southafricaPretoria Portland Cement Company Limited (PPC)

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Pretoria Portland Cement Company Limitedは子会社を通じてセメントの生産と販売を行っている。同社は自前の流通ネットワークを通して建築・建設業界、コンクリート製品製造業者、小売業者(建設業者、商業施設、金物店、DIYセンター)にセメントを販売し、他のアフリカ諸国やインド洋の島嶼国にもセメントを輸出している。

同社は1892年に設立された。当初の社名はDe Eerste Cement Fabrieken Beperktで、1908年にPretoria Portland Cement Company Limitedに改名し、ヨハネスブルグ証券取引所に1910年に上場した。

PPCは南アフリカ、ボツワナ、およびジンバブエに3つの精錬貯蔵所と8つの製造設備を持つ、南部アフリカ地域におけるセメントの主要供給者である。これらの施設は年間700万トン以上のセメント製品を生産できる。

PPCは270億ランド規模の広域黒人経済エンパワーメントを完了し、これによりコミュニティ、建設業団体、教育トラスト、コミュニティ・サービス・グループ(community service groups: CSGs)、戦略的黒人パートナー(strategic black partners: SBPs)に会社の普通株式の15%が移転された。PPCの従業員、教育トラスト、建設業界のトラスト、および二つのCSGsが最大割合の8.15%の株式を得た。一方で、SBPs、Nozala、Peu、iLima Portland Consortium、およびCapital Edge Cement Consortiumは株式の7%を受け取った。それに加え、PPCは従業員、黒人管理職、および非常勤役員の内部トラストを設立し、既存の株主から6.65%の株式を獲得した。Bheki SibiyaがPPCの初代黒人会長に任命された。

国内の所在地

PPC Building, Barlow Park, 180 Katherine Street, Sandton
Tel: 00 27 (0)11 386 9000; Fax: 00 27 (0)11 386 9001

製品・サービス

Pretoria Portland Cement Company Limitedは子会社を通じてセメントの生産と販売を行う。同社は南アフリカではSurebuild、ボツワナではBotcem、ジンバブエではUnicemのブランド名でセメントを販売している。同社はまた、冶金グレードライム、焼成ドロマイト、石灰岩、その他の関連商品(粗骨材と砂など)を供給する。

従業員数

従業員数は3,164人である。

財務情報

2008年は売上が12%増加して、62億ランドとなった。営業活動から生じたキャッシュは16%増加し25億ランドであった。

財務状況の概要

市場シェア

PPCはアフリカ最大のセメントメーカーである。PPCライムは南部アフリカの冶金グレードライム、焼成ドロマイト、石灰岩、および関連商品のリーディングサプライヤーである。同社は南アフリカのNorthern Cape州Lime Acresにおいて世界最大規模の石灰工場を操業している。PPCは南アフリカで最大のセメントメーカーでもある。

事業目的

「セメント生産能力への再投資と設備交換を継続的に行うためのキャッシュフローリターンを確保すること。また、コスト削減と生産効率向上のための方策を継続的に模索すること」

ビジネスモデル

経営目標を達成するためのPPCの戦略の主要な要素は以下の通りである:

「基幹的事業に集中すること。優れたキャッシュフローリターンを発生させること。国際競争力を達成すること。グローバルに競争力がある人材を育成すること。健全な企業、環境、そして、社会的ガバナンスを実施すること。代替燃料を使用することによってエネルギーコストを下げること。 生産能力を増加させて国の需要を満たすこと。相乗効果のある成長を達成し、我々の強みを確立すること。」

「必要な技能を育てることが、将来的に成長し成功するためには不可欠であることを認識し、PPCは第6番目のバイタル・エレメントを入れたモデルを導入し、「成長の為の学習」というキャッチフレーズのもと、個人開発プランや事業場技能プラン、営業・マーケティング・その他のトレーニングやプログラムを実施するオペレーションアカデミーを導入した。」

成果を出す組織に不可欠の要素(バイタル・エレメント)-- PPC

株主・所有権益

BEE取引

政府との関係・社会貢献

PPCは、以下が政府との関係で有益であるものとみなしている:政府には、インフラストラクチャーを充実させて、雇用を創り出す政治的意思がある。政府は年4.5%から6%の経済成長率を目標としている(うち、8年間で € 500億以上をインフラストラクチャーが牽引)。政府は2014年までにGDP25%規模のGross Fixed Capital Formation(GFCF)を目標として掲げている。低価格住宅計画はセメント事業の成長の最大の担い手となると期待される。2010年サッカーワールドカップは、3年の間ポジティブな効果をもたらすだろう。法人税と配当への課税率の引き下げにより、同社は2008年に6200万ランド の利益を得た。

BEE Construction Sector Codeは建設プログラムとサービスにおいて変革とBEEを推進するための機会を提供する。またこのコードは、規制を通じて、建設業における黒人所有率30%の目標達成を目指す。

2009年6月にCompetition Commissionは、PPC、Lafarge Industries、the AfriSam Consortium、およびNatal Portland Cement Cimporのオフィスを反トラスト調査の一環としてとして捜索した。PPCがその支配力を乱用し、セメントの供給を不当に制限し、独立系のセメント業者を締め出しているとして、これらの各社は価格吊上げと市場分割の容疑で告発された。委員会によると、需要の変化や材料仕入れコストの変動にもかかわらず、南アフリカのセメントの生産者価格は、経済における総合的なコストの主要指数である生産者物価指数をはるかに上回るレベルで、6カ月毎に上がり続けてきた。セメント製造企業は生産者価格を平均6%(年間12%)引き上げ、2009年2月にはさらに大きな値上げを行った。

政府の巨額なインフラ投資を見据えて、委員会は2年の間、インフラストラクチャー部門(優先セクターの1つ)について調査を行い、そこで競争に関わる懸念がある多くの製品を特定し、そのなかにセメントも含まれていた。 委員会はインフラストラクチャー市場の調査開始以降、同セクターで価格吊上げ、顧客・市場分割、および入札操作・談合に関する証拠を見つけている。

製品開発

PPCは、生産稼働年数が50年近くなっているRiebeeck Westのプラントに代わる新しい工場の設置を計画している。新プラントは、既存の生産能力を置き換えるだけではなく、Western Cape州におけるセメント生産能力を拡大するだろう。Riebeeckの新プラントで利用される加工技術は、従来よりもかなり環境に優しく、エネルギー効率も優れており、これにより西ケープ州の将来見込まれる需要にたいして持続可能な供給ができるだろう。

Dwaalboom2号窯は2008年9月に稼働開始した。 HerculesのNtšhafatso新工場プロジェクトは計画通り順調に進行している。