文字サイズ

標準
国・テーマ インデックス
データ・リソース

southafricaMultiChoice Africa マルチチョイス・アフリカ

営業収入

148億5,800万ランド(2009年)

営業利益

42億6,900万ランド(2009年)

(注) 単独決算は非公開。

会社概要と沿革

ナスパーズ有料放送部門(マルチチョイス南アフリカ、マルチチョイス・アフリカ)

マルチチョイス・アフリカは、アフリカ域内48ヵ国で有料放送番組を提供する南ア企業だ。メディア企業ナスパーズが100%出資している。アフリカ初の有料放送はエムネットによって86年に開始された。その後93年にエムネットの顧客管理部門が独立し、マルチチョイスとしてアフリカ大陸への進出を開始、衛星を通じて20カ国以上に放送拠点を設けた。同社は世界中から70以上の番組を輸入し、英語、フランス語、ポルトガル語、アジア(インド)のチャンネルを提供する。一部の国では携帯電話テレビ向けの番組配信を開始した。アフリカでは有料放送事業者は少なく、07年にゲートウェイがケニア、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ、マラウィに参入し低価格(月140ランド、15チャンネル)でサービスを始めたが、09年7月には撤退した。市場はマルチチョイスの寡占状態といえる。

低価格の加入オプション提供で顧客を拡大

南アの有料放送加入者数は、08年の156万9,542人から、09年には9.7%増の173万8,810人に増加した。同社のスク・シンワ広報部長によると加入者の増加の理由は、台頭する黒人中間層に焦点を当てたマーケティングの結果だという。具体的には、

(1) 新たに加入しやすいように加入価格帯を増やし
(2) 目新しい番組を取り入れ人気のあるスポーツ番組などを拡充

させた。加入オプションには、プレミアム(月額499ランド、視聴80チャンネル以上)、コンパクト(219ランド、36チャンネル)、セレクト(148ランド、26チャンネル)、イージービュー(20ランド、15チャンネル)がある。このうち、新たに用意したイージービューは20ランドと破格の料金であることから、手頃な価格に惹きつけられて加入者が増えている。シンワ氏によると、家庭での娯楽が少ないため一度加入すると、不景気などでダウングレードすることはあっても解約することは少ない。そのため同社は、顧客を取り込むためのエントリー段階でのマーケティングに注力している。

南ア以外のサブサハラ諸国の加入者数も、08年の53万8,706人から09年には24.7%増の67万2,028人と順調に伸びている。ここでも低価格帯の加入者数が伸びており、現在31万3,000人に達している。アフリカでは国営放送しかない国が多いため、有料放送が参入できる余地は大きい。また、テレビ普及率(世帯数)と有料放送加入者数の乖離が大きいことから、今後も市場は拡大するとみている。一方、アフリカにおけるオペレーションで難しいのは代金回収だ。支払い滞納による強制解約を避けるため、支払い方法の多様化を進めている。携帯電話やインターネットでの24時間支払いのほか、銀行、ATM、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードなどあらゆる支払い方法を用意している。

地元の映像産業育成に貢献

同社は、代理店、合弁会社、フランチャイズの形態でアフリカ事業を展開している。各国の拠点を通じて力を入れているのが、現地の番組内容に対するニーズの把握だ。同社は70番組以上を提供しているが、多様な顧客をどのように満足させるかという課題を常に抱えている。言語、文化、宗教、年齢などが異なる各国のニーズに応えるため、南部、東部、西部でプログラム構成は異なる。

近年のトレンドとして、地元で制作された番組が絶大な人気を集めていることがある。これは同社にとって意外な傾向だったという。地元で制作された番組は、輸入番組に比べて映像技術や音響など多くの面で見劣りするため人気はないと考えられていたためだ。05年にナイジェリアで制作されたドラマや映画、ドキュメンタリー番組を一日7時間に限定して放映したところ、プログラム枠を拡大してほしいとのリクエストが集中。他の国の視聴者からも、なぜナイジェリアだけ地元番組があって、自分の国のドラマや映画はないのかとの問合せが相次いだ。これを受け、07年4月にはナイジェリアの地元制作番組を流すAfri Magicを24時間体制に変更、08年6月には東アフリカの地元制作番組を流すAfri Magicプラスを開設した。また、スポーツ番組でも欧州のサッカーリーグの試合だけでなく、ザンビア、ケニア、ナイジェリア、アンゴラなどの地元サッカーリーグの試合を放映、音楽番組でも地元ミュージシャンの出演機会を増やしている。

「アフリカ人によって作られたアフリカ人のための番組」へのニーズが高いと分かった同社は、地元の映像産業や娯楽産業を発展させることも会社の使命だと考えるようになった。このため地元の映像産業に対してコンテンツ、音響、編集、演技、著作権、音楽などの面での技術移転を含めて、長期的な投資を行っている。ナイジェリアではノリウッド、ケニアではリバーウッドと呼ばれる地元制作の映画の発展を支援している。また、これらの映画産業を連携させて共同制作番組を作るなど、アフリカ域内での相乗効果も促している。同社は2000年以降、南ア以外でのアフリカ諸国での番組制作費に1億ドルを投じており、アフリカの映像産業発展への貢献は企業の社会的責任(CSR)の一貫だと捉えている。

(情報ソース)

  • 2009年10月7日Stakeholder Relations, Manager, Skhu’ Xinwa氏インタビュー
  • マルチチョイス・ホームページ  http://www.dstvafrica.com