Rio Tinto リオティント
アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。
会社概要と沿革
リオティント(Rio Tinto)は、金属および鉱物生産において国際ビジネスを展開している企業である。同グループは、ロンドン証券取引所の上場企業であるRio Tinto plcと、オーストラリア証券取引所上場のRio Tinto Limitedから成っている。
英国に本拠をおくRio Tinto Companyは、スペイン南部ウエルバ(Huelva)地方Rio Tinto鉱山の再開発のため、投資家によって1873年に設立された。Consolidated Zinc Corporationは豪州ニューサウスウェールズ州ブロークン・ヒルにある亜鉛鉱山の廃棄物処理を目的として1905年に法人化された。1962年、Rio Tinto CompanyとThe Consolidated Zinc Corporationが合併してRio Tinto-Zinc(RTZ)Corporationが設立され、同じ年、両社のオーストラリア事業を合併してConzinc Riotinto of Australia(CRA)Limited が設立された。
1995年12月にRTZとCRAの株主は、両社の株式全てを保有する持ち株会社の設立に合意、96年1月にRTZ-CRAが設立された。合併当初より同社は、ロンドンとメルボルンに本社を置く「2本社体制」を敷いている。
1997年6月、RTZ CorporationはRio Tinto plcに、CRA LimitedはRio Tinto Limitedに改称され、両社はリオティント・グループとなった。Rio Tinto plcはロンドンおよびニューヨーク証券取引所の上場企業、Rio Tinto Limitedはオーストラリア証券取引所の上場企業である。
1980年代後半から1990年代前半にかけてRio Tinto Explorationは、マダガスカルのFort-Dauphinで鉱物砂の大量資源を発見した。その鉱山はMandena、Petriky、Sainte-Luceの3つの隣接した鉱床から構成されている。2008年後半からイルメナイトの採掘が始まり、当初は年間75万トンの生産能力があると予想されている。
QIT Madagascar Minerals(QMM)はRio Tinto Mineralsの一部で、ホウ素塩、二酸化チタン、タルク、工業用塩といった産業用鉱産物を扱うリオティントのマーケティング部門である。QIT(QIT-Fer et Titane)は、カナダのケベック州に本社を置くリオティントの完全子会社で、ケベック州ソレルトレイシーにあるQITの冶金コンビナートはマダガスカル鉱物砂プロジェクトの一環として拡張工事中である。QMMの鉱石はケベックに送られ、質の高い二酸化チタンに加工処理される。
マダガスカルのイルメナイトには、60%もの二酸化チタンを含んでおり、他の国際的資源の多くと比べ高品質である。それはカナダで90%の二酸化チタンの塩化物スラグに精製され、塗料工業およびプラスチック工業での顔料製造に使用されるチタン原料の国際市場に出荷される。
現在、Fort Dauphinの北方Mandenaが鉱区となっており、生産開始第一段階では最終的に年間75万トンの生産が見込まれている。その後Ste LuceおよびPetrikyへ移行する予定で、年間220万トンの産出量に拡大するであろう。
新たな港がQMMによってPPP方式で建設され、政府が3500万ドルを負担し、世界銀行のIDAが融資する。これは他産業も利用できる多目的型港湾で、観光船の寄港も想定されている。最高6万トンの船舶が停泊可能であるこの港は、サイザル麻、ロブスター漁業、薬用植物および果物採取業などの既存の地元産業振興や、400ヘクタールの近隣工業地帯に投資を呼び込む効果も期待されている。
国内の所在地
マダガスカルの東海岸、Fort Dauphin 市近郊に位置している。
製品・サービス
QMM プロジェクトは、鉱物砂鉱山と分離工場の開発建設、マダガスカル南部の港湾施設開発、さらに、カナダにあるQITイルメナイト製錬設備の改修からなる。
従業員数
建設段階で3,500人以上のマダガスカル人を雇用している。鉱山がフル稼働に入ると推定530人の鉱山労働者が雇用される。
財務情報
マダガスカルおよびカナダ向けの総投資費用は12億米ドル。
エネルギー源 & 鉱物
リオティントのエネルギーグループは石炭市場最大のサプライヤーのひとつであり、オーストラリアのRio Tinto Coal AustraliaとCoal & Allied、アメリカのRio Tinto Energy Americaを所有している。Energy Resources of Australiaのウラン権益と、ナンビアのRossingウラン鉱山も所有しており、両社ともウラン事業では世界最大である。
産業用鉱物事業では、Rio Tinto Mineralsのアメリカ、南米、ヨーロッパ、オーストラリアにおけるホウ酸塩・タルク事業、またRio Tinto Iron & Titaniumの北米、南アフリカ、マダガスカルでの事業を背景に、製品供給と科学的研究のグローバルリーダーとなっている。
生産物 | コークス、一般炭、ウラン、二酸化チタン原料、ホウ酸塩、タルク |
---|---|
営業利益貢献率 | 28% |
従業員数 | 14,278 人 |
運用資産 | 56億3900万米ドル |
総売上収入 | 109億9800万米ドル |
営業利益 | 28億8700万米ドル |
生産物:コークス、一般炭、ウラン、二酸化チタン原料、ホウ酸塩、タルク
