congoBanro Corporation (Banro)

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Banro Corporation (Banro社) はカナダに本社を置く金探査・開発会社で、DRC (コンゴ民主共和国) の4つの主要金鉱地帯の全鉱業権を所有している。Banro社にとって最も重要な Twangizaプロジェクトは、年間1,300万トンの生産能力を持つプラント建設の第一フェーズにある。このプロジェクトはDRC史上初の世界有数の商業用金鉱プロジェクトとなる予定であり、2011年完成の予定である。DRC国内のBanro社の所有する土地は5,251 km 2 に及ぶが、探査済み地域はその内の5%にも満たない。

Banro社は合計13の採掘権(開発権)をもっており、その金鉱 Twangiza-Namoya の210km に亘る金鉱ベルトに沿っている。さらにBanro社は合計2,710.91 km 2 の地域に対し14の探査権を持っている。その内10の探査権はBanro社の Twangiza金鉱に、4つの探査権はBANRO社のNamoya金鉱に属するものである。

Banro社は1996年に創業し、DRC内に Sominki の権益72%を取得した(当時は旧ザイール政府が残りの28%の権益を所有)。その後、1997年に900万ドルの探査計画を実施した。1998年の内戦時には、政府によって Banro社の資産は一時的に接収されたが、2002年に、DRC政府との正式な和解に至り、Banro社は事業を再開した。

会社の採掘権は、Twangiza、Lugushwa、 Namoya 及び Kamituga という、過去に砂鉱床や硬岩鉱床から約2,400万オンスの金が生産された主要な生産地域にも及んでいる。

Twangiza の金鉱床は、1950年代 Miniere des Grande Lac (MGL) により発見された。1970年代半ばには Charter Consolidated社が細部にわたる探査を実施した。この探査では、鉱化層までつづく隣接する数多くの横坑道の掘削も行われた。そして1996年、Banro社が Twangiza鉱山の権益を取得した。引き続き酸化物と移行鉱床を拡大していくことが2009年度 Banro社の探査・開発目標であった。

Kamituga 地域で最初に金の発見が報告されたのは、Luliaba、Mobale川、Kahushimira川、 Kamakundu川 及び Idoka川で、砂金が発見された1920年代初めのことだった。1924年に砂鉱床採鉱の工業化が始まった。また1930年代の探査の結果、1937年にMobale 坑内作業における硬岩の採鉱中に、高品位の石英鉱脈を多数発見した。Kamituga 採掘期間、29個の金塊が砂礫層から発掘された。それぞれの重さは1kg以上であった。

1996年に Kamituga での操業が閉鎖した当時は、砂鉱床・硬岩鉱床採鉱から約1,500万オンスの金が生産されていた。2009年・2010年の予定されていた探査開始に伴い、現在、当プロジェクトで採掘可能な鉱物資源量の客観的な分析が行われている。

Lugushwa で初めて砂金が発見されたのは1920年代、採掘が始まったのは1958年になってからである。初生金鉱床の限定的な探査は1963年に始まった。その結果、Mapale G7鉱床と, Simali鉱床、Filon de Luxe鉱床、D-18-19 及び G20-21 Lugushwa 鉱床、その他にも小規模な鉱床もいくつか見つかった。Lugshwa において、初生金鉱の金属鉱化のための大規模な露天掘りはこれまで実施されたことがない。1958年と1996年の間に、砂鉱床から最低457,000オンスの金が生産される。それに伴い、さらに10,000オンスの金が初生鉱床から生産された。Banro社は、新規の探査標的を見つけるため表面探査と2008年のインフィル掘削プログラムを引き続き実施した。この有望なプロジェクトによって、2009年-2010年の探査の推進を目指している。

1930年に Namoya で砂金鉱床が最初発見され、1931年から1947年にかけて採鉱された。この間に生金鉱床が発見され、1947年に Filon B 鉱床で坑内採鉱が始まった。さらに Mwendamboko, Kakula 及びMuviringu で初生金鉱の金属鉱化が発見され、抜き掘りが1961年に終了した。Namoya の生産量の総合計は278,000オンスと推計されている。Namoya ヒープ・リーチング (堆積浸出) プロジェクトは開発に向けての初期評価を2007年7月に終了し、フィージビリティー調査は2009年に完了する予定である。

Banro社の資金は潤沢である。株式の時価総額は1億5,900万ドル (2009年7月7日現在) で、2009年6月には1億カナダ・ドルの資金調達を受け、Twangiza の建設をいつでも始める準備ができている。

国内の所在地

33 Boulevard du 30 Juin Suite 602/603, Kinshasa, Gombe, DRC;
Telephone: +243 812 686 096
Facsimile: +243 812 616 096

Villa Kakoma, No. 26 Avenue Kahuzi Beiga, Bukavu, Sud Kivu, DRC;
Telephone: +243 810 393 534

Kamituga:

Kamituga は Bukavu の南西100km のところに位置し3つの PE で649km 2 の面積を占めている。Kamituga は4鉱山のうち最も成熟しており、かつては主要な砂金及び坑内採鉱場であった。

Lugushwa:

Lugushwa の3つのPEで 641km 2 の面積を占める。Lugushwa は Bukavu市の南西約150kmのところに位置している。

Namoya:

Namoya鉱山は Maniema州にある Twangiza-Namoya金鉱ベルトの南端に位置し、Bakuvu市からは南西約225kmのところにある。Namoya鉱山は174km 2 を占める一つの PE からなる。

