文字サイズ

標準
国・テーマ インデックス
データ・リソース

tanzaniaBarrick Gold Corporation

会社概要と沿革

バリックゴールド社は、カナダのトロントを本拠地とする世界最大の金採掘会社である。現在は、パプアニューギニア、米国、カナダ、ドミニカ共和国、オーストラリア、ペルー、チリ、ロシア、南アフリカ、パキスタン、コロンビア、アルゼンチン、タンザニアで採掘と試掘プロジェクトを実施している。同社は金鉱業界で唯一のAランクのバランスシートを誇っており、金鉱業界で最大の生産量、埋蔵量、市場資本化率を有している。株式はトロント株式市場とニューヨーク株式市場で取引されている。

バリックゴールドの前身は、1980年に設立されたBarrick Petroleum Corporationである。2回社名を変更した後、1995年にBarrick Gold Corporationになった。バリックゴールドは、ハンガリー生まれのPeter Munk(ムンク一家はナチス時代にスイスに亡命し、1948年にカナダに移住した)と、長年のパートナーであるDavid Gilmour、およびアラブ人投資家数名によって設立された。1983年に試掘に成功し、典型的なサクセスストーリーが展開された。バリックゴールドは確立された採掘事業を買収し、生産性と収益性をさらに引き上げた。当初、新会社はあまり注目を集めなかったが、ムンクとギルモアの両氏はViking Petroleum社を買収し、伝説的なスウェーデン人であるD.O. 'Swede' Nelsonと共同で石油を発見しようとした。残念なことに噴出油井は発見されず、この産業はどん底に落ち込んだ。ムンク氏は貴金属に目を向け、金をターゲットにした。新生バリックは1983年5月に、130万株をトロント株式市場に上場した。

同社の戦略は単純である。「北米最大の生産者になり金産業を席巻すること」、「将来性の高い既存の埋蔵地を買収すること」、「財政的に慎重であること」、「積極的なヘッジプログラムを通じて利益を守ること」である。同社はアラスカのValdez Creek地域にある金埋蔵地の23%利権を買収し、Alaska Power & Light社およびジュノー市と提携して24ヶ所を超える地所の探査を行った。

1999年、バリックゴールドはPlacer Dome社に先導されてアフリカに進出、まもなくSutton Resources社を買収した。サットンはタンザニア北東部に位置し、880万オンスの極めて高品質の金を埋蔵して東アフリカ最大の金埋蔵地と言われているBulyanhulu金鉱を採掘していた。

バリックのアフリカでの事業は、4ヶ所の稼働中鉱山(North Mara、Bulyanhulu、Tulawaka、Buzwagi)と2件のプロジェクト(Xstrata社とのKabangaニッケル合弁プロジェクト、南アフリカのSedibeloプラチナ・プロジェクト)から構成されている。この地域には1840万オンスの金の推定および確定埋蔵量が存在しており、2008年には1オンス当たりUS$560の総キャッシュコストで、545,000オンスのゴールドが産出した。同社がタンザニアに所有するその他の金鉱は、次のとおりである:プレーサー・ドーム社の買収によって2006年にNorth Mara金鉱を取得。Tulawaka金鉱は、バリックゴールドの完全子会社であるPangea Goldfields Inc.とNorthern Mining Explorations社のジョイントベンチャーで、2005年第1四半期に操業を開始した。Buzwagi金鉱はタンザニア第二の採掘事業であり、単一の露天掘り鉱山としては同国最大である。

国内の所在地

本社:Plot 1736, Kahama Road/Hamza Aziz Road, Msasani Peninsula, Dar es Salaam, Tanzania; Telephone: +255 22 2600 604/5/6/7/8; Fax: +255 22 2600 210

Bulyanhulu鉱山はビクトリア湖の約55 km南、Mwanza市から約150 km離れたタンザニア北西部に位置する。BuzwagiはKahama市から東へ約6 km、ムワンザ州の120 km南に位置している。North Mara金鉱は、タンザニア北西部のMara州Tarime地方にあり、ビクトリア湖の約100 km東、ケニアとの国境から120 km南に位置している。Tulawakaはダルエスサラームから約1,000 km離れており、Bulyanhulu鉱山の120 km西に位置している。

