Texaf
アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。
会社概要と沿革
Societe Financiere et de Gastion Texaf SA (Texaf) は Euronext に上場する持株会社で、DRCの産業、金融、不動産部門に利権をもつ。同社は様々な分野の企業に資本参加している。不動産分野では Anagest (98.9%)、Alta Invest (69.2%)、Cotex (100%)、UtexAfrica (99.6%)、Immotex (50.1%)、産業分野ではCarriage (100%)、Mecelco (50.3%)などである。
Texaf は1925年にキンシャサで事業を開始、1928年には当時ベルギーの植民地であったこの地で、アルベール国王の出席をえて初めての織物工場を落成させた。1934年に Texaf は UtexLeo となり、1985年には UtexAfrica になった。また自社の織物工場に電力を供給するため、キンシャサ近くのサンガに初の水力発電ダムを建設した。
Texaf は電力発電所、石油精製所、大型船を取得し、1930年には Credit Antwerp社と共同で Inkisi川沿い (レオポルトビルから80km) に、織物工場に電力を供給するための Society of Hydro-Electric Forces of Sanga を創設した。Texaf は、1930年にはコンゴとフランス領赤道アフリカに32の綿織り工場を所有していた。
1934年にTexaf は、Credit Antwerp が50%の株を所有する持株会社になった。Credit Antwerp は1939年に破産宣告したが、Texafの創業者 Joseph Phodius は米国の支援を受けて会社の立て直しに成功した。
1984年、Cotton Maniema (国営) と Cotton Kasai の株26%を取得して筆頭株主となった。1985年、Ytexco (製糸・織布・縫製)、Zaireprint (染色)、Otricot-Super Star (靴下・衣類)の3社が統合して UtexAfrica が作られた。1987年、ベルギーの投資会社 Compagnie Benelux Paribas SA (Cobepa) が82%の株を取得して Texaf の筆頭株主となった。国際金融公社 (IFC) は1988年に Texaf を財政支援している。
1993年の暴動勃発と1997年の内戦で、Texaf の資産は数回にわたり不正に略奪、破壊された。
2004年4月、中国の Cha Textiles社と枠組み条約を締結した。新しく Congotex社がつくられた。CHA社と UtexAfrica によって、共同所有の新しい不動産会社 Immotex社がつくられた。2007年 Congotex社は倒産し、DRC国内の繊維産業は実質途絶えてしまった。
国内の所在地
372 Av. Colonel Mondjiba, Kinshasa-Ngaliema, DRC
製品・サービス
当会社は、農業関連産業、エネルギー、建設、観光など多岐の分野に投資している。活動の中心は、砂岩破砕機の生産 (Carrigres)、機械・金属・鉄道のインフラ建設 (Mecelco)、キンシャサ市内の住宅と商業用不動産の所有と賃貸 (Immotex、Cotex) である。
従業員数
159人
財務情報
2008年会計年度の売上高8,772,000ユーロ
連結貸借対照表
000ユーロ | 2007 | 2008 |
---|---|---|
経常活動収益 | 6,615 | 8,359 |
その他経常営業利益 | 340 | 413 |
経常営業支出 | -4,912 | -6,815 |
経常営業利益 | 2,043 | 1,957 |
43% | -4% | |
その他非経常営業項目 | 813 | 2,794 |
営業利益 | 2,856 | 4,751 |
70% | 66% | |
財務コスト | -120 | -91 |
持分法による 投資利益 | 208 | 678 |
その他非営業利益 | 132 | 151 |
税引き前営業利益(継続事業) | 3,076 | 5,489 |
税金 | -463 | -1,033 |
払込み又は非継続事業からの営業利益 | -416 | 0 |
税引き後純利益 | 2,197 | 4,456 |
連結純利益(連結シェア) | 2,485 | 3,571 |
市場シェア
Texaf は2007年まで DRC 最大の織物会社であった。2009年時点では、その他の分野で市場シェアを伸ばしている。
事業目的
DRC内で主要投資会社に復帰すること。
ビジネスモデル
同社はDRC内資産の大規模な再建策をすすめている。その目的は外資を導入してDRCの事業展開に資金を投入していくことにある。国情や国の指導層に関する知識を生かして、新しい投資家の参入を促進する戦略である。2009年時点で、莫大な不動産資産を基盤にさらなる事業の多様化を進めている。
Texaf は、産業、金融、不動産の株式を Euronext 証券取引所に上場している唯一の投資会社である。この上場はグループ会社のDRC国内での成長にとって大きな資産となる。
Carrigreの業績が好調なのは、先を見通した投資政策、高度なビジネス手腕、高品質な製品群を実現できたからだ。三次破砕部門が新しく設立され、大手建設会社の基準に対して効率的に対応できるようになった。
株主・所有権益
TEXAF 社の株式所有の割合
Societe Financiere Africaine 73.54%
Jean-Philippe Waterschool 3.5%
Albert Yuma Mulimbi 2.96%
政府との関係・社会貢献
Texaf はImbakin社 (繊維会社) の99.9%の株を所有している。1961年の土地国営化の結果、1997年に裁判所は、政府は Imbakin社に対し6400万ユーロを返済すべしという判決を出した。DRC国内にある資産の譲渡による負債返済方法について話し合いが行われているが、まだ係争中である。
Texaf は、国内投資を行う Alta-Invest社株70%を所有している。この会社が所有する84のアパートと8つのスタジオは、人気の高いキンシャサの近隣にあるが、違法占拠されている。この買収から利益をあげるためにはビルの立ち退きと徹底した改築作業が必要である。今のところ大きな進展はみられていない。
2004年、当時のDRC暫定政権の4人の副大統領の1人、Arthur Z’Ahidi Ngoma は、Utexafrica が所有する一区画の土地は法的に自分の土地であると権利を主張した。Texaf は、政治的立場を利用して違法に土地の権利を主張しているとして Ngoma を告訴し、Texaf に有利な判決をえた。
製品開発
Texaf は Congolese 子会社のCotex、Utexafrica、Immotex と共同で、キンシャサに一般住宅用、工業用、事務所用のビル賃貸業を営んでおり、これが2010年の新しい収入源になるとされていた。2008年中に以下の改築物件が貸し出された。
- 広さ1,863m 2 のオフィススペース:年間322,000ユーロで賃借
- 広さ240m 2 の住宅:年間38,000ユーロで賃借
- 元織物工場の半分で同社が所有する倉庫と事務所8,487m 2 :年間439,000ユーロで賃借
本会計年度の後期、Utexafrica は広さ3,780m 2 の新しいアパート15棟の建設に着手した。このアパートは、2009年末には貸し出される予定である。2008年度 MECELCO社は、Gecamines に対してかつてない負債額を移譲した。これは連結利益2,905,000ユーロに寄与した。