リオティントのエネルギーグループは石炭市場最大のサプライヤーのひとつであり、オーストラリアのRio Tinto Coal AustraliaとCoal & Allied、アメリカのRio Tinto Energy Americaを所有している。Energy Resources of Australiaのウラン権益と、ナンビアのRossingウラン鉱山も所有しており、両社ともウラン事業では世界最大である。
産業用鉱物事業では、Rio Tinto Mineralsのアメリカ、南米、ヨーロッパ、オーストラリアにおけるホウ酸塩・タルク事業、またRio Tinto Iron & Titaniumの北米、南アフリカ、マダガスカルでの事業を背景に、製品供給と科学的研究のグローバルリーダーとなっている。
営業利益貢献率:28%
従業員数:14,278 人
運用資産:56億3900万米ドル
総売上収入:109億9800万米ドル
営業利益:28億8700万米ドル
市場シェア
QIT Madagascar Minerals' (QMM) の鉱物砂採鉱プロジェクトは、マダガスカル島史上最大の投資、インフラプロジェクトである。
事業目的
グループの目的は、株主の利益のため、世界中から天然資源を見つけ、採鉱し加工することで、グループの価値と投資の長期的リターンを最大限に高めることである。
ビジネスモデル
大規模で低コストのTier 1鉱脈を発見することで将来のキャッシュフローを確保すること。グループがコモディティ・サイクルのあらゆるステージで収益を上げていけるように、グループの財産を安全で効率的、かつ大規模で息の長い低コストの事業へと発展させること。倫理的社会的な責任を果たすよう事業を展開してリオティントへの評価を維持し、住民、資本、鉱物資源へのアクセスを進めていくこと。グループが関わる全てにおいて、長期にわたって持続可能な開発を心がけること。以上の原則に基づいた長期的戦略を展開する。リオティントは長期戦略を展開するため、6つコア戦略を柱として中期的活動を構成する。
長期戦略
Tier 1鉱脈の発見 | 安全で効率的、大規模で息の長い低コスト事業への資産編成 | 倫理的社会的責任の遂行 | 長期にわたって持続可能な開発 |
戦略の柱
健康と安全 | 事業上、財務上の成果 | 成長と革新 | 住民 | 地域社会と環境 | 顧客と市場 |
わが社の方針
徹底した安全対策 事故を起こさない事業環境 従業員、コントラクター、地域社会の健康 |
生産目標の着実な実現 価値に応じた意思決定 コモディティ・サイクル全体において利益を出せる資産 |
企業家精神の高揚・価値を生み出す資産の取得 市場変化から利益を得る能力 リオティントの鉱体に合った新しい採鉱・加工技術の開発と利用 |
最良の雇用者 高いパフォーマンスをもつ熱心で柔軟性のある労働者 将来のニーズに応じた従業員訓練 現場従業員とグローバルなニーズの和合 |
最良の開発者 世界の炭素問題を意識した経営 環境と地域社会に配慮 |
最良の供給者 新興成長市場への参入と成長 国際的経済成長を支える製品の供給 事実に基づいた販売戦略および戦術 |
リオティントが世界最高の鉄鉱石サプライヤーとしての地位を維持するための戦略は、グループが世界経済の成長を支える製品において確固たる地位を維持するうえで、主要な構成要素である。
株主・所有権益
リオティントはQMMの80%を所有している。残りの20%は国営企業l'Office des Mines Nationales et des Industries Stratégiques (OMNIS) を通じてマダガスル政府が所有している。
政府との関係・社会貢献
QMM とマダガスカル政府間の法的、資金的合意は、数年の交渉を得て1998年になされた。これはマダガスカル議会で批准され、マダガスカル大統領によって法律化された。QMMは、1998~2001年に社会環境インパクト評価(SEIA)を完了、政府は2001 年に環境許可証を発行した。
2005 年、マダガスカル政府は3500万米ドルを港の建設に支出することに同意した。この支出は、世界銀行が出資しているGrowth Polesプロジェクトの一環として実施される。リオティントは、2008年までプロジェクト建設費の100%を負担。現時点では、OMNISはプロジェクト経費の一部か、利息の一部を負担する予定である。
QMMはまた港湾事業を管理する。閉鉱後は、港はマダガスカル政府の管理責任下におかれる。鉱山寿命は、2008 年の開鉱から 40 年と予想されている。
リオティントの政府・企業渉外チームはマダガスカル政府と二つの重要分野で関わっている。一つは、マダガスカルの鉱業関連法と鉱業政策方針に関して、政府と定期的な対話を維持すること。もう一つは、マダガスカルでの資源採掘産業透明性イニシアチブ(EITI)を促進することである。
2009年前半、アンタナナリボの市長だったラジョエリナ(Andry Rajoelina)がラバルマナナ(Marc Ravalomanana)大統領の政府を打倒、その後新政府は、リオティントとの10億ドル鉱物砂開発契約を詳査すると示唆した。2009年8月、Monja Roindefo首相はリオティントの活動に若干の不正があったと述べている。
2009年10月、リオティントはチタン砂プロジェクトの最終的なコスト算定を“すぐに”提示すると述べ、政府に対しプロジェクトの20%オプションを支払うか、あるいは持ち株を希釈させるかの選択を迫った。政府は決定を2ヵ月先延ばししたいと申し入れたが、リオティントは「政府が出資金を支払う意思を確認しているだけであって、支払いを要求しているのではない」と回答した。
政府がリオティントと締結した合意は、政府は持ち株20%の出資金を支払うか、さもなければ株式の希釈に応じることになっている。
製品開発
2009年4月からチタン砂鉱はカナダの冶金施設に輸出されており、2009年6月からはカナダでの精製が始まった。