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kenyaOriflame East Africa Ltd. オリフレーム化粧品

設立

2008年(スウェーデン本社は1967年)

売上高

非開示(本社13億2,910万ユーロ)

収益

不明(本社9億2,610万ユーロ)

従業員数

75人(グループ全体7,500人)

販売員数

2万5,000人(グループ全体290万人)

会社概要と沿革

オリフレーム化粧品は、スウェーデンに本社を持つ化粧品会社の子会社である。本社は、Nasdaq OMXノルウェー証券取引所の上場企業。生産拠点は、ポーランド、インド、スウェーデン、中国、ロシアに持つ。世界61カ国に展開し、独立コンサルタントと呼ばれる販売員を通じて製品を直接販売する。商品範囲は、スキンケア用品、マスカラや口紅などのカラー化粧品、香水などのフレグランス用品、手足ケア・日焼け止めなどのパーソナルケア用品、化粧道具などの小物類。商品数は1,500アイテム。全社の総売り上げに占める地域別割合(2008年)は、CIS・バルカン諸国が59%、欧州・地中海地域30%、アジア6%、ラテンアメリカ5%の順。収益は、CIS・バルカン諸国が65%、欧州・地中海地域32%、ラテンアメリカ2%、アジア1%となっている。進出先では、現地通貨建てで、年間売上10%、利益率15%を目標としている。

ケニアでは1,500品目中、400品目を販売中。ナイロビとモンバサに事務所を置いており、倉庫や販売員研修所などを持つ[※1]。東アフリカ域内ではウガンダにも事務所を持つ。タンザニアでは商品の販売は始めているが、事務所は未設置である。東アフリカへの商品供給は欧州からである。ケニアでは、地元パートナー(経営者はスウェーデン人)の出資も入るが、出資比率は非開示。ケニア・マーケット連盟(Market Society of Kenya)から2009年の最優秀参入賞を獲得している。

※1 2008年11月11日付ビジネスデイリーでは、ケニアに進出するにあたり、配送ネットワークの構築に1億4,000万Kshを投じることが報じられている。

参入経緯

オリフレーム化粧品は、2008年にケニアに進出した。同社は、特に90年以降、新興国を中心に多国籍展開を活発化させてきており、1990年から2007年末までに39カ国へ進出した。これは、毎年、平均2.3カ国に進出していることになる。北アフリカ(モロッコ、エジプト)には97年に進出済みだが、サブサハラ・アフリカでは、ケニアが初の進出先である。ケニアを選んだ理由は、南アフリカ共和国(以下、南ア)やナイジェリアと比べて、市場としては小さくても、競争がないためである。今後のアフリカ展開を考える上でもケニアが最適だった。なぜなら、小さな規模で事業を始めてある程度の利益を生みつつ市場から教訓を得るには、ちょうどいい市場と考えられたからである。オリフレーム化粧品は、社是として、進出市場でトップシェアをとることを掲げており、トップを取れるかという視点も影響したと考えられている。

ビジネスモデル

オリフレーム化粧品の特徴は、販売員を通じた直接販売である。世界全体で販売員数は290万人を擁し、1カ国平均4万8,000人いる計算だ。ケニアでは、2008年の進出当初、販売員は300人から開始した。300人の販売員は、口コミで募集した。この販売員数は2年と経たないうちに急増し、現在までに2万5,000人にまで拡大した。周辺国では、ウガンダで2,000人、タンザニアで1,000人が販売員として登録済み。販売員としての登録には900ケニアシリング(Ksh)かかる。販売員は登録後、カタログなどの販売キットや化粧品についての製品特性や使い方などの講習を受けた後、必要量を仕入れて販売する。同社では、販売員を独立コンサルタントと呼んでいる。これは、一販売員が、顧客から化粧や肌の悩みを聞き、それに応じて商品を薦め、使い方をアドバイスできるからである。保湿クリームで言えば、小売店でただ販売されているだけのニベアクリームと比べて、強く顧客に訴求する。販売員として登録する人物はほとんどが女性で、化粧品販売とは別の本業を持っていることが多い。そのため、自分が自由にできる資金から登録料を支払うことができる。

