ethiopiaEthiopian Telecommunication Corporation (ETC) エチオピア国営電気通信公社

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

エチオピアにおける電気通信サービスの導入は、エチオピア王Minilik II世が、国内に電話技術を取り入れた1894年に遡る。だが、エチオピアにおける初の電話技術の先駆者は、その従兄弟であるRas Mekonnen氏であり、彼は、イタリアへ訪問後1889年に電話装置を持ち帰って帰国し、会社を立ち上げた。この会社は、20世紀初頭に政府管轄となり、その後、郵便通信省の支援の下で運営された。1952年、電気通信サービスは、郵便局元での運営から離れ、運輸通信省の管轄下で再編された。エチオピア国営電気通信公社は、アフリカで最も古い公共の電気通信会社である。

軍事政権下でエチオピアの電気通信は、1975年10月から1981年2月までEthiopian Telecommunications Service、1981年1月からはEthiopian Tele¬communications Authority (ETA)となった。この名称は1996年11月まで続いた。

閣議条例第10/1996号によってETAはEthiopian Telecommunications Corporation (ETC)に再編され、ETAの全権限と業務を引き継いだ。

国内には、966もの公共サービス局と交換局がある。最小の行政単位であるkebeleで電話アクセスをもっている数は、2004/05年のわずか60から、2007/08年は8, 676までに増加した。目標は、2010年までに地方の全15 ,000のkebeleに電話サービスを供給することである。2007/08年末までに、携帯電話加入者数は2004/05年のレベルからほぼ5倍に増え、現在では1, 954, 527に達している。ブロードバンド利用者数は、 2002/03年は65人のみであったものが1,496人になった。ダイアルアップ式インターネット加入者数は、2004/05から倍増して34,110人になった。携帯電話を除く電話回線密度は2000/01年以降3倍となり、2007/08年には100世帯当たり1.23に到達した。携帯電話を含めた場合の密度は、2000/01年の0.48から2007/08年には3.88に達している。

2005年にETCは、首都から6方向(Dire Dawa、Djibouti、Dessie-Mekele、Bahir Dar-Nekemte、Jimma、Awassa)に向かって放射線状に4,000kmの光ファイバー基本回線を敷設、デジタルラジオ、テレビ、インターネット、データ通信、マルチメディアサービスのための基盤整備を行った。データ転送のサービス容量、信頼性、品質、速度、サイズを高めるため2005年1月にETCは、ナローバンドからブロードバンドサービスへと移行した。とりわけ、ブロードバンド・インターネット、ブロードバンドVSAT、及び、ブロードバンドマルチメディア・インフラストラクチャーの導入と実装は、過去12年の主要な成果である。現在、エチオピアと他国とを結ぶ1 ,318もの海底ゲートウェイ回路がある。

国内の所在地

Ethiopian Telecommunications: Corporation Head Quarter; Churchill Road, in front of Main Post Office Building; Tel: +251-115-510500; Fax: +251-115-515777

製品・サービス

固定線電話、携帯電話、インターネット、マルチメディアサービスの提供。ETCは衛星、デジタル無線多重アクセスシステム(DRMAS)、小型地球局装置(VSAT)、極高周波数(UHF)、超高周波数(VHF)、高周波数(HF)無線網を使用している。

ETCは、ダイアルアップ、リース線、及び、共有DSLインターネットサービスを含む種々のインターネットサービスを、政府機関、企業、国際機関、個人に提供する。ブロードバンドインターネットサービスでは非対称デジタル加入者線(ADSL)、固定無線アクセス(FWA)技術が使用されている。エチオピアにおけるVSATの使用例は次の通り;

(a) 学校向けネットサービス:テレビを介した高等学校への標準的な教育番組の配信
(b) Woredaネットサービス:kebeleの上の行政単位であるWoredaセンターを、インターネット、データ通信、ビデオ会議、音声サービスを用いて、連邦政府と接続
(c) 農業ネットサービス:農業機関と連邦政府、及び農業機関同士の接続
(d) 健康ネット:国中の保険衛生士を結びつけて、健康管理上重要とされる種々の情報サービスを提供する

国際ローミングサービスを拡張するため、エチオピアは114ヵ国とデュアル国際ローミングサービス契約に署名した。さらにETCは、同社が国際ローミング契約を結んだ諸外国からの、外国人へのローミングサービスを提供し始めた。

