congoTractafic

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Tractafric は、モロッコの大手複合企業 ONA の子会社であるフランスの事業グループ OPTORG の商標名である。

Tractafric は、米 Caterpillar Tractor Co. の中部アフリカ地域販売代理店であったが、1937年に Societe du Haut-Ogooue (SHO) に買収された。1894年創業の SHO は中部アフリカ全域で事業を展開していた。その SHO は1947年に Optorg Group の傘下に入った。Optorg Group は1919年に大手繊維グループによって創設され、ロシアと極東に向け卸流通を行っていたが、アフリカに進出するため SHO を買収したのである。

SHO の買収後 OPTORG社は、1955年に Etablissements Peyrissac社を買収した。Etablissements Peyrissac社は1908年から西アフリカで食料、金物、建築資材、自動車、モーターバイクなどを扱っていた。

1993年に、モロッコ最大手の産業・金融グループである ONA が Optorg社を買収した。従業員数は25,000人以上で連結売上高が330億モロッコ・ディルハムの ONA は、鉱山、農業食品、小売り、金融、そして成長産業である通信、エネルギー、環境、不動産などの事業に投資している。グループはカサブランカとパリの証券取引所に上場している。

建設重機のキャタピラー社の南部アフリカにおける代理店である Barloworld Equipment社は、2007年に Tractafric と事業提携した。DRCの銅・コバルト産出地であるカタンガ州における土砂運搬ニーズに応えるため、DRC国内に Bartrac Equipment社を創設するためである。このプロジェクトは、カタンガ州の道路や鉄道の建設・修復、オフィスや住宅建設、発電所建設に重機を直接提供する。重機とそのメインテナンス・サービスが利用できるようになることで、鉱業部門の効率性と生産性が向上し、さらには川下部門の成長を促進するであろう。

国内の所在地

Bld du 30 Juin, BP 8615, Kinshasa 1;
Telephone: +243 88 44615
Facsimile: +243 12 33608

製品・サービス

Tractafric はアフリカにおける小売り流通業のスペシャリストで、二つの分野 (重機とディーゼルエンジン、乗用車とトラック) で事業を行っている。キャタピラー社(土木、鉱山、発電用機材)、Hyster and Manitou社 (フォークリフト)、Perkins社 (ディーゼルエンジン) の代理店である。

Tractafric Motors社は、DRCでメルセデスベンツ、クライスラー、ジープ、ドッジ、ヒュンダイ、マツダ、BMW などのトラックや乗用車を販売している。

従業員数

全体で1,273人、DRC国内で130名。

財務情報

Optorg Group によれば、2007年度の総収益は4億1,700万ユーロで、前年比大幅増であった。Tractafric社の2004年度におけるDRC国内売上は2,500万ドルであった。操業を開始したばかりのBartrac合弁会社の2007年度売上は6,600万モロッコ・ディルハムであった。

市場シェア

Tractafric Equipment社はDRC国内でキャタピラー社のフランチャイズを有する。

事業目的

アフリカで世界一流のサービスを提供する。

ビジネスモデル

Tractafric社は、以下を重点項目とする2009年度新規戦略を発表した。

  • 専門の研修センターでのサービス要員教育
  • アフリカ人幹部の採用と、教育によるサービス品質の向上
  • インフラやサービスを鉱山や油田に拡張
  • 単独供給契約によって製品・サービスの一括提供を拡充
  • アフリカ数ヵ国において2008年に、EUROPCAR社と共同で開始した乗用車・トラックのリースサービス

株主・所有権益

Tractafric社は ONA100% 出資の子会社であり、フランスのグループ企業 Optorg の商標名である。Bartrac Equipmentt社は、Barloworld社との出資比率50:50の合弁企業である。

政府との関係・社会貢献

公共的用途のための投資は、行政課税を除き、資機材やその CIF 価格の10%を超えないスペアパーツの輸入の手数料、権益料、税金一切が免除される。

認可を受けた企業は、輸入設備 CIF 価格の5%に固定されている関税以外は、その企業に必要な設備のための資機材と、その CIF 価格の10%を超えないスペアパーツの輸入の手数料、権益料、税金一切が免除される。中古の大型エンジン、船舶、飛行機はすべて非課税となる。

Bartracプロジェクトによって政府の税収は、今後5年間で毎年200万ドル以上増加すると期待されている。主に運輸、燃料、公益事業、住宅に関する財・サービスが調達されることによって、このプロジェクトは経済に貢献するだろう。

製品開発

Barloworld Equipment社とTractafric Equipment社は、ルブンバシに設置する合弁会社の事業のため、コルウェジ近隣の主要産銅地域に、パーツ・ストアとワークショップを含むフル・キャパシティの管理センターを建設中である。Bartrac Equipment社はカタンガ州の Tenke Fungurume 新規事業に必要なキャタピラー社の鉱山重機を、すでに Phelps Dodge に発注済みである。また Wilson Bayly Holmes-Ovcon社の建設作業を、設備調達面で支援していく。

2008年、MIGA (世界銀行グループの多数国間投資保証機関) はBartrac Equipment社に対する2,500万ユーロの投資保証を引き受けた。MIGA の保証は10年間で、戦争、内乱、送金停止、資産没収のリスクをカバーする。