Twangiza:

この鉱山は South Kivu 州にあるBukavu市の南南西約45kmのところに位置し、面積は1,164km 2 を占める6つの採掘権からなる。

製品・サービス

金の探査

従業員数

278人

財務情報

Banro社は事業から利益を生み出せていない。そのため測定済の確定埋蔵量672万オンスと推定埋蔵量446万オンスという合計1,100万オンス以上で、かつ増え続ける金脈を求めなければならない。

2009年に行われた Twangiza のフィージビリティー調査では、操業3年間で、年平均312,979オンスの金の生産が想定される。また、平均総営業費は261ドル/オンスである。現行埋蔵量に基づく鉱山の寿命は20.86年であり、金の合計生産量は3,533,488オンスである。また、平均総営業費は1オンス当たり459ドルとなる。

市場シェア

会社名 面積
Banro 5,251 km²
Moto 1,841 km²
Mwana Africa 3,000 km²
AngloGold Ashanti 10,000 km²
Goldfields 18,220 km²

事業目的

会社にとって重要な金の資産を、社会・環境に配慮して開発・増強することによって、株主価値を最大化することを目的とする。

ビジネスモデル

Banro社は新しい短期戦略を策定した。その戦略とは、市場の現状を鑑み Namoya や Lugushwa よりも Twangza の開発に集中することである。その実現のためにBanro社はTwangizaプロジェクト開発への出資に参加してくれる戦略的パートナーを探している。その一方でBanro社は、今後も Twangiza の更なる成長及びフィージビリティー調査において採算性を高め、資源開発と酸化物量を増やし続ける。

Banro社は現行の利益率に基づいて資金調達するという段階的取引を行う可能性を検討している。Twangiza の追加的な探査支出や Twangizaプロジェクト開発に全額前払いで資金投入するのではない。他プロジェクトの追加の探査支出や、この地域の探査資金調達も同様に利益率に基づいて (毎月、四半期、一年) 資金調達する予定だという。

パートナーシップ形成による成長が企業方針である。戦略的パートナーを得ることによりフィージビリティー調査は最適化し、Twangiza の金埋蔵量をより大きく評価できる。さらに、Banro社はより高いマーケットシェアを持つ生産会社となることができる。

株主・所有権益

プロジェクトはすべてBaron社が所有するもので、半官半民の事業ではない。

政府との関係・社会貢献

2009年8月2月に結んだDRC政府とBanro社との財務契約は、わずかな修正のあと批准されたと発表された。

Banro社はDRC政府と、地元自治体の South Kivu 州 及び Maniema 州 への更なるコミットメントを約束した。DRC政府に対しては、Twangizaプロジェクトのための建設の新株発行及び借入による資金調達の手続き完了後、200万ドルを前金として支払うことを約束した。またその資金はTwangiza 及びLuhwindja地域の社会インフラ開発資金と、今後発生する税金にも当てられる。それらの詳細な内容は以下のようになる。

  • 200万ドルはSominki Sarlの遺産問題の解決と、Banro社の事業上余剰となった特定の不動産をDRC政府に譲渡するために使われる。 
  • 将来の純利益の4%は、資本配当後、DRC政府を経由してSouth Kivu 及び Maniema州の自治体に配当され、道路、橋、学校、保健設備などのインフラ・プロジェクトの建設に当てられる。 
  • 生産開始年から10年間の税の減免措置(Tax Holiday)を行う。 
  • 錫に関する35の鉱業利権と、それに関連する重要インフラを含む鉱山施設の返還を行う。 
  • ロイヤルティは金収入の1%である。 

Banro社は、Banro財団として知られる慈善団体を登録・設立した。2008年に実施されたプロジェクトは100km に及ぶ道路の修復事業だけでなく、二つの新しい高等学校の建設や、18,000人の住民への水供給システムの建設、保健施設の建設を行う。さらにBaron財団は、HIV / AIDS 検査の支援やカナダから7つの地方病院への医療機器の提供を行った。

製品開発

2009年8月、Banro社は改装済の金処理プラントの買収を取り決めた。そのプラントは年間130万トンまで処理できる。この買収は段階的生産方法 (当初は Twangiza の酸化物の処理を集中する) により生産能力を増強したいという企業戦略に沿ったものだ。

改装済プラントには、砕石プラント、2つのボール・ミル(粉砕機)、カーボン・イン・パルプ (CIP金回収技術) セクション、ゴールド・ルーム、研究所がある。同社のコンサルタントである SENET Engineering によると、買収と Twangiza へのプラント移転のコストは合計1,500万ドル未満と推定しており、Banro社にとって時間とコストの大きな節約になると言われる。

2009年6月Banro社は総粗利益100,001,700カナダ・ドル (8,660万米ドル) となったため、一株当り2.30カナダ・ドルで、43,479,000普通株式の発行・販売を締め切った。GMP Securities L.P.とCIBC World Markets Inc.とが共同引受人となる企業連合を通して募集が行われた。引受け契約に基づき、Baron社は企業連合に対して、超過割当オプション引受けを認可した。その引受けとは、さらに追加で最高6,521,000のBanro社の普通株を募集締め切りから30日以内に1株2.3カナダ・ドルで購入できるものである。これにより現在はTwangizaプロジェクトの建設を始めることができる。