southafricaShoprite Holdings Ltd. ショップライト・ホールディングス

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

設立年

1936年

年間売上高

593億1,856万ランド(09年6月末)

年間営業利益

20億1,864万ランド(09年6月末)

従業員数

6万6,000人

会社概要と沿革

南ア小売業大手のショップライト・ホールディングスは、南アを含む17カ国で1,240店舗を展開している。内訳は国内が1,042店舗、海外が198店舗となっている。コアビジネスのスーパーマーケット「ショップライト」(373店舗)のほか、家具専門店「OKファニチャー」(183店舗)、日用品量販店「Usave」(116店舗)など、14種類のブランドで店舗展開している。

先行利益を狙う

南アでは高所得者向けのスーパーマーケットも展開するが、他国では低所得者向けであるショップライトを中心に展開している。90年に初の海外店舗をナミビアにオープンした。その後95年から本格的にアフリカ進出を加速させ、ザンビア(95年)、モザンビーク(97年)、スワジランド(97年)、ボツワナ(98年)と続き、2000年以降は05年までの5年間で11カ国に進出した。海外進出を開始したのは、南ア国内市場はいずれ飽和状態になると判断したためだ。今でこそ南アの小売業やサービス業はこぞってアフリカ展開を戦略に掲げているが、当時は誰も目を向けていなかった。同社のピーター・デュ・プレ総務部長は、「前例のない地でのビジネスは試行錯誤の連続だったが、この十数年の経験が他社にはないビジネスモデルを作り上げた」という。現在の重点国は経済成長の著しいアンゴラ、ナイジェリア、ザンビアなどだ。新たな進出先ではコンゴ民主共和国、カメルーンなどを検討している。他社が進出していない市場にいち早く参入し、先行利益を得るのが同社の戦略のひとつだ。

現地政府との交渉でトラブル回避

デュ・プレ氏によると、進出の準備には最低でも5年はかかる。店舗の立地条件、法整備、市場規模などひと通りの調査を終えたら、投資許可を得るため政府と交渉を始める。政府の多くは外資に対する警戒心が強い。そのため、通常は現地のパートナーと組むことを勧められる。特に2002年に内戦が終結したばかりのアンゴラでは、市場や法制度が未整備なことから現地パートナーなしでは市場参入は非常に難しいと言われる。ところが、同社は現地パートナーなしで進出を果たした。熱意のあるパートナーが見つからなかったため、単独で進出するようにとの社長命が下りたからだ。その後、他の南ア企業がパートナー選びで妥協した結果、労働に見合わない高い報酬を要求されたり、パートナーである政府関係者の利害闘争に巻き込まれて商機を逃したりなどのケースを見ると、単独進出は適切な判断だったと考えられるという。一方、現地パートナーを持たないショップライトは、政府と正面から交渉することになった。当初は難しくみえた交渉も、大型投資による雇用創出や市場の活性化など地元へのメリットを訴えることで乗り切ることができたという。アンゴラには03年に進出したが、準備は内戦中の97年から始めていた。2000年には土地を購入したが地元の土地開発業者が見つからず、自社で土地開発を手がけ、建築資材はすべて輸入した。こうした準備のコストは南アでの出店コストの5倍にまでハネ上がり、初期投資を取り戻すまでには5年以上かかった。しかしその甲斐があって、アンゴラには競合相手はほとんど存在しないため、商品のマージンは南アより6~7%高く得られる。

地元の農家育成で現地産品の比率向上

海外店舗の運営コストのうち、商品調達コストは大きな割合を占める。このため、開店当初は商品の約70%を輸入に頼るが、可能な限り現地産に切り替えていくよう努めるという。現地で調達できない消費財は別だが、生鮮品は輸入コストが高い上、物流面でのリスクも大きい。とはいえ、現地産品の比率を上げるのは容易ではない。地元の農家と提携して栽培方法や品質向上の指導を行い、店で販売できるレベルの産品を作り上げる。ザンビアでは開業から14年経ち、現在では現地調達の比率が70~80%、輸入の比率が20%に改善された。その他の国でも野菜類はほぼ現地産だ。9カ国で数百戸の契約農家を育成している。

進出国が増えるにつれ、横のネットワークを活かした流通網の展開も可能になった。これまで物流は南アを拠点に行っていたが、ザンビアで生産した生鮮品をナイジェリアに輸出するなどしている。南アが加盟していない他のアフリカ地域協定である東部・南部アフリカ共同市場(COMESA)などを利用することもある。商品の調達先は世界中に点在するので、関税同盟のある国同士であれば南アを経由せずに直接搬送する。こうした関税協定のメリットは高いが、原産地証明などの書類が煩雑といった問題が残っている。将来的に運用が改善されれば、域内関税協定を軸にした物流戦略を練り直す計画だ。

(情報ソース)

  • 2009年10月28日Company Secretary, Pieter G Du Preez氏インタビュー
  • ショップライト・ホームページ  http://www.shoprite.co.za


ショップライトの海外進出状況
進出国 進出年 店舗数
Namibia 1990 84
Zambia 1995 23
Mozambique 1997 7
Swaziland 1997 11
Botswana 1998 22
Zimbabwe 2000 1
Uganda 2000 2
Malawi 2001 7
Lesotho 2001 15
Madagascar 2002 7
Mauritius 2002 1
Tanzania 2002 5
Ghana 2003 2
Angola 2003 9
India 2004 1
Nigeria 2005 1