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nigeriaArik Air

会社概要と沿革

ナイジェリア航空業界トップのアリック


Arik Air (以下、「アリック」)は、’Wing of Nigeria(ナイジェリアの翼)’をスローガンに、ナイジェリア人ジョセフ・アルメミ・ジョンソン氏が04年に設立した会社だ。アリックの全株を同氏が有している。06年10月末にラゴス-アブジャ間のフライト就航を開始した。現在では1日に120便を運航、ラゴス、アブジャ、ポートハーコートなど国内19都市に加え、ロンドン、ニューヨーク、アクラを始めとした海外13都市を結ぶ大手航空会社に成長した。年間の利用者はのべ300万人に上り、うち国内乗客数はのべ250万人だ。現在の従業員は、ナイジェリア人1,900人、外国人190人である。

アリック社長を務めるジェイソン・ホルト氏によると、同社のナイジェリア国内のマーケットシェアは45~50%程度で、業界トップだ。ナイジェリア国内のドル箱路線と呼ばれるのは、ラゴス、アブジャ、ポートハーコートを結ぶ「ゴールデントライアングル」であるが、この路線における平日1日あたり国内大手3社のフライト最大運航数(09年12月現在)を比較してみると、アリックが40便、エアロ・コントラクターズが24便、ナイジェリアン・イーグルが14便だ。主要路線の半数を、アリックが独占している構図が浮かび上がる。

なお、ナイジェリアにおける航空業界は、近年順調に伸びている。ナイジェリア空港管理局によれば、2001年から2002年にかけて、国内フライト数は倍増し、乗客数も19%増となった。最近の統計の発表はないが、ホルト社長は「ナイジェリア全体のフライト利用者数はここ数年間で8%増となり、現在は年間600~650万人が国内フライトを利用している」と見る。

金融機関と政府の支援および安全性重視が成功の秘訣

創業から3年で成功した秘訣について、ホルト氏は「金融機関の支援をタイミングよくとりつけることができたこと」や、「ナイジェリア政府の支援(補助金)があったこと」を挙げている。実際に08年6月には、新機体購入のためゼニス銀行など国内商業銀行8行と350億ナイラ投資契約締結に漕ぎ着けている。

また、05年に起きた2件の国内フライト墜落大事故の教訓から、アリックは「安全性」を第一優先とし、06年にドイツのルフトハンザ・テクニックとパートナー技術の契約を締結。アリックが保有する機体29機のうち、新機体が17機(エアバスA340-542(2機)、ボーイング737-800NG(3機)、ボーイング737-700NG(6機)など)を占める点は、アフリカの航空会社としては特徴的だ。また06年に、アリックがボンバルディア CRJ-900を2機調達したことも、ナイジェリア系航空会社の商業用新機体調達としては約20年振りの出来事であったという。さらに、2010年も新たに7機を購入予定である。

このように、新機体を矢継ぎ早に投入したことや、同社フライトの安全性を強く訴えてきたこともシェア拡大を果たした大きな要因であると思われる。また、後述する国内航空大手ヴァージン・ナイジェリア航空会社(現ナイジェリアン・イーグル航空会社)が前政権と締結した契約内容と現政権の対応が異なるといった揉め事に対処しなければならず、結果としてヴァージン・アトランティック航空会社とは別のパートナー先を探さなければなくなったこともアリック社のシェア拡大につながったものと思われる。

陸路移動手段からの切り替え促進が課題

ホルト社長によると、ナイジェリア人は長距離の移動手段として、必ずしも飛行機を利用しようとはしないという。いくつかの理由が考えられるが、多くのナイジェリア人にとって05年までに起きた多数のフライト墜落事故の記憶が強く残っているため、「飛行機は危ない移動手段」と思い込んでいるという。また、陸路のバスに比べて高い運賃や、フライトの遅延への懸念がネックとなり、陸路移動を選択するナイジェリア人もいるという。

また、ナイジェリアでのビジネス上の課題としては、空港インフラが未整備であること、航空燃料の調達が困難な場合があること、マーケットトレンドの情報が不足していることをホルト社長は挙げている。

西・中部アフリカ地域路線の拡大へ

前述の通り、アリックはナイジェリア国内路線のシェアは45~50%を誇るが、これを2010年までに65%に上げることを目標に掲げている。また、同は西アフリカ・中部アフリカ地域の路線拡大も狙っており、同地域でも50%程度のシェア獲得を目指すという。
これまでも、08年1月にラゴス-アクラ(ガーナ)間の路線を就航させた後、ラゴスもしくはアブジャとコトヌー(ベニン)、ダカール(セネガル)、バンジュール(ガンビア)、ニアメ(ニジェール)を結ぶ路線も切り開いてきた。

今後は、ニアメから横展開させ、ワガドゥグ(ブルキナファソ)、ニアメ(マリ)、最後はダカール(セネガル)へとつないだり、ラゴスとキンシャサ(DRC)、ルアンダ(アンゴラ)を結ぶルートも近い将来完成させたい意向だ。特に西アフリカ地域では英語圏と仏語圏間のフライトの乗継が不便であるために、その間をつなぐ発想で、西アフリカ地域におけるラゴスのハブ化を更に進めたいとしている。長期的には、ケープタウン、ナイロビ、アディスアベバ、コナクリ(ギニア)、モンロビア(リベリア)、ロメ(トーゴ)、ドゥアラ(カメルーン)、マラボ(赤道ギニア)、リーブルビル(ガボン)、ブラザビル(コンゴ共和国)、カイロ、カサブランカといったアフリカ各国主要都市への路線拡大も検討していくという。

また、08年12月にラゴス-ロンドン間、09年6月にラゴス-ヨハネスブルグ間、09年12月にラゴス-ニューヨーク間といった長距離国際線も運航中で、ナイジェリア系航空会社としては他社に追随を許さない圧倒的な路線ネットワークを築いている。ドバイ、ムンバイ、北京、パリ、フランクフルト、アムステルダム、ミラノ、ブリュッセル、ヒューストン、モントリオール、サンパウロなど世界の大都市に向けた路線拡大構想は後を絶たない。