southafricaSanlam Ltd

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Sanlam Ltdは南アフリカの金融サービスグループである。ヨハネスブルグ証券取引所とナミビア証券取引所に上場されている。Sanlamグループは、本社であるSanlam Limitedと、4つのビジネスクラスタ(小売向け保険、機関向け保険、短期間保険、および法人向け保険)を通して業務を行っている。 本社は戦略的方向の策定や財務管理やリスク管理を行い、またマーケティング、コミュニケーション、人事、社会に貢献する投資(CSI)などグループの統合機能における責任を担っている。

短期間保険クラスタは南アフリカにおいて短期間保険分野のリーディングカンパニーであるSantamの57%の株を持ち、またMiWay(グループに新設された直接金融サービス企業)の55%の直接的な所有権をもっている。

Suid-Afrikaanse Nasionale Trust en Assuransie Maatskappij (Santam)は1918年3月28日に法人として登記された。しかし、Santamが登記される前から、保険契約者への長期利潤が、株主に対する短期的な利益と分離されることを担保するために、生命保険事業部を別会社に切り離すことが決定されていた。Suid-Afrikaanse Nasionale Lewens Assuransie Maatskappij Beperk (Sanlam)は1918年6月8日に登記された。子会社のSanlamが結果的に業務拡大の推進力となり、Santamは短期間保険に集中し続けた。

90年代、Sanlamの焦点は徐々に生命保険から、より広い範囲の金融商品とサービスを提供する方向に移行し、1998年に相互会社であることをやめ、1998年11月30日にヨハネスブルグ証券取引所とナミビア証券取引所に上場した。 これによりSanlamは相互会社からSanlam Life Insurance Ltdという株式資本をもった公開会社への変換を遂げた。同時に、Sanlamグループの事業の親会社として、別会社のSanlam Ltdが設立された。グループ企業の枠組みの中で、グループ事業もまた複数の独立事業として再編された。

Sanlamは、南アフリカの主要金融機関として初めて、2004年にエンパワーメント取引を完了した。 ビジネスマンPatrice Motsepeが率いる広域黒人エンパワーメント共同体Ubuntu-Botho (UB)は、Sanlamの10%の株式を取得した。UBの取引は中小企業に及んでいるため、Sanlamにとっては潜在的顧客のベースがかなり拡張されることになった。Ubuntu-Botho共同体の株主は3つの柱から構成される。すなわち、Patrice Motsepeが運営するSizanani-Thusanang Helpmekaar(55%)、Sanlam/Ubuntu-Botho Community Development Trust (20%)、Broad-based Empowerment Groupings (25%)である。

国内の所在地

2 Strand Road, Bellville, South Africa, Tel: (021) 947-9111

製品・サービス

Sanlam Limitedは、その子会社を通して、主に南アフリカにおいて、また国際的にも、個人顧客と機関顧客に対して様々な金融ソリューションを提供する。同社は、遺産計画・信託、住宅ローン、個人ローン、金融関連製品、振り込み、および金融サービスを含む、さまざまな生命保険、個人金融サービスおよびソリューションを提供し、主に低所得者の市場に対する金融ソリューションも提供している。 また、伝統的な資産管理、オルタナティブな投資ソリューション、不動産資産管理、合同運用投資、個人向け投資の管理、株式売買仲介、マルチマネージャ管理、および投資管理などを含んだサービスとソリューションを提供する。それに加え、同社は、生命保険、投資、団体年金、退職ファンド、退職ファンドおよびアンブレラ・ファンドの運用管理を提供する。さらに、リスク管理、仕組み商品ソリューション、および関連資本市場活動を提供する。

従業員数

従業員数は8,894人である。

財務情報

1998年に上場して以来、Sanlamの株価は毎年14.9%の複利を上げており、South African Life Assurance Indexを毎年平均の約10%上回り、同業他社より一貫して優れている。

最終的なグループのへの利益貢献:

小売顧客 17億5700万ランド、機関顧客 7億3700万ランド、短期保険顧客 4億3900万ランド、法人 1億3100万ランド

グループの新規事業の営業成績の内訳:

小売顧客 360億1400万ランド 機関顧客 519億5700万ランド 、 短期保険顧客 121億6500万ランド

Sanlamの資本市場

新規事業

地理的内訳

Sanlamのグループ損益計算書

市場シェア

Santamは市場シェアが20パーセントを超えている南アフリカの最大の短期保険会社である。そのクライアントリストにはJSEに上場しているトップ100の会社の過半数を含んでいる。Sanlamグループの市場シェアは15%である。

事業目的

「クライアントのために富を創造し、保護し、増やし、クライアント中心的な富の創造と保護におけるリーダーとなること」

ビジネスモデル

「私たちのビジネスモデルは、クライアント中心であること、ソリューション指向であることに焦点をおいている。私たちのクライアント中心戦略に沿って、私たちは市場を4つのサブブランドに区分し、それぞれ特定の小売のセグメントに合わせたソリューションのユニークなポートフォリオを設定している。その4つとは、低所得者向けのSanlam Sky、中所得者向けのSanlam Topaz、事業主やプロフェッショナル向けのSanlam Cobalt、そして富裕層向けのGlacier by Sanlamである。」

