経済諸会議の動向(4)

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2019年2月22日


はじめに

中央経済工作会議以降、各経済官庁が全国工作会議を開催している。本稿では、2018年12月28-29日に開催された中央農村工作会議の概要を紹介する。

1.習近平総書記の重要指示

2018年、農業・農村の発展は新たな成果を得て、食糧の収穫はよく、農村振興のスタートは良好であった。

2019年は、小康社会の全面的実現の第1の百年闘争目標に決勝するカギとなる年であり、「三農」政策をしっかり行うことは、各種リスク・試練に有効に対応し、経済の持続的で健全な発展と社会の大局の安定を確保することにとって、重大な意義を有している。

(習近平)「新時代の中国の特色ある社会主義」思想と19回党大会精神を全面的に貫徹し、「三農」政策に対する党の指導を強化し、「三農」問題解決を全党活動の重点中の重点とすることを堅持し、農業・農村の優先発展を堅持し、安定の中で前進を求めるという総基調をしっかり把握し、質の高い発展の要求を実施し、農村振興戦略を深く実施し、小康社会の全面的実現という達成すべきハードな任務に目標を合わせ、内外環境の変化がわが国の農村の改革・発展に提起する新たな要求に適応し、思想を統一し、自信を確固とし、施策を実施して、農業・農村の良好な情勢を強固に発展させなければならない。

いささかも食糧生産を揺るがせにせず、農業サプライサイド構造改革を深化させ、力を集中して脱貧困堅塁攻略戦に打ち勝ち、農村の居住環境をしっかり改善し、新たな農村改革を推進し、農村インフラと公共サービスの脆弱部分の補強を加速し、農村の計画的建設と社会ガバナンスの各政策を着実にしっかり実施し、五級書記1が農村振興にしっかり取り組むことを強化し、農業にあこがれ、農業を愛し、農民・農村を愛する政策の陣容建設を強化し、農民の主体的役割を発揮させ、広範な農民の獲得感・幸福感・安全感を高め、農業・農村の現代化の実現プロセスにおいて新たな歩みを踏み出さなければならない。

2.李克強総理の指示

2019年の「三農」政策をしっかり行うことは、経済社会の発展の大局を安定させることにとって極めて重要である。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、党中央・国務院の政策決定・手配を真剣に貫徹し、中央経済工作会議精神を実施し、農村振興戦略を深く実施し、農村改革を全面的に深化させ、農業を強化し、農民に恩恵を与え、農民を豊かにする各政策を確実に実施し、農村のインフラ・公共サービスの改善に力を入れ、多くの農民の積極性・創造性を保護・動員して、農業・農村の現代化を着実に推進しなければならない。

貧困が深刻な地域・特殊貧困層に焦点を絞り、脱貧困堅塁攻略の重大措置を実施し、脱貧困の質を高め、脱貧困の成果を強固にし、これを拡大しなければならない。

農業サプライサイド構造改革を深化させ、食糧生産能力と農業の基礎を打ち固め、「質の優れた、特色ある、グリーンな」を際立たせて農業構造を調整・最適化し、農村と各産業の融合した発展を推進しなければならない。

農村発展の新たな動力エネルギーの育成を加速し、各種人材が農村に帰り、農村に赴いて起業・イノベーションを行うことを支援し、農村の雇用空間と農民の所得増加ルートを開拓しなければならない。

「三農」が引き続き好い方向に向かう形勢を強固に発展させ、経済社会の持続的で健全な発展のために有力な支えを提供する。

3.農業・農村を優先して発展させることを堅持し、「三農」政策をしっかり行う

2018年は、19回党大会精神を全面的に貫徹するスタートの年であり、農業の発展は安定の中で前進があり、脱貧困堅塁攻略戦に打ち勝つ3年アクションプランは良好なスタートを切り、農村建設は新たな歩みを踏み出し、農村改革は深く推進され、農村社会は調和・安定を維持し、「三農」が引き続き好い方向へと向かう形勢は一層強固となった。

