Ivonip

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

設立年

2007年

資本金

300万CFAフラン(FCFA)

売上高

2億FCFA(2008年)

業種

情報通信機器の販売・サービス

従業員数

10人

会社概要と沿革

IVONIPは、情報機器の販売・レンタル、テクニカルサポート、ウェブサイトの立案・立上げ・運営、管理アプリケーションの開発などを手がける。日本留学経験者が中心となって起業した資本金300万FCFA、従業員10人の小企業だ。2007年の操業開始以来、順調に業績を伸ばし、2008年の売上高は2億FCFAに上った。アビジャンのほか、西部サンペドロおよび中部ヤムスクロに販売・サービス拠点を展開する。同社のナヌウ社長は、「日本で学んだ技術を活用し、日本のクオリティを安く提供しながら、コートジボワールでのIT普及に貢献していくこと」とビジネス一辺倒ではない進出の目的を強調する。

情報機器販売部門では、PC中古品を日本から輸入し、フランス語対応に変換して販売している。「一人1台」をキャッチフレーズになるべく多くの人がコンピューターにアクセスできるよう、高品質の中古品を215.000~225.000FCFAと手頃な値段で提供している。新品は注文ベースで販売している。主な販売先は学生や教員、学校だが、企業や官公庁からも注文がある。2008年の販売台数は1127台だった。東芝の機種が最も売れている。代金支払いは原則即金だが、顧客に学生が多いため分割払いにも応じている。7割が即金、3割が分割払いだ。学生の場合、国から支給される奨学金をPC購入に充てるケースが多い。私立校は国から補助金が支給されている。同社の顧客は学生や教員、学校が多いので、結果的にIVONIPは国を相手に取引していることになり、国の支払いが代金回収に影響する。国の支払い遅滞が影響して代金回収が度々遅れるが、未回収となるリスクは少ない。競合他社に先駆け国内で初めて輸入販売した液晶ディスプレイ中古品は当初儲かったが、現在多くの業者が参入し、競争が激化している。日本からの輸入には2ヶ月(フランスからは2週間)かかる上、円高になるとマージンが縮小しコスト競争が厳しい。このため日本に特定せず輸入先の多角化を考えているが、品質保証ができないことが悩みだ。日本の製品は品質が良く、返品の割合は2%以下にすぎない。

同社は人材、技術を投入してアフターサービスやテクニカルサポートに注力している。コートジボワールでは消費者の意識や商品知識が高まりアフターサービスの要求が強まっている。特に情報通信分野は技術進歩で高度なテクニカルサポートが求められており、充実したサービスが顧客獲得の決め手となる。このため技術進歩に対応できる有能な技術者の養成に力を入れており、社内で技術者の研修、養成を行っている。製品保証(6ヶ月)、メンテナンス契約、修理、アンチヴィールス対応、PC安全作動対応などサービスを充実させ、顧客満足度の向上に努めている。ナヌウ社長は「今後は機器販売よりもサービスに事業の重心を移していく。サービス多角化と付加価値化で情報機器の販売も伸びる。サービス強化が企業の持続的成長の道」としている。国内最大手のプロバイダーAVISOとは保守、アンチヴィールス対応の下請け契約を結んでいる。またAVISO、コートジボワール・テレコムなど大手企業へ機器をレンタルしている。情報機器のレンタルはPC普及の重要なツールだ。

先進工業国が情報技術によりますます発展をとげる一方で、アフリカなどの途上国が資金難や人材不足、インフラの未整備などで情報技術を活用できず「置き去り」にされ、経済格差が拡大している。コートジボワールでも情報技術の普及が遅れており、同分野は未だ開拓の余地が大きい。ナヌウ社長は、「情報技術を普及させ、安全安心に利用するためのIT分野の奨励策が待たれる。一貫した政策支援があれば、ウェブサイト事業は今後急速に発展する」とみている。同社は、国内航空会社エール・イボワールのウェブサイトを手掛けたほか、独自にポータルサイトを構築、運営している。コートジボワール観光産業振興のため立上げたホテルのポータルサイトは、国内全土をカバーし、現在527のホテル、130のレストラン、51の旅行代理店、43のバー、32のレンタカー店が加盟している。同サイトでは、ホテルのオンライン予約、観光名所、アビジャンの穴場、レストラン、娯楽、結婚式場、週末のお奨めサイトなどが検索できる。また学生のために立上げた学校ポータルサイトには、国内9.472校が網羅されており、地域ごとに学校が表示されている。将来的にはオリエンテーションガイド、電話会議、オンライン授業、オンライン予備登録、学力コンテストなどへの対応を考えているという。これらホテル、学校のポータルサイトは国内初の試みで、人気が高いサイトだ。同社長は、「国民教育省に同ポータルサイトを有効利用してもらい、またサイト運営をサポートしてほしい」と要望する。現在企業向けポータルサイト作成を検討しており、商工会議所と提携してコートジボワール企業を閲覧できるサイト運営を考えている。コートジボワールではポータルサイト運営を手掛ける企業はまだ少なく、競合他社に先駆け進出するメリットは大きい。一方、ウェブビジネスとしてポータルサイト運営ノウハウが必要となってくる。現在、ポータルサイト運営費は、情報機器販売が支えているのが実情だ。日本企業へは、サイト運営のノウハウを提供してほしいと訴える。人々の生活向上につながるサービスを提供し、多くの人に有益なサイトを運営することで社会から必要とされる企業を目指す。サイト運営でコートジボワールの観光産業発展や就学率向上へ貢献することは、企業の社会的責任と捉えている。