algeriaLafarge S.A.

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Lafarge社はフランスの有限責任会社でフランス法の統制を受ける。このグループは売上高の点でいえば、セメント生産が世界一、骨材生産は第二位、コンクリート生産は第三位、石膏ボードの製造は第三位である。同社は50ヵ国にセメント生産工場を保有している。骨材・コンクリートビジネスでは40カ国に進出している。同社の株式は1923年からパリ証券取引所に上場されている。

2009年には5年連続で"世界で最も持続可能な企業100社"に選ばれた。同社は建設資材部門で同ランキング入りした唯一の会社"であった。

Lafarge社は、Auguste Pavin de Lafargeがフランスで石灰事業を始めた1833年に創業した。Lafarge社は1884年にJ. et A.Pavin de Lafargeの社名で株式会社となった。その後、多くの石灰会社とセメント会社を買収、1930年代後半にはフランス最大のセメント会社になった。

最初の海外案件は1864年にスエズ運河の建設工事への石灰供給であった。これが同社のアルジェリアビジネスの出発点となった。当時同社はスエズ運河プロジェクトに11万トンの石灰を供給するために工場を建設することを決意した。この事業は1962年のアルジェリアの独立時に中断されたが、同社は石膏ビジネスの合弁会社を設置するために2002年にアルジェリアに戻ってきた。そして、2008年のOrascom Cement 買収が、同社アルジェリア事業への回帰を確固たるものにした。Orascom-Lafarge買収は中東での最大のM&A案件となった。

国内の所在地

アルジェリア・セメント会社

アルジェリア
Impase Ahmed Kara building B, Hydra, Alger
Telephone: +213 21 549494
Facsimile: +213 21 549968

レッディミックス & 砂利会社

アルジェリア
Impase Ahmed Kara, Alger
Telephone: +213 21 549494
Facsimile: +213 21 549966 / 72

製品・サービス

このグループは建設資材であるセメント、骨材、コンクリート、石膏ボード、その他の関連製品を主にLafargeブランドで世界中に生産し、販売している。その他に建設産業用の広範囲のセメントや水中結合材などもある。基礎用ポートランドセメント、石工用ポートランドセメント、その他の混合セメント、特殊セメント、結合材なども生産販売している。

Lafarge社が生産・販売する主たる骨材は固い岩石(普通は石灰岩や花崗岩)であるが、自然の砂、砂利、リサイクルしたアスファルトやコンクリートも利用される。現地での地質によりどの種の骨材が利用されるが決まる。

Lafarge社は北米や英国では路面舗装用にアスファルトを生産、販売している。また、同社は路面の強化とエネルギー効率の向上の特性を生かすためにDurapaveを開発した。Lafarge社はアルジェリアに2つのセメント工場をもっている。その生産能力は800万トンに達する。6つのコンクリート工場、5つの採石場、石膏ボード工場を有する。同社はKabykieのBouiraniで現地のAlgerian group Cosiderと石膏工場を運営している。この工場は15万トンの石膏生産能力をもつ。2009年6月現在、同グループは9カ所で12工場を運営している。

従業員数

グループの2008年12月31日現在の従業員は8万3,438人である。前年同日比5,717人増で、率にして7.4%増であった。この増加はOrascom セメント社(従業員7173人)の買収によるところが大きい。アルジェリア国内従業員数は2,100人である。

財務情報

2008年同グループは190億ユーロの売上げを達成し、35億4,200ユーロの営業収入を上げた。2008年末の資産合計は406億800万ドルであった。Orascomセメント社のビジネスが15億1,000万ユーロの収益を上げた。2008年1月23日から同年12月31日までの期間に純所得2億9,700万(グループのシェア)を同グループに提供した。

事業目的

Lafarge社グループの戦略の目標は市場シェア、顧客の企業イメージ、地理上の展開範囲、技術革新と収益性の高さという点で、建設資材におけるグローバルなリーダー企業としての地位を強固にすることである。

ビジネスモデル

Lafarge社には二つの優先事項がある。一つは成長の速いセメント市場に関するものであり、二つ目は特にコンクリート事業における技術革新である。

Lafarge社は、ビジネスモデルを次のような考えに基づき形成している。現在の経済金融危機にもかかわらず、中・長期見通しでは特に新興市場が明るい。新興市場はグループの収益の60%に相当する。

