gabonEramet Comilog

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Erametは、急成長中のフランスの鉱業と冶金のグループである。Eramet Comilog Manganeseは、ヨーロッパ、北アメリカおよび中国に工場をもち、製鋼用マンガン合金の製造企業としては世界第2位の規模である。また、電気バッテリー、フェライト、肥料、飼料といった広範囲の化学産業にマンガン製品を供給している、世界的企業である。ErametはパリのEuronextに上場しており、株式はCompartment A、CAC Next 20、CAC Mid 100 インデックスを通じてdeferred settlement system(決済タイミングを遅らせることができる制度)での取引が可能である。

当社は、ニューカレドニアでのニッケル鉱山の開発のためにLe Nickel社として1880年に設立された。19世紀後半からはロスチャイルド家が主要株主となり、1960年代後期には、ロスチャイルド・グループの鉱業子会社(Le Nickel-Penarroya-Moktaグループ)の親会社になった。1974年には社名をLe NickelからImetalに変更した。1983年に産業、株式保有、財政リストラプログラムの一環で、フランスの国営会社ERAPが同社の株式の70%を有する主要株主となった。

1985年、Imétal社がニューカレドニアに保有する資産は、Eramet-SLN(ERAP が70%、Imétalが15%、Elf Aquitaineが15%の株式を保有)の100%子会社であるSociété Métallurgique Le Nickel-SLNにグループ化された。1992年に、Societe Metallurgique Le Nickel-SLNとEramet-SLNは現在の社名であるLe Nickel-SLN とErametに社名変更した。

1995/6年にErametは、高純度マンガン鉱採掘企業として世界第2位で、鉄鋼産業とマンガン化学産業向けフェロマンガン製造の世界的企業であったComilog(ガボン)の株式46%を取得した。1997年には、Gengabonとの合意によって、GencorグループはEramet にComilog株の15%を売却した。

Comilogはガボンに、Moandaマンガン鉱山と焼結工場、Owendo海港と物流サイトという2つの主要基盤を持つ。またガボン鉄道の運営主体であるSetrag社も有している。

2005年11月にComilogは、Moanda鉱山とOwendo港間の鉱石輸送路としてガボン鉄道の30年間のコンセッションを獲得し、これによってマンガン鉱石年間量を350万トンに引き上げることが可能になった。

全長684kmのガボン鉄道(TG)は、1974~1986年に、リーブルビル近郊のOwendo港と内陸部のフランスビルをつなぐ25トン車軸荷による高品質の標準ゲージ線として造られた。当初は一般貨物輸送と乗客用の両方の用途で使用されていたが、現在は貨物輸送が主要で、特にマンガン鉱石(65%)と材木(20%)が主要となっている。

国内の所在地

Compagnie Miniere de l’Ogooue SA, BP 578, Port Mineralier d'Owendo, 5PMO; Gabon Telephone: +241 70-2261
Telefax: +241 74-2337

製品・サービス

鉱石を採掘して濃縮し、製鋼市場のための焼結鉱石を生産する

従業員数

2,800人(ガボン国内)

財務情報

Eramet Nickel、Eramet Manganese,Eramet Alloysの3事業部門で、2008年売上高は総計43億4600万ユーロ

2008年の主な売上

現在の事業収入(単位:百万ユーロ)

ガボン統計

市場シェア

ガボンは世界で2番目に大きなマンガン鉱床を持っていて、現在世界第3位の生産国である。Comilogは、現在マンガンをガボンで生産している唯一の会社である。

事業目的

「グループの成長に新しい刺激を与え、地理的にも、個人的、組織的、技術的にも、あらゆる既存の境界線を超えていくこと」

ビジネスモデル

当グループは、収益性があり持続的な成長計画に従事している。Erametの戦略は、以下を目標とする。

「外部成長と内部成長を融合した投資方針や、ダイナミックで革新的かつ顧客志向の製品開発から生まれる高付加価値な特殊製品において確固たる地位を獲得し、世界的なリーダーシップポジションを強化する。また、既存ネットワーク活用や新産業領域の確立、製品レンジの拡大など、地理的市場・顧客拡大により国際的競争力を維持する。」

株主・所有権益

(2008年12月31日現在)
Sorame + CEIR Areva STCPI BRGM 資金占有率
36.64% 25.78% 4.08% 1.36% 1.49% 30.65%

BRGM:Bureau de Recherches Geologiques et Minieres(フランス国家機関) STCPI:Societe Territoriale Caledonienne de Participation Industrielle(ニューカレドニア州)
Comilogは、25% 国有、65%がErametによる所有。

政府との関係・社会貢献

鉱山・エネルギー・石油省には調査、探査、鉱業許可を与えるための専有権がある。地表下の全鉱物資源は政府資産である。政府は、大部分の鉱山において、小規模の国営管理会社を通じた部分出資とフランス、カナダ、デンマーク、中国の会社との協力を通じて関与している。

ガボンの鉱山セクターは、以下によって特徴づけられる:

  1. 煩雑な手続きと政府の自由裁量権による制限的な鉱業規制
  2. 複雑で非効率的な利権システム
  3. 様々な法的・契約書類における会計用語の不一致
  4. 環境管理計画の不在
  5. 収益を地元のコミュニティと共有するための体系化された仕組みの欠如
  6. 不十分な地質学的データベースとプロモーション能力上の不足
  7. 不明瞭で、職務権限の重複や人員不足の発生する旧態依然とした組織

2001年に政府は、国家経済政策(PEN)に従って鉱山政策を採用した。これは、国家が関与しない鉱業、材木産業、漁業および観光旅行を通じて、経済を多角化することを目指したものであった。

またこの政策は、オペレーターと採掘される鉱山物質の多様化により鉱山セクターの利益増を目指す。これは、国際的なベストプラクティスを考慮し、鉱山セクターの開発に有利な状況を作りたいという意図を反映したものだった。その戦略によると、国家は民間部門にガボンの鉱山産業を拡張する任務を与える一方、政府は基本的なインフラストラクチャーを確立し、投資環境を整備し、産業を促進し、運営面では厳格な規則を適用する法制度上のフレームワークを策定するというものである。

財務体制

採掘権:

(1) 固定料金、(2) 地表占有料金、(3) 年0.5-5%の付加価値税が含まれる。

財政費用:

小額ながら探査、鉱業などの採掘許可の種別と採掘フェーズ(投資フェーズ、生産フェーズ)によって異なる。

法人税:

加速償却など特別免除が終了した後は35%

輸入税:

探査フェーズ、投資フェーズ期間中は免除。加工処理に使われるすべての消耗品についても免除。輸出税はない。

製品開発

2009年4月、オマール・ボンゴ前大統領は、将来プロジェクトであるMonad Metallurgical Complexのための最初の布石をうった。計画は、年間生産能力65,000トンのケイ素マンガン工場と年間生産能力20,000トンのマンガン金属工場及び関連インフラから成る。

Metallurgical Complex開発は公共送電線拡張と同時並行で行われ、これには、政府が建設するOgooue川Grand Poubara水力発電所が含まれる。

生産能力を400万トンまで拡大する「Comilog 2010プロジェクト」が2008年が開始され、平行してガボン鉄道の改修が開始した。予定では30kmの線路改修であったが、予定を上回り60,000の鉄道用枕木を敷設した。