製品・サービス

金と銅の採掘。

従業員数

4,300名。

財務情報

2008年にバリックは、1オンス当たりUS$443 のキャッシュコストで計766万オンスの金を産出した(純キャッシュコストは1オンス当たりUS$337)。また、1ポンド当たりUS$1.19の総キャッシュコストで計3億7000万ポンドの銅を産出した。2008年の営業キャッシュフローはUS$22億であり、2008年12月31日現在のキャッシュ所有高はUS$14億、総収入はUS$79億1300万、融資未実行残高はUS$15億であった。2008年12月31日現在、銅の埋蔵量は64億ポンド、金鉱に含有されている銀は10.9億オンスである。

2009年第2四半期のアフリカ事業単位からの生産量16万オンス(1オンス当たりの総キャッシュコストUS$539)には、5月に初めて金が産出された新しいBuzwagi鉱山からの生産量も含まれている。

主な統計

市場シェア

タンザニアで測定、発表されている金埋蔵量は6500万オンスである。2008年12月31日現在、Bulyanhulu金鉱には1200万オンスの金の確定埋蔵量と推定埋蔵量が存在する。2008年12月31日現在のNorth Mara金鉱の確定埋蔵量と推定埋蔵量は、300万オンスと推定されている。Buzwagi金鉱の確定埋蔵量と推定埋蔵量は330万オンスであり、Tulawaka金鉱のバリックゴールド所有分の金の確定埋蔵量と推定埋蔵量は80,000オンスと推定される。

2008年のタンザニアの金産出量は130万オンスであった。2008年のBulyanhulu金鉱の産出量は20万オンス、ノースマラの金産出量は約19万7000オンスであった。2009年にはBuzwagi金鉱から約20万オンスの金が産出されると予測されている。2008年のTulawaka金鉱のバリックゴールド所有分からの金産出量は14万8000オンスであった。バリックゴールドの2008年の市場シェアは約41%であった。

事業目的

「安全で収益性が高く社会的責任を果たす方法で、品質の高い金脈を発見、獲得、開発、産出することにより、世界最高の金会社になること。」

ビジネスモデル

我々は「オーナーの気持ちで行動する」、「緊迫感をもって行動する」、「チームプレーヤーを目指す」、「持続的に向上する」、「成果を上げる」という5つの価値に従って運営することにより、世界でも指折りの金採掘企業に成長した。株主に最大の利益を約束するため、収益と営業キャッシュフローを増加させ、年間の金産出量を通じて金価格にてこ入れし、新しい埋蔵地の発見と新規プロジェクトの開発による有機的成長と買収を通じた埋蔵量の拡大を目指している。弊社の収益性は、主に金と銅の生産高、金と銅の実勢価格、生産コストに依存している。近年金価格が上昇しているため、生産コストの抑制により1オンス当たりのキャッシュマージンを増加させることに成功した。過去3年間に金生産高は下落しているが、新しい鉱山の開発および買収により、生産レベルを上昇させる所存である。

新しい鉱山の開発は、収益性の増大と株主価値の構築のために欠かせない長期目標である。探査段階から鉱山建設、採掘段階まで、ひとつのプロジェクトが移行するには何年もかかる。わが社の事業戦略はこのようなリードタイムを考慮して、既存の操業中鉱山を効率良く管理しながら、一連のプロジェクトを進行させるというものである。

買収は常に成長戦略の主眼である。2006年に世界最大の金採掘企業のひとつであったプレーサー・ドーム社を買収した。2007年にはチリのCerro Casale金銅埋蔵地の51%の利権と、Highlands Pacific社からパプアニューギニアの一連の探査ライセンスを買収してプロジェクトを拡大した。さらに、Porgera鉱山の利権の所有率を75%から95%に増加させた。2008年にCortez鉱山とCortez Hillsプロジェクトの所有権を60%から100%に増加させた。

