Danzer
Group
会社概要と沿革
Danzer
Group
は世界最大の硬材ベニヤ板の生産会社の一つであり、南洋材丸太や切り出した木材、ベニヤを取り扱う世界最大の貿易会社でもある。創業者
Karl
Danzer
がパリでベニヤ材の貿易会社を1932年に始めたのが始まりである。第二次大戦後の1949年、Danzer氏は、ドイツのロイトリンゲン市に自社の製材所を開業し、産業用ベニヤの大企業としての一歩を踏み出した。当初からDanzer氏は、アフリカでの伐採利権を生かし、南洋材ベニヤ板の製材業をそこで営んでいた。創業以来
Danzer
Group
はドイツ
Danzer
Group
一族によって運営されてきた。1962年からはInterholoc
AG社を通してスイスにも拠点を置き、南洋材の貿易業務を行っている。
Interholco社の主たる調達先はアフリカであるが、DRCにある
Societe
Industrielle
et
Forestiere
du
Congo
(SIFORCO)
のようなグループ内の他社や、数多くの外部企業からも調達している。Danzer
Groupの子会社SIFORCO社は、1976年、Danzer
Group
とドイツ政府開発局
DEG
(Deutsche
Investition-und
Entwicklungsgesellschaft)
との合弁企業としてスタートした。SIFORCO社は、470万エーカー
(190万ヘクタール)
の森林利権を有し、そこで製材所とベニヤ工場を運営している。年間約131,000キュービック・ヤード
(100,000m
3
)
相当の木材を加工している。その内の約3分の2がベニヤ板やランバー材として加工され、残りは丸太材として輸出される。
Greenpeace
International
は、同グループが地元子会社の経営状態を赤字と発表しながら、その一方で巨額の現金を海外口座に送金して、脱税していると告発した。グリーンピースの報告書はDanzer社の内部文書に基づいて作成されている。この報告書によると、Danzer
は1990年代以降会計報告を改竄している証拠があるとされ、また子会社3社の幹部らは、必死で会社の実態を隠そうとしていたとされる。
Danzer
Group
はこの告発を否定している。会社側は、DRCとコンゴ共和国の両国できちんと納税したうえ、年間300万ユーロ
(450万ドル)
の投資をしているという。グリーンピースは2004年と2006年にスイスで告訴したが、会社側は、スイス検事当局により却下されたと伝えている。
SIFORCO
は9件の森林利権の合法性審査に合格した。スイスの監査法人
Societe
Generale
de
Surveillance
(SGS)
は、SIFORCOがもつライセンスの範囲内で生産される全ての材木は合法であることを確認した。同時に、Danzer
Groupより第三者機関としての審査を依頼された
Ernst
&
Young社の報告では、SIFORCO社は過去の事業においても輸出価格や所得税に関して現地の法規制に準じ合法であったことを確認している。さらに
Ernst
&
Young
によると、Danzer
Group
は、未実現投資については税優遇申請をしなかったと報告している。
またSGS社によると、SIFORCO社は納税義務と社会的貢献を果たしており、ライセンス、書類とも必要なものはすべて適切に取得・管理しているとされる。さらに、SIFORCO社の
SGS-TLTV
Chain
of
Custody
証明書によって、森林から伐採した木材がどのような流通過程を経て輸出港に運ばれるかを追跡確認できるようになっている。監査を順調に終了したことは、SIFORCO社の特権として継続的な森林管理の許可を取得するための重要な一歩となる。
国内の所在地
Societe
Industrielle
et
Forestiere
du
Congo,
B.P.
