zambiaVedanta Resources

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Vedanta Resourcesは、金属・鉱業企業としてロンドン証券取引所(LSE)に上場されている、インド最大の非鉄金属・鉱業企業である。同社はインド、ザンビア、オーストラリアで活動し、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛に大きな権益をもつ。

同社は、インドの億万長者Anil Agarwaによって1976年Sterlite Industriesという社名で創立された。Vedanta Resourcesは、Sterlite Industriesを含め、Agarwal家が所有する多種多様なビジネスを結合し1986年に設立された。Vedanta Resourcesは、1988年にボンベイ証券取引所で上場、2003年にロンドン証券取引所に上場を果たした。

その他にVedanta Resourcesが所有する子会社として、Hindustan Zinc Limited、Bharat Aluminium Company、Madras Aluminium Companyがある。さらに同社は、鉄鉱石の輸出会社のSesa Goaの主要株主でもある。

2004年には、ザンビアのコンコラ(Konkola)銅鉱山の51%の株を獲得した。1970年以前は、Anglo American CorporationとRoan Selection Trustがその鉱山を所有していた。ザンビア政府と2つの鉱業会社グループとの間で交渉が行われた結果、その鉱山はNchanga Consolidated Copper Mines Limited (NCCM)とRoan Consolidated Mines Limited (RCM)に再編成された。Mining and Industrial Development Corporation Limited (MINDECO)を通じて、政府はNCCM の51%の所有権を獲得し、Zambia Copper Investments (ZCI)が残りの49%を得た。1974年9月にNCCMのMindecoの株51%がZIMCOに移された。政府はRCMの51%のシェアを獲得し、その残りは、Roan Selection TrustおよびZCIの所有分と一般公開用となった。

1981年4月にRCMとNCCMが統合し、Zambia Consolidated Copper Mines (ZCCM)になった。2000年3月31日、民営化政策によってZCCMの資産はMopani Copper Mines plcとKonkola Copper Mines plc (KCM)に売却された。KCMの株の51%は、Anglo American plc が獲得した。2002年9月、Anglo America、IFC、CDCが再建されたKCMの株主を辞め、ZCCM IHとZCIが主要株主となった。2004年11月、Vedanta ResourcesがKCMの株51%を取得して主要株主となった。

国内の所在地

Stand M/1408, Fern Avenue Chingola, Zambia
電話: 260 212 350 000

製品・サービス

Vedantaの主要事業は、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄鉱石に関するビジネスだが、実用発電の事業も展開している。

従業員数

Vedantaの従業員数は合計29,000人。

グループが雇用する平均従業員数

財務情報

営業利益は、2006年度が37億180万USドル、2009年度では65億7890万USドル(年間成長率21%)であった。

財務・財務以外の際立った項目

ザンビアにおける銅事業(2009年)

市場シェア

Konkola Copper Mines Plc(KCM)は、銅の年間処理能力20万トンを持つ、ザンビア最大の金属会社である。KCMは、露天掘り銅山をKonkolaとNchanaで、またNumpundweで硫化鉄鉱山と銅の製錬所を経営している。これらの鉱山による金属の生産量の合計は、ザンビア全体の約67%を占める。

地域別グループの売上高 (原産地を問わず):

(資産がある地域ごとの)セグメント別資産額と有形固定資産の増加額の内訳

事業目的

「アルミニウム、銅、亜鉛分野では年間100万トンを生産し、できるだけ低価格で提供する。非鉄金属分野では、価値の高い資産を持つ国際的なリーダー企業の地位を維持し、株主に十分な利益をもたらす。」

ビジネスモデル

同社の戦略は以下の4つからなる;

  • 生産コストを下げることで既存資産のパフォーマンスを最適化すること
  • 組織的成長を通じて採掘産業を先導すること
  • マイノリティ企業を吸収すること
  • グループの構成を合理化すること

2008年の例をあげると、4月にMALCO、Sesa Goa、Sterlite内におけるグループの持株を増加させている。KCMはZCIの持ち株28.4%を獲得し、所有率を79.4%まで上げた。さらなる投資機会を探している。

