ethiopiaMessebo Cement Factory メセボ・セメント工場

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

メセボ・セメント工場(Messebo Cement Factory)は1997年2月に着工され、1999年末に完成した。エチオピア北部、メケレ(Mekele)市から7km離れたところに位置している。年間生産能力は90万トンで、添加剤入りと添加剤抜きのポートランドセメントを生産できる。同工場の生産工程では、最新のpre-calciner法が取り入れられている。

国内の所在地

Messebo Cement Factory, Mekelle, Addis Ababa, Ethiopia; Tel: 034-4404083/034-4409271; Fax: 034-405804/05

製品・サービス

ポートランドセメント(OPC)を主に生産。

従業員数

500人。

財務情報

Not available

市場シェア

30%。

事業目的

メセボ・セメント工場は、以下を目的として設立された:

  • エオピアとティグレ(Tigray)地域において、建材製造の先駆者となること
  • セメントの輸入代替
  • 高品質で競争力のあるセメントの輸出
  • 低コストでのセンメント供給
  • ティグレ、および国内全域における建設活動拡大の支援
  • 安定した事業拡大による利益の創出

ビジネスモデル

Not available

株主・所有権益

Endowment Fund for the Rehabilitation of Tigray (EFFORT)の所有。

政府との関係・社会貢献

現与党であるエチオピア人民革命民主前線(EPRDF)の主力部隊であったティグレ人民解放戦線(TPLF)は、TPLFの資金団体として1978年にRelief Society of Tigray (REST)を設立した。RESTは、TPLF中央委員会の委員をトップに戴いているものの、実質上NGOとして機能してきた。RESTは国際社会から資金を募ってTPLFに回し、TPLFが軍事政権を打倒するまでこれを支えた。

1991年にTPLFが政権を獲得すると、RESTはNGOとして正式に登録された。TPLFの財政的な後ろ盾としてRESTは国家の保護を享受し、アフリカで最も裕福な“NGO”として再編された。政権獲得から4年後の1995年に、TPLFはRESTの強力な連携機関としてEndowment Fund for the Rehabilitation of Tigray (EFFORT)を設立。EFFORTは10億USドルをやや下回る約27億ブルの投資規模で起業活動を開始した。メレス首相夫人のAzeb MesfinがEFFORTの副理事長に就任した。

EFFORTを介してTPLFは多様な経済活動に乗り出し、外国にまで進出した。EFFORTは複数のセクターに分割され、各々のダイレクターにはTPLF中央委員会のメンバーが配置された。産業活動担当のAbadi Zemo、建設・運輸担当のArkebe Oqubay Mitiku、鉱業担当のTewodros Hagosといった具合である。TPLFはまた、しばしば住民に対するサービス提供という偽りの名目で、政府口座からEFFORTに資金を振り込んでいる。EFFORTには無税での財の取引が許されているにもかかわらず、各事業分野で一般企業との競争も許されている。メセボ・セメント工場は15億ブルの、Adwaの織物工場は12億ブルの公共支出で建設された。これら公共支出が生み出す収益は、EFFORTを通じてTPLFの手で完全に管理されている。

エチオピアにおける主要な製造製品の1つであるセメントの市場は、2009年に混乱期を迎えた。2009年5月にエチオピア電気供給会社(EEPCo)は、電力供給の著しい不足から、メセボ・セメント工場とMugherセメント工場に1ヵ月間の操業停止を命じた。この決定が公表された1週間後セメント価格は、1キンタル275ブルから360ブルに31パーセント上昇した。この事態に先んじて2009年4月にセメントの民間輸入が禁止されている。セメントの民間輸入は、その2年前に許可されたばかりであった。

エチオピアにおけるセメント工場渡し販売価格は、2006年初頭の約80ブルから2009年初頭には155ブルまで上昇していた。だが、工場渡し価格は工場販売にアクセスできる数少ない購入者にのみ適用されるもので、実際の小売価格にはほとんど関係ない。

輸入セメントのCIF価格は国内販売価格よりはるかに安いにもかかわらず、輸入セメントの販売価格は国内小売価格にきわめて近い。たとえば2009年1-4月の期間平均では、輸入セメントのCIF価格は1キンタル当たり152ブル、国内小売価格は276ブルであった。これは、国内価格の45パーセントにあたる124ブルは、国内輸送コスト、公的料金、小売マージン等を反映していることを示唆している。通常、低価格の輸入品が大量に流入して国内価格を押し下げることが期待されるが、エチオピアではなぜかこのようなことが起こらない。考えられる原因としては、高い輸送コストと小売マージン、そして(輸送ライセンスの制限といった)貿易制度上の障壁があげられよう。これらがセメント輸入量を抑制していると思われる。

製品開発

メセボ・セメント工場は、セメント生産量を年間12億トンまで拡張することを計画している。