ugandaHeritage Oil Plc ヘリテージ・オイル

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

ヘリテージ・オイル(Heritage Oil Plc)は独立系で、アフリカ、中東、ロシアを中心に世界各地で石油・ガス探査、開発、生産を行なっている。ロンドン証券取引所(LSE)の上場企業で、HOILのコードで取り引きされている。またトロント証券取引所(TSX)においても二次上場されており、HOCのコードで取り引きされている。

同社は1992年に、アフリカ、中東、ロシアで油脈探査を目的として設立された。2008年にはロンドン証券取引所に上場を果たし、本社も同年にカルガリーからジャージー島へ移転。

1997年、ウガンダ西部アルバート盆地にある当初の「ブロック3」を含む地域における許認可を行け、およそ60年ぶりに、ウガンダ国内で積極的な探査を行なう石油・ガス開発企業となった。2001年に同社グループは許認可の50%を、後にタロー・オイル(Tullow Oil)に買収されたエナジー・アフリカ(Energy Africa)へ下請に出した。

「ブロック3A」はアルバート盆地の南部に位置する2,024平方キロメートルの区域である。ヘリテージ・オイルは「ブロック3A」の権益を50%所有し、2008年現在、同区域におけるオペレーターであり、評価井を2ヵ所掘削している。

ヘリテージ・オイルはまた、2004年に与えられた「ブロック1」の権益50%を所有するオペレーターでもある。「ブロック1」はアルバート湖の北端に位置し、面積は3,659平方キロメートルにわたる。2008年にはWarthog油層とBuffalo-Giraffe油田を発見し、これは、サブサハラ・アフリカで過去20年間以上発見された陸上油田としては最大のものとされている。

「ブロック1」および「ブロック3A」における掘削プログラムでの例外的な成功で、同社経営陣は現在、約6億バレルの総可採埋蔵量があることが証明されたものと確信している。これはアルバート盆地にて大規模インフラ整備を行なうために必要と考えられる閾値を、かなり大幅に上回るものである。

2006~2007年にかけてヘリテージ・オイルの「ブロック3A」内のキングフィッシャー1号井は、4つのゾーンから総累計最大流速で13,900 bopdの生産があった。翌2008年にはキングフィッシャー2号井の3つのゾーンから14,364 bopdもの流量があった。キングフィッシャー1号井のゾーンでは9,773 bopdの流量であった。ヘリテージ・オイルは2008年12月11日、キングフィッシャー3号井が3つの油層すべてで石油を発見し、炭化水素含有区間が合計110メートル、有効層厚が最大で40メートルとなると発表した。

かのトニー・バッキンガム(Tony Buckingham)がヘリテージ・オイルの創設者でCEOである。彼は南アフリカに本社を置く傭兵派遣企業エグゼクティブ・アウトカムズ(Executive Outcomes)社の共同経営者でもあった。また、パプアニューギニア政府が暴動を弾圧する際に傭兵を訓練して派遣し、兵器を提供したことでも知られるサンドライン・インターナショナル(Sandline International)社においては、ティム・スパイサー(Tim Spicer)大佐と共に指導的な立場にあった。バッキンガムとサンドライン・インターナショナル社は1990年代に、シエラレオネのアフマド・テジャン・カバー(Ahmed Tejan Kabbah)大統領を復権させた反クーデターにも、武器と人員の輸送も関わっている。

国内の所在地

製品・サービス

同社の業務は、石油・ガスの探査、開発、生産関連。

従業員数

28名(ウガンダ国内)。

財務情報

市場シェア

ヘリテージ・オイルは、ウガンダ国土の9,000平方キロメートル以上を占める広大なアルバート盆地において認可を受けた国際石油企業2社のうちの1社である。同社の権益区域には、20億バレル以上の石油埋蔵量があるといわれる。

現在まで、KanunguからNebbiにわたるウガンダ西部における石油探査は30%を完了したにすぎない。ウガンダの確定石油埋蔵量は合計60億バレル以上になる可能性もある。

事業目的

「当面はウガンダとクルディスタンに焦点をあて、会社を変革させるほどインパクトの強い探査活動を行なう。」

ビジネスモデル

「グループとして、株主利益向上のため継続的に、効果の高い海外事業に集中し、大型の炭化水素埋蔵量を発見することを目標とする。世界中、特にアフリカ、中東、ロシアに焦点をあて、探査と素早い資源開発の機会を獲得して投資することが、われわれの成長戦略である。われわれは、産業界、政界、各種団体に効果的なネットワークを形成している。これによってわれわれは、広い範囲にわたって新規の石油・ガス事業機会にアクセスすることができる。」

