Vodacom
DRC
会社概要と沿革
Vodacom社はアフリカ大手の通信グループ会社で、2009年6月30日時点で4,130万人の人々にモバイル通信及び関連サービスを提供していた。モバイル・ネットワークは南アフリカ、タンザニア、DRC、レソト、モザンビークの5ヵ国で約1億8,200万人をカバーしている。
Vodacom
Group
と
Vodacom
SA
の創業は1993年で、Telkom、Vodafone、VenFin
Limited
(VenFin)
3社の合弁会社として、南アフリカで創業した。1994年に
Vodacom
Group
はアフリカでは始めてのGSMネットワークの一つを立ち上げた。1996年にVodacom
Group
の株式5%は、BEE
(黒人経済力向上)
企業である
Hosken
Consolidated
Investments
Limited
(HCI)
に、Descarte
Investments
No
8
(Proprietary)
Limited
を通じて1億1,800万ランドで売却された。2002年にHCI社は、その株式を
Vodafone
と
VenFin
に15億ランドで売却した。
Vodacom
DRC
は2001年12月に
GSMライセンスを取得し、2002年5月からVodacomブランドでサービスを開始した。2008年12月31日、Vodacom
DRC
はDRCの
全9
州
349
市町村で、514
の基地局と
11
のモバイル交換局の操業を開始した。このネットワークは2008年12月31日時点でDRC国土の約15%、人口全体の約55%をカバーしていた。
Vodacom
DRC
は国内のインフラ未整備を補うため考案された直接あるいは間接チャネルを使って製品を販売している。Vodacom
DRC
の流通ネットワークは143の独占的販売型・現地密着型の特約店と74人の電話交換手から構成されている。Vodacom
DRC
にはかつて1,078の販売代理店があった。2008年12月31日時点でそのうちVodashop
は35店であった。
国内の所在地
3157
Boulevard
du
30
juin,
Commune
de
la
Gombe,
Kinshasa,
Telephone:
+243
81
313
1000
製品・サービス
Vodacom
DRC
は、通信契約、プリペイド、PABX
(自動式構内電話交換システム)、ISP
(インターネット・サービス・プロバイダー)、公衆電話まで様々な通信サービスを提供している。Vodacom
DRC
は、1秒単位で課金できるプリペイド式パッケージ
(TicTac+)
のサービスを2007年12月から開始した。また2007年はじめに、Vodacom
DRC
の顧客を対象に
MMS
(マルチメディア・メッセージング・サービス)
と、不在着信お知らせサービスを開始した。銀行やその他企業は
ATM
リチャージと
GPRS
(汎用パケット無線システム)
ターミナルが使用できるようになり、リアルタイムで取引できるようになった。
Vodacom
DRC
はバルク・プリンティング・システムをDRC国内に導入し、大成功を納めた。このシステムは、DRC内のリチャージ収入のかなりの部分をしめるようになり、代替のプリペイド流通経路としてVodacom
DRC
顧客には好評である。
Vodacom
DRC
はさらにエアタイム・リチャージ・サービスを導入し、Vodacom
顧客が親戚、友人、同僚からリチャージできるようにした。また、新しい
scratch
card
voucher
denominations
が導入された。TicTac+
の普及のために様々な販促活動が実施された。
従業員数
672人
財務情報
2009年3月31日締めの会計年度において、Vodacom社は552億ランドの売上を記録した。Vodacom
DRC
は2008年12月31日付けで400万人の顧客を有している。Vodacom
DRC
は2008年9月30日締めの半期においてグループの連結収益の5.2%、営業利益の1.6%を占めている。
Vodacom
DRCの2008年9月30日締め半期の収益は、昨年の2007年9月30日締め半期の11億800万ランドより22.7%増の、13億6,000万ランドを計上した。収益増加の主な要因は、この間の顧客数増加とデータ収益の増加、およびランド高である。インターコネクト・サービスの利益減を相殺したとしても収益増となっている。ドル換算では、同じ半期の6ヵ月間で12.1%の収益増となっている。2008年9月30日締め半期においてデータ収益はVodacom
DRC全体の3.8%を占め、40.5%増の1億100万ランドとなった。2008年9月30日までの半期では、Vodacom
DRCの
EBITDA
は3億3800万ランドで前年比グループ連結収益41.3%減、営業利益5.3%減となり、EBITDA
マージンは昨年同期32.2%に対し24.9%であった。
市場シェア
Vodacom社のDRC内の市場占有率は37%とトップである。
事業目的
Vodacom社の事業目的は、通信サービス会社としてサハラ砂漠以南でトップになることである。
ビジネスモデル
Vodacom
社は既存市場での市場占有率No.1を維持し、新しい通信製品・サービス・販売エリアを増やし、高収益化することに焦点を当てている。また、ネットワークや流通網の能力増強のために継続的な投資を行い、顧客基盤を拡大したいと考えている。さらに手頃な値段で革新的な製品を提供してモバイル使用量を増やして行きたいと考えている。
具体的戦略は以下の通り。
- 規模の経済を実現させるために効率性向上に的を絞る。
- インフラを構築し広帯域を支援する。
- サテライトや地下ケーブルへ投資し、グローバルな競争力の増強に努める。
