Pick N Pay
アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。
会社概要と沿革
1967年に西ケープにおいて、4つの小さい店舗を運営するファミリービジネスとして設立されたPick n Payは、その翌年JSEに上場した。Pick n Payグループは3つの部門を通して運営され、それぞれに取締役会がある。 その3つとはPick n Pay Retail Division、Group Enterprises Division、Franklins Australiaである。2009年の時点で、オーストラリアの82店舗を含む合計782店舗を持っている。
チェーンの創設者はHarry Goldinである。Raymond Ackermanは、まだ小さかったPick n PayをGoldinから買収し、南アフリカ最大のスーパーマーケット・グループに育てた。Ackermanは現在もグループの会長を務めており、慈善事業家としても広く知られている。
Pick n Payは黒人経済エンパワーメント(BEE)エクイティー取引に取り組んでいる。これにより2010年末までに、会社の一部従業員に対し、会社の所有権の一部が与えられる。
国内の所在地
Cape Town: 101 Rosmead Avenue, Kenilworth, Cape Town; Tel: (021) 658 1000
Johannesburg: 2 Allum Road, Kensington; Tel: (011) 856 7000
製品・サービス
Pick n Payの中核事業であるRetail DivisionはHypermarkets、Supermarkets、Family Franchise stores、Butcheries、Financial Servicesから構成されている。
同社は食料品、衣料品、および雑貨を主に扱っている。Hypermarketsは最も大規模な店舗形態であり、全国で20店舗を展開している。Pick n Pay Hypermarket各店舗は食料品と雑貨をバランスよくミックスした、ワンストップディスカウント店のモデルを採用している。全国162店舗のPick n Pay Supermarketsはそれより規模は小さく生鮮食品に焦点を当て、Fresh Food Marketsは大規模店舗内で営業する。
SuperstoresはSupermarketsとHypermarketsの中間にあたる店舗形式として1980年に一号店がオープンしたが、1998年にSupermarketsへと再分類され、関連するSupermarket Regionsに組み入れられた。
Pick n Pay Family storesは同社にとって初めてのフランチャイズ事業である。オーナー経営者はPick n Payから調達と運営面でのサポートを得て店を経営する。
Retail Divisionが統括するFamily stores は、開店時間が長く、交通の便のよい小規模店舗を展開している。
2002年にPick n Payは低コスト・薄利で主に南アフリカの地方市場での小売を展開しているBoxerチェーンを買収した。
従業員数
36,541人の従業員がいる。
財務情報
市場シェア
2009年に、グループの総市場シェアは、Shopriteの28.4%、Sparの26.3%、Woolworthsの11.9%に対し、33.4%にまで成長した。
事業目的
「より優れた事業効率性(流通の集中化を含む)を実現し、世界レベルの小売能力を築くこと」
ビジネスモデル
「Pick n Payの成長と成功は2つの原理によって支えられている。 消費者主権への変わらぬ信念と「4本脚のテーブルの原則」を適用することである。これらの原則は、基礎形成期に実行に移されて以来、私たちのビジネスの基盤であり続けている。私たちは、これらの原理の適用が、事業の持続性のために非常に有効な基盤になっていると信じる。「4本脚のテーブル」原則は簡単な比喩を表している。このビジネスは、上に消費者が乗っている4本脚のテーブルである。傾くことなくテーブルをバランスよく支えるためには、それぞれの脚は同等に強くある必要がある。テーブルの4本の脚が表すものは以下の通りである。 管理、商品、販売促進と社会的責任 、そして人々である。」
「私たちの成功は7つの永続的な原則に基づいている。消費者主権を貫くこと、フラットな組織構造、ローカル・コントロールを可能にするため権限を最大限分権化すること、昇進人事は社内から原則的に行い、社外からの登用は専門的スキルが必要な場合の例外とすること、安売り店のイメージを維持すること、サプライヤー間の癒着と戦うこと、小売業者間の癒着を拒絶すること、高い現金残高率を維持すること、高騰市況で先物を買うビジョンを持つこと。」
「約2年前に、私たちは新しい戦略を導入した。すなわち、適切な提供、ブランディングを通じて、Living Standards Measure (LSM) 8-10市場において、我々の支配力を強化して維持しつつ、Score 転換プロジェクトと伝統的に黒人地域とされてきた地域により多くの焦点を置くことで、LSM4-7市場における活動を拡大するという戦略である。同時に、この戦略は、より高い事業効率を達成することができるよう設計されている。この戦略の一部として、私たちはグモデルを改善するために、かなりのリソースを投資した。また同時に、持続可能なビジネス実践と企業の社会的投資の優先度を高めることで将来への基礎を築いている。」
株主・所有権益
Shareholder Spread No. of shares held |
No. of share- holders |
% |
No. of shares millions |
% |
---|---|---|---|---|
1 – 1 000 | 2 488 | 22.6 | 1.4 | 0.3 |
1 001 – 10 000 | 6 389 | 58.2 | 26.5 | 5.0 |
10 001 – 100 000 | 1 830 | 16.6 | 51.6 | 9.8 |
100 001 – 1 000 000 | 244 | 2.2 | 73.8 | 14.0 |
1 000 001 and over | 40 | 0.4 | 373.9 | 70.9 |
10 991 | 100.0 | 527.2 | 100.0 | |
Distribution Of Shareholders | ||||
Banks | 39 | 0.4 | 5.1 | 1.0 |
Close corporations | 91 | 0.8 | 1.3 | 0.2 |
