・温かさを示すものである。

各地方・各関係部門は、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、党中央・国務院の政策決定・手配を真剣に貫徹し、人民を至上とする責任をしっかり担い、心をこめて社会救済の各政策措置の実施にしっかり取り組み、困窮大衆の需要と困難な箇所を適時了解し、救済ルートを円滑にし、彼らの身になって考え、誠心誠意実効ある施策により彼らの難関克服を援助しなければならない。

現在、とりわけ疫病と洪水・冠水災害等の影響に対し、困窮大衆への救済・支援を強化し、低所得層の基本生活保障に関する政策をしっかり実施しなければならない。各方面のパワーを一層動員し、全社会の救済の合成力を形成し、確実に弱者・困難・困窮を支援し、援助すべきものはすべて援助して、困窮大衆の民生最低ラインをしっかり保障し、努力して人民のために幸福を謀り、努力して民族のために復興を謀らなければならない。

9月2日 国務院常務会議
(1)金融持株会社の参入

党中央の政策決定・手配に基づき、今年に入り「6つの安定」政策をしっかり行い、「6つの保障」任務を実施することを軸に、一連の精確・適度な金融政策を実施したことは、市場主体を保障し、経済の回復的成長を促進することに重要な役割を発揮した。

今後、穏健な金融政策を柔軟・適度にすることを堅持し、政策の程度と持続可能性を維持し、バラマキを行わず、資金が更に多く実体経済に流れるよう誘導し、金融の平穏な運営を促進しなければならない。

実体経済に更に好くサービスし、金融市場の秩序を規範化するため、「金融持株会社の参入管理に関する決定」を承認し、非金融企業・自然人等が2つあるいは2つ以上の異なる類型の金融機関の株を支配、ないし実質的に株を支配し、かつ株支配ないし実質株支配している金融機関の総資産規模が要求に合致している場合は、金融持株会社の設立を申請しなければならないことを明確にした。

金融持株会社への監督管理は法・法規に基づき、穏当に秩序立てて実施・推進し、リスクを防止・解消し、実体経済への金融のサービス能力を増強しなければならない。

(2)大気汚染対策

大気汚染対策・大気の質改善は、大衆が望み、民生に関わるものである。

近年、大気汚染対策は積極的成果を得ている。北京・天津・河北及び周辺地域の秋冬の大気の重汚染問題に対して、関係部門は専門家を組織して、大気重汚染の原因と難関克服の対策プロジェクトの研究を集中的に展開し、科学的対策の推進のために重要な支えを提供した。

関連情況の報告を聴取したうえで、次のように要求する。

①既に得た成果の基礎の上に、北京・天津・河北及び周辺地域の汚染原因に応じて精確な対策を強化しなければならない。

大気汚染対策キャンペーンを引き続き実施し、工業汚染対策・石炭クリーン代替・ディーゼル車汚染対策を際立ててしっかり取り組み、農業生産におけるアンモニア排出対策を強化する。

現在のオゾン汚染が徐々に際立ってきている情況に対し、地域の大気汚染対策に係る科学研究の難関攻略を一層深く展開し、PM2.5とオゾンの協同対策を促進する。重点地域の防御の連携を強化する。

②地域内のエネルギー、産業、交通・輸送等の構造調整を促進しなければならない。

石炭のクリーン利用を強化する。鉄鋼・コークス・石油化学・建材等の産業の転換・グレードアップを加速する。

大口取引貨物の集散港・鉄道輸送、都市配送分野での新エネルギー貨車使用比率を大幅に高める。

③省エネ・環境保護産業と循環経済を壮大に発展させなければならない。

環境保護の技術・装置、新しいタイプの省エネ製品と省エネ・汚染物質排出削減への専業化したサポートの水準を早急に高め、国際協力を強化し、経済の新たな成長スポットを育成し、生態環境保護と経済成長のウインウインの実現を推進する。

(3)原発推進

原発プロジェクトの建設を積極かつ穏当に推進することは、有効な投資を拡大し、エネルギーの支えを増強し、温室ガス排出を減らす重要措置である。

既に国家計画に組み入れ、建設条件が整い、「華龍一号」の第三世代原発技術を採用した海南省昌江原子力発電所第2期工事と、民営資本が初めて資本参加した浙江省三澳原子力発電所第1期工事を認可した。2つのプロジェクトの有効総投資額は700億元を超え、大量の雇用を牽引する。

原子力エネルギーの脆弱分野の難関攻略を強化し、「安全第一、質の至上、安全への企業の主体的責任の徹底」を堅持し、プロジェクト建設と運営の監督管理を強化し、絶対に事故を起こさないことを確保しなければならない。