調査研究

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直接投資の構成要素別に見た変動要因の差について―日本の対中直接投資を中心に(2022_1_40_010)

概要

直接投資の変動要因は、理論的には整理されているものの、具体的な経済指標に基づきその要因を実証する際、用いる指標についてコンセンサスはない。直接投資は、クロスボーダーの資金移動である「株式資本」、現地法人における留保利益を再投資されたものとみなし計上する「収益の再投資」、そして「負債性資本」から成り、これらをまとめて直接投資としている。しかし、例えば留保利益の蓄積(=収益の再投資)が十分である場合、そのことがクロスボーダーの資金の導入(=株式資本)を妨げる可能性はないのだろうか。また、ある構成要素に対しては増加要因であることが、別の構成要素に対しては減少要因となることはないのだろうか。日本の直接投資残高を各国別にみると、中国に限り、2010年代にその増加の中心が「株式資本」から「再投資収益」に変化している。「株式資本」の増加がみられないなか、「収益の再投資」が増加することで直接投資残高が増えている。直接投資の3つの構成要素の変動要因が異なる、なかんずく対立することが実証できるのであれば、直接投資の変動要因にコンセンサスが得られないことの一つの説明になるのではないか。

期間

2022年4月~2023年3月

研究代表者

箱崎 大

研究成果

アジア経済