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mozambiqueBHP Billiton BHPビリトン

会社概要と沿革

BHPビリトン (BHP Billiton) は世界最大の多角化された鉱業会社である。2001年にオーストラリアの会社であるブロークンヒル・プロプライエタリー (Broken Hill Proprietary Company、BHP) とイギリスの会社ビリトンの合併によりつくられた。BHPビリトン (BHP Billiton Limited) は二元上場企業であり、オーストラリア証券取引所とロンドン証券取引所に上場している。ロンドン証券取引所では FTSE100種総合株価指数の一社である。

BHP は1885年に創業し、ニューサウスウエールズ州西方のブロークンヒル (Broken Hill) で銀および鉛鉱山事業を開始した。1915年、主にニューサウスウエールズ州のニューキャッスルを拠点に、製鉄業に進出した。1960年代には石油探査を始め、バス海峡での石油鉱脈発見で注目を集めた。ニューキャッスルでの小規模な製鉄業は、世界規模での最適化基準からは効率が悪く、1999年に操業を停止した。

ビリトンは鉱山会社であり、創業は1860年にさかのぼる。当時同社は、スマトラ東海岸沖、インドネシア列島のバンカBanka (Bangka) およびビリトン (Billiton、Belitung) で錫の豊富な島々の鉱床採掘権を得た。

ビリトンの初期事業としてオランダにおける錫および鉛精錬も行っており、1940年代にはインドネシアおよびスリナムでのボーキサイト事業が加わった。

1970年にはロイヤル・ダッチ・シェルがビリトンを買収し、成長範囲の拡大が加速した。オランダ、アルンヘム (Arnhem) にある、錫および鉛精錬所は1990年代に閉鎖した。1994年には、生産下流にある金属部門を除いてジェンコーがビリトンの鉱山部門を買収した。そしてビリトンは1997年、ジェンコーから切り離され、1997年にビリトン (Billiton Plc) は FTSE100種総合株価指数の一社となった。

1990年代とそれ以降のビリトン (Billiton Plc) の成長は注目に値する。そのポートフォリオには、南アフリカ共和国およびモザンビークのアルミ精錬所、オーストラリアおよびコロンビアのニッケル事業、南米、カナダ、南アフリカ共和国のベースメタル鉱山、オーストラリア、コロンビア、南アフリカ共和国の石炭鉱山、さらに、ブラジル、スリナム、オーストラリア (アルミ) および南アフリカ共和国 (チタン鉱物、鋼、合金鉄) が加わった。

BHPビリトンは、モザンビークのマプト港から17km に位置するモザール・アルミ精錬所を運営している。モザール・アルミ精錬所はアルミニウム・ペシネイ (Aluminium Pechiney) AP35技術により標準アルミインゴットの製造を行っている。またモザールはマプト港のマトラに専用の停泊場所と水陸連絡設備を建設し、運用している。

モザール1は1998年に操業を開始した。精錬所は予定よりも6ヵ月早く、予算を1億米ドル以上下回って、順調に完成した。正式開業は2000年9月29日である。

モザール2拡張プロジェクトは2001年に承認され、精錬所の一次インゴット生産量は253,000から506,000 tpa に増加した。最初のアルミは2003年4月7日の拡張プロジェクトでの鋳物であった。モザール2は2003年に8.6億米ドルの予算の範囲内で完全に作動した。


精錬所は現在約年間563,000トンの生産能力を有する。モザールの電力源は、モトラコ (Motraco) 経由エスコム (Eskom) である。モトラコ (Motraco) はエスコム (Eskom) とモザンビークとスワジランドの電力会社の送電合弁会社である。料金は2012年まで一定であり、それ以降はライム (LIME) アルミ価格に連動する。合弁会社は、50年の土地使用権を持ち、政府の許可を得ればその後の50年も使用権を得られる。

国内の所在地

Mozal Beloluane Industrial Park, Boane District, Maputo, Mozambique;
Telephone: +(258) 21 735000
Facsimile: +(258) 21 735082

製品・サービス

BHPビリトンはアルミ、エネルギー用石炭、原料炭、銅、マンガン、鉄鉱石、ウラン、ニッケル、銀、チタン鉱物などの主要鉱物事業において業界内で主要な地位を築き、また、石油、ガス、液化天然ガス、ダイアモンドにおいても事業を拡大している。

アルミニウム:一次アルミ製造で世界第6位

ベースメタル;世界第3位の銅製造会社で、鉛、亜鉛製造ではリーダー的地位を占める

鉄鉱石:子会社のBHPビリトン鉄鉱石 (BHP Billiton Iron Ore) は世界でもっと優れた鉄鉱石供給会社のひとつ

ダイアモンドおよび特殊産品:天然ダイアモンドの年間生産量世界シェアは重量で3%、価格で6%程度

メタルジカル・コール (Metallurgical Coal:子会社の BHPビリトン・メタルジカル・コール (BHP Billiton Metallurgical Coal) は海上輸送コークス用炭における世界最大の供給会社

