southafricaBarloworld バルロワールド

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

設立年

1902年

売上高

422億3,200万ランド(2009年9月末)

営業利益

19億9,400万ランド(2009年9月末)

従業員数

2万人

会社概要と沿革

バルロワールドは機械設備、自動車、工業品取引、物流などの分野で代理販売を手がける企業で、ヨハネスブルグ証券取引所のほか、ロンドン、ナミビアの証券取引所に上場している。同社の機械設備部門はキャタピラーの機器を中心に扱い、南部アフリカ11カ国で販売・メンテナンス事業を展開している。資源開発、建設、海運、発電分野における機械調達のほか、機械メンテナンス、生産性向上やオペレーションコストの削減などの経営管理へのコンサルテーション業務も提供する。南部アフリカではコンゴ民主共和国、ザンビア、ジンバブエ、マラウイ、アンゴラに拠点を持ち、南部アフリカの従業員4,330人のうち、南ア以外で600人を雇用している。

急成長するアンゴラ市場

南部アフリカ拠点のうち、急成長を遂げているのがアンゴラだ。同社のアンゴラ事業責任者ケニー・ゲイナー氏によると、08年度の収益は15億9,500万ランドで、前年比76%増と著しい伸びを示した。同社はまだ内戦中だった94年にアンゴラで初の代理店契約を獲得し、95年に従業員3名で進出した。アンゴラでは、建設、資源開発(石油・ガス)、発電分野でエンジン機器や機械設備販売を行っている。97年には土地を購入し本格的に進出、従業員を49名まで拡大した。その後、2000年に地方都市ベンゲラに支店を開設、08年にはロビトとウアンボ、09年にはソヨに拠点を設けた。ゲイナー氏は、首都ルアンダだけでなく地方都市でのビジネス機会にも目を向けるべきだとする。ベンゲラでは鉄道改修やスタジアム建設、ロビトでは精油所、ソヨではLNGプラント建設など大型事業に伴う商機を獲得した。そのほか、2002年の内戦終結後の復興需要により建設ブームが起きたこと、原油生産能力の拡充に伴いプラント建設が相次いだことからアンゴラ市場は急成長した。同社の従業員は、04年の122人から09年には366人と3倍に増えた。同社によるとアンゴラの機械産業規模は、04年の253台から2009年には2,400台と、ほぼ10倍に拡大している。

人材への投資でサービスの質向上

一方で、アンゴラでは市場に関して信頼できるデータが存在しないという問題がある。進出にあたっては、どれだけ代理店があって、どこで何が販売されているか手探り状態だった。需給予測が立てられず、ビジネスプランが描けなかった。アルバイトの学生を数十人規模で雇い工事現場の写真を撮影させたり、関係者にヒアリングしたりと、基本的な調査をすることで市場の把握を試みた。このような調査の結果、市場規模は予想より大きいという感触が得られ、根拠となるデータはないものの物事を大きく捉えるようにした。アンゴラでの取引先にはアンゴラ企業のほか、ブラジル、ポルトガル、ロシア、イスラエル、中国などの各国企業が含まれ、国際標準に合ったサービスを要求される。ところが、アンゴラのビジネス環境は苛酷だ。空港や港湾の混雑により物流は機能せず、南アからエンジニアを派遣しようとしても労働査証の発給に数週間、長いときには1ヵ月以上かかる。このため急な商談にも対応できない。このような中、サービス向上のために同社が行ったのは人材への投資だった。

アンゴラの従業員366人のうち、駐在員はその19.4%にあたる71人のみで、現地スタッフの比率は81%と高い。また、53人の管理職のうち39人はアンゴラ人だ。進出当初は南アでのやり方を持ち込もうとしたが受け入れられず、アンゴラの企業文化に合わせることで順応した。地元出身者の雇用拡大にあたっては、社内に人材開発委員会を立ち上げ、販売、総務、人事など各部門に地元のマネージャーを配置し幹部候補生を育てることから始めた。新卒の学生の採用にも力を入れた。地元の学校2~3校と提携して学生を選び、週末や休業期間中にトライアルとして働いてもらう。1年かけて技能やコミュニケーション能力を評価し、優秀な生徒は南アやポルトガルの大学に奨学金を付けて留学させ、その後採用する。入社してからも3~4年の訓練機関が必要になる。また、これだけ投資しても離職するスタッフはいる。ゲイナー氏は、こうした取り組みにはとにかく忍耐が必要だという。初期投資はかかるが長期的かつ戦略的に取り組んだ結果、同社では13年間の投資と忍耐がようやく実を結び始めているとした。

(情報ソース)

  • 2009年7月30日Executive Director Energy and Angola, Kenny Gaynor氏インタビュー
  • バルロワールド・ホームページ  http://www.barloworld.com