株主・所有権益

2008年12月31日現在、トニー・バッキンガムはヘリテージ・オイルの株式33.1%を所有。

政府との関係・社会貢献

ヘリテージ・オイルのウガンダへの関与は、1990年代にKaramoja地方で金採掘を行なっていた、バッキンガムが所有する別の企業Branch Energyのときから継続している。Branch Energyはムセヴェニ(Yoweri Museven)大統領の異母兄弟であるサリム・サレー(Salim Saleh)将軍が株式の40%を所有する。Kaabongで採掘を行なっていた当時Branch Energyは、天然資源担当大臣であったHenry Kajuraの弟を主席地質学者として雇用していた。

ムセヴェニ大統領がヘリテージ・オイルのウガンダ国内における探査を認可した。ウガンダ石油・ガス政策(the Oil and Gas Policy for Uganda)によると、契約の一部として協議・合意されたPSA(生産分与契約)には様々な特殊条項による規定があるというが、ウガンダ政府はその内容の開示を拒否している。

2009年8月、エネルギー鉱物開発省大臣Hillary Onekは、ウガンダ政府が各石油企業と結んだPSAからの歳入は、政府と各社双方の利益を保護するため機密とする旨、あらためて表明した。Onek大臣は、書面を開示した場合、政府が裁判で訴えられるリスクがあると発言した。

ヘリテージ・オイルは現在ウガンダ政府と、迅速な開発と早期生産の開始について可能な選択肢を協議している。選択肢には、現存する東アフリカの鉄道網を活用しながら段階的な開発を行なって2011年に生産を開始する可能性が含まれている。沿岸部に至る輸出用パイプライン、並びに地元市場への供給計画も検討されている。

ウガンダはまた、隣国ケニアの老朽化した製油所への依存を断ち切るため、自前の製油所建設を検討している。ヘリテージ・オイルはウガンダ政府と共に、製油所実現の可能性について調査中である。ムセヴェニ大統領は当初「早期生産計画」の一環として小型製油所に賛成していたが、発見される石油埋蔵量が増えるにしたがって本格的な製油所を支持するようになった。

課税

A. ロイヤリティ・スライド制:油田規模に応じて5~12.5%。
B. 費用回収: 探査および開発のコストは生産高の50~60%の間で回収する。
C. 生産物分与:コスト回収後の石油産出は、政府と事業者との間で協議の上、分与されるものとする。原則、生産量とともに政府取り分が増える。
D. 課税:余得税は免除、法人所得税は課すが、機材については免税。
E. 年間土地使用料:第1探査期間は1平方キロメートルあたり2.50米ドル、第2探査期間は1平方キロメートルあたり5.00米ドル、第3探査期間は1平方キロメートルあたり7.50米ドル、生産段階では開発地域1平方キロメートルあたり500米ドル。

製品開発

2009年1月13日、ヘリテージ・オイルは採算線を上回るのに十分な石油埋蔵量がアルバート盆地で発見されたと発表。アルバート湖内の「ペリカン」や「クレーン」といった有望地域の掘削を2010年に開始する計画を作成中である。同社の当初見積りでは、Buffalo-Giraffeコンプレックスの埋蔵量は4億バレルを超える。Buffalo-Giraffeコンプレックスは、Buffalo East有望区を含めてさらに北と東へ拡大する可能性があり、そうなった場合、90平方キロメートルにおよぶ広大な単一油層になる。

2009年2月にヘリテージ・オイルは、「ブロック3A」にあるキングフィッシャー3A井の掘削を成功裏に完了。同井は総掘削深度2,712メートル(垂直深度1,875メートル)。掘削後に休止としたキングフィッシャー1A井とキングフィッシャー2井と同様3A井も、将来の生産のため活動を停止させた。

2009年6月、ヘリテージ・オイルはGenel Energy International社と合併すると発表した。これは、ウガンダと、石油埋蔵量の多いイラクのクルディスタン自治区で事業を展開するためである。新会社Heritage Oil Plcの資産価値は55億USドル。Genel Energy Internationalの全株式を取得する代わりにヘリテージ・オイルは、Genel Energy Internationalの株式資産額に相当する2億6000万普通株を発行する。

これにより、ヘリテージ・オイルは新会社の株式50%を所有することになる。新しいヘリテージ・オイルは、ロンドン証券取引所において国際E&P事業会社として再上場の予定。専門家は、この動きによって新会社は、ウガンダにおいて膠着状態にある石油・ガス探査資金として必要なキャッシュフローを十分に得られるようになるという。