2008年の戦略的目標は、株価値動き、高業績組織の作成、責任ある採掘、プロジェクト一覧の進行、生産、コストコントロール、埋蔵量の増加等の中核エリアに注目した財務事業ターゲットの達成であった。個々のエリアで成果が上がったため、2009年にターゲットとする主な領域(株価値動き、成長、財政面の強化と柔軟性、卓越した事業、社員の尊重、採掘権の確保、高業績組織の構築と維持)の基礎が築かれた。

弊社は地域事業単位(RBU)を用いて事業を行っている。4つのRBU(北米、南米、オーストラリア太平洋、アフリカ)があり、各々に地域社長が存在する。個々のRBUは独立した事業体として運営されており、傘下には一連の機能グループが存在する。導入以来、RBUは各地域の事業効率を達成し、リソースの配分を効率化させ、人件費、消費コスト、供給、政府との関係、地域との関係等の固有の事業環境の理解と効率的な管理を進めることにより、付加価値を生み出してきた。

探査ターゲットと開発プロジェクトに関する一覧は、埋蔵量とリソースを拡大するという長期戦略の重要な要素を表している。探査活動は埋蔵が推定される土地のポジションに注目しており、探査プログラムに対する投資を最適化すべく探査ターゲットの優先順位を付けている。新しい鉱山プロジェクトには、非政府組織(NGO)による反対運動や不安定な政治情勢による多大な抵抗が起こる可能性があるため、経済的な発見が直ちに新鉱山の開発を保証するわけではない。新鉱山の開発には、認可取得、政府との関係、地域住民との対話、多大な金融資本と人的資本が必要である。

株主・所有権益

North Mara、Bulyanhulu、Buzwagiの各鉱山はバリックゴールドが100%所有する。Tulawaka鉱山は、バリックとNorthern Mining Explorations Ltdの70/30のジョイントベンチャーである。

政府との関係・社会貢献

タンザニアにおいてバリックゴールドは、NGO、鉱山労働者、政府関係の特定の個人から著しい批判を受けている。政府部局によって温度差があり、エネルギー・鉱物省は支援的であるが、他のいくつかの部局は改革を望んでいる。例えば、バリックゴールドは輸出売上のわずか13%に相当する税金とロイヤルティを支払っているにすぎず、従業員の待遇が不適切だと指摘されている。

バリックゴールドに対する不満が昂じるなか、政府は2007年に、Buzwagiで新しい鉱山を開発するための「開発協定」を同社と締結した。Buzwagi契約の内容は、過去の鉱山協定と同様、明らかにされていない。当時、鉱物の検査官であったPeter Kafumuは、機密スタンプが押された契約書を所有するだけで「違法」だと主張した。この協定は鉱山契約の再検討のさなかに締結され、その前に大統領は、再検討が完了するまでは新たな鉱山協定に署名しないと述べた。メディアにリークされた本契約によると、政府はプロジェクトの全期間(25年間)にわたり現行の税率を維持することを保証している。

一方、North Mara金鉱は数回にわたり、地元の不満分子の侵入を受けた。例えば、2008年には4,000人の侵入者が金鉱石を盗み、US$1500万相当の所有物を破壊した。2009年には、生活用水に使用されているTigithe川を汚染したとして、議員らがNorth Maraのバリック金鉱の閉鎖を迫った。さらに議員らは、租税免除を認めた2005年の政府通達が撤回された後も鉱山会社に対する租税免除を撤回しないことに対し政府を批判した。与党Chama Cha Mapinduzi(CCM)のKibasuka地区Kelman Nyakiha議長は、この問題で政府が沈黙を守っていることに失望した、と述べた。「我々は、鉱山からの酸が混入した水を使用したために人々が死亡したり、悪影響を受けたりしていることを証明するためにやってきた。政府が人民の味方であるならば、すべての鉱山活動を閉鎖すべきだ」と、同議長は訴えている。

製品開発

2009年第2四半期にBuzwagiプロジェクトから初めて金が産出し、2009年に約20万オンスの生産をもたらした。これは新世代低コスト鉱山の最初のプロジェクトである。