ステンレス・スティール・ミネラルズ (Stainless Steel Materials):世界第3位のニッケル製造会社

従業員数

世界全体: 99,000人;モザールは1,152人

財務情報

2009事業年度において、会社の総売上高は500.2億ドルであった。利益(例外的な項目を除いて)は107億ドルであり、純事業キャッシュフローは189億ドルであった。2009年6月30日における時価総額は約1,440億ドルである。モザールの2009事業年度の生産は255,000トンであった。

モザール統計値

生産および出荷レポート

四半期末 年度累計 6月
2008
9月
2008
12月
2008
3月
2009
6月
2009
6月
2009
6月
2008
アルミニウム
BHPビリトンが製造、販売(注記ない場合)(千トン)
アルミニウム 生産(千トン)
ヒルサイド(Hillside) 100% 170 175 176 174 177 702 695
ベイサイド(Bayside) 100% 29 25 25 24 25 99 168
アルマー(Alumar) 40% 45 45 44 44 44 177 178
モザール(Mozal) 47% 61 64 65 62 64 255 257
合計 305 309 310 304 310 1,233 1,298
販売
ヒルサイド、南アフリカ
(Hillside)
183 160 185 173 189 707 687
ベイサイド、南アフリカ
(Bayside)
29 24 24 26 22 96 177
アルマー、ブラジル
(Alumar)
47 37 50 48 47 182 181
モザール、モザンビーク
(Mozal)
73 36 105 41 88 270 258
合計 34 31 27 40 31 129 130
通行料アグリーメント(a) 366 288 391 328 377 1,384 1,433
共同経営における主要株主   BHPビリトングループにおける所有割合 納税後利益額
2009
%
2008
%
2007
%
2009
US$M
2008
US$M
2007
US$M
モザールSARL(Mozal SARL) 47.1 47.1 47.1 84 207 259
コンパニア・ミネラ・アンタミナSA(
Compania Minera Antamina SA)
33.75 33.75 33.75 185 615 506
ミネラ・エスコンディダ・リミタダ(Minera Escondida Limitada) 57.5 57.5 57.5 422 3,930 3,442
サマルコ・ミネラカオSA(Samarco Mineracao SA) 50 50 50 340 279 239
カルボネス・デル・セレジョンLLC(Carbones del Cerrejon LLC) 33.3 33.3 33.3 243 183 112
その他       159 90 109
合計   1,433 5,304 4,667
  1. BHPビリトングループにおける所有割合と、共同経営における主要株主の報告日付は同じ。アニュアルファイナンシャルレポートの日付がグループのものと異なる場合、ファイナンシャル情報はグループのレポートとあわせるために6月30日付けとした。
  2. 小規模な共同経営体およびリチャーズベイ・ミネラル合弁会社は50%の保有。(2008年:50%;2007年50%)

市場シェア

モザールはモザンビーク最大の会社である。約20億米ドルの投資で、一次アルミ精錬に関するBHPビルトンのモザール工業プロジェクトは、モザンビークで過去最大規模の請負業務となった。アルミ輸出価格の低下にもかかわらず、モザールで生産されるインゴットはモザンビーク輸出収入の半分をはるかに超える。政府の輸出推進協会 (Export Promotion Institute: IPEX) によれば、モザンビークの総輸出額は2007年の24.1億USドルから2008年の26.5億USドルへと増加している。この期間のモザールの輸出は14.8億USドル から 14.5億USドルに減少した。すべての商品輸出に占めるアルミの割合は61.4%から 54.7 %に減少した。

事業目的

我々の目標は、発見、開発、天然資源の精製、革新的顧客への対応、市場志向のソルーションにより、長期的な株主価値をつくることである。

ビジネスモデル

BHPビリトンのビジネスモデルの要諦は、安定したキャッシュフローを生み、成長を加速させる良質な資産で多角化したポートフォリオにある。将来投資を続けており、成長する多くの資産を有する。

経営および投資方針は会社グループが長期的に安定し、短期の市場の変化に即応できるようにするためである。これを達成するために、成長事業、大規模事業、長寿命事業、抵コスト事業、拡張性のある事業、輸出志向の事業といった、地理的にも製品的にも多角化したポートフォリオを保有し運営している。そして、次のような中核的能力により、成長機会を追求する。

  • 資源発掘への調査活動
  • 資源開発と精製
  • 顧客開拓と顧客本位のマーケティング
  • グループ機能の活動を通じて、その能力を超えた価値を株主価値を創出する。

