Tullow Oil Plc
アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。
会社概要と沿革
Tullow Oil plcは、ヨーロッパで最も大きい独立系石油・ガス探査会社の一つである。このグループは22カ国に86のライセンスを持ち、アフリカ、ヨーロッパ、南アジア、南アメリカで操業している。現在の生産は60,000 bpdである。2008年には、ガーナとウガンダにおける複数油井キャンペーンを含む99の油井探査、評価、開発を行った、2008年においてTullow Oilは、22油井のうち17油井で探査に成功、77%の探査成功率を達成した。
2007年1月、Tullow Oilは5億9500万ポンドでHardman Resources Limitedの買収を完了してモーリタニアとウガンダでの操業を大いに拡大し、南アメリカでの高インパクト探査ライセンスも獲得した。
Tullow Oilはアイルランドとロンドンの証券取引所に上場しており、FTSE100インデックスの構成会社の一つでもある。
Tullow Oilは1985年に、セネガルで操業するガス探査会社として、Aidan Heaveyによりアイルランドで設立された。2000年にはBPの北海ガス油井を購入し、2004年には5億7000万米ドルでEnergy Africa社を買収した。Tullow Oilは近年、特に2007年1月のHardman Resourcesの買収を通して、急速に成長している。
Hardman Resourcesは2006年に、モーリタニアのChinguetti油井を稼働させることに成功していた。
モーリタニアでTullow Oilは、4万7000平方メートルにおよぶ8つの沖合ブロックに権益を有している。200年以来30以上の探査、評価および開発のための油井が掘られた。探査油井としてはChinguetti、Tiof、Tevet、Aigrette、Bandaから、かなりの量の原油とガスが発見された。一方FauconとPelican油井ではガスが発見された。
国内の所在地
情報なし。
製品・サービス
石油およびガスの探査
従業員数
世界各国あわせて540人。アフリカに223人。モーリタニアに12人。
財務情報
会社統計
1H 2009 | 1H 2008 | 変化率 | |
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売上収入(百万ポンド) | 291 | 378 | -23% |
営業利益(百万ポンド) | 61 | 201 | -70% |
税引利益(百万ポンド) | 21 | 126 | -83% |
一株当りの利益(ペンス) | 2.7 | 17.2 | -84% |
一株当りの配当(ペンス) | 2.0 | 2.0 | 0% |
営業により生じた利益(百万ポンド) 1 | 201 | 295 | -32% |
負債総額(百万ポンド) 2 | 430 | 417 | +3% |
1. 運転資本調整前。
2. 負債総額は、未償却の準備手数料から現金および現金等価物を差し引いたものである。
1H 2009 | 1H 2008 | 変化率 | |
---|---|---|---|
生産量(boepd) | 59,265 | 70,550 | -16% |
運転資本前営業キャッシュフロー | 18.8 | 23.0 | -18% |
現金営業費用(ポンド) 1+2 | 6.97 | 5.61 | +24% |
ギヤリング(%) 3 | 25 | 71 | -46% |
実現石油価格(バーレルあたり、$) | 53.0 | 80.1 | -34% |
実現ガス価格(サームあたり、ペンス) | 42.4 | 51.7 | -18% |
1. 現金営業費用は、消耗費、減価償却費、その他償却費、悪化損失および価格変動を除く。
2. 1H 2008年の平均為替レートはUS $2.00 : GBP 1.00. 1H 2009年の平均為替レートはUS $1.50 : GBP 1.00。
3. ギヤリングは、未償却の準備手数料の合計の出資資本を純資産で割った比率。
市場シェア
モーリタニアでは、2006年2月にChinguetti油田で原油の生産が開始された。2006年の生産は1日あたり30,260バーレル(bpd)で、そのうち19,320bdpは国内で消費され、11,300bdpは輸出された。2006年下旬には、Chinguettiの生産は75,000bdpにまで上昇した。ところが2007年になると生産は「地質学的複雑さ」が原因で大幅に減り、2008年にはたったの17,000bdpに落ち込んでしまった。2009年の上半期に置けるChinguetti油田からの生産は、平均で12,600bpdであった。
Tullow Oilの、2008年のChinguettiにおける稼働中の生産力は2200bdpである。
事業目的
「グループの戦略的目標は、この業界の同業者グループ中トップ5分の1の株主利益率を達成すること」
ビジネスモデル
Tullow Oilは、資金調達、探査・生産支出、中核分野の主要活動のバランスを維持しつつ持続可能な長期的成長を達成できるように、一貫性があり反復可能な戦略を追求している。この目的のために、我々は以下のことを行う:
- 確実に利益がえられる資源を増やしながらプロジェクトを遂行する
- 余剰キャッシュフローや株式資本を原資に、選び抜かれた高インパクトの探査プログラムを実施する
- ポートフォリオの質を上げるべく資産を管理し、資金調達力を向上させる
- 人の安全、確実な手順と作業、環境への影響を最小限に抑える