- 低価格帯のハンドセットやバンドル・ラップトップ・パッケ-ジを市場に導入しアクセス向上を図る。データ利用料を安くする。
- 集中型ICTソリューションを新しく開発する。
- コアのモバイルビジネスに直結した集中型サービスに拡張していく。
- 付加価値の高いトータル通信サービスを提供して顧客囲い込みをする。
- 高品質な製品を競争価格で提供し市場でのリーダーシップを形成する。サハラ以南で許可と獲得の機会をさらに増やしていく。
Vodacom 社の戦略的方向を支えるため、現在重要分野への投資を進めている。その重点分野とは以下の通り。
- ブランド・リーダーシップの維持
- カスタマーケアとカスタマーロイヤリティの強化
- 流通基盤、サプライチェーンマネジメント能力の増強
- ネットワークインフラのサービス範囲や品質・効率性の継続的な向上
- 従業員及び地域の持続可能な福祉のための支援や開発、動機付けの実施
DRC内の顧客基盤を拡充できたのは、契約の魅力的なインセンティブ、積極的販売、マーケティング・キャンペーン、ネットワークの拡充、1秒単位課金制度の導入、額面より安くする割引券の発行の成果である。
株主・所有権益
Vodacom
BEE
取引が実施されるまでは、Vodacom
Group
が
Vodacom
SA
の株を100%所有していた。2008年10月8日に
Vodacom
の
BEE
取引が締結され、Royal
Bafokeng
Holdings
(Proprietary)
Limited
(Royal
Bafokeng)
とThebe
Investment
Corporation
(Proprietary)
Limited
(Thebe)
が、各々の子会社や
(拡大BEEコードが定義する)
「ブラック・パブリック」、ビジネスパートナー、従業員の持分を通じて
Vodacom
SA
の株式6.25%を取得した。「ブラック・パブリック」、ビジネスパートナー、従業員は
Yebo
Yethu
を通してVodam
SA株を取得した。Yebo
Yethu
はVodacom
SA株の3.44%、Royal
Bafokeng
と
Thebe
はそれぞれの子会社を通して1.97%と
0.84%を、各々取得した。
2008年11月6日、Vodafone社は65%まで増資することに合意したと発表した。一方Telkom社は、残りの株をヨハネスブルグ証券取引所に上場して分離すると発表した。
2009年時点でVodacom
は、Vodacom
Mauritius経由でVodacom
DRC株の51%を所有している。Congolese
Wireless
Network
s.p.r.l
が残りの49%を所有する。
政府との関係・社会貢献
間接税の増加やインターコネクション・レートの上昇、燃料費、保安強化のためのネットワークのメンテナンス及びサイト・コスト上昇、厳しい市場条件により、DRC国内の利益は圧迫された。2008年度、USドル換算では営業利益とEBITDA利益は、それぞれ46.4%と13.6%
の減益となった。
国家の通信インフラが未整備なため、通信会社は自分達でインフラ設備投資をして、サービスエリアと通信ネットワークを開発していかねばならない。
ITCに関する国家政策はまだ策定されていない。現在、東部南部アフリカ共同市場
(COMESA)
の支援を受けながら作成中である。ICT国家戦略も、アフリカ経済委員会
(ECA)
の支援を受けて策定中である。
税制はこの通信事業分野に好意的でない。携帯電話輸入には35%が課税され、事業者収益には18%が課税される。事業者は事業税2%と、通信費消費税2%を支払わなければならない。装置にも課税される。これらはかつて免税措置を受けていたものである。
DRC国内の通信産業も2008年度会計年度中に発布された省令の対象となり、全てのネットワーク業者は全顧客をレジスターするよう義務づけられている。この省令は、2008年6月30日までに全顧客の定められた情報を入手して保管するよう求めている。ただし、その期限を2008年12月31日まで延期することが口頭で伝えられ、さらに2009年6月30日まで延期された。Vodacom
Group
は期限までに必要な情報を入手するよう努めているが、おそらく間に合わないであろう。会社としては今後も関係省庁と連絡を取り合っていくが、部分的にコンプライアンスを守れなかった場合どのような影響を受けるのかは、正確にはわからない。
製品開発
2009年Vodacom社は、先の四半期に国際事業部門が減収となったため、南部アフリカのサービスプロバイダーとして初めて予算削減を発表した。同社は、DRC
及びタンザニアの携帯電話市場における競争の激化、景気低迷、消費税の高さの影響を受け、両国事業の予算を削減する。この両国でのネットワーク能力拡大のため予定されていた30億ランド
(3億9,020万ドル)
は、おそらく支出されないであろう。
2009年4月8日、Vodacom
Group
は西アフリカ・ケーブルシステム
(WACS)
の建築、敷設に関する建築・保全契約と供給契約を締結した。その結果Vodacom
Group
は、WACS
海底ケーブルを所有運営するコンソーシアムの共同所有者となった。
Vodacom
Group
はDRCとカナリア諸島の
WACS
ランディング・ポイントを建設する投資権限をえた。さらに
Vodacom
Group
は、DRC内のランディング・ポイントにケーブル・ステーションと付属設備を供給する。推定費用は260万ドルである。
Vodacom社は、アフリカ40ヵ国に顧客を有し多国籍企業や電気通信ネットワーク会社に通信サービスを提供しているGateway社を2008年12月30日に取得、アフリカでの存在感を強めた。Vodafone
は、サブサハラ・アフリカでは
Vodacom
だけを通じて投資を行うことに合意した。