経済情勢専門家・企業家座談会

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2019年11月15日


はじめに

李克強総理は11月12日、「経済情勢専門家・企業家座談会」を開催し、当面の経済情勢と今後の経済政策について、建議を聴取した。本稿では、会議における李克強総理の発言を紹介する。

今年に入り、全国上下は、習近平同志を核心とする党中央の堅固な指導の下、堅塁攻略・難関克服に努力し、改革開放と精確なコントロールに依拠して、経済運営は合理的区間を維持し、都市新規就業増は前倒しで年間目標を実現した。中国のように大きな経済体が高いベースの上で中高速で平穏に成長していることは、それ自体前進であり、成績は容易に得られるものではない。

しかし、現在外部環境はより複雑・峻厳化する傾向にあり、国内経済の下振れ圧力は増大し、豚肉等のいくらかの産品価格の上昇がかなり速く、企業経営の困難が増大するといった矛盾が交錯している。

憂患意識・着実励行の精神を増強しなければならない。習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、自身の事柄にしっかり力を入れて取り組み、安定の中で前進を求めることを堅持し、発展を一切の問題を解決する基礎・カギとして、精確に施策を行い、奮闘して着実に仕事をこなし、「雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想」を安定させる政策をしっかり着実に実施し、今年の経済社会発展の主要な目標・任務の完成を確保し、次の発展のためにしっかり基礎を固めなければならない。

(1)政策の安定を維持し、マクロ政策のカウンターシクリカルな調節手段を有効にうまく運用しなければならない。

財政・金融・雇用・地域等の政策を整備し、適時・適度にコントロールして、政策の協同・伝達・実施メカニズムを整備し、有効性と持続可能性を増強する。

実体経済とりわけ小型・零細、民営企業への支援を強化し、市場の自信を奮い立たせる。

地方特別債の使用を最適化し、社会資金がより多く脆弱部分の補強・民生優遇等の分野に振り向けられるよう牽引し、有効な投資を拡大し、発展の内生的動力を増強する。

雇用優先政策の体系を整備し、企業が雇用を安定させることを支援し、雇用空間を開拓する等の政策を引き続きしっかり行い、重点層への就業サービスを強化し、雇用の大局的安定を維持する。

(2)改革開放の推進を堅持し、市場の活力と社会創造力をより大きく奮い立たせなければならない。

「ビジネス環境最適化条例」を全面的に実施するという要求に基づき、「行政の簡素化・権限の委譲、開放と管理の結合、サービスの最適化」改革でより大きなブレークスルーを得て、企業の投資・事業に対する隠れたハードルを打破する。

ハイレベルな対外開放を推進し、わが国が不断に打ち出す開放措置と「東アジア地域包括連携」(RCEP)が達成したコンセンサスのチャンスを企業がしっかり捉え、国際競争・協力に積極的に参加することを支援する。

科学技術イノベーションを強化し、「大衆による起業・万人によるイノベーション」と「インターネット+」を引き続き展開し、新たな動力エネルギーの経済への下支えの力を向上させ、製造業のグレードアップを加速し、質の高い発展を促進する。

(3)民生をさらに好く保障・改善しなければならない。

メカニズムと政策を整備し、社会のパワーを積極的に吸引し参加させ、大衆の需要に焦点を絞って市場の潜在力を深く掘り出し、高齢者ケア・幼児保育等のサービスを大いに発展させ、老朽化した住宅団地の改造を推進する。

消費のグレードアップの需要に適応し、消費の潜在力の解放を制約する障害を打破する。

多くの措置を併せ打ち出して農業生産を安定させ、養豚の回復を加速し、不合理な飼育制限規定を取り消し、多くの措置を併せ打ち出して市場の供給を確保し、一部産品価格の速すぎる上昇の勢いを抑制する。

困窮大衆の基本生活をしっかり保障する。