田中 修

中国経済レポート

有効な投資の積極拡大

はじめに

国家発展・改革委員会投資司は4月27日、「有効な投資を積極拡大し、経済の平穏で健全な発展を促進する」と題した文章を発表した。本稿では、その概要を紹介する。重要なワードは太字で示している。

今年に入り、国家発展・改革委員会は党中央・国務院の政策決定・手配を断固貫徹実施し、関係方面と共に投資安定政策を着実にしっかり実施し、有効な投資を積極的に拡大し、投資の平穏な伸びを促進してきた。

1-3月の情況を見ると、全国の投資の伸びは9.3%であり、2021年全年に比べ4.4ポイント上昇し、良好なスタートを実現し、投資安定政策は積極的成果を収め、国民経済の平穏なスタート実現のために重要な貢献を行った。

①投資の大基盤は安定の中で拡大している

インフラ投資はかなり速い伸びを維持し、1-3月は8.5%と1-2月より0.4ポイント高まり、毎月上昇傾向を示している。

製造業投資は昨年以来の急速な回復傾向を継続し、1-3月は15.6%で、伸び率は全投資より6.3ポイント高く、投資の伸びを牽引する重要な動力となっている。

不動産投資はプラスの伸びを維持している。

②投資構造が不断に最適化されている

ハイテク分野投資が引き続き急速に伸びており、ハイテク産業投資が全体で27%増となり、うち、ハイテク製造業が32.7%増である。

社会分野の投資の伸びがかなり速く、1-3月は前年同期比16.2%増で、うち、衛生・ソーシャルワーク投資が24.9%増、教育投資が17.2%増である。

③投資の活力がある程度増強された

民間投資が活力を維持しており、1-3月の民間投資は8.4%増、伸びは昨年全年より一層高まった。うち、製造業民間投資は24.8%増で、ハイテク製造業民間投資の伸びがとりわけ際立ち、主要な牽引の役割を発揮している。

政府投資の早くからの力発揮による牽引効果は顕著であり、実際に調達した資金のうち国家予算資金の伸びがかなり速い。

④投資の先行指標が好転している

1-3月の新規着工プロジェクト件数は、前年同期比1.2万件増で、新規着工計画総投資は54.9%増である。

今年の特別債の規模は3.65兆元であり、プロジェクト建設に用いる金額は既に全部下達され、昨年10-12月期に発行された約1.2兆元を加えると、プロジェクト資金は充足が保障されている。

各地方がプロジェクト建設着工を強力に推進するに伴い、実物成果量が急速に形成されるものと見込まれ、投資の安定した伸びに対する有力なサポートを形成することになる。

有効な投資の積極拡大は、当面のマクロ政策の力発揮の重点であり、当面の需要の拡大、経済の下振れ圧力への対応に有益であるのみならず、供給構造の最適化、質の高い発展の推進にも有益である。

今年に入り、党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、国家発展・改革委員会は関係方面と共に、政策方向を正確に把握し、目詰まり・制約の打開に力を入れ、各方面の合成力の発揮を重視し、投資安定のための各政策を有力に秩序立てて推進している。

(1)有効な投資の精確な方向性を堅持し、決して「バラマキ」を行わない

今年に入り、我々は関係部門・地方と共に、不足の補充、脆弱部分の強化、長所の鍛錬、持続力の増強を結びつけることを堅持し、インフラ投資を適度に前倒しで展開し、水利・交通・エネルギー等のインフラ建設を積極的に推進し、新しいタイプのインフラ建設を強化している。

製造業のコアコンピタンスを高め、カギ・コアとなる技術の難関攻略を推進し、重点業種の省エネ・炭素排出削減改造を実施している。

社会分野・生態環境保護・都市インフラ分野の不足補充建設を強化している。

有効な投資を積極的に拡大し、むやみに大風呂敷を広げ、プロジェクトを立ち上げず、ましてや大規模なインフラ建設投資計画を通じて「バラマキ」式の強い刺激を行わず、むしろ経済社会発展のカギとなる分野・脆弱部分に焦点を絞り、現在のみならず長期を利するいくらかの投資プロジェクトを精確に秩序立てて実施している

(2)早い手配・行動を堅持し、プロジェクトの準備作業を着実にしっかり行う

プロジェクトの準備作業は、プロジェクト建設着工の重要な前提である。

今年に入り、我々は、地方が第14次5カ年計画の目標・任務と国家重大戦略を軸に、プロジェクトの検討・論証を強化し、プロジェクトのストック作業を質高くしっかり実施し、「いくらかをストックし、いくらかを着工し、いくらかを建設し、いくらかを竣工する」という良性循環を形成するよう指導している。

同時に、地方がプロジェクトの各審査・認可手続を早急に履行し、プロジェクトの準備作業を着実にしっかり実施するよう指導・督促し、土地収用・立退き、都市公共施設の手配等の着工前の準備作業をしっかり行い、雇用・原材料供給を協調して保障し、プロジェクトのできるだけ早い着工と順調な実施を推進するよう督促している。