株主・所有権益

VedantaはKCM株の79.4%を所有し、同社の経営管理を行っている。Vedanta以外のKCMの株主はZCCM Investment Holdings Plcである。ZCCM Investment Holdings Plc の経営支配権はザンビア政府が持つ。バミューダに登記されているオフショア・トラストのZambia Copper Investmentsが、KCMで生産される銅とコバルトが28%を所有しており、ザンビアの国営鉱山会社ZCCM Investmentsが残りの21%を所有する。Copper Development Foundationという名称の機関がZambia Copperの株の44%を所有する。

政府との関係・社会貢献

過去数年間にわたりVedantaは、地元および海外の労働法やガイドラインへの違反、そして地元の環境の汚染に対する責任を追及されてきただけでなく、経営陣が政治の堕落をもたらしたこと、政治家とのあいだで秘密裏に、極めて有利な株取引きを行うことを獲得戦略としてきたことに対しても非難されてきた。このような非難がザンビアでも表面化するに従い、学者や著名人、そしてザンビア政府から批判の的にされた。レビー・ムワナワサ元大統領が鉱業部門の公正な労働法を発表したときには、名指しで批判された。

Vedantaは鉱山と資産に対して2500万USドルを支払い、8年の免税期間を付与された。その後2005年3月の財務報告では、2004年最終四半期にKCMの収益2600万USドルをスイス口座に移したことが明らかになった。

この財務報告に対し、KCMのマイノリティ株主であるAssociation of Minority Shareholders of Zambia Copper InvestmentsのJean-Pierre Rozan社長は、インドのグループ会社が「数十億の価値がある企業をわずかばかりの金額で手に入れた」とコメントしている。

このコメントに加えてザンビア大学の開発学講師Frederick Mutesaは、「この取引きは2つのことを明らかにしている。契約の交渉をした人たちが無能であったこと。そしてある種の癒着、あるいは私腹を肥やした人間がいるということだ。」と述べた。

2009年にVedantaは、最小閾値を超える分に関して25%の超過所得税(windfall tax)を支払った。この件に関して同社は政府と議論をしたところ、政府は2009年4月から超過所得税を撤廃をすると発表した。2008年中にKCMは、「最初の閾値を超えた分については25%の超過所得税しか要求しない」との確認書簡をザンビア歳入庁(ZRA)から受け取った。

2009年1月30日、ザンビア政府の財務大臣が2009年度予算を公表した。それには、超過所得税の撤廃、資本控除を引き上げて100%に戻すこと、鉱業収益に対するヘッジングによる損失の相殺を2008-2009会計年度は禁止するが、2009-10年度には認めるといった、鉱業税制度に関する有利な変更が含まれていた。

製品開発

2004年11月にVedanta Resources Plcがコンコラ銅鉱山の主要株主になって以来、生産能力の拡大、効率性向上、鉱山寿命の延長を究極の目的として、多数のプロジェクトが実行されてきた。1日あたりの硫酸生産能力500トンの硫黄による酸化処理工場がNchangaに建てられ、操業を開始した。陰極銅を生産するNchanga Tailings Leach Plant Tankhouses は、経営効率の改善と銅品質の向上を目的とした改修をおこなった。Konkola Deep Mining Project(KDMP)はコンコラ鉱山における銅鉱石の生産拡大を進めている。このプロジェクトでは、アフリカで最も深い1,490mに、新しい坑道が設置される。2010年度までに中間軸(mid-shaft)の作動を開始する予定である。粉砕設備(bottom crusher)、積込み設備(loading station)、第1シャフトの設置、1,390mレベルのポンプ室といったその他の設備は、2011年末までに完成の予定である。Nchangaの溶鉱炉は2010年第2四半期までに予定能力を達成する見込みである。

KCMはイノベーションを加速するため、企業革新による変革を目的として、銅、鉄、コバルトの合金の形状の融解スラグからコバルトを回収する冶金システムを新たに開発する。この作業には、スラグの不純物を2段階で電気的に取り除く加熱炉を用いるが、これは世界初のシステムである。コバルト合金の生産量が最盛期には70tpdになることを予想し、Vedantaは、コバルト回収率を37%、コバルト銅合金の形でのコバルト生産量を1日あたり約4.4トンと見込んでいる。