Endowment funds | 143 | 1.3 | 4.3 | 0.8 |
Individuals | 7 717 | 70.3 | 57.0 | 10.8 |
Insurance companies | 12 | 0.1 | 8.1 | 1.5 |
Investment companies | 14 | 0.1 | 16.3 | 3.1 |
Medical aid schemes | 4 | — | 0.4 | 0.1 |
Mutual funds | 119 | 1.1 | 77.9 | 14.8 |
Nominees and trusts | 2 335 | 21.2 | 298.3 | 56.6 |
Other corporations | 110 | 1.0 | 0.7 | 0.1 |
Pension funds | 123 | 1.1 | 27.4 | 5.2 |
Pick n Pay Employee Share Trust | 51 | — | 6.2 | 3.1 |
Private companies | 249 | 2.3 | 10.5 | 2.0 |
Public companies | 30 | 0.3 | 3.7 | 0.7 |
10 991 | 100.0 | 527.2 | 100.0 | |
Non-public shareholders | 11 | 0.1 | 285.7 | 54.2 |
Directors and their associates | 7 | 0.1 | 12.4 | 2.4 |
Ackerman Family Trust | 1 | — | 254.9 | 48.3 |
Group pension scheme | 1 | — | 0.5 | 0.1 |
Pick n Pay Employee Share Trust | 1 | — | 16.2 | 2.0 |
The Blue Ribbon Meat Corporation (Pty) Limited | 1 | — | 1.7 | 0.3 |
Public shareholders | 10 980 | 99.9 | 241.5 | 45.8 |
10 991 | 100.0 | 527.2 | 100.0 | |
Beneficial shareholders holding 1% or more | ||||
Ackerman Family Trust | 254.9 | 48.3 | ||
Pick n Pay Employee Share Trust | 16.2 | 3.1 | ||
Liberty Group | 15.1 | 2.9 | ||
Old Mutual Group | 13.2 | 2.5 | ||
Investment Solutions | 11.9 | 2.3 | ||
Investec | 10.9 | 2.1 | ||
Nedbank Group | 10.5 | 2.0 | ||
Allan Gray | 5.2 | 1.0 |
政府との関係・社会貢献
Ackermanは「消費者による選択の情熱的支持者」とであるといわれてきた。彼は、厳しく規制された南アフリカの燃料産業を規制から解き放つために、1994年以前も以後も南アフリカ政府と多くの戦いを交えてきた。Pick n Payは、1975年にガソリンの価格統制問題への取り組みを始め、南アフリカの燃料産業がかつて経験したことのない大騒動となった。このとき、Pick n Payはガソリン価格引き下げの協定を結ぶことに成功したが、これが有効だったのは、利害関係者が不平を申し立てたことにより、同社の動きを阻止するため強力な法律を政府が通すまでのしばらくの間だけだった。
その戦いは、Pick n Payが低いガソリン価格でセルフサービスを導入しようとした時に、政府がそれを恣意的に違法化し、さらに石油会社がPick n Payに対して石油を供給することを禁止することを指示した1985年まで、10年間続いた。同社は挑戦を続け、クーポンシステムを通して値引きを行う別の方法を見つけようとした。この議論は司法論争に持ち込まれ、Pick n Payに有利な判決が出された。 2009年に再びAckermanは、「緊急の課題」として南アフリカの「制約されている」ガソリン価格構造を政府に見直すよう呼びかけた。Ackermanは、「まったく適切なことに、他のすべての国家統制価格や管理委員会が廃止されているなか」ガソリンが、国家が価格統制している唯一の商品であり続けていると述べた。
2009年に、Competition Act違反の可能性があるとして、Competition Commissionは、南アフリカの主要なスーパーマーケット・チェーンの調査を行った。その中にはShoprite-Checkers、Woolworths、Spar、Pick n Payが含まれていた。Competition Commissionによると、この調査は、様々な利害関係者と一般の消費者によって提起された憂慮に促されて実施されたものである。あるエコノミストは、この動きは食料品価格においてのみ重要な意味をもっただけではなく、新政府の規制へのより積極的なアプローチを示すサインであるかもしれないと評した。すなわち、Razia Khan(Standard Charteredのアフリカ調査部長)によれば、「私たちは南アフリカ政府が活動家的な側面を強めているサインを見ているのかもしれない。これは「単なる食料品価格」の問題だけではなく、より深いものを示唆している。それは、ビジネス規制への当局のアプローチにおいて画期をなすものと見ることもできる」。
注記: Competition Commissionは独立機関であるが、政府が反トラスト当局を通じて貧困者優先のアジェンダを促進するための圧力をかけ、企業合併の結果に影響を与える可能性があること危惧する投資家もいる。
製品開発
Pick n PayはJohannesburgのWoodmeadとDurbanのSouth Coastにおいての2008/2009年度に二つの新しいHypermarketを開設した。また、5つの新しい法人経営店と12の新しいフランチャイズ店が開設された。そして、現在進行中の店舗運営のレビューに基づき、4つの店舗を法人経営からフランチャイズに転換させた。
同社はさらに、4つの新しい法人店舗と15の新しいフランチャイズ・スーパーマーケットをオープンし、2つの法人店舗をフランチャイズ店舗に転換していく予定である。
加えて、27のScoreストアをFamilyフランチャイズブランドに転換し、来年には、さらに25店舗が転換される予定である。さらにPick n Payは24の酒販店(法人経営14店舗、フランチャイズ10店舗) と衣料品店1店舗を開設した。