madagascarMadagascar Oil Sa (MOL) マダガスカル オイル

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Madagascar Oil SAは、バミューダにあるMadagascar Oil Limitedの子会社で、2004年にSam Malinが、オーストラリアの実業家Alan BondとRobert Nelsonとともに設立したマダガスカル企業である。TsimiroroとBemolangaに大規模な重油田を所有している。前者は提携企業とともにマダガスカル・オイルが、後者はフランスの石油メジャーであるトタール(Total S.A.)が運営している。

2004年以降、同グループはマダガスカルにおいて最大の面積と資源を保持してきた。その権益は30km2にわたる。2006年3月、アメリカ人が運営するヘッジファンドが6000万米ドルの資金を調達したことで、同社は元々のマダガスカル・オイル(モーリシャス)親会社から、マダガスカル・オイル(バミューダ)の下で再編されることになった。

2004年にマダガスカル・オイルは、マダガスカルの7ブロックの経営権を取得した。全ブロックに関する調査研究はすでに完了していて、そのうち3102 Bemolangaと3014 Tsimiroroの2ブロックは、20世紀初頭に数社が関わっていた。その他の5ブロック、3105 Manambolo、3106 Morondava、3107 Manandaza、3109 Mandabe、2103 Majungaについては、40年以上前に一部で探査に成功していたのだが、どれも開発はされなかった。

2008 年、マダガスカル・オイルはブロック3109から撤退することを決定、2009年にはブロック2103の権益を放棄した。

マダガスカル・オイルは、見込みレベルでしかなかったBemolanga(ブロック3102)とTsimiroro(ブロック3104)で、確原油埋蔵を確認した。現在Manambolo(ブロック3105)、Morondava(ブロック3106)、Manandaza(ブロック3107)では掘削場所の特定作業が続けられている。

Tsimiroroは、最大で20億バレルの埋蔵が推定されている重油田(14º to 16º API)で、軽質油と天然ガスも埋蔵されている可能性がある。20年にわたって少なくても日量10万バレルの産出が確実視されている。最初の生産は2008年3月に実現した。同社の発表によると、「一本の油井で最初日量65バレル、ネットで45バレルの液状噴出があり、水蒸気圧入を増やす計画である。」

Bemolangaは166億バレルの埋蔵量をもち、およそ98億バレルが可採資源という大規模な超重油田(8º to 13º API)である。その開発に成功すればBemolangaは、最低でも30年にわたって日量18万バレルのオイルを産出する。2009年中頃から評価と事業設計が開始され、2013 年から開発が始まる予定である。

5ブロックあるマダガスカル・オイルのブロックは、およそ31,000平方キロメートル(770万エーカー)である。これは北海にほぼ匹敵する大きさである。各ブロックは4,000~7,000平方キロメートルで二つの領域に分けられ、BemolangaとTsimiroroはブロック全体のおよそ10分の1である。

マダガスカルでの原油生産における主な課題は、国内に精製能力がないことである。2007年後半、マダガスカル・オイルはBemolangaとTsimiroroの原油の輸出市場調査と想定価格調査のため、Pervin社、Gertz社と契約を交わした。その調査は、アジアとメキシコ湾岸において相当な原油市場が見込まれると結論している。

国内の所在地

Immeuble Trano Fitaratra, 9eme Etage, Antananarivo 101, Madagascar

製品・サービス

マダガスカル・オイルは石油の開発・探査・生産に重点を置いている。主には、マダガスカルの陸上石油会社である。

従業員数

75人。

財務情報

2006年10月、既存株主から一株2.50米ドルで2500万米ドルを調達。2007年3月には、クレディスイスとともに8500万米ドルの開発資金融資枠を獲得している。2008年9月にはフランスの石油メジャー、トタールにBemolanga油田の60%を1億米ドルで下請けすると発表。収益の一部は、同社にとって唯一の長期債権者であるクレディスイスへの支払いに用いられた。同社にはおよそ600万米ドルの現金残高がある。

現在同社には 60万米ドルの年間収入があると思われる。

市場シェア

純資産ベースでは、同社はマダガスカル国内で32,000 km2を上回る陸上面積の権益を有する最大の地主である。Bemolanga地区は166億バレルの石油、うち98億バレルは可採埋蔵量と推定される、世界最大級の未開発ビチューメン資源地である。

