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データ・リソース

kenyaRegent Group リージェント・グループ

設立

1995年

売上

非開示

従業員数

約150人(グループ全体)

会社概要と沿革

リージェント・グループは、リージェント・バリュワーズ(Regent Valuers International(K)Ltd.:以下、バリュワーズ)とリージェント・マネージメント(Regent Management Limited:以下、マネージメント)からなる不動産関連企業である。国内事務所は、ナイロビ、モンバサ、エルドレット、ナクル、キスムの5ヵ所に構える。事業は、バリュワーズが土地・建造物・機材設備・農場などの資産査定や企業価値査定、不動産取得にかかるアドバイスを行い、市場調査なども担う。一方マネージメントは、商用・住宅用物件のリース・管理業務などを行う。従業員はバリュワーズに20名程度、マネージメントに130名が在籍する。2008年には、ケニア経営研究所の年間ビジネス賞(戦略・マネージメント部門)を受賞している。

市場動向

不動産市場は、世界経済危機以後、新聞紙上などメディアで不振が伝えられる。しかし、不動産市場は、景気に素早く反応する消費財と異なり、景気の波から3~5年のタイムラグを経て反応する。現実には、不動産市場は一時期の加熱からは落ち着き安定化したと言えるが、不動産価格が落ちているわけではない。ナイロビの中間層向け居住区である「サウスC」では、2007年12月に700万ケニアシリング(Ksh)の値付けだった住宅が、2009年にも同じ価格で推移している[※1]。

世界経済危機の影響を若干なりとも受けているのは高級住宅市場である。高級住宅とは、販売額1,500万Ksh以上、賃貸物件なら月額家賃20万Ksh程度のものを指す。主な購入層は在外ケニア人や雇用主であり、在外ケニア人の需要減退が国内高級住宅市場の需要を引き下げている。一方、中間層向け住宅は販売額1,000万Ksh程度で、賃貸物件なら月額家賃6万Ksh前後を指す。購入者は中間管理職などで、需要は安定している。中・低所得者向け住宅は販売額400万Ksh以下を指す。年間15万戸の供給不足と推計されており、供給が需要に追いついていない。

商業ビルへの需要は底堅い。2008年にバリュワーズが実施した調査では、ナイロビ中心部の商業ビル入居率は平均95%であり、国内企業からの旺盛な需要が確認された[※2]。多国籍企業がアッパーヒルやウエストランドなどの再開発地区に移転する一方で、国内(特に新興)企業の間では、市内中心部での事務所設置が一種のステータスとして好まれる。

不動産市場では、ソマリアからの資金流入も取り沙汰されている。海賊行為など不法所得の資金洗浄が疑われている。ソマリア資金が不動産投資で運用されているのは、おそらく事実であろう。しかし、不動産価格の一部を歪めることはあっても、不動産市場全体への影響は軽微と思われる。需要としても不確実で、継続するものとは考えにくい。

※1 この間、不動産融資の貸出利率は12~14%から16%へと引き上がった。資金調達コストが上がれば、需要が下がるはずなのに、価格が同水準で推移するのは、需要堅調を意味する。
※2 同社の調査では、ナイロビ中心部商業地区のビル利用率は、2004年以降、86.87%、91.54%(2005年)、96.06%(2006年)と推移してきた(2007年4月15日デイリーネーション紙)。

ビジネスモデル

ケニアの不動産関連事業者は約20社。各企業は異なった分野に強みを持つ(下表参照)。評価や調査、不動産開発、管理業務など、各関連業務ではリージェント・グループより優良な企業はいるものの、自己評価では、手がける分野では、リージェント・グループは常に業界内で3位以内に入ると自認している。したがって、総合力でも業界内で3位以内であるという。

ビジネス拡大に向けての課題

不動産市場に影響を与えるのは、(1)各種インフラの利用可能性、(2)不動産融資の貸出利率、(3)顧客の購買力である。このうち、ケニアで特に注意すべきは(1)各種インフラの利用可能性である。低所得者向け住宅は年間15万戸の供給が必要と推計されている。政府は、直接、住宅整備を行うなど、供給不足解消に取り組んでいる。しかし、本格的に住宅の供給を増やそうとすれば、道路、電気、上下水など都市近郊のインフラを整備しなければならない。都市近郊のインフラが整備されないために、現状では近郊住宅地の整備が進んでいない。その結果、インフラが整っている場所に需要が集中し、過度に土地・住宅価格が高くなっている。

将来展望

2009年にはウガンダに進出し、ルワンダでは大規模な政府入札にも参加した。域内での展開に徐々に力を入れていく。また、2012年までには、不動産開発事業(上表では、企画開発にあたる部分)も拡大させる。

特徴

2008年後半以後、ケニアの不動産市場の動向は読みづらくなった。金融危機後の世界不況を理由として、中・高級住宅地区の販売不振や価格下落、不動産会社による新規開発契約の低調などが報道された。しかし、その一方で、ナイロビ市による新規建設計画承認数や、セメント生産と消費、不動産融資専門の2社による貸出額などは、2009年第1四半期に前年同期比で増加したことなども伝えられた[※3]。

企業としての強みは、リージェント・グループの場合、不動産関連事業を漏れなくこなせる総合力にあるように思われる。特に強力なのは、調査部門が毎年実施する商業ビル向けの不動産鑑定・入居率・価格調査の類である。これらはデータベース化され、進出や移転を検討する企業へのコンサルテーションの武器となっている。

今後、注力するとされる不動産開発と用地取得は、企業のバランスシート上で資産(アセット)保有比率が高まることを意味する。企業にとっては、資産を担保とした銀行借入なども容易になり、さらなる規模拡大への足がかりにもなる。しかし同時に、地価や開発する不動産の価値など、保有資産の時価に注意を払う必要が出てくるであろう。

(参考情報)
リージェント・バリュワーズ面談(Mr. Godffrey Omondi, Director)11月17日実施
リージェント・マネージメントウェブサイト( http://www.regent-mgt.com )2009年12月22日アクセス
山口揚平[2008]“企業分析力養成講座”日本実業出版社
2007年4月15日デイリーネーション紙
2009年6月30日スタンダード紙
2009年7月20日ビジネスデイリー紙

※3 例えば、前者を伝える報道として、2009年6月30日スタンダード紙。後者の場合、2009年7月20日ビジネスデイリー紙などがある。