一部省経済情勢・基本民生保障座談会

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2019年11月18日


はじめに

李克強総理は11月14日、江西省南昌で「一部省経済情勢・基本民生保障座談会」を開催した。座談会には、江西省書記・省長、上海市長、浙江省長、重慶市長が今後の政策の見込みと政策建言を行った。本稿では、李克強総理の発言の概要を紹介する。

今年に入り、習近平同志を核心とした党中央の堅固な指導の下、わが国の経済運営は、複雑・峻厳な環境下で総体として平穏を維持し、なお世界経済のライトスポットとなっている。自信を確固とすると同時に、現在の外部環境の不利な要因と国内発展のジレンマ・多数の矛盾の問題が増加していることをも見て取らねばならない。

地域経済について言うと、動向の分化が明白であり、一部の地方工業・投資等の指標の伸びの下降がかなり速く、発展動力が減退しており、財政収支と民生保障の圧力がかなり大きい。直面する困難・試練について、十分に準備しなければならない。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、党19期四中全会精神を貫徹実施し、改革・イノベーションを堅持し、中央と地方の2つの積極性を好く発揮させ、党中央・国務院の政策決定・手配の実際の貫徹実施に結びつけ、「雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想」を安定させる政策をより力を入れてしっかり実施しなければならない。

成長の安定と、経済運営を合理的区間に維持することを、より際立てて位置づけなければならない。これは、今年の主要な目標・任務を実現し、質の高い発展を推進するための重要な基礎である。

(1)経済を平穏に発展させるには、政策の実施にしっかり取り組まなければならない。

各地方・各部門は緊迫感を増強し、主体的に行動し、政策の手抜きに断固として反対し、考え方を刷新して、奮闘し結果を出さなければならない。

各地方は国家の政策をしっかり用いて、発展の難題を積極的に解決し、国家が前倒しで下達した、地方特別債の限度額、一部インフラプロジェクトの最低資本金比率引下げ等のチャンスをしっかり掴み、脆弱部分の補強プロジェクトの建設を加速し、より多くの実物の成果量を形成し、有効な投資と産業のグレードアップを促進し、重大プロジェクトの計画と前期の準備を強化し、できるだけ早い着工を推進しなければならない。

各関係部門は、企業と地方の期待に焦点を絞り、より多くの的確性の強い措置を打ち出し、発展推進の合成力を形成しなければならない。

(2)潜在力を深く掘り起こし、発展動力を増強しなければならない。

各地方は、自ら気を引き締めて、「行政の簡素化・権限の委譲、開放と管理の結合、サービスの最適化」改革推進により努力し、体制メカニズムの刷新により発展促進の潜在力を一層発揮させ、国際・国内の先進水準を目印として、地元の事情に応じて政策を立案し、市場化・法治化・国際化したビジネス環境の建設を積極的に推進しなければならない。これも、地域の競争力の体現である。

同時に、新たな動力エネルギーの経済への下支えの力を増強し、巨大な市場の潜在力を一層発揮させ、先進製造業と新興サービス業の発展を支援し、供給の改善、新製品・新サービスの提供面で企業がより努力するよう奨励し、発展の空間を開拓しなければならない。

(3)基本民生を確実に保障し、力を尽くして結果を出し、力量を推し量って行動し、経済発展と民生改善を相互に共同して促進しなければならない。

経済の下振れ圧力が増大している情況下、とりわけ雇用優先を堅持し、大学卒業生・出稼ぎ農民等の重点層の就業サービスをしっかり行い、帰郷した出稼ぎ農民の就業・起業への指導を強化し、ルート開拓を助けなければならない。

政府は節約を堅持し、財政支出は重点的に基本民生を保障し、年金の期限どおり全額給付を確保し、困窮層の基本生活をしっかり保障しなければならない。

歳末・年初、中秋節・国慶節が近づけば、民生の期待を満足させるなかで発展の潜在能力を発掘し、重大な民生プロジェクトにしっかり取り組み、高齢者ケア・幼児保育・医療等の民生の実務をしっかり実施しなければならない。