Lafarge社は市場の悪化と建設需要の沈滞に対応する対策を講じつつある。それには次のようなものが含まれる。増資と借入返済による財務基盤の強化、セクター内での主導権強化により景気回復の恩恵を享受しやすいようにすること、コスト削減強化、資本支出の削減と出資金の引き上げ、などである。

新規の生産能力プロジェクトのほとんどは新興市場に向けられており、Lafarge社は中国における成長のペースを加速することを望んでいる。同社は中国の生産を2012年までに5,000万トンまで増加させるつもりである。

Lafarge社グループは事業運営上、(1)グループ内で労働する男女の安全性、(2)コスト削減、(3)営業利益率の改善と合理化という三つの優先事項をもつ。1990年から2010年までに世界中で温室ガス排出を20%削減して気候変化に対抗して持続可能な発展を遂げる。全採掘現場に生物多様性計画を設定する。従業員のためにできる限りの安全性の確保を図る。

建設セクターの景気循環に対応するために営業活動を地理的に多角化させている。欧州や北米のような成熟市場と新興市場との構成を考慮しつつ営業活動を行う。こうすることで、特定市場におけるリスク露出を最小化することができる。新興市場でのリスク管理を行うために、Lafarge社は新興市場の営業を多数の国に分散する ( 連結売上高 (譲渡益、減損、リストラ等によるものを除く) において、一国の割合が6%を超えないように配慮している ) 。

株主・所有権益

2008年6月、Meftah セメント・プラント社の株式35%を取得した。

政府との関係・社会貢献

2008年8月アルジェリア政府は外国投資に対する管理を強化した。外国の投資家を含む今後の合弁企業は国内の企業が過半数の株式を所有しなければならなくなる。更に政府は、海外投資家への企業売却への干渉権限を強化する。

これらの対策は、Lafarge社とOrascom社との合併がアルジェリア政府に相談することなく成立したことにより実施が速められた。ブーテフリカ大統領はこの合併に反対したとも言われている。アルジェリア政府はこれまで、Lafarge社投資プロジェクトの幾つかを事前に妨害したこともあったが、今回の合併は外国企業の参入に関する政府の規制権限を侵害するとの意見を持っていた。

Orascom社はセメント会社をLafarge社に88億ドル(740億エジプトポンド)で売却した。Lafarge社は取引の一環として20億ドルをOrascom社の負債の返済に充てるものと想定した。OrascomのNasset Sawiris社長一家が率いるNNSホールディングは、Lafarge社の2,250万新規株式を、一株125ドル(1,325エジプトポンド)で取得した。

Lafarge はこの買収でOrascom社が南部に保有している改修済みの5Mtaの工場、約2.5Mtaの沿岸部にある新規工場、低コスト生産能力(トン当たり最高で15ドルと推定)を取得した。さらに、政府が2,500億ドル規模の投資の真最中であるという事実も、Lafarge社に有利に作用した。政府はアフリカ最長の高速自動車道、地域で最大の回教寺院、2カ所の新規発電所、12の淡水化プラント、アルジェの地下鉄、百万戸の住宅を建設している。更に、サハラ砂漠に8万人の住む都市を60億ドルをかけて建設しつつある。グループのセメント・ビジネスの執行副社長兼共同社長のGuillaume Rouxは、「アルジェリアではすべての公的企業は我々より強い影響力を持つが、それでも当社はセメント製造のリーディングカンパニーであり、唯一の外資企業である」と語った。

製品開発

Lafarge社は特にAgiliaR、ChronoliaR, ExtensiaR 、ArteviaR.というブランドにおけるイノベーションに注力している。2012年までに高付加価値製品が生コンクリート生産量の35%を占めるようにしなければならない。Lafarge社は「成長と革新はグループ企業にばかり利益もたらすものでなく、顧客にも利益をもたすものでなければならない。市場指向による最新の生産設備と革新的製品は消費者余剰も高める」と語った。

Lafargeセメント社は現在のアルジェリアで特上の白セメントを供給する唯一の会社である。このことが各顧客に個性的サービス、すなわち工事現場への運送、アフターセールサービス、技術的バックアップの提供を可能にしている。

Meftahセメント工場に対する35%の株式取得には、4,350万ユーロの10年間の経営契約が付随している。Lafarge社は1975年からプラントの近代化のために投資計画を実行している。その結果、2010年までに生産能力は80万トンから110万トンに増加する。