- 地方政府、コミュニティー、重要な利害関係者と長期的な関係を築きあげる
- 傑出した営業能力、技術力、財務力を持つ強いチームを作り上げる
ビジネスモデル
探査および査定(E&A) は、中核的事業を特定し、見込みのある探査活動に優先順位を与え、探査および査定プログラムを実施する責任を持つ。
Tullow Oilの探査戦略の基本は、劇的な変化をもたらす高価値の成長機会を見極め、中核プロジェクトとグループの重点分野の探査に集中して、適度なリスク軽減をはかることである。これを達成するために、技術的卓越性の開発により実現可能となった高い成功確率をアピールするため、広告的な探査キャンペーンを成功裏に実施することが重要である。世界経済の落ち込みにあわせて、グループの探査戦略を、短期的生産と採算性を目的に、ガーナとウガンダでの操業・資金調達に投資の重点を置くよう調整した。その一方で、長期成長事業の整備、高収益部門のさらなる強化を図っている。
生産と開発(P&D) は、収益獲得の基盤となる現場での査定、採算性のある油井の開発、グループの生産と埋蔵量の管理を担当している。
Tullow OilのP&D戦略は、グループの資産ポートフォリオから営業価値を産み出すことに焦点をおいている。これは、新規・追加の開発や、操業効率の向上、戦略的な資産の売却や買収を通して実現される。これには、グループの評判を高め、安全かつ環境に配慮した操業という長年のコミットメントを強化するような形で、すべてのビジネスを遂行することが欠かせない。2009年、Tullow Oilは、ガーナのJubileeフィールドと、ウガンダで発見した油田の開発を加速させ、収益を生みだすよう資本と人材を割り当てた。ガーナのアクラにおける世界レベルの深海採油能力の構築や、ウガンダでの開発活動に備えたカンパラの組織能力向上など、Tullow Oilは引き続き人的資源に積極的な投資を続ける。
財務管理 は、強健なバランスシートを維持するための株式・負債・現金の管理について責任を持ち、慎重かつ集中した資本投下によるE&AおよびP&D活動を支えている。Tullow Oilの財務管理戦略は、強健で資金豊富なバランスシートを保持することに集中しており、現在の外部状況とグループの長期成長戦略目標に整合的な形で運営されている。これはTullow Oilが、
(1) 事業資金の提供能力(特にガーナとウガンダにおける重要な投資)
(2) 市場の変動と不確実性に対処する能力
(3) 選択的に買収と売却を行う柔軟性
(4) 短期的活動と継続的成長に必要な長期的投資との全体的バランス
(5) 資金調達、探査・生産支出、中核分野の主要活動のバランスを維持しつつ、持続可能な長期的成長を達成する能力
を持つことを意味している。
法務部門 は、 諸規定の遵守や、Tullow Oilのビジネスニーズのための商取引について、法解決を含むすべての政治・法律関係マターを受け持つ。売却、投資、合併、買収を含むポートフォリオ管理については、共同責任を有している。Tullow Oilのビジネスモデルの中核には、グループのビジョンと戦略、そして計画と実行における強い統制がある。
株主・所有権益
主要な子会社:2008年12月31日現在の主要な子会社は:
ライセンス
政府との関係・社会貢献
炭化水素の探査および開発は、掘削調査があるため1988年11月13日施行の規則88−151の対象である。この規則は、炭化水素の研究開発に適用される法体系と税体系を規定している。その規則によれば、どの国籍の個人や法人であっても石油関連の営業活動(炭化水素の研究、開発、輸送、保管、販売)をすることができる。
ライセンスは以下の通りである。
- 踏査:最長12ヶ月間。全ての踏査活動を含む(300m超の高さのボーリングの穴を除く)。
- 探査:最長9年間(探査・生産契約(CEP)で設定された3期に分けられる)。各期において25%ずつ許可面積が削減されていく。全エリアを9年間でカバーしなければならない。
- 資源開発:25年間(石油)と30年間(ガス)。CEPで設定された3期に分割される。コスト石油は年間生産の60%、ガスについては65%が上限。
契約者は以下の資料を提出する義務がある。
- 研究活動のプログラムと年間予算
- 発見があった場合は評価プログラムとその予算
- CEPのための技術、財政、設備の動員計画
2004年、外国企業への課税システムを簡素化する新しい税体系が発効した。それには以下の規定がある。
- 商工業活動による収入への課税(モーリタニアではCGI):契約期間中は固定税率
- その他の税:付加価値税(VAT)とITS(外国籍スタッフには最大で35%)。
- その他の税金は全て免除(不動産資本収入、回転資本、研修税、特許、登録、会計手数料、それ以外の石油事業に関係するあらゆる税金、手数料、義務、寄付等)
- 契約者からサービスを下請けした外国企業への課税の簡素化
製品開発
2008年、モーリタニアのBandaでの発見後、2つの評価井が掘られた。4月にBanda North West油井では石油とガス両方が見つかり、圧力テストとサンプリングの結果、そこから2km離れた最初のBanda油井とこの油井がつながっていることが判明した。そして10月にBanda Eastの評価井を、Banda North Westから5km上方に向かって掘ったところ、他の油井と同じ石油とガスに行き当たった。その地域の商業的可能性を判断するため、現在地震データと油井データを地質モデルに組み込ませているところである。2008年の2月に、Tullow Oilは、モーリタニアのブロック6にあるKhop-1探査油井を掘ったが、少量の石油しか出なかったため放棄された。