「伝統的に、私たちの投資と機関向けのマーケットにおけるビジネスは、クライアントの要件を満たすように明確にカスタム設計されたソリューションを提供している。そして、これらは総合的なコーポレート・ブランドを強化し、2つの軸をもつSanlamの戦略を位置づける。第一の軸は、費用を節減し効率を最大にして資本を最適化しながら継続的にリターンを増加させていくことへの努力を惜しまないことである。第二の軸は金融サービスの様々な分野に取り組み、新しい収益市場や地域市場に参入しながら収入源を多角化させ、結果として、リスクを分散して、どのような市況であっても立ち直りの早いパフォーマンスを担保していくことである。」

「Group Equity Value のリターンを最大にすることによって株主の利益を最適化することがグループの第一の目標である。 この目的の達成のため、Sanlamは資本効率、収益増、コストと効率性、多角化、そして変革に焦点を置いている。これらの戦略の相互作用は以下のように図示される:

株主・所有権益

Sanlam Limitedがグループの実質的な持株会社である。Sanlam Limitedの株の保有を通じて、Ubuntu-Botho Investmentsはグループ関連会社と見なされる。他に重要な影響力をもち、関連会社と見なされるようなSanlam株主は存在しない。

政府との関係・社会貢献

Financial Sector Charter (FSC)によると、金融部門のBEEは適切なリソースを動員して、黒人所有の企業と黒人労働者の生産的で持続可能な参加を促進することを目指している。これはターゲット事業に黒人投資家や株主がいる部門において、Sanlamが上場株式市場を上回る長期のリターンを獲得するための投資機会を評価することを意味する。

FSC基準に照らしたSanlamのエンパワーメント融資のパフォーマンス
Component FSC target Actuals
2007 2006
Empowerment financing points scored against the Charter allocation 22 19 13
BEE transactions R3 024m R3 488m R1 056m
Targeted investments R3 840m R2 459m R1 944m

注記: 私たちは、2006年と2007年において、BEE取引融資において最大5ポイント中5ポイントを獲得した。FSC協議会が2006年に外国の機関を投資ターゲットから免除したので、ターゲット投資の下で得られた実際のポイントは、2006年のレポートで明らかにされなかった。ターゲットの投資において、私たちは、FSC協議会が上記の免除を行っていなかった2006年に得た8ポイントと比較して、2007年には最大17ポイント中14ポイントを得た。

Sanlam Private Equity (SPE)はFSC対応の投資プログラムが実施される主要な領域を代表する。2007年にSPEがBEEと変革をもたらしたより具体的な例として、SPEが南アフリカ最大の黒人所有の溶接供給企業の創設に対して融資とアドバイスを行った唯一の金融機関であったこと、SPEによる19.9%の株式取得を通じて、黒人が所有・支配する投資持株会社Destiny Corporation (Pty) Limitedに資金調達したこと、東アフリカ沿岸に海底光ファイバーケーブルを敷設するSEACOMの事業へのShandukaグループの参加のための出資の過半を行ったこと、Zungu Investment Company Limited (ZICO)主導のコンソーシアムによる、南アフリカで3番目に大きいアウトドアメディア会社、Outdoor Network Group獲得への参加と資金調達、などが挙げられる。

2008年の保険法修正法案(Insurance Laws Amendment Bill)は、健全に規制された保険産業のための立法上の枠組みを強化し、産業内のプレーヤーと消費者に金融市場の安定性を供給することを目的として掲げている。

法案概要のセクション3.2.10において、更なる目的が以下のように書かれている。 「コミッション報酬を得る独立した仲介者が提供するサービスへの報酬と、独立した仲介者かもしれないが、長期・短期保険者との契約により、コミッション額に限度がない主体が提供するサービスとの区別を明確化し、仲介者への報酬を制限するための規制をすすめること。」

製品開発

コストを削減し、資本効率を維持するための取り組みの中で、昨年Sanlamはクレジットイニシアチブの大部分の開発と成長のスケールを実質的に縮小させた。 また、この動きに沿ってSanlamは株式買い戻しプログラムを中止した。

将来のプランには以下が含まれる:

Sanlam Personal FinanceからTopazを引き受けることにより、南アフリカの中間所得層の市場をさらに拡大・多角化すること。短期保険製品を含むより広い製品を提供することによって低所得者市場のビジネスを次の2年間に30%の割合で成長させていくこと。高所得者層に対しては、さらに関連性の高い製品を作り、サービスにおける差別化を図ることにより、市場に対してより多くの影響力を発揮すること。個人富裕層に対しては、Sanlam Private Investmentsを通じてクレジット商品とプライベートバンキングへのアクセスを増やすことによって、その市場をさらに広げること。オフショア投資を望んでいる南アフリカの投資家にイギリスが提供している洗練された投資機会を提供すること。

2008年の第3四半期に、SanlamはSMC(インドの4番目に大きい証券会社)との合弁事業を発表した。また昨年、Sanlam投資は、ニッチ市場で活躍するオーストラリアの投資管理企業Atom Funds Managementの過半数株式を取得した。

2008年に、Sanlamは、競争力があり満足しうるリターンを配当できる年金ソリューション、Complete Picture Pensionの製品提供を始めた。