8434,
Kinshasa
I,
DRC:
Telephone:
+243-88-46910:
Facsimile:
+243-88-03019
製品・サービス
Danzer Group は木材加工会社で、高品質の硬材から加工されるベニヤ板や挽立て材を得意とし、Danzer社製ベニヤ板は木製化粧版として様々な用途に使用されている。家具やドア、自動車、ボート、航空機産業、室内装飾にも使用されている。Danzer社の材木は、主に自然で個性的な内装・家具デザインに使われている。さらに、Danzer Group は、木材取引や森林管理に携わっている。
従業員数
Danzer Group の従業員は全社で4,700人いる。そのうち1,200人はDRC国内で雇用されている。
財務情報
年間売上高は5億ユーロを超える。
2004年度推定Siforco材平均輸出額
種の名前 | Siforcoの輸出割合(丸太及び引割り材)2003* | Siforcoの丸太のローカルFOB価格(€/m3)2004* | 輸出の割合×の丸太のローカルFOB価格 (€/m3)** | Siforcoの丸太の合計FOB価格(€/m3) 2004年* | 輸出割合× 合計FOB(€/m3)** |
---|---|---|---|---|---|
Sapele | 39% | 146.42 | 57.1 | 220 | 85.8 |
Tola | 9% | 87.74 | 7.9 | 218 | 19.62 |
Sipo | 16% | 177 | 28.3 | 278 | 44.47 |
Iroko | 14% | 162.1 | 22.7 | 231 | 32.34 |
Tiama | 3% | 79.38 | 2.9 | 172 | 5.16 |
Bosse | 1% | 153.14 | 1.5 | 334 | 3.34 |
Wenge | 14% | 188.22 | 26.4 | 600 | 84 |
Ariegre | 1% | 90 | 0.9 | 548 | 5.47 |
Doussie | 0.10% | 296.98 | 0.3 | 260 | 0.26 |
Khaya | 3% | 106.81 | 3.2 | 220 | 6.6 |
全価格平均値(種割合別加重平均) | 151.2 | 287.06 |
* Danger Groupのデータより引用 ** Greenpeace Internationalによる計算値
2002-2005年度 DRC丸太材平均輸出額
年度 | 輸出量(m3) | 輸出額(€000) |
平均値FOB値- 輸出額/輸出量(€/m3) |
---|---|---|---|
2002 | 27,720 | 3,632 | 131 |
2003 | 58,307 | 7,724 | 132 |
2004 | 94,390 | 14,626 | 153 |
2005 | 111,243 | 17,009 | 153 |
市場シェア
DRCの木材輸出額の75%は、Danzer Group (約40%)、ポルトガルの NST Group、インドの Olam、レバノンの企業 Trans-M の外資4社が占めている。
事業目的
Danzer Group の企業目標は、自社の森林を適切かつ持続可能な管理を行うことで、高品質の材木供給を長期的に確保することである。
ビジネスモデル
セクター別マーケティング:
Danzer社の顧客は様々なセクターと産業にまたがっている。各種の要望に応えるため製品群の拡大を図り、特定の顧客ニーズに焦点を合わせた販売及び開発ソリューションを行うアプローチをとっている。
持続可能な成長:
社外のステークホルダーとは独立しているため、金融市場の変動から影響をうけることがない。Danzer Group は家族企業で水平型階層を持ち、同時に従業員と顧客は密接な関係にある。正しい判断を下し、ひいては企業の資産や収入の増強につながるのは、結果的に迅速な決断であると会社は信じている。
品質:
最新技術への定期的な投資により継続的に新しいプロセスや製造方法を開発し、製品・サービスの品質を向上させている。
株主・所有権益
SIFOCO社はDanzer
Groupの100%出資の会社である。Danzer
Group社はドイツの個人株主らの100%出資会社である。Interholco社はDanzer
Groupの100%出資の子会社である。
政府との関係・社会貢献
DRC政府は2002年に伐採ライセンスの認可を一時停止していたが、2009年に木材関連企業の法的見直しを完了した。政府は技術特別調査委員会を使命し企業監査に当たらせていた。省庁間で構成される委員会はその評価を行い、Danzer社は森林利権を保持できると決定している。
森林保全に関して述べると、環境・自然保護・観光に関する省庁が保護地域を管理し、自然保護研究所を所管している。
2002年8月、DRC暫定政権のもと新しい森林法が採択された。当森林法は、DRC政府の森林政策の基本的な枠組みを成すもので、今後も政府が森林の全地域を国有としていくことなどが盛り込まれている。
この森林法は、1949年に成立された前の森林法を刷新したもので、DRC内の大規模な変革を求めている。例えば森林法には、保護地域は国土の15%を占めること、森林管理計画実施の義務付け、森林利権の公開入札がある場合は入札金額の40%を各事業体に分配すること、国と地方レベルの森林諮問機関を設立することなどが規定される。詳細はこれから詰めていくことになっている。
新しい森林法では法的伐採に関わる税収入の40%は地方自治体に直接分配され、森林活動の利益を地元住民で共有できるようになっている。さらに森林をもつ地方公共団体は、中央政府や木材関連企業と公的な契約を結ぶことで、例えば公共医療施設、学校、支線林道への投資などでさらなる利益を期待できる。
さらに新しい森林法では、木材会社との利権契約の枠内で、かつ地方自治体との協議の枠内で、地方自治体の慣習上の権利は維持することとされている。これは、森林保護地区指定のための諸手続きのうち、必須の措置である。
製品開発
同社はサプライヤーへのアンケート、法的書類要件、第二、第三者によるサプライヤー監査、などに関する対策を盛り込んだアフリカ産木材調達規則を導入した。このシステムはSGSとの協議の結果策定された。グル-プ内でのシステムの実施・管理のために独立機関が創設され、ここでアフリカ産木材種を取扱う全グループ会社のコンプライアンスも管理される。グループの森林利権の持続可能性の向上、第三者サプライヤーの持続可能性及び合法性向上のために、目標に期限が設定された。
このプロセスの次の段階は、2009年末を目途にSIFORCOが森林利権に関する包括的森林管理計画を
ISO14001:2004
に準じて策定することである。Danzer社は
WWF
と協力して
SIFORCO
のために森林管理計画を策定することになっている。