事業目的

「マダガスカルの陸上で、軽油、重油およびビチューメンにおける鉱工業生産者のリーダーを目指す」

ビジネスモデル

「マダガスカル・オイルは、マダガスカル国土において最大の探査・開発権益を持つ、非上場の石油・ガス会社である。優れたテクノロジーと優秀な経営力を駆使し、環境に優しく社会的責任を果たしながら、株主とマダガスカル人が最大限の恩恵を得ることができるよう、わが社はマダガスカル国土において軽油、重油、ビチューメンの生産に携わる。」

特にTsimiroro油田の発見を最も優れた方法を駆使して活かし、最適の熱回収と技術と最適のマーケット・アプローチによって、完全に開発する。また、現行の探査を継続する。そうすることで、マダガスカルの政府や人民と強い関係を維持する。

2009年と2010年の目標は、油飽和率データを精査することと、最適な回収方法を決定することであり、これによって2011年前半までに予定している抽出試験工場建設の決定に備えなくてはならない。

株主・所有権益

マダガスカル・オイルはTsimiroro権益の100%を保有、Bemolangaでは40%の権益を保有している(合計で60%)。主な法人株主はTouradji Capital Management、RAB Capital、Persistency Capital、Grafton Resources。

政府との関係・社会貢献

マダガスカル・オイルのプロジェクトは、2004年にマダガスカルの関連政府機関であるMadagascan National Office of Mines and Strategic (OMNIS)と結んだ生産物分与協定によって実施されている。この協定によってマダガスカル政府は、将来の生産にかなりの取り分を確保している。

同社の生産物分与契約は非常に好ましい時期に交渉が交わされ、有利な契約条件となっている。この契約には、数年にわたって時間的制約のある義務や達成目標があるが、ブロック3105、ブロック3106、ブロック3107での探査に関する必要条件は、2010年に具体的な行動を起こすことである。

マダガスカルの暫定政権は、1996年に最初に制定された石油探索コードを修正すると決めた。暫定政権のMamy Ratovomalala鉱業相は2009年9月に、石油部門が発展してきた以上新しい状況に合わせて石油コードは改められなければならないと語った。

石油コードの改正は2009年末ごろまでに完了する予定。

現在の税制は以下の通り:

ロイヤリティ (スライド制)
原油ロイヤリティ(支出ベース)
生産資金 (b/d) ロイヤリティ・レート
0 - 25,000 8 %
25,000 - 50,000 10 %
50,000 - 75,000 12 %
75,000 - 100,000 14 %
100,000 - 130,000 17 %
130,000 以上 20 %
天然ガスロイヤリティ(支出ベース)
生産資金 (mm cu m/d) ロイヤリティ・レート
0 - 12 5.0 %
12 - 24 7.5 %
24以上 10.0 %

所得税

35%の均一レート、探査支出についてはただちに課税(100%)、開発支出(利子費用を含む)については4年間の定額法により減価償却される。探査支出は無期限繰り越しが許されており、開発コストについては7 年まで。

異なる契約の財政処置

還付対象となる支出は、可処分生産量(生産総額から損失とロイヤリティを差し引いた額)の最大65%のコストオイルから還付される。コスト分還付に算定されない可処分生産(35%プラス使用されなかったコストオイル)の収支は、R因子によるスライド制計算方法で、石油会社と国営石油会社(NOC)で分配される。Rとは、契約のもとでの会社の累積粗利益を、累積未償却費用と支出の単純合計(税、ボーナス、その他)で割った数値である。R値と生産分与率は、そのたびに契約ベースで交渉される。

製品開発

トタールは、2009年から2010年にかけてBemolanga 油田フィールドのさらなる採油可能性を画定するため、積極的な計画を遂行している。場所は、地下300メートルのIsalo I砂岩内の北側ブロックである。10本の油井を使ってテストする予定。商業的価値のある埋蔵量が発見された場合は、通常の蒸気圧入技術で抽出できる見込みであり、掘削の必要はないであろう。

生産分与契約の3105、3106、3017については、2008 年後半にマダガスカル・オイルによって再評価され、いくつか有望地区が特定されて、さらに調査が行われる。この評価はこれまでの掘削結果をもとにしており、10億バレルを超える規模の埋蔵が確定的である。