swazilandKomati Basin Water Authority (KOBWA)

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

コマティ川流域水資源公社 (KOBWA) は、1992年にスワジランド王国および南アフリカ共和国間にて署名されたコマティ川の水資源開発利用条約を通じ、1993年に設立した二ヵ国間機関である。KOBWAはコマティ川基礎開発プロジェクトの第1フェーズを実施することを目的とする。第1フェーズは南アフリカのDriekoppiesダム (第1aフェーズ) およびスワジランドのMagugaダム (第1bフェーズ) の設計・建設・運営およびメンテナンスを構成する。

水管理の責任は、バルクインフラの維持管理、システム運営、システム開発、緊急時への備え、および水管理に関係するその他の機能を含んだ、このプロジェクトに関連する全活動の計画およびマネジメントに及ぶ。

国内の所在地

Head Office, Maguga Dam, Pigg’s Peak, Swaziland;
Telephone: +(268) 437 1463/4
Facsimile: +(268) 437 1460

製品・サービス

KOBWAは、長年にわたる建設管理と水資源の流通およびリスク管理事業主体としての活動で蓄積された開発ノウハウを有する。

従業員数

23人(スワジランド);合計41人

財務情報

2008年3月決算でKOBWAは4億4,700万m 3 の灌漑用水を両加盟国に配水した。400万南アフリカ・ランドの推定収益は、スワジランドの農民定住地 (Host Area) 200ヘクタールでのサトウキビ生産約18,000トンから得られた。コマティ川流域開発プロジェクト (第1abフェーズ) のこれまで総資本投資は1,716,006,300ランド (予測投下資本の99.03%) に達した。

総資本投資および完成予測資本コスト
Magugaダム 1,070,040,430 1,145,688,347 5,123,475 0.45%
・ダム建設 659,757,062 659,757,062 - 0.00%
・その他インフラ 241,228,289 241,773.676 545.388 0.23%
・調整資産 (70,524,443)      
・移住費用 239,579,522 244,157,609 4,578,087 1.88%
水管理 13,935,838 16,187,548 2,251,710 13.91%
・システムインフラ 13,935,838 16,187,548 2,251,710 13.91%

市場シェア

Maguga水力発電所はスワジランド電気会社 (SEC) の発電量の43%を供給する。

スワジランドの水利用
スワジランドMAGUGAダム下流水利用 2008年3月31日
  総量(100万 m 3 ) 総量(100万 m 3 )
Magugaダムおよび水力発電ダムの放出 275.0 275.0
3/31時点の水力発電ダムの減算蓄積量 0.2 274.8
河川減量 13.7 261.1
家庭および産業用利用減算 17.5 243.6
MagugaおよびManangaの総増加量 123.0 366.7 200.0
Mananga国境での流出減算 2007、2008年のかんがい用水利用* 166.7  
3/31時点のMagugaダム下流残余灌漑用水
- スワジランド == -8.7
2007、2008年の実際予定かんがい用水利用 == 200**M m 3
**予想利用量 191.3M m 3
実際かんがい利用  =分配最低保証水位191.3Mm 3 /aの104.5%

事業目的

「プロジェクトによって水資源開発を行うと同時に、事業地域内で利用可能なその他天然資源およびインフラが、全利害関係者にとってプロジェクトの長期利益を最大限にする持続可能な方法で管理すること。」

ビジネスモデル

2008年にKOBWAは (南アフリカおよびスワジランド) 2ヵ国における将来利益の最大化をいかにして実現するかに関し、戦略的検討を行った。これによりKOBWAは、過去15年間にわたって開発した技能と能力をさらに発展させることで、さらなる価値を創造できることが明らかになった。すなわち、

  • 組織政策・手続き・システムを見直すことで、事務の簡素化や生産性向上を実現する
  • 事業地域での持続的な社会経済開発を促進するため、プロジェクト活動を拡大する
  • 加盟国の求めに応じて水管理サービスを提供することで付加価値を高める
  • 既存のコマティ川水資源インフラの利用を最適化するため、開発研究の第1フェーズに着手する
  • 両国が同意している水系環境保護区の開発と実行計画にも焦点をあてる 

