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データ・リソース

Sipim

設立年

1990年

資本金

1億5,000万CFAフラン(FCFA)

売上高

25億FCFA(2008年)

業種

不動産開発

従業員数

230人

会社概要と沿革

SIPIMは、コートジボワールで不動産開発を手掛けるレバノン資本100%の企業だ。不動産開発事業が自由化された直後の1990年に設立されて以来、住宅需要拡大を背景に着実に業績を伸ばしてきた。2008年の売上高は25億FCFAにのぼった。従業員は230人で、うち200人が建設作業員。アンゴラとマリでも、それぞれの子会社を通じ不動産事業を展開している。

政府は1960年独立直後の早い時期から居住権の重要性を認識し、社会融和とより豊かな生活を目指し、すべての国民に住まいの安全を保障する住宅政策を導入した。低所得者向け住宅供給の促進と都市開発を政策の柱に据え、政策実施機関としてSICOGI(不動産開発管理)、SOGEFIHA(住宅管理融資)、SETU(都市土地開発)の3公団を設立し、積極的に住宅供給に努めてきた。しかし、1980年になると、住宅開発のための資金調達が困難となった上、住宅代金の支払い滞納で経営が悪化。政府はIMF・世銀の勧告を受け構造調整の一環として、不動産開発事業を自由化するとともに、SICOGIを民営化し、SOGEFIHAとSETUを解散した。住宅政策は「公」から「市場」へ変容する。政府は必要なところ以外は市場に委ね、民間中心で住宅づくりを行う方針に切り替えた。低所得者向け住宅供給にインセンティブを与える租税優遇措置や住宅基金の設置を通じて、「規制(国による不動産開発事業の独占)」を「ベネフィット(事業の自由化と事業に対する一連の優遇措置、奨励策)」に引き換える ことで、低所得者向け住宅の建設を民間部門に任せていく政策に方向転換した。このような流れの中で、SIPIMは1990年、競合他社に先駆け不動産開発事業に進出した。この時期、SIPIMをはじめ住宅プロバイダーは、政府が世銀の支援で設置した住宅開発基金を活用し、住宅開発を推進した。また低・中所得層が融資を利用することで住宅需要を取り込み、住宅建設はブームを迎える。SIPIMはこれまでに5,000戸超の新築住宅を建設。供給戸数は毎年500戸を超える。同社の住宅供給に占める市場シェアは16%と業界第2位だ。民間住宅プロバイダーの先駆者として、競合他社に先駆け顧客の取り込み、市場シェアの拡大でメリットを享受し、豊富な経験に裏打ちされた実績で信用を確立した。SIPIMのニアポ営業部長は、「これまで着工した全てのプロジェクトが期限内に完工された。不動産事業は信用が何より重視される業界だ。自由化直後から不動産開発を手がけてきた会社で培ってきた「信頼」が成功のカギ」と強調する。企業として顧客に対して満足してもらえるようコストパフオーマンスを高めることに徹底して取り組んでいく。

SIPIMは、全ての社会層が夢見る「マイホーム」を実現していくため、特に低・中所得者向け住宅供給に注力している。現在、アビジャンで建設される住宅の9割が低・中所得者向けで、1割が高所得者向けだ。アビジャン市内とその近郊で、戸建シリーズ「エスポワール」、「アトランティッド」、「プレスティージュ」を展開する。これら住宅の価格は、立地条件により異なるが、平均すると敷地面積170~250平方メートルの場合、3LDKで1,700万FCFA、4LDKで2,400万FCFA、5LDKで2,800万FCFAとなっている。住宅供給が需要に追いつかないため価格は継続的に上昇している。住宅の支払いは通常、契約時に1割、着工前に2~5割、引渡し時までに残り全額となる。敷地面積150平方メートル以下の共同住宅は月間所得が20万FCFA以下の低所得者向けだ。敷地面積150~250平方メートルの経済的住宅は月間所得が30万~60万FCFAの中所得層向けで、現在需要が最も多い。また敷地面積300平方メートル以上の高級住宅は月間所得が70万FCFA以上の高所得層向けだ。今後経済が発展するにつれて中間層の住宅需要が不動産市場を牽引するとみられる。同国で不動産開発を手がける大手プロモーターは12社を数えるが、供給が需要に追いつかない状態の住宅市場で企業間の競合はない。同社の住宅供給戸数は2000年初めまで増えつづけ、売上高は60~70億FCFAに達していたが、その後内政混乱の深刻化を背景に落ち込み、2007年以降業績は回復に向かっている。2007年に入って住宅着工戸数が大幅に増えているが、現在は供給戸数が住宅購入申込みに追いつかない状態だ。最近の傾向として一括払いで住宅を購入するケースが増えている。住宅市場では、人口増加に伴う世帯数の増加から今後も住宅メーカーが伸びる余地は大きいとみられる。

2007年の住宅ストック数は350万戸。人口は2,000万人を超える。一方、新規住宅需要は全国で年間5万戸(用地1,000ヘクタール)にのぼり、うちアビジャンだけで2万5,000戸(500ヘクタール)とされる。しかし実際に供給される住宅は、全国で7,000~8,000戸 、アビジャンで4,000戸にすぎず、需要と供給のギャップが大きい。

SIPIMの営業部長は不動産開発事業の阻害要因として、資金調達の困難を挙げている。住宅開発向けの専門融資機関が存在せず、銀行による不動産融資の貸出利率も高いため融資コストが高くなる。利子が高いのは返済リスクが高いためだ。SIPIMは今のところ業績が好調で、銀行に頼らなくても自己資金で賄える。自己資本により、主体的に用地取得・事業企画・施工を行っている。銀行は資金の代わりに必要な建築資材を直接調達するなどすればリスクが軽減できると考えるが、新興企業にとっては、資金調達はより切実な問題だ。また、土地登録認可に時間がかかることも問題視している。不動産事業ではこれまで倒産した住宅メーカーも多く、前受け金を多額に請求する会社には注意を払う必要がある。業者としては、できるだけ早い時期に代金回収をしたいのは当然だが、会社に万一のことがあると工事はストップし、支払った代金も戻らない場合がある。住宅開発には、経験のない零細業者が多数参入しているが、顧客から資金だけを集めて撤退するというケースも目立つ。

建設・都市計画省によると、コートジボワールでは、住宅開発だけでなく商業ビルや商店など商業用開発も伸びている。2000~2006年の間に開発された商業用面積は10万平方メートル、オフィス用面積は120万平方メートル、農業用面積は800万平方メートル、工業用面積は700万平方メートルにのぼった。