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データ・リソース

kenyaSynovate シノベート

設立

1983年(前身のステッドマン・グループ設立年)

売上高

非開示

収益

不明

従業員数

420人(旧ステッドマン・グループ全体)

会社概要と沿革

ケニア最大の調査会社で、1983年設立のステッドマン・グループを前身に持つ。2008年7月からシノベート社へと社名変更。現在、ステッドマン・グループからシノベート社へのブランド移行期間中。ステッドマン・グループは、ケニア以外のアフリカ6カ国(ウガンダ、タンザニア、ガーナ、ザンビア、南ア、モザンビーク)に事務所を持ち、420人の専門家を雇用、3,000人以上の支援要員を活用しながら、アフリカ37カ国以上で調査事業実績を有した。サブサハラ・アフリカの調査会社としては、初めてISO9001: 2000の認証を取得した他、ケニア経営研究所(Kenya Institute of Management)が主宰する年間賞(最優秀イノベーション)を受賞(2006年)するなど、受賞歴も多数ある。一般には、選挙前の世論調査でよく認知された企業である。

参入経緯

シノベート社が2008年7月にステッドマン・グループを買収した。これにより、ステッドマン・グループは、世界63カ国に6,000人以上のスタッフを雇用するシノベート社のケニア部門となる。なお、シノベート社自体は、ロンドンに上場するエージス・グループ(Aegis Group plc:持ち株会社)の市場調査部門である。シノベート社によれば、同社は市場調査会社としては世界第7位の規模を誇る。業績は、年率15%の成長を遂げており、業界平均のおよそ倍に達する。ケニアでのステッドマン・グループ買収に際しては、主要な業務再編成はせず、経営陣もそのまま留任した。

ビジネスモデル

主要業務分野は、世論調査、市場調査、社会調査やメディアモニタリングである。訓練・戦略部門を有し、調査手法の訓練や、証拠に基づいた戦略的意思決定の発展と実施にも力を入れる。主要顧客は、民間企業、政府(機関)、NGO、メディアである。民間企業が最大の顧客で売上の約40%を占める。以下、NGO30%、メディア20%、政府(機関)10%の順が大まかな売上比率となる。民間企業の業務の多くは市場調査である。一方、NGOの場合、顧客は2つの性質に大別できる。一つは、調査の必要性を理解し、その活用を図れるNGO、もう一つは、ドナーからの資金援助の条件として必要であるため調査を実施するNGOである。

シノベート社は、ステッドマン・グループとして、ケニア及びアフリカ市場で高い評価と信頼を得てきた。シノベート社の一員となったことで、IT先進技術を用いた調査ツールの活用や、より高度な調査技術を利用できるようになった。例えば、コンピュータを利用した電話インタビュー調査も導入済みである。

ビジネス拡大に向けての課題

アフリカ全般での調査産業にとっての障害を考えるとき、顧客側において、適切な意思決定における調査の重要性が十分理解されていない点が課題である。業界として、調査の重要性への理解を深めることが必要だ。そのため、「調査とは何か」、「どうすれば調査を利用できるのか」といったニーズ形成に取り組んでいる。調査依頼の需要以前に、調査へのニーズ醸成こそが必要である。

実施側では、調査実施能力が問題となる。市場調査などを教える教育機関はあるが、理論に偏りがちで実践力に欠ける。通信や道路などのインフラの欠如によっても調査の実施が困難となる。調査ツールとしての新技術への適応も鈍く、調査の品質を左右する。この対応として、同社は教育機関と連携して実践の場を提供している。学校のクラブ活動の一つとして、調査に関心のある生徒向けに「リサーチクラブ」の立ち上げを支援している。

将来展望

調査産業全体では、民間企業の中でも、特に製造業からの売上が現在は大きいかもしれない。しかし今後は、情報通信(ICT)企業からの売上が上回ると同社はみている。製造業からの売上が大きいのは、一般に調査を活用する製造業企業は醸造会社などで規模が大きく、費用を十分にかける傾向があるからである。ICT部門は、政府が電子化を進めることにもみられるように、今後大きな成長が見込める。

特徴

近年、ケニアの調査市場は大きく成長した。これに伴い、調査業界では、再編・進出も進んだ。シノベート社が、ステッドマン・グループを買収した事例以外にも、複数の進出事例が報じられてきた。例えば、2007年6月には、米国世論調査会社Harris Interactiveが地場企業Infotrak Research and Consultingと組んでケニアに進出[※1]した他、調査会社Global Edge Internationalがケニア企業Infield Researchを買収、Global Edge East Africaを設立する[※2]などの動きがあった。最近では、オランダの民間投資ファンドTBL Mirror FundがケニアのResearch Solutions Africaに2,500万Kshを投資[※3]することも報じられた。

国内では、既存企業が意思決定にかつてよりも情報を必要としている。一方国外では、アフリカの経済成長に伴う機会を見出し、新規事業展開を考える企業からの情報需要が高まっている。調査業界の活況は、これらの状況を反映したと見える。しかし国内では、まだ調査が十分な需要を掘り起こせていないのが実情だろう。だが、これは同時に、中長期的な視点からニーズ形成を図ることができれば、調査産業の潜在成長余地がまだ高いとも解釈できる。産業のパイは拡大してきて、これからも拡大が予想される。シノベート社は、ステッドマン・グループとしての高い認知力を活かしつつも、産業の拡大を待つのではなく、一歩踏み込んで、リサーチクラブや教育機関への支援を通じて、自らパイを拡大する努力をしている。

面談では、海外からの調査需要増は明らかにできなかった。しかし、シノベート社自身がステッドマンを買収した事例に見られるように、調査業界の系列化が進んでいる状況は示唆的である。海外顧客が特定市場での調査の必要性がある場合、調査会社が現地に系列企業を持つか持たないかが顧客の調査品質への期待値を左右すると考えれば、海外調査企業側からの系列化には意味がある。海外調査企業が、ケニアの調査企業を系列化していること自体が海外からの需要増加に対する自社の競争優位を確立する戦略と考えれば、その背後には、海外からの調査需要の増加があると考えて良さそうだ。

シノベート社の場合、評価が確立された既存企業の買収という参入形態であって、経営陣や事業の再構築は実施していない。現地の自主性に任せながら、新たな調査手法や技術ツールを提供することで、買収側の抵抗を回避している点が指摘できる。

(参考情報)
シノベート社面談(Mr. George Waititu, Group MD, Pan Africa)2009年11月10日実施
シノベート社ウェブサイト(2009年11月23日アクセス) http://www.synovate.com/about/where/africa/kenya.html
ステッドマン・グループウェブサイト(2009年11月23日アクセス) http://www.steadman-group.com

※1 2007年6月25日ビジネスデイリー紙。
※2 2007年8月20日スタンダード紙。
※3 2009年7月17日ビジネスデイリー紙。