さらに、会社の目標とコミットメントは、6つの戦略的要因により遂行される。

  • 才能のある人材、やる気のある人材はもっとも貴重な資源である
  • ウインーウイン関係、パートナー関係をつくるために、健康、安全、環境、コミュニティに着目する
  • 新規プロジェクト投資へのキャッシュを生み出す世界中の資産は、事業対象国経済の発展に貢献し、従業員サプライヤーや、パートナーに対する義務を果たし、究極的には株主配当を可能にするようなものでなくてはならない。
  • 強固な財務体質と規律 
  • BHPビリトンの資金管理プログラムには3つの優先順位がある
  • 経済情勢にかかわらず、リターンの魅力的な世界クラスの強化パイプラインプロジェクトには再投資する
  • 堅実なバランスシートを確保する
  • 過剰資本は株主に戻す
  • プロジェクト パイプライン 
  • 将来世代の発展を支えるものに、よりよい資源を届けることに焦点を当てる。
  • 成長オプション 
  • 現在のパイプラインを超え、将来世代のために成長の基礎を確かなものにするために調査、技術、グローバルフットプリントを用いる
     

株主・所有権益

BHPビリトンはモザール合弁会社の47.1%の所有権を持つ。その他のパートナーは、三菱商事(25%)、南アフリカ産業開発公社 (Industrial Development Corporation of South Africa Limited)(24%)、モザンビーク政府 (3.9%)

政府との関係・社会貢献

モザンビークの鉱業は、2002年2月26日に公布された鉱山法 (Mining Law) 14/2002で、鉱物資源エネルギー省 (Ministry of Mineral Resources and Energy) により管轄されている。鉱物資源の探査、調査プロジェクト、開発には次の採掘権と許可が必要である。

踏査許可、調査許可、鉱業権、鉱業証明書と鉱業パス。採掘権と許可は早い者勝ちである。

関連法第6章に、国内外問わず法的資格を持ついかなる人も調査、探査許可の保持者となれる、と述べられている。採掘権を維持するためには、会社をモザンビークに設立、登記しなければならない。モザンビークを本拠地とし、法的資格を有する国内外のいかなる法人または個人も採掘証を維持することができる。採掘パスの保持者となれるのは、モザンビークの法的資格を有する個人のみである。調査許可書は5年間の期限付きであり、最長で同期間の更新ができる。鉱業権、鉱業証については、調査許可書を持つものにしか与えられない。したがって、調査許可を持つものだけが鉱業権または鉱業証を申請する権利を有する。

以下のような財政的インセンティブが提供される

  • 決算時に、調査および開発段階から生産初年までの経費が蓄積・繰越ができる
  • 調査開発費に対する加速度償却法の適用。標準または鉱山寿命直線レート法(life of mine straight-line rates)も適用可能
  • 鉱物生産のロイヤリティはほとんどの鉱物で3%、貴金属で5%、宝石用原石で6%、ダイアモンドで10%
  • 課税所得の計算時にロイヤリティの控除ができる。すなわち、鉱業経営に携わる外国の、非居住サブコントラクターは業務の売上税が免除され、所得税から15%減税される
  • 探索・発掘事業期間中に、その目的のために輸入された鉱業用機器その他の輸入関係物の免税は、サブコントラクターまで適用できる
  • 鉱業製品の輸出時の免税
  • 海外金融機関からの借入利子に対する源泉徴収税の免税 (通常18%)

モザールと政府の関係は旧来から良好であったが、ここ数ヵ月の関係はあまりよくない。2009年2月、モザンビーク労働省 (Mozambican Labour Ministry) はモザールに違法解雇で罰金を科した。モザールは80人の労働者を一時解雇したが、労働省の発表によるとモザンビーク労働法に従っていなかったということである。

労働省は、モザールには再雇用されたくないという元労働者から事情聴取し、労働法に従って会社が支払った退職金の2倍を支払うように命じた。労働視察団 (General Inspectorate of Labour) もまたモザールに二つの罰金を科した。ひとつは、集団解雇の規則違反に対する最低月額賃金の5倍の支払い、そして二つ目は、労働組合結成権の阻止で各労働者の最低賃金の3倍である。また労働省は、厚生省 (Ministry of Health) とともに80人の各労働者に健康診断を行い、職業疾患が発見されたときはモザールが責任を取るように発表した。

モザールは、人員過剰のため余剰人員がでたと主張した。労働省は、モザールは解雇したモザンビーク人のかわりに外国の労働者を雇うことは禁止すると言明した。

〔注:モザールが労働省とこのような論争を行ったのはこれが始めてである。同社は国内の他のどの工場よりも高い賃金を払う民間企業である。世界クラスの安全衛生記録を持ち、大気中およびモトーラ川への有害物排出には注意を払い、十分に環境基準を満たしている。モザールは地域社会とすばらしい関係を持ち、広く評価された反マラリアおよび反 HIV / エイズキャンペーンを行っている。〕

製品開発

2009年、モザールは2008年会計年度の利益が4億4,000万ドルに落ち込んだと発表した。2007年会計年度はUS$5億5,000万ドルであったと発表していた。アルミ価格の下落が利益を下げ、南アフリカを襲ったエネルギー危機後の電力10%削減も影響した。