2019-20年は、小康社会を全面的に実現するカギとなる時期であり、脱貧困堅塁攻略戦に打ち勝ち、農村振興戦略を実施する歴史的交錯期となる。

経済の下振れ圧力が増大し、外部環境に深刻な変化が発生する複雑な情勢下、当面「三農」政策をしっかり行うことの特殊な重要性を十分認識し、農業・農村を優先的に発展させるという政策方向を牢固に樹立し、「三農」という基盤を確実にしっかり安定させ、「三農」政策のハードな任務の実施に取り組むことを際立たせ、2020年までに約束した農村改革・発展の目標・任務の順調な達成を確保しなければならない。

脱貧困堅塁攻略戦に打ち勝つことは、小康社会の全面的実現のための最低ラインの任務であり、「2つを憂うことなく、3つを保障する」2の実現が直面する際立った問題を確実・重点的にしっかり解決し、「三区三州」3等の貧困が深刻な地域と特殊貧困層の脱貧困堅塁攻略を強化し、貧困地域・貧困層の内生的動力と自分の力で発展する能力を増強し、貧困人口の貧困への逆戻りを減少・防止しなければならない。

農村居住環境対策3年アクションプランにしっかり取り組み、農村の実際から出発して、ゴミ・汚水処理、トイレ革命、農村の容貌向上に重点的にしっかり取り組まなければならない。

食糧生産に確実にしっかり取り組み、穀物の作付面積を安定させ、生産構造を調整・最適化し、国家食糧安全と重要農産品の有効な供給を確保しなければならない。

「大棚房」問題4の整理整頓を深く推進し、アフリカ豚コレラの防疫をいささかも疎かにしてはならない。

農村産業の発展に力を入れ、農民が現地で就業し近場で起業することを促進しなければならない。

農村改革を全面的に深化させ、農村土地制度改革を一層深化させ、農業の経営方式を刷新し、農業への支援・保護制度を整備しなければならない。

農村計画のリードを強化し、村落のインフラ建設プロジェクトを実施し、農村居住環境・公共サービスの脆弱部分の補強を加速しなければならない。

農村の末端党組織建設を全面的に強化し、農村末端党支部の建設・強化に取り組み、その戦闘・堡塁の役割を確実に発揮させなければならない。

農村の風俗習慣の改善を引き続き推進し、不良な社会の気風を改めなければならない。

全党組織が指導する自治・法治・徳治が結びついた健全な農村ガバナンスシステムを確立し、活力が充満し、調和がとれ秩序立ち、うまく治められた農村を作り上げなければならない。

「三農」政策に対する党の全面指導を強化し、農業・農村の優先発展を実施に移し、五級書記は農村振興の制度保障に取り組み、優秀な「三農」幹部の陣容を選抜し、「三農」資金の投入を確実に強化し、「三農」を財政の優先保障分野・金融の優先サービス分野としなければならない。

実際から出発して「三農」政策をしっかり行うことを堅持し、土地の事情に応じて施策を行い、分類して施策を行い、順を追って一歩一歩進め、力量相応に実施し、着実に物事を進め、根気強く実施しなければならない。

農民の主体的役割を十分発揮させ、政府投資の牽引作用を発揮させ、農民層の積極性・主動性を奮い立たせ動員しなければならない。

  1. 省・市・県・郷・村の党組織書記を指す。
  2. 衣食の心配をせず、義務教育・基礎医療・住宅の安全を保障すること。
  3. 「三区」はチベット自治区、新疆南部の4地区・州、4省(青海・甘粛・四川・雲南)のチベット族集住区域を指し、「三州」は、甘粛の臨夏回族自治州、四川の涼山イ族自治州、雲南の怒江リース族自治州を指す。
  4. 農業ハウスの名目で行われる農業以外の違法な建築。