株主・所有権益

KOBWAはスワジランド王国政府および南アフリカ共和国政府によって設立された。「共同水資源委員会の設立と機能に関する条約」と「コマティ川流域の水資源開発と利用に関する条約」は、モザンビークの、同河川水資源に関する正当で公平な共有権を承認している。スワジランド、南アフリカ、モザンビーク間の三国協定のもと設立されたTripartite Technical Committee (TCTP) は、3国の水セクターの能力開発の課題と機会を特定して優先順位をつけること、および配分システムの設定について権限をもつ。

共同水資源委員会 (JWC) は、スワジランドと南アフリカの両政府に水資源の共通利益について助言する技術諮問委員会として設立された。JWCは1992年に結ばれたJWC条約に基づいている。両国政府はそれぞれ3名ずつ、それぞれが決めた任期において任命される。

政府との関係・社会貢献

スワジランドには水資源利用・管理に関する明確な政策がない。それゆえ複数の省と政府外の諸機関の下で、いくつかの法律が、調整されることもなくアドホックに関与しているのが現状である。しかし、2003年制定の水資源法は潅漑部門に関連する配水・規制・制度まで、すべての政策課題をカバーしている。

公的機関としてのKOBWAは、スワジランドと南アフリカの水資源関連法、公的資金の運用に関する規定に従うものである。二カ国に適用される公的資金管理に関連する法律により監督される。これによりKOBWAは、定められた法的財政的フレームワークのなかで運営され、効果的効率的に事業を遂行することが保証されている。

両政府は環境保護を目的とした法律をもつ。スワジランドではSwaziland Environment Authority (SEA) が環境保護に責任を持つ機関である。SEAは、環境に重大な影響を与える可能性のあるMagugaダムなどのすべての主要プロジェクトに、環境影響評価および包括的影響緩和計画の実行を命じている。スワジランド政府は、Swaziland Komati Project Enterprise (SKPE) を通じて、社会経済、衛生および土地利用のモニタリングを行っていた。SKPEはその後Swaziland Water and Agricultural Development Enterprise (SWADE) に改名され、ダム下流の新興農家の発展のためMagugaダム水の利用を促進する役割を与えられている。

製品開発

当事者および水利用者内で信頼と自信を促進するため、KOBWAは河川運営に信頼性のある決断支援ツールとして、Water Administration System (WAS) およびRationing Modelを利用している。システム性能を高める能力を評価する目的でMike BasinTMソフトウェアを調達した。Mike BasinTMは、システム構成をより簡単高速にするGISのような機能を備えている。このソフトウェアは、事前評価では優れた性能を示した。次の年度に評価が確定する。KOBWAが検討しているその他の決断支援ツールには、計画立案、特に干ばつ対策計画の開発中に利用できる共有視覚モデルのSTELLA modelがある。

Pigg's Peakは定期的に水不足に襲われていた。プロジェクトによりMagugaダムからPigg's Peakへの大量水供給システムが構築された。大量水供給施設の建設はプロジェクトとSwaziland Water Services Corporation (SWSC) の共同事業で、SWSCは、ダムの処理場とPigg's Peakの貯水池にファイナンスをつけた。このシステムは5つのブースターステーションと、North Access道路沿いコミュニティへの10L/sの水供給設備から成る。SWSCが運営するこのシステムは、Pigg's Peakで頻繁な水不足問題を2010年までに緩和することを目的としている。

Magugaダム近くに建てられたコミュニティ用種苗場は、農業省の園芸作物専門家の支援を受けて、果樹や野菜苗木を生産している。種苗場の目的は薬草およびその他の植物をコミュニティや一般市場に提供することである。これまで種苗場は3,000以上の果樹若木を一般市場向けに生産した。また、地域住民をトレーニングするための実演圃場である野菜生産ユニットにも、積極的に参加している。野菜生産ユニットはMaguga Lodgeに生鮮食品を供給し、余剰野菜をコミュニティに販売している。