同社は、進出先市場に化粧品の販売で2つの機会を女性に提供した。一つは「美の機会」、もう一つは「ビジネス機会」である。市場には、都市部中心に信頼できる高品質の自然派化粧品を求める需要があった。しかし、十分に需要に応える商品は今までなかった。消費者の嗜好は、グローバル化とともに似通う側面がある。欧州の流行は、メディアの影響もあり、2ヵ月以内にはアフリカにも広がる。欧州ブランドであることも顧客に安心感を与えるのに有利である。流通の側面からは、先進国には化粧品を取り扱う小売業界が発達している。ケニアでもショッピングモールなどが出てきたが、依然として小売店の数は少ない。これは、化粧品を取り扱う効果的な販路がないことを意味する。そこに直接販売が成功する素地がある。販売員にとっては格好のビジネスチャンスである。販売員を通じた直接販売は、流通コストの発生を抑え、商品価格にも反映できる。

販売員には、過去の販売実績に応じて、一時的な信用供与もする。信用供与の仕組みは、モロッコなどで成功したスキームの移植である。無利子で返済猶予期間が3日間といった類である。販売員が販売先の顧客に対して、支払いを柔軟に繰り延べたりすることは、実際によくあるという。販売員の販売先が近所や知り合いなど個人のネットワークの範囲であるため、販売員は売掛債権を管理できる。個人のネットワークを活用した販売は、模造品被害を防ぐのにも効果的である。

販売促進策として、販売員への報奨制度もある[※2]。売上に応じたポイントを一定期間に競わせ、優秀者には国内リゾートへの慰安旅行を提供するなどである。

※2 2009年11月3日付デイリーネーションでは、目標販売額を上回る期待以上の販売実績に対し、販売員に総額3億Kshのボーナスを支給することが報じられている。

ビジネス拡大に向けての課題

進出から間もないこともあり、大きな課題には直面していない。顧客の規模は人口の2~10%までと考えられている。潜在顧客の居住地は都市部が中心であり、化粧へのニーズがまだ限られる地方部への浸透には時間がかかる。肌の質など、地域の特性にあった商品開発は、今後の課題と考えている。

将来展望

既にウガンダには事務所を開設し、タンザニアへの展開も始まっているが、ルワンダやコンゴ(旧ザイール)など、他国への展開を進めていく。化粧品需要は都市部の女性が中心であり、各国の最大都市を中心に市場攻略を進めていく。ウガンダやタンザニアへは事務所設立前から、ケニアの販売員が個人のネットワークの範囲内で製品を販売する現象が見られた。収入機会となる噂を聞きつけた女性が新たに販売員として登録にくることもある。5年以内には、東アフリカでの経験に基づき、ナイジェリアや南アといった市場にも参入する可能性が高い。

特徴

販売手法は、日本でいえば「ヤクルトレディ」に近いものであり、日本の化粧品では、専属販売員が訪問販売する「メナード化粧品」に類似する。その手法は、アフリカで真価を発揮する可能性がある。オリフレーム化粧品の販売手法から浮かび上がるのは、社会構造を上手く活用したビジネスモデルである。アフリカでは、通常、驚くほど個人の社会ネットワーク(血縁・地縁)が広い。その範囲は、日本人が想像する範囲を大きく超える。従兄弟は合計50人といった状況の中で、各従兄弟の友人は、即座にブラザーである。口コミは素早く、かつ大きく広がる。実は潜在的に大きかった化粧品の需要に対し、供給側では正規の流通網が限られていることから、十分に商品を消費者に届けることができていなかったのかもしれない。正規流通網がないところを、インフォーマルなネットワークを活用して販路に仕立てる手法は、学ぶべき点だ。オリフレーム化粧品によれば、直接販売の手法は、特にインドやインドネシアといった途上国では、大成功といえる成果を示している。反対に欧州では、比較的成功していると言えるのは東欧だという。販売員の活用は、進出先の社会が個人中心ではなく、共同体意識がより強く残っているところに馴染む販売手法だと考えられる。販売員の管理という点では、支払い可能な登録料を設定したり、販売報奨制度の導入で動機付けを図ったりして、不活動販売員を抱えるムダを排除している。この点は、ケニア人が販売員として動機付けに反応するという点で示唆を与える。オリフレーム化粧品では、販売員の多くが副業との認識であることから、販売員活動が、週末や就業後の自由時間の補助収入手段として手軽であることも、躍進を支える要因なのではないか。社会ネットワークに頼る販売であるために模造品を避けられるという発想も、販売員による顧客への掛売りも、社会的信用を活用するという点では、マイクロクレジットにも通じる。

(参考情報)
オリフレーム化粧品面談(Mr. Harry Njagi, Sales and Marketing Director)11月24日実施
オリフレーム化粧品ウェブサイト( http://www.oriflame.com/ )11月27日アクセス
2008年11月11日付けビジネスデイリー紙
2009年11月3日付デイリーネーション紙