(3)重点・要にしっかり取り組むことを堅持し、第14次5カ年計画の102の重大プロジェクト建設の推進に力を入れる

重大プロジェクトの実施は、有効な投資を積極的に拡大するための重大措置である。

これまで、我々は関係方面と共に積極的に政策を展開し、第14次5カ年計画の102の重大プロジェクト実施を着実に推進し、102の重大プロジェクトの牽引・帯同作用を十分発揮させてきた。

第14次5カ年計画の102の重大プロジェクト実施を推進する官庁合同会議制度を確立し、会議を開催してプロジェクト実施について全面手配を行っている。

102の重大プロジェクトの主管部門を明確にし、部門・地方の責任を徹底させ、健全なプロジェクト推進メカニズムを確立し、日常的に調整・督促し、重大プロジェクトのできるだけ速い実施を推進している。

実際の効果から見ると、現在102の重大プロジェクト実施は、全体として進展が順調であり、良好なスタートを実現している。

(4)主要な矛盾に焦点を絞ることを堅持し、プロジェクトの資金・要素の保障を確実にしっかり行う

資金・要素の保障問題は、プロジェクト実施を制約する重要要因である。

我々は「資金はプロジェクト次第」という原則に基づき、政府投資を確実にうまく用い、政府投資の牽引・帯同作用を十分発揮させている。

党中央・国務院の政策決定・手配と第14次5カ年計画の重点任務をしっかり軸にすえ、パワーを集中して大事・難事・急事に取り組み、中央予算内投資をうまく用いている。

財政部門と一緒に地方政府特別債の早急な発行・使用を推進し、各地方がプロジェクトの建設の推進を強化し、特別債プロジェクトの建設と資金使用の進度を確実に加速するよう督促している。

「要素はプロジェクト次第」の要求に基づき、自然資源部門と共に国家重大プロジェクトの土地使用保障をしっかり行い、条件に符合する重大プロジェクトについてエネルギー消費の特別扱いを秩序立てて実施している。

(5)市場主体の役割を発揮させることを堅持し、社会(民間)投資の積極性を十分動員する

1年に50兆元余りの全社会固定資産投資規模に比べて、政府投資数量は十分限りがあり、社会(民間)投資が大部分を占め、投資の主力軍である。我々は有効な措置を積極的に採用し、政府投資の牽引・呼び水作用を更にしっかり発揮させ、社会(民間)投資の積極性を十分動員し、社会(民間)投資の伸びを牽引している。

投資分野の「行政の簡素化・権限の委譲、規制緩和と管理の結合、サービスの最適化」改革を引き続き推進し、投資の円滑化水準を高めている。多くの措置を併せ打ち出して製造業投資の安定的な伸びを支援し、金融機関の製造業向け中長期貸出強化を推進している。

社会(民間)投資投融資との協力・リンクを積極的にしっかり行い、民間資本のプロジェクト推進に対する長期有効なメカニズムの作用を十分発揮させ、プロジェクト資金調達の保障を強化している。インフラ分野の不動産投資信託ファンド(REITs)の健全な発展を推進し、既存資産を活性化させ、投資の良性の循環を形成している。政府・社会(民間)資本の協力(PPP)を規範的に推進している。

(6)リスク意識をしっかり堅持し、法・規定に基づきプロジェクト建設を秩序立てて推進する

プロジェクト建設推進に際しては、リスク防止を際立たせて重要と位置づけなければならない。我々は、各地方が力を尽くして実行し、力量を慮って実行するという原則に基づき、法・規定に従ってプロジェクト建設を推進し、投資プロジェクトの潜在リスクを確実に防止するよう指導している。

政府投資プロジェクトの管理を一層強化し、地方が政府投資プロジェクトの審査・認可手続を厳格に執行し、「まだ認可がないのに先に建設」「建設しながら認可を求める」ことを防止する。

地方がプロジェクトの資金調達等の建設条件の実施情況について、厳格に審査・認可・グリップし、法律・規定に違反した借入を防止するよう督促している。プロジェクト単位が建設プロジェクトの社会安定・生態環境・プロジェクトの質の安全等の分野でリスクの防止・コントロールを強化するよう指導している。

今後、我々は中央経済工作会議精神を真剣に貫徹実施し、「政府活動報告」の手配・要求に基づき、内外環境の変化がもたらすダメージ・影響に積極的に対応し、関係方面と共に投資安定政策を一層強化し、政府投資の牽引・帯同作用を十分発揮させ、社会(民間)投資の積極性を更にしっかり動員し、有効な投資を積極的に拡大し、投資の平穏な伸びを促進し、国民経済の平穏で健全な発展のために積極的貢献を行う。