従業員数

12 ,288名。

財務情報

税引後純利益 24億Br (2009年)
売上高 35億Br (2009年)
粗利益 5.7億Br (2009年)

市場シェア

公共の電気通信会社であるETCは、全通信サービスを独占している。

事業目的

近代的な情報通信ネットワークのインフラを構築して維持し、世界とエチオピアを結ぶ高容量デジタル接続によって、音声、データ、ビデオサービスを全国に遍く提供する。

ビジネスモデル

戦略計画:

  • 固定電話のネットワーク容量を105万8000回線から440万回線まで増やすのと同時に、携帯電話とインターネットのネットワーク容量を、150万と100,000から990万と100万まで増加する。
  • 既存の4,000km光ファイバーに加え、複線化と、頻繁なサービス中断を回避するため、新たに10,000 Km光ファイバーケーブルを敷設する。
  • 固定電話密度を4%、携帯電話密度を9.7%、携帯電話無線波の領域カバレッジを85%に拡張する。国内すべてのkebeleに少なくとも1台の電話を提供し、kebeleがインターネット技術の恩恵を享受できるような基盤を整備する。
  • インターネット密度を0.02から0.23に上昇させ、インターネット加入者数を100万人に増やす。
  • 都市と農村部双方に、符号分割多元接続方式システム(CDMA-WLL)による250万ネットワーク容量を拡張提供する。
  • データ網の効率良い利用のためのIPを拡張する。
  • 国全体で50,000台の公共電話を設置する。
  • 最先端コールセンターを設置する。
  • 顧客サービスと課金のための最新システムを確立する。
  • 国営ネットワーク運用センターを設置する。
  • プリペイドのインテリジェント・ネットワークを確立する。

戦略計画の実行終了時:

  • すべてのWoredaの街はデジタル電話とブロードバンドデータサービスを受けられるようになり、すべてのkebeleは携帯電話サービスを受けられるようになる。
  • すべての主要道路、市街地、観光センター、史跡、産業地域が携帯電話サービスを受けられるようになる。
  • すべての学校とWoredaは、woreda-netとschool-netプロジェクトによって最新の情報通信技術の恩恵を受けられるようになる。
  • すべての目標が達成された暁には、国民の10人のうち1人は電話サービスの利用が可能となる。

ネットワークカバレッジにおけるETCの成長予測
対象分野 現状 フェーズII
(2007/8年)
フェーズ II
(2009年)
フェーズIII
(2010年)
固定
容量(100万) 1058 2 3 4.4
普及率 1.2 2 2.95 % 4.0%
携帯電話
容量(100万) 1.5 6.54 7.5 9.9%
普及率 1.53 6.5 7.4% 9.7%
カバレッジ <20 % 50% 70% 85 %
光ファイバー 4000km 7000km 10000km 14000km
ブロードバンド(PoPs) 16 40 200 >500
ダイヤルアアップ式インターネット利用者 150,000 500,000 800,888 1,000,000

株主・所有権益

ETCは100%政府所有の国営企業である。

政府との関係・社会貢献

携帯端末機は、輸入時には課税されるが、国内市場での販売では課税されない。税率は、関税(5%)、付加価値税(15%)、源泉徴収税(3%)、付加税(10%)を含む36.82%である。携帯端末機の闇市場は、税収喪失につながるため、ETCにとって重要な問題である。15%付加価値税に加えて、ETCは固定線と携帯電話の利用料を徴収する。

製品開発

2009年にETCは、支払い済みの携帯電話加入者に、文字メッセージで請求金額を通知するパイロット・プロジェクトを始めた。加えて「汎用パケット無線サービス」(GPRS)を開始し、GPRS対応機種ならば文字、映像、音声映像メッセージの送受信が可能になった。これによってGPRS対応機種をもつ加入者は、電子メールサービスを取得できるようになった。当面は端末機を購入した加入者しかGPRSを利用できないが、将来は、同様のサービスをプリペイド端末の利用者にも提供することを予定している。

「次世代ネットワーキング」(NGN)の9プロジェクトが2010年1月までに完了し、使用可能になる。このプロジェクトは2008年9月に、ETCが15億ブルを投入して始まった。これにはGSMモバイル、CDMA-WLL、光ファバー通信、次世代コール・センターが含まれている。